いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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454:スリーアウト

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後は月が昇る少し前まで、地下の鍛練場で手合わせとなる。
休暇の師匠もだ。
テルマさんは槍。
エデトの実力は息子たちよりやや上?軍部を引き継ぐころには
テルマさんと同等になるそうだ。
10年訓練するのと、
体力の衰え無しで30年以上訓練する、そういうことだ。ずるいな。


テルマ対マティス、わたしで剣。
テルマ対ガイライ、わたしで拳。
テルマ対師匠、わたしで棒。
テルマ対ニック、わたしで槍。

おかしくないか?

最後にテルマ対わたし 得物は何でもいいと。
そうなると相手に合わせたほうがいい、槍だ。
ニックさんが喜んでいる。そこの3人、文句は言わない。
得物は変幻自在。蹴りも有りなんだから。

あまーい!ベリースイートだ!
変形させる間がない、蹴りなんか届かない。
テルマの廻りを飛んでいる蠅だ。
重い速い、跳躍が高い。
こんな人がたくさんいたのならマティスは守れない。

「「ジイだ」」


「ハッ!!」



ドンとテルマが飛び、壁にぶち当たる。
ここの壁は砂漠石3重膜。Gでも、ブラスの根でも破れない。


「マティス!師匠!どうして!!」
「問題ないからですよ。ほら?」

「これは驚いた!わたしが飛ばされるとは!軍部に入ってから初めてか?
はははははは!!」
「・・・・。」

なるほど、問題ないのだ。

「モウ!降参だ!」
「!ありがとうございます。」

一歩引いて礼を。

「モウ!素晴らしい!!」

見学者の皆々様が拍手です。
それはわたしが素晴らしいというより、テルマがぶっ飛んだことにだろう。

もう一度皆が風呂に入ってから出発だ。

「ん?モウは?一緒に入りましょう。」

アウトだ、エデト。

「・・・エデト?それは笑えぬ冗談だ。」
「別に持ち上げてみるわけではないですよ?」

なにを持ち上げたのか?
さらにアウトだ。

「胸の筋肉が発達してるのが女性の特徴ですよね?
できれば触ってもいいですか?」

スリーアウトだ、エデト。


耳を掴まれ、風呂場に消えていった。
みなで説教するんだろうか?マティスも一緒に行ったから。

わたしは部屋のシャワーを借りよう。
ざっと汗を流すだけでいい。
この世界にはきちんと娼館がある。
元首がいってもいいかどうかは置いといて、プロに見せてもらえばいい。
奥方は早くに亡くなっているんだけ?
再婚はないというお国柄、難しい問題かもしれないな。


なぜか一回り小さくなったようなエデト。
仕方がないな。
が、お付き2人が視線を合わさない。なぜだ?


「マティスさんや?なにをした?」
「女体というものをはっきり見たことがないということだろ?
なので、現物はテルマがどうにかするだろうが、
先に絵で見せたほうがいいと思ってな。
簡単に書いて見せたのだ。」
「ほー?モデルは?見本は?わたし?」
「当然だろう?その美しい曲線をうまく表現できたと思う。」
「どこにかいたの?」
「あの白い板だ。呼び寄せてな?」
「消した?」
「いや、まだだ。見るか?なかなかに良いと思う。
それでも、実物の美しさの3割だな。」


・・・・。

どうなのだ?うん、きれいよ?いわゆる裸婦像だ。
うまいね、マティス。芸術的だ。
モデルがわたしでなければな!!


「うん、うまいよ、マティス。
ただ、あれだ、これはかなりわたし的には恥ずかしい。
そうだな、知らない人にあなたいい匂いしますねって言われる、
もしくは言うほどに恥ずかしい。」
「え?そんなに?」

それのどこが恥ずかしいか。いや、恥ずかしいな。
ニバーセルは匂い関係に敏感だ。

「・・・愛しい人。いやなのだな?」
「ん?恥ずかしいだけだよ。うまいから余計に。」
「ああ、愛しい人。もっと美しいんだ、あなたは。」
「そうなんだろうね。マティスには。
ただ、それをよそ様に見られるのは恥ずかしい。
2人だけ、ね?2人だけのことだから。」
「うん。わかった。2人だけだ。すまない、愛しい人。」

マティスもシュンと小さくなった。可愛い!!
うむ、これで許してやろう。
きわきわの緑のドレスだって近いものがあったんだ、どうってことない!
そう思っとかないと!


お見送りです。

「モウ、エデトが失礼なことを言った。
これは父親として謝罪しよう。許してほしい。」
「モウ、申し訳ない。心からの謝罪を。」
「ふふふ。国で女性をみてもそんなこと言っちゃだめですよ?」
「ええ、重々。」
「では、テルマおじい様、エデト、謝罪は受け入れました。
この話はこれで終わりです。できれば、マティスが描いた絵も
忘れてほしい。後ろの2人もね。」
「「は、はい!!」」


砂漠の入口まで。
お土産はお米も食べるそうだからカレーだ。
エデトは鼻がいいわけでもない。
匂いでわかるというだけだ。
カレーもきつい匂いだが、腹がすく匂いだと答えた。
ライガーも喜ぶだろう。
アサギリたちもうまうま籠をプレゼントした。


『ルポイドの友たちよ。そなたたちの国に送ろう。砂漠の入口まで。』



「お疲れ様でしたね。」
「ガイライ達もお疲れ様。ニックさん、手合わせどう思いました?」
「そうだな。いい出来になってると思う。テルマは別格だ。あれは除外だ。
基本の鍛錬。これを丁寧に。
俺との連携もいい具合だった。舞もあと、2,3回手合わせすればできる。」
「ありがとうございます!」
「モウ?どんな予定になるのですか?
ルポイドにセサミナ殿と?それから今年最後の会合に?」
「そうなります。ルポイドまでは5日間の時間があるそうなので、
兄弟3人で食糧調達ですね。
ルポイド入国と会合には護衛として雇われる予定です。
終わったら、裏街道に案内してもらえればと。
あとはナマコ狩り、カエル狩り、で、雨の日で、茸祭り、筍祭りですね。」
「愛しい人。雨の日の家がまだ決まっていない。」
「あ、ほんとだ。でも、そんな感じ。」
「ええ。わかりました。あの石、音石はドルガナ産?」
「うん。たくさんもらえてよかった。師匠?これ変形させますよ?
どんな形がいいですか?」
「モウ、ありがとうございます。そのために?素晴らしいですね。
前の3種類と、細長い棒みたいなの?それもできますか?」
「形は何でも。しかし、強度は砂漠石と同じです。
紙みたいにしたら、音を貯めておく空間がないのかダメでした。」
「なるほど。ぎりぎりの細長い、長さは小指ぐらいで。
各、10コですね。これ、小さいと3回が限界です。
記憶して聞く。これがね。
4回目でお願いすると砂になりました。」
「わかりました。ガイライもいるでしょ?同じように作ってみるよ。」
「お願いします。」
「うん。そうだ、ニックさんは月無し石が呼んだのわかったの?」
「ああ、何と言ってるかは分からないが、マティスやモウちゃんが呼ぶような?
頭の中にな。」
「うまくすれば、月無し石が音石の音を運んでくれる。
2つの月無し石がいるがな。」
「なるほど。」
「月無し石は変形できないよ?わたしには。
あ!でも月無し石は自身で変形するね。おーい!誰かいる?
ちょっといろんな形にかわるの見せてくれないかな?」

一つの月無し石が出てきてくれる。
くねくねと変形する。アメーバーのようだ。


「彼らと仕事をするならそれぞれで交渉するんだな。」
「なるほど、やってみましょう。」
「酒好きだよな?桶に入れれば減ってるから。」
「磨くんですよね?」

一方的にならないようにすればいいかな?


しかし、電話か。カメラも。んー。これは追々。


明後日出発ということで、皆と別れる。
ガイライにはしっかりご飯を食べるようにと。
お店屋さんで食べることがなくなったから、
ニックさん頼りだ。食材は常に補給するようにしないと、かーちゃんは心配ですよ。

それから、セサミンのところに。

「どう?お仕事のほかもろもろ?」
「ええ。なんとか。月が昇るときに一度戻るということで調整しています。」
「そうか。じゃそのあと、晩御飯だ。
野宿かお店か、その時にならないとわからないけど。」
「楽しみです。」
「うん。でも、どっちかというと食料調達旅行になったから。
セサミンもサイを狩る?」
「いえ、見学だけで。」
「そう?ドーガーはそうやってついてるんだね。」

部屋の隅でドーガーが控えている。

「モウ様、わかりますか?」
「んー、わかるよね?」
「わかるな。それに、セサミナ?気を付けろ。
ドーガーの方に意識が一瞬行くぞ。ルグもだ。」
「ああ、気を付けます。」
「申し訳ない。」

ご飯には少し早いので、保温庫に中華を。
メジャートでギョウザは教えたということ、軍曹の話、
ルポイドでタオルは売れるから持っていこう、
あと、砂漠石の話、音石の話。
テルマの強さの話。
エデトの一緒にお風呂に入りましょう話以外はだいたい。
クジラ石のこともはなしたけど、それは知らないとのこと。
サイの肉の話。
あとはクジラ肉の話も。
向こうとの取引が良いものになれば出せばいい。
「でもさ、向こうはきっとクジラ肉出してくれるよ。
なのに、もっとおいしいもの有りますっていうのもね。
失礼っぽいから。話の流れだね。」
「そうなりますね。それは姉さんの采配で。
そこで出さなくても食べさせてくださいね。」
「もちろん。でもさ、クジラ肉もおいしいんだよ。食べさせてくれるかな?
セサミンは大丈夫だよ。
護衛まで廻してくれるかだね。貴重だから。」
「護衛ですか?姉と兄ではなく?」
「そのほうがいいよ?筋は通さないと。」
「もし、わたしだけでしたら、こっそり移動させますね。」
「うん!あれ?ルグとドーガーは留守番になるの?」
「今回はわたしだけです。」
「護衛が2人つくと言えど、少し不用心では?」
「いえ、その護衛がお二人、剣のマティスと赤い塊ですから。
会合にはルグとドーガーと王都で合流する手筈です。」
「モウ様。3人で旅をしたいんですよ。」
「ルグ!」
「あはははは。セサミンがいいのならそれで。」
「月が沈み次第、ここから出発でいいですか?
そのとき、館の見送りがあります。」
「お?そうなの?あの鋏の人も?鋏見つかった?」
「ええ。泣いていましたよ。笑いながら。それで、妻達も娘たちも出ます。」
「おお。それはちょっと緊張するね。」
「ではよろしいのですか?」
「ん?そこまで避けてるわけじゃないよ?護衛としておかしくないようにするし。
もちろん姉として恥ずかしくないようにするよ?」
「ありがとうございます。」

とはいうものの緊張しますな。
タオルと前回の時に同席したご婦人方に渡す装飾品など。
荷物はわたしたちが運ぶことになる。
馬は少し徒歩で視察してから調達ということで。
しないけど。


「草原の民のことも問題ですね。
ジャリ肉?」
「うん。ツイミさんたちは問題ないっていうけど、ダメだよ。
王都は二度と買わないだろうね。」
「こちらに持ってくるかもしれませんんね。」
「前と同じなら買えばいいよ。砂を移動すればいいから。
セサミンもできるよ?」
「そうか。ええ。わかりました。
わたしがいない間に来ても、前回の金額ならと。」
「んー、あんまり意地悪はしたくないけどね。
税金を払って、メーウー育てて。
うまく解決すればいいね。」
「こちらは税金を払えばいつでも、コットワッツ領民だといってますよ?」
「サイのことであきらめてくれればいいね。」
「なんとも。」

では、明後日にと。

帰りにトックスさんのところに。
もちろん差し入れは中華セット。

あの蜘蛛の糸は、トックスさんに渡してほしいとのこと。

「3兄弟で行くのか?あの下着の予備も渡しておこう。
髪はどうするんだ?女が黒目黒髪の夫婦の行商だろ?探しているのは?」
「そうか。どうしようか?言霊では変えたくないな。かつら?あ、わかる?」
「わかる。私とセサミナが黒髪にしようか?
セサミナの姿のまま、各地を回るのも問題だろう。
知っているものが見ればわかるぞ?」
「そうなるな。出発前までに作っといてやろう。
かつらも作れるから。3人同じ色で。黒髪は変えたほうがいいな。茶色かな?
あと、揃いの服もな。ここで着替えてから行けばいい。」
「ありがとうございます。」



親方のところにも顔を出してサウナルームのことを。
あとはマッサージチェア。折り畳み式。
マティスはイスナさんのところで、香木の装飾のことを聞いていた。
中華セットは喜んでもらえた。

最後にペリフロのところに。


「「モウ様!マティス様!」」


熱烈歓迎だ。

月が昇って半分までにはドーガーは帰ってくる。
そこからご飯だ。だから、ドーガーは持って帰るといったんだ。
今日はご飯は持って帰るからと伝言を頼まれている。

毎日3人で寝ているそうだ。寝るだけ。
ちょっとずつということらしい。けしからん!!
ドーガーが仕事にっている間は、工房の手伝い、
おかみさんとおしゃべり、
ドーガーの妹や母親と買い物。
退屈はないようだ。



久しぶりの我が家という感じで家に帰る。
扉君の家だ。

お風呂にゆっくりと。
マティスと洗いっこ。この前は結局、家の改造をしたから。

「明日は久しぶりのゴロゴロ日にしようか?
マティスと手合わせしたしいね。」
「いいな。そうしよう。2人っきりでな。」
「うん。」



お風呂に入って、丁寧に洗っていく。

「マティス!泡ぶろしよう!」


これがまた大変だった。
ジャグジーを動かせば泡立つ。猛烈に。
調整が難しい。

最初は強くあとは維持するために細かく。
マティスが子供のように喜んだ。

が、ヌルヌルだ。
あとは大人の時間で、これまた喜んだ。


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