いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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372:貯金箱

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「ルグ殿!」

誰が聞いてるかわからないから、
呼び捨てはできない。
居眠り男もいない。

「モウ、さん。お待ちしていました。
セサミナ様はまだ面会に時間がかかりますのでわたしが。
さ、中に。これですね?」
「そうそう。加工したものは、この小さい樽に100個いれてるの。
水に付けてる状態だから。
あ、このやり方。先に説明するね?それ、ルグ殿が説明してくれますか?
わたしたちがすると、目立つから。」
「そうですか?とにかく中に。荷は、そこに。」

中に入ると、まだだれも来ていない。
月が昇って、少ししたらって通達をしてるみたいだ。

「その感覚がすごいよね。その少しっていうのは人によって違うでしょ?」
「?少しは少しだぞ?」
「そうなんだ。昔さ、登山しててね、うん、山登り。
なんか、有名な木があって、
それを見るにはここを曲がってあと少しって書いてたの。
わたしはその時点でへとへとで、そのあと少しっていうのは、
10歩も歩かない距離なんだけど、とんでもない、かなり歩いたよ。
それ以来少しっていう、特に距離は信用しないね。」
「あははは、お前らしいな。あと少し食べようという量はわかるぞ?
通常の半分ぐらいだ。」
「え?そんなに?感覚的には一口分だよ?わたしが言うあと少しは。」
「・・・それは多いんだな。」
「・・・と、こんな感じで人それぞれなのだよ。
ん?ルグ殿?どうしました?」
「あ、いえ。あの、モウ、さん。
あとで、後で結構なんで少しお時間いただけますか?」
「ん?いいよ?じゃ、後でね。」

なんだろ?相談?
仕事のこと?頭髪?大丈夫そうだけどね。
ま、後で聞きましょう。

水桶と、鍋を用意してもらう。
コンロは樹石だ。

「皮をね、洗って、薄く皮に切れ目を入れるのね。
で、水桶の中で割る。こうするとつぶれにない。
このままでも十分おいしいけど、食べてみ?わたしも。
ね?で口をあけると。」
「うわ!」
「と、なるので、湯がくの。沸騰したお湯にいれて、
浮いてきたら、水にいれて、冷やす。
で、水を切って、食べると、うん。おいしいね。」
「はー、なるほど。」
「注意点は皮は腹下し、湯がく前の実はつぶれて布に付くと落ちにくい。」
「わかりました。それで、これはいかほどになりますか?」
「おお!お金だね。あの加工したものが入ってる樽100個と、
加工していないプニカ100個
それがついて10リングです。」
「モウさん、商売をしないと。」
「樽が、2リングだよ?加工賃、入れても知れてる。
なんせ元はタダだからね。今年はこれでいいけど、
来年はどこからか仕入れてこなくちゃね。
たぶんこれはあっという間に広がる。
プリンなんかが広がるのと同じで。
来年は手に入りにくいから、先に砂漠の端に植えておくから。
ここで、大金をせしめても意味ないんだよ、わたしにはね。
おいしいと思ってくれれば誰かが加工までして売ってくれるでしょ?
わたしはそれを買いたいんだよ。
来年以降も食べれることの方が重要なんだよ。」
「そうですか。では、これを。」

ルグは袋から10枚出して、また小さな袋に入れてくれた。

「ティス!いい感じだね?
貯金しなくっちゃね!ここってお金預けるのは資産院?利息付く?」
「資産院に資産を預けるのは盗難防止だ。
りそく?わからん。」
「うん、わたしはわかった。もしかして資産院にお金預けるのって
お金取られるの?」
「もちろんだ。」
「おお、マイナス金利?いや、違うか。」
「?」
「いや、詳しくは説明できない、ごめん。貯金箱に入れよう。」
「そうか。貯金箱はわかるぞ?金を入れておく金庫だろ?」
「おお、そんな感じ。あるの?」
「あるな。砂漠石を使う。」
「え?より大きな石を使われたら意味ないんじゃないの?」
「中身と石と同じ価値のものにすると、それを上書きするのに
中身以上のものがいるから意味がない。
解除するにもまた中身と同じ石がいるから、
それより安い資産院に預ける。」
「うわー、なんか、お間抜けだね。」
「そうか?」
「うん。貯めよと思ったら元金の3倍はいるってことだ。
お間抜けだ。」
「そうか。」
「うん。それはいいか。じゃ、そんなところで。
領主様はまだ忙しそうだね。もうすぐしたら街に人来るのかな?
わたしたちは帰るけど、ルグ殿?さっきの話聞きましょうか?」
「え?もう帰られるのですか?あ、そうですね。
あの、あとで、遅くなってもいいので呼んでもらえますか?」
「ん?そう?いつぐらい?」
「半分すぎれば。」
「半分ね。ティスはわかる?」
「わかる。では帰ろう。その時分にな。
これはセサミナ、様には内緒なのだな?」
「・・・・はい。」
「えっと、髪は大丈夫だよ。」
「かみ?」
「あ、違うんだ。うん。呼ぶからね。
ティス?いこうか?」

外に出るふりをして、そのまま屋根上に移動した。

「ルグ、どうしたんだろうね?悩みがあるのかな?」
「わからんな。お前に相談だからな。仕事の悩みではないだろう。」
「そうだね。仕事のことはわからんし、
セサミンになんか不満がるんなら、直接言うよね?
んー、わたしはてっきり髪のことかと思ったよ。」
「・・・違うだろうな。で、帰らないのか?」
「いや、あのトリヘビ君ね。戻ってくるって言ったけど、
覚えたっていったけど、場所だったら、
ここら辺にいたほうがいいのかなって。
まさか、匂いとかじゃないでしょ?え?匂い?」
「愛しい人の匂いは私もわかるぞ?」
「むっ。わたしもマティスの匂いはわかるよ?」
「どんな?」
「好き好き大好きな匂い?」
「はははは。私もだ。」
「うふふふ。」

屋根の上でデッキを展開。周りは砂漠石の膜で遮断。
上空だけ開けておけばいいだろう。
そこで、半分まで待っていることにする。

プニカはチェリーのようなイチゴのようなものなので、
タルトを作ってもらう。
その横でわたしはパラパラ漫画を作った。
砂トカゲに震えながら兄をかばう若き日の領主様、最後は兄弟でやっつける。
あとはマティスとわたしが剣で手合わせして最後はチュっとしてる奴。
・・・なにを書いてるんだ?

おこたに入りながらまったり。
マティスはタルトを作ったあと、ドレスのデザインを考えている。

「マティス?晩御飯どうしようか?」
「ここで食べるのか?」
「うん、ルグはここでお話聞こうかなって。」
「では鍋にするか?上が開いてるからすこし寒いしな。」
「お!そうだ、鍋だ!鳥肉があるからそれだね。
あの手羽中、あれいれよう。おいしいお出汁も出るし、
お肉もころんってとれる。
で、最後はそのお出汁で雑炊。ご飯ね。」
「うまそうだな。で?なにを作って一人で照れていたんだ?」
はずかしいけど、見てほしい。
まずは、セサミンの大冒険。

「この前買ってもらった紙ね。こんな感じでパラパラっと。
やってみ?」

10cm角の紙を30枚ほど端をそろえ、きれいに切ったものに、
絵を書いて糊を小口に塗りそこにまた紙を貼って製本したものだ。

「あ、一枚ずつめくるんじゃなくてね。
うんしょ。こう。」

マティスのまたぐらに入り込んでパラパラしてやる。


「動いた!!」
「面白い?」
「すごい!どうして?」
「絵をちょっとずつずらして書いてるんだよ。それを早くめくっていくと
残像が残って動いているように見えるんだったかな?
本の端に落書きとか、ああ、貴重過ぎてしないか。
こういうのは子供の遊び。」

マティスは自分でパラパラめくって、止めて、めくって遊んでる。

「これ?セサミナか?で、私だ。そうだろ?」
「あ、わかった?
ほら砂トカゲを初めて見てかばってくれたって言ったはなし。」
「あははは!ほら!泣いて震えているのに!あははは!」

あー、俺の嫁の笑顔、プライスレス。
可愛いなー。

「これは?」
「ティスとモウの鍛錬?」
「へー。・・・あ!」

やっぱり恥ずかしいじゃないか!

「愛しい人?」
「ん?」

チュ


「!」
「愛しい人、私の可愛い人、好き好き大好きだ。」
「うん。好き好き大好き。」


2人して照れまくり、ささっとおこたから離脱。
晩御飯の用意を始めた。


「うまいな!」
「鳥肉のお出汁がいいね。ほんとおいしい。」

むっしゃむっしゃ食べる。
おいしい。
これでつくった雑炊もさぞかしうまかろう。


「!」
「ん?」

マティスが上を見上げる。
あ、白き飛脚。

手を振ると、腕にくるりと絡まるように止まった。

「おかえり~。寒くなかった?
あったかいのがいいなら、おこたに入る?」

口にくわえた紙をほりだすと、布団の中に入っていく。
「あ、あんまり中に入ると熱いよ?
ごちそうというか、今わたしたちが食べてるものを一緒に食べる?
何系がいいのかな?マティス知ってる?」
「生肉?」
「あ、そうなの?なにがいいかな?
サイ、豚、鳥、果物も野菜もあるよ?
変わり種で砂漠石とか、砂とか?ブラスもあるし、炭もある。
ヘビといえばカエルだけど、これは雨の日の前に狩りに行く。
それまで待ってほしい。どれかな?」

わたしたちが食べるものがいいとのこと。
ちなみに場所はやはり匂いだって。
いい匂いがしたから近づいたらいたのでおどろいたそうだ。
どんな匂いで覚えたんだろう?
聞いたけどわたしの匂いということしかわからなかった。
うん、匂いに敏感だということで。


マティスは飼い主、
いや元雇い主のところから失敬したと思われる紙を見ている。

「わかる?刻印とか透かしが入ってるとか?」
「いや、そんなものはなにも。」
「じゃ、あぶり出し?」
「なんだ?」
「んー、火で炙ると文字が出る。果物の汁で書くといいんだよ。
炙らなくてもわかるけどね。あ!」
「なんだ?」
「なんか匂いしない?桑の葉の?」
「ん?しない、な。」
「むー、柳生封廻状にあらずか。」
「なんだ?」
「いや、桑の葉の汁でね文字を書いて、その部分を蚕に食べてもらうの。
そしたら蚕は桑の葉の汁のところだけ食べるから虫食い文字が出てくると。」
「・・・お前の故郷は本当に不思議だな。」
「え?ああ、そうだね。とにかく雑炊食べよう。」

ふわふわに卵もとじることが出来た。
平たいお皿に入れる。

「はい!雑炊。鳥だしだよ?
熱いから冷ましてね。さ、召し上がれ。」

こたつが気に入ったのか、入ったまま食べている。
わかるわー、その体制。


はふはふとおいしい雑炊を食べ終わり、
トリヘビにはなしを聞いてみる。

「前の雇い主っていっていいのかな?
その人の名前分かる?」

分かれば苦労はない。
乾いた匂いだと言われてもわからん。


「えっと、なんて呼べばいいかな?名前ある?」

クリーテ・カネリトリア・トメリタロ
それクーちゃんのギャグだよ?
ここの生き物の鉄板ギャグなのかな?
そんなものはないよっていう意味なのかな?

「勝手につけていい?白蛇だからね、
安直にハクと付けたいけど、ビャクで。
あなたは白き飛脚のビャクだ。」

ちょっとうれしそうだ。

「この紙どっから失敬したの?
いつもの部屋?書き物してる?大事な時用?
いつもそれを見てるの?どこで?
へ?屋根裏?呼ばれたら出ていくの?
忍者だね。」
「愛しい人、ここに一本糸が入っている。ほら!」
「ん?あ、ほんとだ。なんかの印だね。師匠に聞こうか?
というか、これも師匠に報告するでしょ?
ルグを呼ぶ前に丸投げしてしまおう。」
「そうだな。10リングで売らないとな。」

(ワイプ!どこだ?)
(いま、部屋に戻ったところですよ?あなたは?)
(領主館の屋根だ。来れるか?)
(何やってるんですか?モウは?)
(いますよ~。師匠の為に特別にプニカの樽お売りしますよ?)
(それはありがたい。呼んでください)


『ワイプ!来い!』


「なんとまぁ。こんなことをして気付かないとは。
鍛練が必要ですね。」
「師匠!お疲れ様です。いらしてたんですね。
びっくりしましたよ?わたしも師匠のこと、気づきませんでした。」
「そこは師匠ですからね
で、先ほどから、わたしを威嚇してるこのトリヘビは?」
「ビャク、素晴らしいぞ!そいつの胡散臭さを見抜くとは。
これをやろう。」

ささみをあげている。
やっぱり生肉はうれしいのね。

「名前を付けたんですか?ん?見たことありますね?
ほんとにこれ、どうしたんですか?」
「ビャク、有名なんだ。」
「いや、どこの者かはしりません。王都内で見たことがあります。
それがどうしてここに?ああ、例の?よく捕まえましたね。」
「いや、呼んだんですよ。で、退職してこちらに。」

あらましを話す。
その間にマティスはプニカタルトを切り分ける。
すごい!おいしそう!!
ちゃんと鳥ゼラチンで照りもある。ブランデーを入れたので匂いもない。
素晴らしい!!


「これはこれは!プニカ!いいですね。
ちょっと先に頂きましょう。」

いそいそとおこたに入りこみ、さっそくタルトを食べる師匠。

「この子、ビャクって姿をみたら
だれでも王都で働いてるってわかるんですか?」
「どうでしょうかね?
トリヘビは手紙を置いたらあっという間、気づかれる前に
姿を消しますし、返事待ちの時は待ってますがね。
わたしはその赤い筋に見覚えがあるだけです。
一度掴めようとしたことがあるんですよ。逃げられましたが。」
「そんなことするから威嚇されるんですよ。
ビャク、この人はわたしたちの師匠なんだ。
え?そんなドン引きの顔できるの?
あはははは!」
「ビャク!お前はよくわかっている。ほら、これもやろう。」

マティスはオート君を接した時のように
あれやこれやを食べさせている。

「その赤い線は?傷?書かれてるの?印か。
消そうか?元からないんだったら消せるでしょ。
おいで?」

プニカをアムアム食べているビャクを呼んで
からだに入ってる赤い線を消してやる。
あるべき姿にと願えばいい。

『白き飛脚ビャクよ、あるべき姿に戻れ』


赤い筋が消える。

「それ、消えるんですね。
契約のしるしですよ?かなり大きな石を使ってると思うんですが。」
「え?消したらまずいの?あ、大丈夫?ならいいでしょ。」
「ワイプ、これはビャクが持ってきたものだ。どこのものなのかわかるか?」
「・・・。」
「ここに糸が練り込んである。?どうした。」
「生産院の院紙ですよ。院長が使うものです。メディングでも使えない。
あの男、カルジュは生産院の者ですね。そうか。
あり得る話ですね。あの手紙の内容も、今度の食の祭りの出品内容が書いてありました。
あなたが持ってきたプニカのところまでですね。
食べ方はまで届いていないでしょう。しかし、先にみなに広まった。
隠匿は無理ですね。」
「うわ、すごいね。じゃ、あの場所で披露してたら、生産院に報告されて
隠匿掛けられるの?でも、セサミンもルグも、師匠もあともう一人、
当然わたしも知ってることになる。無理じゃない?」
「石の大きさでしょうね。5人抑え込むぐらいでしたら、できないことはないでしょ。」
「じゃ、それをやられて、
それを知らずにプニカの加工をするとおなかがいたくなっちゃうの?」
「そうなりますね。」
「怖いね。プニカの説明に来た人たちってどれぐらいいたんだろ?」
「30人ほど来ていましたよ。6人以上だと無理ですね。
そうなると隠匿を掛ける価値と砂漠石との天秤です。無駄でしょうね。」
「5人が基準?」
「ええ、ギリギリですね。こういうときに話を持ってくる場合、
身内といえど秘密にしていることが多い。
相手と、こちらの人数が5人なら軽い気持ちで隠匿は掛けない。
3人、4人なら掛けてしまう。
物事を広めるときには最低5人、できれば10人以上がいい。
覚えておきなさい。」
「?だったら最初から相手入れて6人体制で話を聞いていれば?」
「そうなると相手は動かない。」
「そうか。セサミンと師匠は知ってたの?」
「誰かが来るとは思っていたんですよ。なので、わたしが臨時でね、
雇われたんですが、あ、いまは資産院は休暇中です。
ツイミ様様ですよ?」
「そういうの大丈夫なんですね。」
「ええ。で、待ってたんですが、あの手合いが来るとはね。
知ってましたのに。わからないもんですね。」
「あの男は?強制労働か?」
「いや、セサミナ殿はそのまま知らぬふりをすると。」
「へー。」
「あのあと、普通に戻ってきて仕事をしていましたからね。」
「うわ、すごいな。いい根性してる。
見つかったっていう気持ちもないんだ。」
「みたいですよ?
生産院だという証拠が手に入ったのはよかった。これ、もらえますか?」
「これはビャクが持ってきたものだ。ビャクに聞け。
それとは別にこの樽詰めのプニカ、その他の隠密もどきの仕事を含めて
10リングだ。」
「ふふふふ。なんと。あなたが10リングで雇えるならどんなにいいか。
それに、このプニカ!わたしも買うつもりだったんですが、
店が優先だということで買えなかったんですよ。」
「セサミンは売ったの?」
「なにも加工していないプニカ1つと樽1つ。1銀貨で売りましたよ?」
「お!全部で10リング。即回収してるね。儲ければいいのに。」
「それはあなた方でしょに?」
「うふふふ。わたしたちは来年も加工済みが食べれればいいいんですよ。」
「そうですね。で、このタルト、もう少しもらえますか?」
「ええ、どうぞ?カップ君たちは?
今どうしてるんですか?王都?マトグラーサ?」
「往復してますね。誰かが連絡係で。ああ、祭りの日は皆揃いますよ?
村の人達と、こちらに向かってるんですよ、交代でね。」
「そうですか。師匠は呼べるけど、師匠に連絡するには移動になるのか。
で、場所限定。ビャクは?匂いでわかるって?
王都とここを往復するのにあれぐらいかかるの?」
「それはないでしょ?
トリヘビといえどもここからは往復で1日はかかりますよ?
セサミナ殿に飛ばした手紙は移動ですよ?」

ビャクは一瞬消えると紙を加えて現れる。
ん?移動ができるの?

ぺっと紙を師匠に飛ばして、わたしにすり寄ってきた。
ん?褒めてほしいの?
おでこあたりをカリカリしてやる。よしよし。
あ、マティスも?はいはい。


師匠は固まっている。
「・・・これ、うちの院紙です。オート院長はこれの管理はうるさい。
ちょっと戻ります。」

ありゃりゃ。

「移動ができるの?そうそう、その場所にね、行きたいなーって。
それ、ほかの人も知ってる?ああ、知らないの?今はムカついたから?」
「そうだろう、そうだろ。ビャク!これをやろう。」
新作の飴をもらっている。
わたしも!

「あ!リンゴだね。実が入ってる?あー、噛みたい!
あ!ホロホロ崩れる!おいしい!!」

実を細かく切って、飴に絡めている感じだ。
おいしい。

「大人のお菓子は?」
「丸くないな?ああ、なるほど。酒が入っている。」

また、あーんと口に入れてもらった。
ビャクもだ。大丈夫?
いや、蛇はお酒に強いイメージがあるけど。


「ん?あ、中に?2重になってるんだね。
これは、んー、おいしいね。」

棒状の飴を切ってる感じだ。
中にお酒を練り込んだ飴。その周りをまた飴で包んでいるのか?
噛むとこれまたホロホロ砕ける。
ザバスさんは天才だな。
チョコレートボンボンもこれで作れるかな?


「あ!それザバス殿の新作ですね!大人のお菓子シリーズ。
いいですね!いやいや、そんなことより!
移動ができるんですね?それで、モウ?あなたも話が分かると?」

師匠が戻るなり大人のお菓子を食べようとする。
もちろんマティスに阻止された。

「話はね、大体。クーちゃんと同じかな?
スー兄とホー姐たちのほうがもっとわかるけどね。
移動はできるけど、内緒なんだって。
なんで?
ああ、そうね。こういうのは余り見せないほうがいいんだって。
こき使われるからだって。」
「あれですか?このトリヘビ?ビャク?というのですか?
これもクーと同じように仕事をしてると?」
「そうみたいだね。みんなそうなんだよ。」
「では、あなた、ビャク?雇いましょう。資産院というよりわたし個人ですね。
報酬はいいですよ?」
「やめておけ、ビャク。報酬はいいかもしれないが精神的に疲労するぞ?」
「あははは!それはマティスが、師匠大好きっ子で心配するからでしょ?」
「!愛しい人?その件については常々誤解があると思うんだが?」
「?そう?あれだよね、オート君もスー兄もマティスも同系統だよね。」
「それはワイプ死ね?という奴か?」
「んー、ま、そうだね。うん。そうそう。ワイプ死ね死ね団だね。」
「素晴らしい名前の集団だな!!」
「モウ、マティス君も黙っててください。で?どうですか?」

ビャクがこちらを見てる。もう、可愛いな。

「好きなように。無理矢理やめさせた形だからね。
わたしのところでゆっくりしてもいいし、
再就職先が師匠のところだっていうんなら、
わたしも安心だし、両方の意味でね。セサミンのところでもいいけど、
大所帯になってる師匠のところを手伝ってくれるならうれしいかな?」
「慣れてくれば意思の疎通もできるはずです。
うちには馬と蜘蛛といてましてね。馬、2頭はまあわかります。
蜘蛛も要求している食べ物はわかりますね。
あなたともいずれわかり合えるでしょう。
それまで、モウ?悪いんですが通訳してくれますか?」
「それはもちろん。とりあえず、食の祭りまで一緒にいようよ?
それまでにいろんなもの食べようね。そしたら師匠に要求できる幅も増える。
お金でもいいんじゃない?さっきの大人のお菓子も買えるよ?」

とりあえず、失敬してきた生産院の院紙を1リングで売りつけろと
マティスがそそのかす。
これで、大人のお菓子を買うそうだ。

「では、食の祭り以降、お願いしますね。
明日も一日、お手伝いですよ。もう一度王都に戻りますがね。」
「あ、カップ君たち用に丸ごとタルトがあるので持って帰ってください。
くーちゃんにはこれ、スーたちにはプニカね。」
「それはうれしいですね。クーの分?わたしには?」
「はいはい。おんなじだけね。キトロスの種菓子シリーズです。
「ありがとうございます。あした、あなたたちは?」
「うまうま籠の準備で広場のはずれの場所にいてると思います。」
「そうですか。ああ、ガイライ殿も来るそうですよ?祭り。」
「そうなんだ。移動で?」
「でしょうね。そうそう任務以外に王都は離れられませんから。」
「そうかー。じゃ、くわしくブラスの筏の話をして、また稼ごうかな?
ね!マティス!」
「そうだな。」
「じゃ、うまうま籠の準備ができたら湿地に行こう。」
「では、また明日。ああ、次に呼ぶときは晩御飯の時に呼んでください。では。」
「なんでだ!!」

もう師匠はいないのに。

「じゃ、もう半分?ルグ呼ぼうか?」




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