いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「師匠?お弁当作っておきますね。」
「ええ、お願いします。」
「それがおかしいんだ!」
「モウ、わたしもそう思いますよ?」
「もちろんみんなのもあるよ。オート君にも渡しておこうか?」
「ああ、それは喜びますね。
婚約者殿も来るでしょうから、2人で食べれるものを。」
「いいねー。ランチデートか。
護衛側はやってられんけどね!」
「そういうこった。あのお嬢さんの方が気配に敏感だがな。」
「そうなんだ。遠い王族らしいよ。
なんか甘いおやつも付けておこうかな。
師匠からってことにしておいてね。
彼女さんに変に勘繰られても困るから。」
「それはないでしょう?」
「甘いね。ベリースイートだ。
わたしはかわいい女子に好かれたい。
なので、些細な敵意ももたれたくない。
このかわいいには、性格が含まれる。
はっきりいうと、オート君の彼女に好かれたい。
だから、部下の弟子の女の人から差し入れ?どういうこと?
という心を痛むようなことは避けたい。」
「?よくわかりませんが、うまく伝えましょう。」
「そうしてください。」
「おいおい、マティスよ?これはどうなんだ?」
「愛しい人はそうなのだ。テムローサもセサミナの奥方たちも、
ドーガーの奥方たちも、ルポイドの館の女官もだ。
きゃー素敵です!と叫ぶぞ?」
「うふふふ。うらやましい?マティス?」
「まったく。愛しい人が素敵なのは分かっている。
同じように叫んでいいなら叫びたい。」
「・・・うん。」
「姉さんはそこで照れるんですね。」
「だって、一番マティスにそう思ってもらいたいもの。」
「セサミナ!私たちはいったん帰る。来客が来る前に戻るから。
どうしたいかだけ考えてくれればいい。
ワイプ!そこの棚にコーヒーと緑茶、菓子は収納している。
食い終わったら、食器だけ流しに運んでおけ!」



あっという間にベットの上でした。

「家に帰ったの?」
「仕方がないだろ?愛しい人があまりにも可愛らしいこというから。」
「あ!は、はずかしい!!」

愛しい人を抱きしめ、寝床に潜る。


「ん?みんなは?」
「まだ話している。茶と菓子を置いてきている。」
「うん。みんなに任せておこう。
できることをお手伝いすればいいよね?」
「それでいい。」
「お風呂は?」
「あとだ。」
「んー。脱がして?」

屋台を出すときに着替えてはいる。
ゆったりとしたニバーセルの服だ。
スカートは好まない。いつも私と同じズボンをはく。


前をはだけ、ズボン、下ばきをずらしただけ。
そのまま。

あっ ん


全身を舐めたいが、風呂前にすると、嫌がるからだ。
あとで、風呂の中ですればいい。

抱き上げ下から突き上げる。
王都内では常に膜を張っている。匂いよけだ。
だから、彼女の肌からは彼女の匂いだけ。

首元から胸先に舌を這わす。

あっ あっ マティ マティ


「愛しい人?明日の会合を休もうか?」
「ん、ん?な、なんで?」
「あまりよくないことばかりが決まるだろう。
ワイプの仕事が長引いたのもそのせいだ。」
「セサミンによくな、いん、の?」
「それは問題ない。あれは領主だ。切り抜けないでどうする?
なんとでもする。だからそばにいることもない。」
「セサミンがそういった?ち、違うでしょ?わたしに聞かせたくない話だから?
ん、ん。一緒だよ。いずれ聞くんだから。
コットワッツには凄腕の護衛がいますよって示さないと。」
「そうか?ならば、すこし気合をいれようか?」
「うん。かっこいい護衛のマティスが見たい!ああーー!!」


発言できないが、よからぬことをいう輩がいれば
黙らせればいい。
赤い、どの衣裳を着てもらおうか。


「あっ!マティスが悪い顔してる!その顔好き!」
「ふふふ。そうなのか?ならば期待しておけ。」
「ん?うん!」


風呂に移動し、全身を磨く。
足の爪先から、髪の先まで。

「髪、伸びたね。切ろうか?」
「以前は乾かすのが面倒だったからな。いまはすぐ乾くから。」
「そうか!ドライヤー売り出そうか?」
「ん?」
「髪を乾かす道具。風を起こすの。
風は便利だよ。扇風機とか掃除機も風かな?時代は風力だね。」
「いろいろあるのだな?それはスパイルに行くときの手土産にしよう。」
「いいね!そうしよう!アイデアだけだからね。
そこから考えてくれるからね。うん!さすがだ、マティスだ!
髪の毛洗わせて?」
「ああ。」


彼女だけ椅子に座って、私は床に。
前から洗ってもらうのが好きだ。

「ジャンプーハットも売れそう。」
「ホットサンドメーカーもいいかも。」
「まずはコーヒーウォーマーだね。
コーヒーメーカーはちょっと難しいか。
これも提案してみよう。」

彼女は私にはわからない言葉を並べて考えている。
その間わたしは彼女の正面を洗う。

脇の毛は伸びてるのだろうか?

「もう!それは雨の日でしょう!」

覗き込もうとしたがダメなようだ。
仕方がないな。

「んー。流すよ?」
「交代だ。からだを磨こう。」
「洗ったでしょ?」
「磨くんだ。」
「はいはい。」

黒の実のオイルでまっさーじをしながら磨いていく。
外も中もだ。

「後ろもいい?」
「ん。」

ゆっくり、ほぐしていく。
からだは骨があるのかと疑わしくなるほど、やわらかく、
私に絡みついてくる。
全身で。
前は何もしなくても柔らかく、あふれていく。
からだを洗う前に流したとしてもだ。

後ろから抱くことになるが、仕方がない。
前も一緒にほぐしたいから。

彼女はからだをそらせて私に口づけを送ってくれる。
胸がそらされるこの体勢も好きだ。
が、結局向かい合って抱き合うことになる。

風呂の床はいつの間にか寝そべっても柔らかいものになっている。
砂漠石の膜とプカプカも組み合わせているのだろうか?

私が寝てしまえば、彼女が躍ってくれる。
この眺めも好きだ。
寝床とは違い、明るい。湯気があるが、そんなものは関係ないのだ。
汗と水滴とが、私に落ちてくる。

汗までも甘い。



彼女はそのまま寝てしまった。
爪を磨いて終わりにしよう。




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘




「「「・・・。」」」
「頂きましょうか?
どちらにしろ、姉さんは少しは寝ないと体に悪い。
あ、これは新作なんですよ。シュークリームです。
クリームがはみ出るので、上を割って、掬って食べるほうがいいですね。
わたしは先ほど頂きましたから。
こっちのクッキーにしようかな?」
「俺は塩っ気が欲しいな。酒を飲んだ後だからな。」
「では、おかきかな?緑茶ですかね。このクッキーは胡椒とチーズですよ。」
「わたしは両方ほしいです。」
「ええ。」
「それで?資産の方でなにか面白いことはあったのか?」
「そうですね。明日の会合で話がでますがね。
マトグラーサの砂漠石採取のやり方は大陸中央も認めることになりました。
ピクトもデルサトールの採取方法も認められます。
要は砂漠石の採取方法は各国に一任すると。
もちろん、強制的には違法です。が、
借金や犯罪者、相手に非がある場合、
契約書を交わして同意した場合のみです。
あってないようなものですが、中央から監査が入ります。
これで、中央はいつでも各国に入ってくる口実ができ、
砂漠石産出国は産出高を伸ばせると。
監査の費用は各国もち。接待し放題ですね。
新年に王の言葉があります。
そこで砂漠で強制労働をさせてはいけないとだけ。
同意さえすればいいということなんですが、抜け道はいくらでも。」
「糸を使われればどうにでもなるな。」
「ええ。が、ここに来て、糸そのものの効果が疑問視されています。
すぐに破綻する。高い金を出した領国からは不評のみ。
もちろんうまく行ったこともあるでしょうが、
それを公表することはない。」
「糸単独の話ですよね?」
「ええ。糸と香木。この組み合わせです。
ボルタオネはそのために代替わりしたと言っていいでしょうね。」
「まだボルタオネにあるのか?香木が?」
「あるのでしょう。森をすべて伐採すれば見つかるのでは?」
「・・・それ、姉上からコクに話しておいてもらいましょう。」
「コク?黒馬ですよね?」
「姉上の話では香馬と。以前もらった香木もコクが探してきたもので、
この裏の呪いの森は36番目のボルタオネの森だとか。」
「ちょっと待って!ほんとに待って!
以前見せてくれた香木の話ですよね?偶然見つけたのではなくて、
呪いの森はボルタオネの森で、
その森から香馬が見つけたと?
あの時はわたしも不勉強だったんですか、
香木について調べたんですよ。
あー、ちょっと、コーヒーともう一つ、しゅーくりーむください。」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘




「なんだ?まだ話していたのか?」

大広間に戻ると、むさくるしいという言葉しか出ないような空間になっていた。

『風よ、このむさい匂いを遠くに』

窓をあけて、清々しい空気を入れる。
なるほど、風は便利だ。

『ありがとう』

礼も忘れずに。


「セサミナ?考えたか?」
「すいません。まったく。」
「仕方がないな。少し寝てこい。こっちで考える。」
「お願いします。」

『眠れ、セサミナ。目覚めれば、疲れも取れている』
「ふわー。」

寝床に移動させればいいだろう。
ドーガーは?寝てるのか。


「セサミナをつき合わす必要があるのか?」

みなにコーヒーを入れる。
数滴だが、栄養剤も入れておこうか。


「土地のことですよ。不備がないように。」
「そうか。それなら仕方がないな。どこでもいいんだ。
石を売ることで50万リングもすぐ作れる。
そういえば海峡石は?あのコールオリンは?」
「海峡石はどこで見つけたかということで大騒ぎに。
コールオリンも同じです。」
「これは?」

砂トカゲ、いまは沼トカゲの骨を磨いたもの。
クジラの骨を磨いたもの。
海の底で見つけたサンゴ。これは赤い。

真っ白なもの、白いが半透明なもの、
真っ赤なもの。


「・・・・。ダメです!
あなたたちじゃないと採取できない物ですよね?
大騒ぎになるから駄目です。」
「裏街道で売ろうか?そういうところあるから。」
「おお。さすがニックだ。あれか?素敵すぎます!って言おうか?」
「いや、やめてくれ。」
「ちなみにそれなんです?」
「これは沼トカゲの骨、これはクジラの骨、
赤いのは海の底だ。愛しい人曰く虫らしい。」
「虫?え?」
「彼女も詳しく知らない。知っていれば問題ない。うごめくわけでもないしな。
赤ければ赤いほど価値があるそうだ。彼女の故郷ではな。」
「動植物は同じなんですよね?」
「大まかにはとしか。それと大体が大きい、赤いものが多いとか。
彼女は言霊で言葉を理解している。
我々もだ。味が故郷で同じなら、その物の言葉に聞こえるとか。
だから葡萄味は葡萄と聞こえるらしい。モモもな。」
「なんとも彼女らしい。」
「モウは寝ているのか?」
「そうだ。半分前に起きるだろうな。
2人の領主が食べるものを作らないといけないからな。
お前たちの分で、なにか希望があるか?」
「おにぎりとカラアゲ、卵焼き、さんどいっちも。
卵と肉で。あと食後はアイスがいいのですが、無理ですか?
あ、卵と乳は買ってきてますよ。」
「彼女に聞いてみよう。ガイライとニックもそれでいいか?」
「「それで十分。」」
「わかった。半分前に送ろう。」
「じゃ、資産院にもどるわ。ガイライは?」
「天秤院を見て来よう。軍部も。」

まずは米を炊かなければ。









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