いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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440:鍛練の方針

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「隊長!この人ですか?手合わせをするのは?」

「強い?」
小さな声でドーガーことイエローに聞く。
「わたしにはそれなりにとしか。」
「ぼくにもだ。」
「隠しているぞ?見抜け。」
「どうやって?」
「気だけを見るからだ。しぐさ、足運び、指先だ。
スーの方が見抜くぞ。」

それはスー兄だからでは?

「え?布まいてるの?」

5人は驚いている。わたしも逆だったらそうだろう。
笑わないだけ、人間できてるね。
違うな、見下しているのか。



「そこは気にするな。
相手をすればいい。モモ殿?あなただけ?」
「そうだ。グリーンとイエローの相手をすると、
へばって私の相手にはならん。」
「彼ら5人同時?」
「そうだ。」
「おい!お前たち5人でも相手にならんと言っているぞ?
軍部の上位の力を見せてやれ!」

ガイライが挑発する。
強いか?
なるほど、気を調整できるほどに強いと。

「うぬぼれもか。」
「グリーン殿、言わないでください。彼らの上がニックとわたしです。
ルカリよりも上にいった。ルカリは努力人ですから
すぐに追いつくが、それまではこのままでしょう。それでも、ルカリのすぐ下。
うぬぼれるなというほうが難しい。」
「はー、ガイライ。頑張れとしか言えないな。
他国にはモモ以上のものがゴロゴロいた。
ルポイドのお傍付きの2人もだ。モモも感心していたぞ?」
「ルポイド、さすがですね。クジラ狩りの時にぜひ手合わせしてもらいましょう。」
「そうしろ。テルマも心配していた。お前の力が落ちたからニックを呼び戻したと。」
「ふふ。いいですね。その話は。」
「強くなったか?ガイライ?」
「ええ、もちろんです。」
「それは良かった。」


真ん中で5人対マティスだ。
拳でいくのか。


「おや、拳術ですか。」

師匠もやってくる。
オート君もだ。
いや、ここは資産院の管轄だから、見に来ても不思議はないけど。
目礼だけで済ます。

「では、始めようか。」


手加減の練習だけではないが、
なんだろうな、もたついてるか?
わかった!流れを読んでない。いや作っていないんだ!
来たら打つではダメだ。


それでも、お昼寝会場になった。

「どうだ?ガイライ?」

ガイライにマティスが聞く。

「流れだろうな。」
「来てから打ってたら遅いよ?
ガイライの言うとおり、流れだ。流れを作れ。」
「そうか。わかった。」

「えっと?なんとお呼びすれば?」

師匠が困ってる。
どうみてもわたしなんだけど、声が違うし、どうしたものかと。

「声を変えていただけです。
ドーガーも外していいよ。
オート院長、このような姿で申し分けない。」
「あ!やはりモウ殿。その、体系も違いますし、お声も。
驚きました。」
「ははは。鍛錬の一種ですよ。
鍛練場をお借りできたこと感謝しております。」
「いえ、いつでもお使い下さい。」
「ありがとうございます。師匠?わたしとドーガーは筋力不足だと。
どうしたものですかね?かなりの負荷は掛けているんですが。」
「そうですよね?呼吸法もできてる。
あとは隅々まで意識すること、力を抜くこと、
あなたが言うように流れを把握することですか?
重たいものを持てるとか、そういうのは後からついていてきますし、
それは別に必要ないですからね。重いものも流せばいいんですから。
そのまま受けることもない。人を殺すのに力はいらない。」
「それは分かりますが、鍛錬、手合わせで即殺できないですよ?」
「それもそうですね。これは難しい。」

この件は師匠はダメだな。
マティスとガイライは流れをつかむべく手合わせしている。


「ガイライ!もう振る舞いを始めるぞ?
お!来てたか?鍛錬だろ?どうだった?
それと、あの土産よかった!プカプカ?うまいな!
クッションもいい!ありがとよ。」

ここはニックさんに聞こう。
事情を説明する。

「そうだな。筋力をあげる鍛錬は続けろ。
あとは、気の練り方だな。呼吸、流れ、気。
意識するだけでいい。
軽くも重くもだ。意識を自在に。そして意識するな。」
「「はい。」」

なるほど。さすがニックさんだ。
意識するというは大事だな。しないことも。
鍛練の方針が決まった。

「あの、モウ殿?」
「ああ、申し訳ない。なにかお話があるのですね?」

オート君がじっと待っていたのだ。

「いえ、礼を申し上げたいと。」
「ああ!師匠から受け取たんですね?
どうしてもオート院長に差し上げると言ってたんですよ?」
「オート院長?わたしに礼はなかったですよね?」
「うるさい!雨の日前の長期休暇許可したでしょ?それですよ!」
「オート!そんなことは許可しなくていいんだ!」

マティスが怒ってる。
雨の日前はみんなでなまこ狩りとカエル狩りだ。
それにビャクとクーも一緒に行く。
それについてくるというのだ、師匠が。さっそく休みを申請したようだ。
あ!そのために欲しがったのか!さすがすぎる!

「ははは!もうお渡ししたんですか?」
「ええ!早速。」
「仕事抜けてですよ?縫物ができるとすぐに。
どう思います?」
「うるさい!それで、ははは、その、雨の日前なのですが、
結婚を承諾してもらえました。」
「おお!おめでとうございます。意地悪なこと言いますけど、それは
送り物が良かったから?」
「ああ、違うんです。モウ殿。これ以上無理はしてくれるなと。
雨の日までまた無理をして何かを送ろうとするだろうと。
もう十分すぎるからと。これはからは、その、言葉だけで十分だと。」
「きゃー!!ちょっとこっちまで照れますね!!
ドーガー聞いた?物を送るのもいいけど、この言葉は欲しいね!」
「オート様!参考になります!ちなみにどのようなものをいままで送ってますか?」
「え?いや、モウ殿に頂いたものが多いですよ?
メイガの羽根の花飾りや、見たことのない甘い菓子、
歯ブラシや、健康体操、それにあのポップコーン、
今回は、タオル、あの刺繍布の鞄と化粧水入れ、髪油入れ。
彼女は王族なのです。遠い血筋なんですが。
物を見る目はわたしよりも有ります。
刺繍布も驚いていましたが、あの陶磁?震えていました。
ほんとに良いのですか?その、いまさらなんですが。」
「ええ。もちろん。近いものはそのうち出回りますよ。
ただのあの入れ物はちょっと限定品なんです。
毎回言いますが、入手先はご内密に。」
「ええ。それと、お聞き及びと思いますが、モウ殿。
懸賞金の話は?」
「ええ、聞いています。オート院長も聞かれれば隠すことはないですよ?
マティスの伴侶はモウだと。
赤い塊一族で石使いといわれればそうかもしれないといってくれれば。」
「まさしくそれしか答えようがないのですが、くれぐれもお気をつけて。」
「ありがとうございます。そのためにも鍛錬です。
時々師匠をお借りしますが、お許しください。」
「ええ、これが役に立つのなら、どうぞお使いください!」
「愛しい人!オート!それはおかしいだろ?」
「ああ、マティス殿、こらえてください。ツイミもいってました。
モウ殿のためになるのなら仕方がないと。」
「む、そうか?愛しい人?あなたのためになるのか?」
「そうだね。マティスと師匠が同意見で肯定してくれると安心するね。」

「「めったにないな。」」

「ふふ。ないこともないでしょ?鍛練でそれを頑張るよ。」
「おい!あの匂いの奴!皆が待ちきれないんだ。
もう食い始めるぞ?」
「ああ、そうだ。モウ、明日も来ますね?
わたしたちはこれで。ワイプすまないが一人運んでくれ。
ニック、2人ずつだ。こいつらの分も先に確保しないと。」
「えー、いいですけど、運び賃はカレエで。オート院長?
足を持てば食べれますよ?うまいもの。」
「師匠たちの分もあるでしょ?」
「あれはカップが管理してます。冷凍すればいいと手紙が来たとか。
マティス君ですね?飛ばしたの!」
「続けて食べるより、少し間が開いたほうがいいだろ?親切心だ。」
「そうですけどね。食べたいときに食べたいんですよ。あれは。
ほら、オート院長持って!!」

軽々と持てるくせに、オート君に手伝わすのは、
オート君にも食べさせたいからかな?

「違うだろ?ツイミがオート院長にもというのを避けるためだろ?
自分の取り分が減るから。」

そっちか。
いや、それもあるけど、ほんとに今食べたいからだ。オート君と一緒に。

「マティス?今日の鍛錬は?」
「今日はもういいな。
愛しい人とドーガーもニックの教えで大丈夫か?」
「はい。意識するというのをやってみます。」
「うん。わたしも。」
「ワイプは役立たずだったな!」
「方向性が違うからね。暗殺なら師匠だ。」
「そうか。そうですね。そっち方面も鍛えるべきですね。
相手の出方が分かる。」
「ドーガー偉いぞ!ワイプをやってこい!」
「無理です!!」
「あははは!じゃ、戻ろう。
お風呂なかったからね。お風呂入ってから帰ろう。
ドーガーも館で入っておいで。わたしたちは家に帰るから。
あ!呼ぶから、呼んでから戻っといで。
美女に襲われたら困るでしょ?」
「!そうします。」

それぞれ解散。
お風呂に入ってから戻る。
長湯はせずにパパっと。2人で洗いっこ。
お風呂の砂壁はずいぶんとカラフルになったもんだ。

黄色、赤、黒、薄緑、桃色、白。

「青と濃い緑が欲しいね。」
「そうだな。まずは青色がいいな。」

からだを完全に乾かし、部屋に。
月無し石君も異常なしだそうだ。音石君も。
足音は扉の前まで来て、ノックしている。
返事がないから帰っていったようだ。

(ドーガーいいよ?)
(あ!モウ様?これですね!セサミナ様とお話ししているというのは!)

ドーガーが戻ってきた。
「あれ?はじめてだった?」」
「ええ、驚きました!」
「便利だけど、こっちからだけなんだ。
あとは月無し石君が何とかね。」
「執務室にいる石ですね。セサミナ様が見つけて、
よく磨いていますよ?」
「ああ、それだわ。
完全に姿を出してるんだね。磨かれているんだったら仕方がないか。」
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