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407:ツナギ
しおりを挟む月が昇って半分。
月が沈み次に登るまでにピクト側に行けばいい。。
まずは砂漠の半分あたりまで走り込み。
ここの砂はなんとなく青っぽい。
鉱石で青いものが含まれているのかな?なんだろ?
『間の砂漠よ!我らコットワッツの砂漠から来た砂漠の民だ。
大陸の砂漠を廻ろうと思っている。
コットワッツ、マトグラーサと3番目にここに来れた。
コットワッツの変動の話は聞いているか?マトグラーサの蜘蛛の話も?
ここは何事もないか?
砂漠石よ!迷惑でなければ姿を見せておくれ!
海峡石もいるなら挨拶をさせておくれ!
月無し石はいるのだろうか?また、会わずの月の日に来させてもらおう!
さぁ!姿を見せておくれ!』
声高く挨拶をする。
さらさらと砂漠石が姿を出した。
海峡石はないようだ。あるのだろうが、
今まで有ったことのあるものはないということだな。
認識できないから。また月無し石に紹介してもらおう。
『砂漠石!姿を見せてくれてありがとう!
たくさんいてくれてうれしく思う。
あなたたちのおかげで、この世界は回っている。
ありがとう!心からの感謝を!』
よかった。たくさんある。
多少高くなってもここから買うこともできるろう。
『少しもらってもいいか?
わたしの手の上に来てくれ!
ああ、ありがとう!』
うん、ちょっと青っぽい。
なんか違うかも。
「なにか違うか?」
「わかんないけど、集めたいのは本当なの。
ここの砂もね。青色の砂だよ?
これで、黄色、赤、黒、青と揃ったね。
砂浜の桃色もあるし。
お絵描きが楽しくなるよ?」
「はははは!それか。そうだな。黒と青はいいな。
緑と白も探そうな。」
「うん。」
露天風呂をつくって砂漠石でドームを作る。
結構寒いから。
「サボテンがなかったね、ピクト側にあるかな?」
走りながらだが、探したのだ、サボテンを。
サボテンがあれば砂トカゲがいると思って。
「寒いからな。いるとすれば、まだ南寄りのピクト側だろうな。」
「そうだね。じゃ、ちょっと寝て、外れトカゲの時のように、
月が沈んだら砂漠石を収穫しつつ、進もう!
わたしも爆裂を避けれるかな?」
「振動があるんだ。砂地を歩いていくとな。
それを足の裏で感じたら、半歩避ければいい。」
「へー。頑張ってみるよ。」
「私のすぐ後ろを歩けばいい。振動が来れば教えてやろう。
慣れればすぐにわかる。」
「はい、師匠!」
「砂漠のか?」
「そう!砂漠師匠!」
「あはははは!なんだそれは!」
「なんだろ?あはははは!」
久しぶりに扉君の家で寝る。
いつも快適なのだ、ここは。ありがとう!扉君!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「おはよう!愛しい人。」
「んー、マティスだ。んー?朝?」
「そうだ。もうじき月が沈む。」
「んー。2時間も寝てないね。んー、ん!起きよう!
ん!ぎゅーってして。で、じょりじょりして?」
愛しい人が甘えてくる。
先に身支度をしなくてよかった。
じょりじょりができないから。
2人で、シャワーを浴び、朝ごはんは簡単に、
コーヒーと、干し肉、パンだ。
懐かしい、砂漠の民の服を着るが、やはり寒いので
最初に買ったトックスのコートを着る。
槍を持って出発した。
ああ、少し弱いか。足裏で振動を感じる。
「愛しい人、来るぞ?」
「うん。」
パスン、パスン、パスン。
コットワッツより小ぶりだ。
駱駝馬の蹄の方が強いだろう。
しかし、数が多い。
これらを感じ避けているとそれこそ月が昇る。
「そうだね。靴の裏に鉄板入れて、竹ざるを腰から下げる?」
「?どうなる?」
「足はそれで守れる。それで走る。竹ざるで砂をすくいながら進むから、
石だけ掬えるかな?」
「そんな簡単なことで取れるなら、皆がしてそうだが。」
「そうだよね。とにかくやってみよう。」
作っている間も爆裂が起きているので、
高床式のデッキを展開。
よく見ると、すぐに砂に埋もれていく。
靴底に鉄板を張ったものは、なぜか、砂に埋もれていく。
「なんだろ?鉱物が沈むのかな?」
彼女が鉄板だけを砂の上に置くと、スルスル飲み込まれていった。
しかも、ここにはほかの砂漠であった、鉱物は一切ないという。
「異物として呑込んじゃうのかな?」
呼べば沈んだ鉄は戻ってきた。
だが、砂漠の民が履く靴も、街で履く靴も、弱い爆裂だが、
何回も防ぐことはできないだろう。
「ゴム底にする?厚底で。天然成分だから沈まないとか?」
セサミナの目の前で作ってみせたゴムのブーツを作る。
これが正解だ。
しかし、念のためと言って、胸までつながったものを作ってくれた。
「どうして?」
「いや、弱いけど、何回かに一度元気な子が飛び出してる。
あ!ほら!」
見ると、ボスンと真上に飛び上がる石があった。
「あれが股間にあたると、剣のマティス死すだよ?」
ブルっときた。それはダメだ。
ゴムはその勢いを相殺している。
砂面を引きずるように竹ざるを腰から下げて走っていくことにした。
「よし!いいね!向こうにサボテンぽいのが見えるからまずはそこまで走ろう。
方向はいいね?」
磁石を出して確認した。
「これ、ここを突っ切る駱駝馬は方向を理解してるんだよね?」
「そうだろうな。おそらく水の匂いで進んでるのではないか?
駱駝馬は匂いで水を見つけるから。」
「そうか。あの2人組が盗んだ駱駝馬は水がないから困ったんだね。」
それもあるが、彼女に甘えただけだろう。
なければ、それこそ、街からする水の匂いを頼りに帰ればいい。
彼女は動物は正直でうそをつかないと思っているのだろうか?
戦場に出たくないから、脚をけがしたふりをする馬もいるというのに。
彼女に話すと、笑って、それは賢いんだよ、といった。
「わたしをだまそうとしている訳じゃないからね。
それはわたしもわかるよ?」
そうだな。嘘をいって彼女をだまそうものなら私が許さなければいい。
「じゃ、走ろう!もちろん競争だよ?」
「いいのか?砂漠は走りにくいからな。愛しい人には不利だぞ?」
「うふふふ。大丈夫!いくよ!よーい、どん!!」
なるほど、彼女が大丈夫というわけだ。
走りにくい。このツナギ?
爆裂からは守ってくれる、が、
脚をあげるとぼこんと腹の方でたわむ。
あげすぎてはダメだ。
彼女をみると、小さく足をあげ進んでいる。なるほど。
しかし、彼女も進みにくそうだ。
竹ざるも邪魔をする。
「これ、なんか、改良しないといけないけど、
いや、もう、こんなことしないからいいけど、ぶあはははははは!!」
「そう、そうだな、とにかく、あの、サボテンまで。
ふははははは!!」
笑いながら走るというのは体力を使うものだと
はじめて知った。
「いた!砂トカゲだ!!」
いまから砂漠石を食べに行くのか。
いまだ、サボテンの葉の下にいる。
ツナギと竹かごを外し、槍を構える。
彼女もだ。
20匹ほど狩った。
当分、トカゲには困らない。
干し肉はトカゲが一番うまいから。
サボテンも大きい葉だ。実もある。
彼女が言う、環境破壊にならない程度に収穫した。
「だれもとってないのかな?」
「そんな様子はないな。
砂トカゲ、サボテン。これらを食べるのが砂漠の民だと聞いていたから、
砂漠の民がコットワッツだけしにかいないのなら、ほかは誰もたべないのだろうな。」
「もったいないねー。また、お出汁で炊いたの作ってね?」
「ああ、あれは私も好きだ。」
ミズナを炊いたやつに似ていると彼女が気に入ってくれたものだ。
母君の料理で一番好きだったものと言っていた。
「石も結構取れたね。
昨日わたしの手の上に来たものとちょっと色が違うね。更に青い。
それと小さいかな?」
「そうだな。これだと使い道がない。
セサミナの小さな石をまとめて使う方法あるだろ?
あれでも、ある程度大きくないとだめなんだ。」
「そうか、だから、誰もとらないのかな?
じゃ、ここは合わさりの月の日だけ収穫してるのかな?」
「そういうことだな。コットワッツでも、私が取る分も微々たるもんだぞ?」
「そうだね。じゃ、これは遠慮なくもらってしまおう。
この小さいのもまた違った使い道があるといいね。」
「半分だが、あと半分、一気に抜けてしまうか?」
「うん。さっきのは引き分けだったからね。
今度はわたしの勝ちだ。もう走り方は覚えたからね。」
「それは私も同じだ。では行くぞ?それ!!」
赤馬並みの速さで掛けていく。
荷重は2人とも5倍だ。
基礎体力ばかりつくな。型を集中的に流さなければ。
もう少し砂漠が終わるときに、後ろから駱駝馬の足音が聞こえた。
「愛しい人!」
「うん。聞こえた。いいよ、このまま走ろう。
わたしたちは砂漠の民、赤馬と同じだけ移動できる。
問題ない。」
「そうだな。では、行こう!」
ドドドドドド!!!
5人、10頭の駱駝馬だ。
途中で交代しないと駱駝馬も持たないか。
私たちが視界に入ると、驚きながらも馬を止めることなく砂漠を掛けていく。
私たちもそれに続いた。
「どうだ!!」
「またか!なにがダメなんだ?」
また負けてしまった。
「うふふふふ。だって、わたしは走るだけだもん。
ティスは周りの状況を確認しつつでしょ?
わたしはそれに甘えてるからだよ?ありがとう、ティス。」
マティスという名は2人きりの時だけだ。
誰が聞いているかわからないから。
「そうか。それでも、悔しいな。
うむ。この感情は久しぶりだな。」
「あら?次は負けそうだね。とにかく、これ脱ごう。
走るのはいいけど、歩くのはさらに歩きにくい。
石も袋に入れよう。
あの5人はそのまま街に入ったようだ。
私たちは、かなり手前で、走りをやめている。
こんな端では砂漠石の影響はないと知っているからだ。
それを知らないのは自国に砂漠がない証拠。
ダルカナからの回り道で最初に到着する街も、
砂漠を抜けて到着する街も同じだ。
そこからまた街道を通って、王都に入る。
ブラスの森はニバーセル国境に近いところだ。
タフトを通らなくてもピクトに入れる。ブラスの森だからだ。
街に進むと、かなりの賑わいがあった。
活気があるというか、人が多い。
「なんだろ?お祭り?」
街に入るのに行列ができているのだ。
前に並んでいる男に声を掛ける。
「すいません、これ、なんでこんなに並んでるんですか?」
「石採りだよ?あんたたちは違うのか?」
「石採り?わたしたちは行商を生業にしています。
この国に来たのは初めてで。なんでですか?石採りって?」
「そりゃ、間が悪いな。明後日がひとつ月の日だろ?
皆で砂漠に入るんだ。石を取るためにな。
ピクトの王さんがここに来てるんだよ。。
それで、迷い除けを掛けもらう。
それで、砂漠に入れるんだ、ひとつ月の日にな。
今日から掛けてもらうから、だれも物を買わないな。
宿もやってないぞ?ここの村人全員と、他所からの出稼ぎで、
一斉だからな。行商はあきらめて、石採りに参加すればいい。
報酬はいいぞ?」
「いかほどで?」
「10リングだ。
2日、実際動くのは1日、皆が来るのは当然だろ?」
「10すごい!だけど、いまわたしたちへとへとで。
石採りは参加できないですね。教えくれてありがとうございます!」
それは残念だな、と言われたが、
並んでいる列から抜け出した。
「このまま、王都に行くか?」
「そうだね。あの5人は?あら、参加するみたいだね。
一晩で10リングか。今日から拘束されるんだよね?
迷い除け?なにをされてるかわかんないね。
このまま、街道を進もう。王都で泊まることにしよう。」
「そうなるな。」
飛ぶか、移動すればいいが、今回は行商としての旅だ。
宿に入ってから、移動すればいい。
今度はツナギ無しで走ったので、
あっという間に王都につくことが出来た。
あの村は賑わっていたが、王都、ここは逆に閑散としてる。
皆が、稼ぎに出かけているのだろう。
守衛も1人。
いつもの問答もなく、素通りだ。
宿を聞くのもためらうほど不機嫌なので、
そのまま通る。へたに印象が残っても困る。
なんとなくこれが宿だろうという建物を探したが、
人がいる気配がない。
どちらにしろ合わさりの月の日はここにいないので、
諦めて外に出た。
守衛が鼻で笑っていたのがムカつく。
少し歩くと野宿している人たちがいる。
野営だね。
結構な人数だ。
「ああ。皆行商なんだ。
お金を持って帰ってきた人相手に商売だね。」
「なるほどな。」
「いい時期だったね。荷物を運んでもらった風にしよう。
で、合わさりの月の次の日に戻ってこよう。
このまま、ニバーセルの方に進もう。」
人がいなくなってから、コットワッツに移動した。
悪いが稼がせてもらうよ!
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