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586:露骨
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1時間も寝ていないだろう。
起きた気配がした後、そのままお風呂に入ったようだ。
「あの水、頂きましたよ。」
枕元に置いといたのだ。
言霊で体の不調を治すのは奥の手だ。
栄養剤的な水があるのならそちらを使ったほうがいいだろう。
ただ、スー兄がいうように頻度だ。
月に数回ならいいと確認はした。
「飯は?入るか?」
「ええ。温かいものがいいですね。」
「うどんだな。」
「お出汁がおいしいからね。これ、メディングさんにも食べてもらおう。
昆布と言えばおうどんのお出汁だからね。」
「特別にウマキだけ出してやろう。愛しい人に感謝しろ?」
師匠が食べている間、先にイリアス、フェルトナでの話を伝える。
「街の管理を専門にする人、見つかりそうですか? 」
「申し訳ない。今はなんとも。
そのクスナが言うくずがいなくなったとしたら、
街の中で見つかるかもしれませんね。」
「イリアス王都からのちょっかいがなければな。
数人いたぞ?愛しい人の立ち回りを見ている中に。」
「あの土地ね。まだマトグラーサがあきらめていないようですね。
所有者を探しているようです。
赤い塊のモウと名乗ったのでしたら、マトグラーサも接触してくるでしょう。
習得時はどこの誰だということまで、まだわからなかたんですが、
既に赤い塊が所有したということになっています。」
「わたしは管理を任されているってことにしてますよ?」
「それでいい。赤い塊が宣言して習得。
その孫?曾孫設定なんですか?それが管理を任されていると。
それで話は通して下さい。
中央の視察が来てもその土地でなにをしているかわからないんですよね?」
「昔ながらプカプカの処理をしているということには変わりませんから。」
「わかりました。
これ、この中身?もっと食べたいんですが?」
「それは会わずの前に。」
「これが、ミーキ?ああ、楽しみですね。」
「うふふふ。ええ。楽しみです。」
「さ、落ち着きましたよ。」
「食べるだけじゃなくて寝ないとね。資産院の皆さんにはキトロスに
例の水混ぜたの渡してますから。」
「それ、常備できませんかね?」
「ダメです。だけど、混合いはじめまで、収納庫置いときます。
せめて暖かいもの食べてください。」
「ああ、とうとう!常に食べていたらどうなるんでしょうか?」
「いや、太るだけですよ?で、仕事ができない。致命的ですね。」
「あーーー。」
食後のコーヒータイム。
どんなにおなか一杯でも、食後のコーヒーと甘いものは入るから不思議だ。
別腹というのは好物を見ると胃が強制的に隙間を作ることらしい。
「・・・・50億の話を。」
「セサミンたちには話しています。
簡単な話なんですが、砂って沈みますよね?
で、木も沈む。鉄は浮く。
これは故郷で逆です。
木が浮いて鉄が沈む。比重の関係ですね。
船は鉄ですよ。浮力ですね。
押しのけた水の体積とどっちが軽いか?あれ?これは比重?
浮力は押しのける力?んー、詳しくは聞かないで。
話を戻すと、じゃ、砂を水に入れたらどうなるのっていう話。
砂が沈んで、鉱物、金銀銅、鉄は浮くと。
後は、掬い上げて、分別すればいい。
分別方法は溶かすなりなんなりであるでしょう。
わたしたちは移動がありますがね。
コットワッツの砂漠にもあるし、マトグラーサの砂漠も豊富です。
間の砂漠は新しくできたそうで有りません。
鉄の靴を履くと沈みます。
中央砂漠も豊富に。
セサミン、領主セサミナはこの話は公表するのを控えています。
採取方法は別にして、砂の中に鉱物があるというのが、
誰も知らない話です。それもかなり豊富に。
砂漠の協定は砂漠石に対するもの。
そのあたり確約しないと争いが起きます。
雨の日に大量の水が流れてどうなるかもわからない。
表面に浮いてくるのか?そのまま流れていくのか?
知っているだけで実際にはどうにもできない。
領国でも、国でも。
だから中央に売るのが一番いい。
知っている?だとしてもだ。
これ、師匠が売るのではなく、上層部に持っていってください。
できればてっぺんに。
でないと一役人が50億つくるのはおかしい。
あれに働いてもらいましょう。
報酬は折半でもいいでしょう。
動かないなら砂漠中の鉱物をわたしが集めます。
50億にはいかないかもしれないけどね。5億分は頂きましょう。
で、鉱物の価格崩壊だ。
それは誰も望まない。」
「あれ?あれに?・・・・また倒れそうです。」
「向こうだって、前回師匠に連絡とってきたんでしょ?逆にさかのぼって下さい。
こっちにきている間に向こうからなにか接触して来たら、師匠のほうに行くように
話ましょうか?いや、その前に、お前の個人的な金出せと?」
「やめて!やめて!!」
「そう?でもなー、今時期が悪い。
中央がリングと砂漠石の価格調整を必ずするはず。
その前にどっちを確保するかを見極めないと。」
「?」
メディングに話した内容を伝える。
「あー、なるほど。この方面はメディングの方が強いですね。
ものすごく嫌ですけど、話を聞いておきましょうかね。」
「メディングも勧誘しないとな。」
「あなた、前回の経緯なんかどうでもいいんですか?」
「仕方がないだろう?愛しい人は魅力的だからな。」
「そうですか。」
「なにかあればワイプに相談しろとは伝えているが何かあったか?
「いいえ、なにも。なぜそんな話に?」
メディングにお願いした隠匿の話と、
その後の話を説明した。
「今から行きますよ?おうどん持って。行きますか?」
「ええ。ウマキ?あれ付けてくれますか?」
「いいですよ?でもなんで?」
「初めて食べるものでしょ?驚く顔が見たい。」
「師匠もたいがいですね。」
「メディング殿に面会を。
わたしはコットワッツ、モウというものです。
依頼した隠匿のことで話があるとお伝え願いたい。」
「コットワッツ、モウ?え?ワイプ、殿も?」
「わたしも相談したいことがありましてね。お忙しいでしょうから一緒で構いませんよ?」
「・・・ご案内します。」
「お時間を作っていただきありがとうございます。
早速ですが、これ、昆布のお出汁のおうどんです。
わたしたちは食べてきましたから、熱いうちにどうぞ?」
「食べるの?ここで?」
「どうぞ、どうぞ。」
おうどんのおはしは滑らないように加工していますよ?
新作のかまぼこもある。
トラのすじ肉うどんだ。う巻き付。
「あ、啜ってくださっていいんですよ?ラーメンと同じです。」
「ラーメン!なるほど。」
醤油ラーメンは豆ソースお披露目の時に食べている。
ズゾーっとな。
お箸の使い方うまいな。
「ダシ?これが昆布?
この細いのがうどん?ラーメンとは違うと。小麦だけ?塩と?」
「そうですね。それと出汁は乾燥させた魚の身の塊を薄く削って、
煮立たせてますね。うまみ成分が出るんですよ。
あ、その黄色いのは卵です。赤根おろしとちょっと豆ソースをつけるか、
そのままでもいいですよ。」
「?中のものは?これはうまい!!
・・・・ワイプ?なんだその顔は?」
「いえ、わたしも先ほど頂きましたけどね。そのような顔はしてませんよ?」
「してたぞ? 」
「マティス君!黙って!!」
「それで、どうでしょうか?ジットカーフは昆布作ってくれますかね?」
「破棄しているものを乾燥させてるだけで売れるなら売ると。」
「問題は値段ですね。」
「1本1リングだと。」
「え?乾燥させたものを?」
「そうだ。」
「高い。いや、高いものは高かったな、こっちのは大きいし。海苔は?」
「海苔はもっと高いな。一度作ってみるという話にはなった。
金額はそれからだ。」
「では、そのまま、ジットカーフに教えたという形に?
ニバーセルの利点は?」
「・・・詳しくは言えないが、取引材料に使った。」
「いえ、それで十分。ラーメンにも使えますしね。
わたしの故郷の母の手料理は昆布だしが基本なんですよ。
お野菜を焚くだけでも十分においしい。」
「そうなるだろうな。この調理方法を広まれば、皆が買うだろう。」
「それはいいですね。
おうどん、どうでした?具を変えればいろいろとできますよ?」
「ああ、うまい。肉もうまかった。あの赤いのは?」
「かまぼこ。魚のすり身を蒸したものですね。
赤いのはプニカです。色だけね。」
「何もかもうまいが、話を聞く限りは手間だな。」
「おいしく食べるためですよ。しかし、やっぱり高いかな?
高くて手間なのは売れないかな?」
「先にこれを作った料理を広めるほうがいいだろ。」
「んー。そこまで普及させたいわけじゃないんですよ。
ただ、捨ててるのがね、もったいないなって。
カニの脚も捨ててるんだもの。」
「?捨てるだろ?」
「くくく。」
「・・・なんだ?ワイプ?」
「マティス君!クツクツとカニ刺しを!!あ!わたしも食べたい!!」
「ここでか?また外に人が集まってるし、
この後、ハンバーグ屋にもいかねばならん。後だ。」
「そうですね。わたしも戻らないと。ハンバーグ屋には何しに?」
「商品の売り込みですよ。うまくいけば新料理がでますよ。」
「ああ、楽しみだ。しかし、まずはカニですね。
早めに切り上げますから。」
「・・・ワイプは何しに来たんだ? 」
「ああ、この2人に変な虫が付かないように?
あと、ここの様子もわかりましたし。」
「・・・・今はまだ問題はない。」
「ええ、そのようで。その際は遠慮なく。」
「・・・・その、カニは?」
「マティス君?」
「ワイプの家に来ればいい。」
「よかったですね、今日の食事はわたしが奢りますよ?」
「作るのは私だろうが!!」
「そういえばそうですね。ええ、感謝していますよ。
乳と卵、買って帰りますから。」
ほんと何しに来たの?という形だが、
メディングはワイプと繋がりがあると周知されただろう。
今日の晩御飯はとりあえずカニだ。
ここでもカンターウォーマーを売る。
資産院で売っていると宣伝。
当然、通された部屋の中での会話は遮断している。
昆布と海苔の初入荷のものは、すべて買い取ると約束。
その時には連絡をくれる手はずだ。
生産院をでるが、
前回のように、あとをつけて来るものはいなかった。
師匠はもう少しメディングと話してから資産院に戻るとのこと。
次は天秤院だ。
足アンカとウォーマーを売りに行った。
「いいですな。これは10台ほど。
予備の樹石は?それはイリアスからの方が安い?
面倒なので、高めでも買っておきましょうか。」
樹石箱に入れて販売。
ここら辺は帳簿を付けないといけない。仕方なし。
「マティス殿は領地持ちになったと。愛しい人という方と共同で。
めでたいですな。ますます騒がしくなる。」
「ランサー殿、ものすごく楽しそうです。愛しい人問題ですよね?」
「はははは!それね、そうそう。
なぜ、モウ殿としなかたんですか?」
「彼女の名前が愛しい人だからだ。私だけが呼べる名前だ。」
「なるほど。他からは?モウ殿で?」
「ええ、そうお呼びください。」
「では、モウ殿?マティス殿?混合いはじめの月の会合な、
あれには出ないほうがいいな。」
「?なにか問題ですか?」
「我々はセサミナ様の護衛だ。
我々が出ることによって主に迷惑がかかるのであれば控えようが、
我らに対してだけの問題ならば、
セサミナ様をお守りすることが優先だ。」
「そうよのう。」
「愛しい人問題ですか?」
「いや、それではない。王が2人に興味を示している。」
「なにかおっしゃっていたとか?」
「そうではないが、2人の動きを探っているというのが正しいな。
あの問題以上に面倒なことにならないか?
2人はあの夜会の時に礼を取らなかったな?ああ、お言葉の後だ。
あの時は護衛だったからいいんだが、
今は護衛であり拝領した領地持ちとなった。
王に尽くさねばならん。」
「うーわー。」
「これ!そう露骨に嫌がってはいけない。」
「失礼しました。」
「そういった話が出てくるのか。愛しい人?これは独立か?」
「そうなるねー。が、そうしないといけないってんなら、
するよ?土下座だって。」
「愛しい人にますます惚れてしまうな。」
「だろ?」
「わかったから、やめなさい。
なにか考えがあってわざと礼を取らないのだと思っていたが違うのだな?」
「へ?礼を尽くさなければいけない立場になればそうしますよ?
今のわたしたちの立場だと、
主セサミナ様と、その主ニバーセル王のみですよね?」
「そうなるな。」
「ではこれから気を付けますよ。
さきに教えていただきありがとうございます。
でないと、セサミナ様に恥をかかせるところだった。
ありがとうございます。」
「ははは!主、セサミナ殿のためならできるということか。見事!」
「主というより、かわいい弟ですから。」
「なるほど!」
ラーフィングがこちらの動きを把握しているのは、
百も承知だ。
こっちを気にするなら自分お国の財政を気にしていただきたい。
起きた気配がした後、そのままお風呂に入ったようだ。
「あの水、頂きましたよ。」
枕元に置いといたのだ。
言霊で体の不調を治すのは奥の手だ。
栄養剤的な水があるのならそちらを使ったほうがいいだろう。
ただ、スー兄がいうように頻度だ。
月に数回ならいいと確認はした。
「飯は?入るか?」
「ええ。温かいものがいいですね。」
「うどんだな。」
「お出汁がおいしいからね。これ、メディングさんにも食べてもらおう。
昆布と言えばおうどんのお出汁だからね。」
「特別にウマキだけ出してやろう。愛しい人に感謝しろ?」
師匠が食べている間、先にイリアス、フェルトナでの話を伝える。
「街の管理を専門にする人、見つかりそうですか? 」
「申し訳ない。今はなんとも。
そのクスナが言うくずがいなくなったとしたら、
街の中で見つかるかもしれませんね。」
「イリアス王都からのちょっかいがなければな。
数人いたぞ?愛しい人の立ち回りを見ている中に。」
「あの土地ね。まだマトグラーサがあきらめていないようですね。
所有者を探しているようです。
赤い塊のモウと名乗ったのでしたら、マトグラーサも接触してくるでしょう。
習得時はどこの誰だということまで、まだわからなかたんですが、
既に赤い塊が所有したということになっています。」
「わたしは管理を任されているってことにしてますよ?」
「それでいい。赤い塊が宣言して習得。
その孫?曾孫設定なんですか?それが管理を任されていると。
それで話は通して下さい。
中央の視察が来てもその土地でなにをしているかわからないんですよね?」
「昔ながらプカプカの処理をしているということには変わりませんから。」
「わかりました。
これ、この中身?もっと食べたいんですが?」
「それは会わずの前に。」
「これが、ミーキ?ああ、楽しみですね。」
「うふふふ。ええ。楽しみです。」
「さ、落ち着きましたよ。」
「食べるだけじゃなくて寝ないとね。資産院の皆さんにはキトロスに
例の水混ぜたの渡してますから。」
「それ、常備できませんかね?」
「ダメです。だけど、混合いはじめまで、収納庫置いときます。
せめて暖かいもの食べてください。」
「ああ、とうとう!常に食べていたらどうなるんでしょうか?」
「いや、太るだけですよ?で、仕事ができない。致命的ですね。」
「あーーー。」
食後のコーヒータイム。
どんなにおなか一杯でも、食後のコーヒーと甘いものは入るから不思議だ。
別腹というのは好物を見ると胃が強制的に隙間を作ることらしい。
「・・・・50億の話を。」
「セサミンたちには話しています。
簡単な話なんですが、砂って沈みますよね?
で、木も沈む。鉄は浮く。
これは故郷で逆です。
木が浮いて鉄が沈む。比重の関係ですね。
船は鉄ですよ。浮力ですね。
押しのけた水の体積とどっちが軽いか?あれ?これは比重?
浮力は押しのける力?んー、詳しくは聞かないで。
話を戻すと、じゃ、砂を水に入れたらどうなるのっていう話。
砂が沈んで、鉱物、金銀銅、鉄は浮くと。
後は、掬い上げて、分別すればいい。
分別方法は溶かすなりなんなりであるでしょう。
わたしたちは移動がありますがね。
コットワッツの砂漠にもあるし、マトグラーサの砂漠も豊富です。
間の砂漠は新しくできたそうで有りません。
鉄の靴を履くと沈みます。
中央砂漠も豊富に。
セサミン、領主セサミナはこの話は公表するのを控えています。
採取方法は別にして、砂の中に鉱物があるというのが、
誰も知らない話です。それもかなり豊富に。
砂漠の協定は砂漠石に対するもの。
そのあたり確約しないと争いが起きます。
雨の日に大量の水が流れてどうなるかもわからない。
表面に浮いてくるのか?そのまま流れていくのか?
知っているだけで実際にはどうにもできない。
領国でも、国でも。
だから中央に売るのが一番いい。
知っている?だとしてもだ。
これ、師匠が売るのではなく、上層部に持っていってください。
できればてっぺんに。
でないと一役人が50億つくるのはおかしい。
あれに働いてもらいましょう。
報酬は折半でもいいでしょう。
動かないなら砂漠中の鉱物をわたしが集めます。
50億にはいかないかもしれないけどね。5億分は頂きましょう。
で、鉱物の価格崩壊だ。
それは誰も望まない。」
「あれ?あれに?・・・・また倒れそうです。」
「向こうだって、前回師匠に連絡とってきたんでしょ?逆にさかのぼって下さい。
こっちにきている間に向こうからなにか接触して来たら、師匠のほうに行くように
話ましょうか?いや、その前に、お前の個人的な金出せと?」
「やめて!やめて!!」
「そう?でもなー、今時期が悪い。
中央がリングと砂漠石の価格調整を必ずするはず。
その前にどっちを確保するかを見極めないと。」
「?」
メディングに話した内容を伝える。
「あー、なるほど。この方面はメディングの方が強いですね。
ものすごく嫌ですけど、話を聞いておきましょうかね。」
「メディングも勧誘しないとな。」
「あなた、前回の経緯なんかどうでもいいんですか?」
「仕方がないだろう?愛しい人は魅力的だからな。」
「そうですか。」
「なにかあればワイプに相談しろとは伝えているが何かあったか?
「いいえ、なにも。なぜそんな話に?」
メディングにお願いした隠匿の話と、
その後の話を説明した。
「今から行きますよ?おうどん持って。行きますか?」
「ええ。ウマキ?あれ付けてくれますか?」
「いいですよ?でもなんで?」
「初めて食べるものでしょ?驚く顔が見たい。」
「師匠もたいがいですね。」
「メディング殿に面会を。
わたしはコットワッツ、モウというものです。
依頼した隠匿のことで話があるとお伝え願いたい。」
「コットワッツ、モウ?え?ワイプ、殿も?」
「わたしも相談したいことがありましてね。お忙しいでしょうから一緒で構いませんよ?」
「・・・ご案内します。」
「お時間を作っていただきありがとうございます。
早速ですが、これ、昆布のお出汁のおうどんです。
わたしたちは食べてきましたから、熱いうちにどうぞ?」
「食べるの?ここで?」
「どうぞ、どうぞ。」
おうどんのおはしは滑らないように加工していますよ?
新作のかまぼこもある。
トラのすじ肉うどんだ。う巻き付。
「あ、啜ってくださっていいんですよ?ラーメンと同じです。」
「ラーメン!なるほど。」
醤油ラーメンは豆ソースお披露目の時に食べている。
ズゾーっとな。
お箸の使い方うまいな。
「ダシ?これが昆布?
この細いのがうどん?ラーメンとは違うと。小麦だけ?塩と?」
「そうですね。それと出汁は乾燥させた魚の身の塊を薄く削って、
煮立たせてますね。うまみ成分が出るんですよ。
あ、その黄色いのは卵です。赤根おろしとちょっと豆ソースをつけるか、
そのままでもいいですよ。」
「?中のものは?これはうまい!!
・・・・ワイプ?なんだその顔は?」
「いえ、わたしも先ほど頂きましたけどね。そのような顔はしてませんよ?」
「してたぞ? 」
「マティス君!黙って!!」
「それで、どうでしょうか?ジットカーフは昆布作ってくれますかね?」
「破棄しているものを乾燥させてるだけで売れるなら売ると。」
「問題は値段ですね。」
「1本1リングだと。」
「え?乾燥させたものを?」
「そうだ。」
「高い。いや、高いものは高かったな、こっちのは大きいし。海苔は?」
「海苔はもっと高いな。一度作ってみるという話にはなった。
金額はそれからだ。」
「では、そのまま、ジットカーフに教えたという形に?
ニバーセルの利点は?」
「・・・詳しくは言えないが、取引材料に使った。」
「いえ、それで十分。ラーメンにも使えますしね。
わたしの故郷の母の手料理は昆布だしが基本なんですよ。
お野菜を焚くだけでも十分においしい。」
「そうなるだろうな。この調理方法を広まれば、皆が買うだろう。」
「それはいいですね。
おうどん、どうでした?具を変えればいろいろとできますよ?」
「ああ、うまい。肉もうまかった。あの赤いのは?」
「かまぼこ。魚のすり身を蒸したものですね。
赤いのはプニカです。色だけね。」
「何もかもうまいが、話を聞く限りは手間だな。」
「おいしく食べるためですよ。しかし、やっぱり高いかな?
高くて手間なのは売れないかな?」
「先にこれを作った料理を広めるほうがいいだろ。」
「んー。そこまで普及させたいわけじゃないんですよ。
ただ、捨ててるのがね、もったいないなって。
カニの脚も捨ててるんだもの。」
「?捨てるだろ?」
「くくく。」
「・・・なんだ?ワイプ?」
「マティス君!クツクツとカニ刺しを!!あ!わたしも食べたい!!」
「ここでか?また外に人が集まってるし、
この後、ハンバーグ屋にもいかねばならん。後だ。」
「そうですね。わたしも戻らないと。ハンバーグ屋には何しに?」
「商品の売り込みですよ。うまくいけば新料理がでますよ。」
「ああ、楽しみだ。しかし、まずはカニですね。
早めに切り上げますから。」
「・・・ワイプは何しに来たんだ? 」
「ああ、この2人に変な虫が付かないように?
あと、ここの様子もわかりましたし。」
「・・・・今はまだ問題はない。」
「ええ、そのようで。その際は遠慮なく。」
「・・・・その、カニは?」
「マティス君?」
「ワイプの家に来ればいい。」
「よかったですね、今日の食事はわたしが奢りますよ?」
「作るのは私だろうが!!」
「そういえばそうですね。ええ、感謝していますよ。
乳と卵、買って帰りますから。」
ほんと何しに来たの?という形だが、
メディングはワイプと繋がりがあると周知されただろう。
今日の晩御飯はとりあえずカニだ。
ここでもカンターウォーマーを売る。
資産院で売っていると宣伝。
当然、通された部屋の中での会話は遮断している。
昆布と海苔の初入荷のものは、すべて買い取ると約束。
その時には連絡をくれる手はずだ。
生産院をでるが、
前回のように、あとをつけて来るものはいなかった。
師匠はもう少しメディングと話してから資産院に戻るとのこと。
次は天秤院だ。
足アンカとウォーマーを売りに行った。
「いいですな。これは10台ほど。
予備の樹石は?それはイリアスからの方が安い?
面倒なので、高めでも買っておきましょうか。」
樹石箱に入れて販売。
ここら辺は帳簿を付けないといけない。仕方なし。
「マティス殿は領地持ちになったと。愛しい人という方と共同で。
めでたいですな。ますます騒がしくなる。」
「ランサー殿、ものすごく楽しそうです。愛しい人問題ですよね?」
「はははは!それね、そうそう。
なぜ、モウ殿としなかたんですか?」
「彼女の名前が愛しい人だからだ。私だけが呼べる名前だ。」
「なるほど。他からは?モウ殿で?」
「ええ、そうお呼びください。」
「では、モウ殿?マティス殿?混合いはじめの月の会合な、
あれには出ないほうがいいな。」
「?なにか問題ですか?」
「我々はセサミナ様の護衛だ。
我々が出ることによって主に迷惑がかかるのであれば控えようが、
我らに対してだけの問題ならば、
セサミナ様をお守りすることが優先だ。」
「そうよのう。」
「愛しい人問題ですか?」
「いや、それではない。王が2人に興味を示している。」
「なにかおっしゃっていたとか?」
「そうではないが、2人の動きを探っているというのが正しいな。
あの問題以上に面倒なことにならないか?
2人はあの夜会の時に礼を取らなかったな?ああ、お言葉の後だ。
あの時は護衛だったからいいんだが、
今は護衛であり拝領した領地持ちとなった。
王に尽くさねばならん。」
「うーわー。」
「これ!そう露骨に嫌がってはいけない。」
「失礼しました。」
「そういった話が出てくるのか。愛しい人?これは独立か?」
「そうなるねー。が、そうしないといけないってんなら、
するよ?土下座だって。」
「愛しい人にますます惚れてしまうな。」
「だろ?」
「わかったから、やめなさい。
なにか考えがあってわざと礼を取らないのだと思っていたが違うのだな?」
「へ?礼を尽くさなければいけない立場になればそうしますよ?
今のわたしたちの立場だと、
主セサミナ様と、その主ニバーセル王のみですよね?」
「そうなるな。」
「ではこれから気を付けますよ。
さきに教えていただきありがとうございます。
でないと、セサミナ様に恥をかかせるところだった。
ありがとうございます。」
「ははは!主、セサミナ殿のためならできるということか。見事!」
「主というより、かわいい弟ですから。」
「なるほど!」
ラーフィングがこちらの動きを把握しているのは、
百も承知だ。
こっちを気にするなら自分お国の財政を気にしていただきたい。
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しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
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毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
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