いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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466:タンス3兄弟

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そこから怒涛の値切り交渉だ。
トックスさんのを見ていてよかった。
価値は分からないから、誰がどう作って、それで生活するならこの値段方式だ。


「それこそ、それはないな、全部で30リングだ。」
「買った!!」


お兄ちゃんズに拍手をもらった。
商売舐めてたんだ、わたしが。
値切ることが悪いことじゃない。勉強になった。


「タフトは200といえば200で買う。向こうでは400で売ってるだろうな。
それで買う奴がいるんだ。坊主が言う、価値を見出している。
別に悪いことではないな。」


絵付けタオル50枚と8銀貨のタオル10枚のお買い上げ。
ありがとうと、お茶とおかきをもらってもらう。


「チビ、すごかったな。
殺気があったぞ。」
「ええ。声を掛けることができなかった。」
「商売は命懸けだね。でも、当分いいです。疲れる。」
「そうか?宿にプカプカの売り込みは?」
「あ、それは大丈夫。売るのは!よし、行こう!結構時間を取ったからね。」




ビヤンさんの宿で。
3人組のタオルとプカプカの売り込みは拒否されました。

「わるいな。知り合いの行商が来ることになってるんだ。」
「ビヤンさん、ごめん。それ、わたし達だ。いまいろいろあって、3人で売ってるの。
ちい兄ちゃんはティスの弟なんだ。」
「うわ!あんたか!なんだ!言えよ! 」
「うん、なんか、行商夫婦?黒髪の女?いろんな人が探してるって。
いや、わたし達のことじゃないとおもうよ?
でも迷惑かけるかなって。」
「そうなのか?剣のマティスと赤い塊に懸賞金がついたのは知ってるよ?
剣のマティスがやられるんならそれは偽もんだよな?」

ニバーセルには行商夫婦のことより剣のマティスの方が主流だ。
なるほど。

タオルと絵付けタオル100枚、
プカプカクッションとシートもお買い上げ。

今からエスワさんの焼き鳥屋に行くというと一緒に行くという。
「親父!店番頼む!」

困った時の親父様。
「ああ、砂漠の民だな?」

ここでは、かつらを取ることにした。
セサミンはそのまま。

「お久しぶりです。以前はゆっくりお話しできなくて。
砂漠の民をご存じですか?」
「ああ、かなり昔だ。
ああ、あんたたちに似た人と来たよ。よく似てるな!息子さんかい?」
「・・・ええ。祖父と父ですね。世話になったようですね。」
「いやいや、酒飲んで、食って、街廻って。
どこが砂漠の民なんだって、思ったからな、覚えてるよ。」
「あははは!そうですか。きっと大きな砂漠石でも取った後なんでしょうね。」
「そうだな。金遣いは良かったよ。俺もうまい酒飲ましてもらったよ。」
「じゃ、一緒にどうですか?いまからエスワさんのところに行くんですよ。
その時の話聞かせてください。俺たちはいま、行商をして、懐があったかいですよ。」
「それは俺が出した金じゃないか!俺も飲む!奢れ!」
「もちろん!」

エスワさんのところは店を2つに分けていた。
前の店は人に任せて今、焼き鳥の方に。
煙が客席に入らないように工夫はしている。
が、焼いている方は煙がすごい。
ここでも、聞いた話、砂漠石を使って、煙を流す。
これで、ああ、ここの話なんだなって思うだろう。

エスワさんでの店のお約束。働く。働かされる。
ビヤンさんとビヤンさんの御父上の相手はセサミンが。
マティスは焼き、エスワさんは他の一品料理、わたしはホール係り。

「おあと、キモ3、ずり4、白子5入ります!」
「あいよ!」
「手羽焼3、上がったよ!}
「はい!お待ち!お酒おかわりは?はい!喜んで!」
「「喜んで!!」」

「やった!売り上げすごい!飲んでくれ!食べてくれ!
今度はちゃんと残しといたから!」

店が終わってからやっとご飯い有りつけました。
「愛しい人、さらご飯炊いたから。ご飯とな。」
「うん、ありがとう。鳥だしでお茶づけにする。」
「へー、いいな。」


竹炭と串、これからはコットワッツで買えると営業。
タオルも売る。
セサミンは若かりしころの父親の話を聞けたようだ。
同じように各地を回っていたようだ。もちろん徒歩と馬で。


結局、月が昇って半分まで飲んで、食べて。
ビヤンさんの宿に泊まった。
月が沈む前に出発、月が沈むとともにルポイドに入った。


「ん?行商?鳥肉?ああ!あの夫婦に?いいよ!
100だな?で、おんなじ?任せとけ!」

同じようにお任せで、売ってもらう。
朝のコーヒーを飲みたいのだ。
本場のコーヒーを!!


「ああ!いい香りだ!」
「あ!ドリップ式もあるね。これで、3つもらおうか?」
「知ってるのかい?これ、元首様が教えてくれたんだよ。
評判いいんだ。」


「おいしい!」
「そうかい?うれしいね。」

「砂漠で泊まれませんでしたね。」
「んー、予定は未定だ。また今度だね。
領地になったすぐ近くでもいいんだから。いつでも。子供たちも呼んでもいいよ。
テントに寝るのは楽しいから。」
「!それはいいですね。」
「・・・来たぞ?」
「わたし?どんな匂いがしてるんだろ?昨日、家に帰ってお風呂も入ったんだけど。」
「?」

店にどたどたと入ってくる人、エデトだ。

「エデト様!あの何か?」
「ああ、いいんだ。ん?だ、誰だ?」

眼鏡をかけて驚いている。

「え?行商の方ですよ?この方がここの元首エデト様だ。」

「へー、このひとがえらいさんなんだ。このコーヒーおいしいですね。」
「へ?」

(お間抜けエデト、到着は月の出後だと連絡が行ってないか?
いまは行商なんだ。3兄弟だよ?)


「わたしは、ああ、豆を買いに来た。」
「わ!元首自ら買いに来るお店なんだね。おじさんの店すごい!」
「え?そうだろ?そうなんだ。では、エデト様?どれを?」
「ああ、もうじき客人が来るから、良いものを。」
「はいはい。お待ちを。」

(渋みが少ないのが好き)

「渋みが少ないものを。」
「はいはい。」

「チビ?この方が元首?」
「みたいだね。」

(ガイライと同じだろ?)
(ああ!そうです!そうです!姉さん大好きっ子ですね!)
(お前も一緒だな)
(もちろん)


「はい。ありがとうございます。
代金はまとめて。」
「ああ、そうしてくれ。時に、行商の方々?」
「なんだ?」
「後程くる客人に、その前もって話があるときはどうしたらいいだろうか?」
「・・・知らんがな。」
「・・・。」
「ああ、お利口で、父ちゃんちでまっとくとか?
あの甘いものがあるとか?」
「なるほど!それで待っておこう。では。」


「いや、驚いたね。元気になってますます元気だ。」
「ご病気だったんですか?」
「詳しくは知らないけどね、臥せってたんだよ。そのあいだ、ドルガナとなにかあったじゃないかな?
いま、あれだけ行き来があったのに、少なくなってるんだ。」
「閉鎖してるとか?国境を?」
「あははは!それはないな。向こうから来るのが少なくなったってことだ。
こっちからはもともと少なかったからな、それは変わらないな。」
「へー、なんだろうね。」
「なにか怒らせたらしいぞ?エデト様を。で、砂漠石の購入もやめたと。」
「え!どうすんの?これから!」
「それは問題ない。他所の国から買うだけだからな。」
「あー、そうだね。びっくりした。」
「行商だろ?こういう話は仕入れないと。」
「そうだね。あ!樹石の話は知ってるよ?」
「樹石?なんだ?」

イリアスの樹石が安い。
コットワッツも樹石が取れると思って湿地を買ったが、すぐに出なくなった。
お間抜けだね、というとセサミンがむっとしてる。もう!かわいいな!
で、今度大々的に樹石の使い方の発表があるよと。

「燃料だろ?砂漠石とどう違う?」
「温度を維持できるんだよ。」

樹石の説明。

「へー。それで安いのか。いいな。
しかし、なにに使える?ここは薪も十分あるしな。」
「でね、これは一部しか知らない話。
樹石を燃やしきったら、白く軽くなるんだ。軽石。
これを粉々して水でこねて、乾燥させると、いろいろ使える。
一番いいのは樹石を燃やす器。もっといいのが温度維持。
これ、おすすめの商品。まだ、試作品。ここで使ってみない?」


コーヒーメーカーの温めてるとこだけ。
ウォーマー?

「もちろん、入れたてが一番おいしい。
でもさ、おじさんがいつも入れてくれるわけじゃない。
家で、飲むときにさ、たんびにお湯沸かしたりさ、
たんびにドリップするのって面倒じゃない?
3杯分まとめて入れても、2杯目、3杯目は当然冷める。
で、この上に置くと、ずっと温いまま。
もちろん、煮詰まる。うまくなくなる。
けど、コーヒーを飲めば、頭がすっきり、目が覚める!コーヒー万歳!
おいしいのは、今、抱えてる案件が終わってから入れて飲むから!
いま、暖かいのがほしいんだ!っていう、コーヒー中毒者に売る。
どうでしょうか?」
「チビ、ひどいな。」
「それはちょっと、ひどいよ?」
「あんたたちは、飲みたいっておもったら誰かが入れてくれるだろ?
違うんだ!一人になったら!手を伸ばして、せめて暖かいのが飲みたいの!!」

セサミンはルグが入れてくれるだろう、専用バリスタ!
マティスはこういうのを苦にならないタイプ。
コーヒーをこだわりの飲み物としてのむ。
コーヒーメーカーの最後の煮詰まったものなんぞ許せんタイプだろう。
しかし!飲みたいものは飲みたいんだ!!あったかいの!


「・・・わかる。わかるよ。うん。すごくわかる。」

やった!

「店のコーヒーをうまく飲んでほしい。もちろんだ。
しかし、常に飲んでほしい。入れるのが面倒といわれることもある。
うん。最初に3杯作って、味は落ちるが、暖かいまま。
いいな!何より、俺が欲しい。飲みたいときに飲みたい!わかるよ!
誰も入れてくれない!わかるよ!!!」


大きな樹石を砕いて使う。
砕くと温度は上がらない。それがちょうどいい。
丸くかたどった器に、2つほど。そこに網状にした軽石。
火傷に注意。
ここのおじさんにベスト温度を出してもらおう。
大きめのカップは軍曹のところで買ったものが有る。水差しらしいが使えるはず。
この形も研究してもらう。共同開発だ。

「近いうちにまたきますんで。
その時、教えて下さい。ああ、ダメ元なんで。気軽に。」
「ああ!わかった!」
「うまくいったらここの店の名前で売り出しましょう!」
「おお!いいな!」



「どうしてですか?売り出すんならコットワッツからでも。」
「なんでもかんでもコットワッツ発ってのはよくないよ?
でも、その土台を作るのは軽石を扱ってるコットワッツだけど。」
「ああ!そうか!」
「ここの店主にしたのは?別にどこでもいいだろ?」
「エデトが入って来た時、わたし達の前に出てくれたから?
とっさにああいうことが出来る人はいい人だ。
コーヒーもおいしいし。
あ、マティスが入れるコーヒーと別だよ?」
「当然だ。」




「おい!売れたぞ!あっという間だ。」


広場に行くと、守衛さんがすでに売りさばいてくれた。
すごいな。
前回同様、手数料を渡し、売り上げをもらう。


「このやり方で継続できないか?」
「コットワッツの冷凍庫?知ってるか?」
「ああ、聞いたよ。それが出れば、肉も海のもの腐さらず運べるんだろ?
ほんとかね?」
「なんとも。どっちにしろ、それがでまわると、この商売は終わりだな。」
「そうか、そうだな。」
「それまでに、こっちに来れたらまた頼むよ。あの夫婦もそうするだろうし。」
「お!そうか!その時は声かけてくれ!俺にな!」
「もちろん!頼むよ。」


「気さくに話しかけた守衛にはばれている。」
「あ、やっぱり?」
「でないとあの仕事はできないからな。
兄弟でも、夫婦でも、あの守衛に言えばいいようにしてくれるだろう。」
「それは良かった。」


後はテオブロマ、トウミギ。
テオブロマは今が時季ものだ。安くなってるかと思ったけど、
弱冠高い。なんで?

「これを絞ったら蜜が取れるんだ。その道具も売ってるよ。
これがうまい!どうだい!コーヒーに入れるんだよ。」

エデトめ、つぎつぎ商売をしているな。
こっちだって負けてはいない!

「兄さん!この蜜をさ、水に溶かして、飲むのは?
ほら、これ、ブラスのストローっていうんだけど、
これで、吸って飲むの。
冷凍庫が出回ったらさ、氷が手軽にできるっていうだろ?
暑い時に、氷入れて、これをさしてさ、飲んでもらうの。
1杯5銅貨とか。今は時期が悪いけど。準備しとくの悪くないと思うよ?」

ブラスのコップにストローを刺して、
テオブロマの蜜に井戸の水をいれる。ここでおいしい水を使うのは反則だ。
ちょっとぬるいでけど、甘い水。チョコ水。

「!うまいな!ん?ブラス?そうか、こういう管で?
中は洗ってるの?」
「そうだよ。口に触れるから削って。
10本5銅貨で。これは200本からの購入。どう?」
「んー、これさ、トウミギの茎を使えばいいんじゃないか?
あれはちょうどこの長さで折れるんだ。乾燥すればまさしくこの状態。
おい!ヘンケ!トウミギの茎ある?そこに敷いてるの持ってきてくれ!」

あのトウミギ屋さんに声を掛ける。
うそ!トウミギの茎ってそうなの?
敷いてる?そんなの見ないで捨てたよ!


・・・・。
ブラスのストロー計画はなくなりました。
トウミギの茎がちょうどいい。
削ることもしなくていい。
さっと、煮沸すればいい。

失敗の巻き、その3だ。
兄ちゃんはズは笑っている。

「チビ、氷、冷凍庫が売れますから。」
「・・・うん。」
「かわいいな!!」

クスナさんに売りつけなくてよかった。
輸送費を考えてもこっちの方が安い。

良いことを教えてもらったとテオブロマとトウミギは
お安くしてくれた。
第3形態の背負子で入るだけ。
タンス3兄弟で、テルマさんの家に向かった。




「よく来てくれました。ん?」

テルマさんちの前で待てるエデト。
暇なのか?仕事をしろよ?


「なにか怒っていますか?」

眼鏡を掛けたり外したり。


「怒ってないですよ?うん。あんたの国民は賢い。
頭の回転が速い。」
「ん?褒められるとうれしいですが?
どうして?」

マティスに答えを求める。
「いいんだ。かわいい落ち込み方だろ?」
「うわー、兄さん。そうなるんですね。」
「あとでたくさん慰めないとな。
自分がしでかしたことではそうもいかないだろ?
他のことでもだが、今回は仕方がないな。
一度あのトウミギの茎を見てて、気付かなかったのが。
いつもは何でも置いとくんだがな。トウミギに夢中になったから。」
「うん。大失敗の巻きだ。でも!売り出す前に気付いてよかったと。
うん、慰めるすべはある!」
「ああ、元気になった。良かった。」
「ふふふ。エデト様、元気そうで。」
「なんとお呼びすれば?」
「まずは中に入れてくれる?」
「もちろん!」

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