いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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595:試食会

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ガイライは少し遅れるが、
資産院組はみなそろって帰ってきた。
ビャクも、クーちゃんも。

クーちゃんの今お気に入りの居場所はソヤの頭の上だ。

「おかえりなさい。ソヤ?どう?資産院は?」
「面白いよ?答えがきっちり出たらさらに楽しい。」
「おお!その感覚はなんとなくわかるけど、
もう経験したくないな。うん。
楽しいのなら、いいよね。」
「ソヤは優秀ですよ?アバクスも覚えましたしね。」
「すごいね!じゃ、ソヤ専用のアバクス作ってあげようね。
材料は何がいいかな?」


あの実の殻を削ればいいんじゃないかな?
そうだ、そうしよう。


「一般は木ですよ?
あなた、普通の、ごく一般的なもので作ってくださいよ?
とんでもないもので作らないように。」
「あははは!」

最初に作ったものは木の実がなかったから、石だったのだ。
よかった。砂漠石もいいかなって一瞬思ったから。


「それで、その試食会なんですよね?」
「ええ。おいしい予感はするんですけど、一応初物なんで、師匠に。
あの話はどうおもいます?」
「なんとも。ガイライ殿にも話しましたが、
はじめて聞いたと。わたしもですから。
ただ、タフトの通りで、値引きがあるというのは知っています。
それが操られてというのは、スーの話でも信じられません。」
「スー兄もらしいっていう感じで話してくれたから。
それが目的ではなくて、別の行動の副産物かもしれない。
タフトに行った時にかち合えばいいですよね?」
「また、暢気な。逆に買おうとした瞬間に値が上がるかもしれませんよ?」
「それもあり得ますね!でも、メインは裏街道ですから!」
「そうですね。」


話している間に、マティスが運んできてくれる。



「肉だ!うまそう!!?ワイプ、さまだけ?」

ソヤは喜んだが、出て来たのは師匠の分だけ。
ルビス君達もちょっとがっかりだ。


「うん。食べれるかどうかわからんのよ。
いや、おいしいはず。
でも念のため。こういう時は師匠が体を張って確認してくれるから。
うん。師匠!ガンバ!」
「モウ様?その?あれですか?」
「うん。ツイミさんは食べたことないって聞いたけど?」
「ないですね。タフト国境に近い場所に住んでいましたが、
それは手に入らなかたんですよ。
だから、似たキュキュでも食べれるんではないかと。
タフトの虫食は贅沢品なんです。」
「どこで獲ってくるとか、どこで飼育してるとこはしってる?」
「いいえ。その話を、虫が食べられるという話をはじめて知った時、
どこかにいないものかと探したんですよ。
見つけられませんでした。
あの場所ではない別のどこかで育ててるんでしょうね。」
「そうか。あ、想像してぶるっと来た。」

師匠の一人ディナーが揃った。
それを皆で見ているのだ。

「ワイプ?どうぞ?」
「これ、肉と一緒に?単独で?先にね。
はいはい。
やわらかい。・・・・。」
「ど、どうですか?」

今度はお肉と一緒に食べる。

「・・・・。これ、どれくらいの量をいくらで?」
「これくらいの大きさで、15匹1銀貨。
6匹、スー兄にあげて、1匹パーにして、のこり8匹。それは1/3の量です。」
焼くと結構小さくなります。」
「ねーちゃん?それ、虫?タフトの?」
「ソヤはなんか知ってる?」
「知ってるというか、タフトの虫食は金持ちだけだって聞いた。
金持ちになってもそれはないなって思てたんだけど?」
「金持か。これまた新情報。
お金持ちが食べるのとあの市場で売ってるの違うのかもしれんね。
で、どうですか?」
「・・・・。贅沢な味ですね。
メディングのようにうまく表現できませんが、いままで食べていなかったことを後悔しますね。
おかわり出来ますよね?」
「待て!少し時間をおこう。すぐに効く毒ではないかもしれんからな。」
「毒って!違うのは分かってるんでしょ!
それと、これは何?あと、肉はもう少し火を入れたほうがいいのでは? 」
「あ、その小さな塊にジュって、付けて下さい。
そのお皿をハンバーグ屋さんに卸したんですよ。
20枚、すぐに買ってくれました。」
「これ、あ!なるほど!鉄のお皿はいいですね。
まだ、熱いままだ。ハンバーグ屋は儲かりますね。」


師匠はゆっくり味わいながら、ソヤにナイフとフォークの使い方を教えていた。
始めはめんどくさがっていたが、
覚えれば、王都の店に連れていけますよと言われ張りきっている。


「ガイライが来るころまで生きていればいいだろう。」
と、いうことになった。
が、試食用だ。量も少ないし、一皿だけだ。

「ソヤ!あの木の実でお菓子作ったんだ。食べる?
ご飯前だから少しだけね。ルビス君とチュラル君もどうぞ?」

「これ?ジュグラム?あ!甘い!おいしい!」
「砂糖と蜜掛けてるからね。ちょっと贅沢かな?
チーズで和えるとお酒のつまみだ。ツイミさんどうです?」
「わたしも食べます。」

赤チーズは子供組には不評だった。
師匠とツイミさん、マティスは飲み始める。



「遅くなりました。」

ガイライはもう一杯のむか、
というタイミングで戻ってきたので、直ぐに支度を。
師匠は問題なく、元気だった。

「今日はおいしいものばかり食べてますね。素晴らしい。」

と、大満足だ。


「これですか?言われなければわからないですね。
ベースに今日食べると話してきたんですよ。
で、そんなにうまいものならなんでいままで勧めなかたんだと、
冗談交じりで話して来ました。」
「なんて言ってた?」 
「向こうも笑いながら、うまいって知ってるものは買うし、
知らないものは買わない。王都の人間がうまいと知れば、皆が買うだろうと。
そしたら、ここの連中が買えなくなるからだと。
気の動きも正常で、何かを隠している風ではありませんでした。」
「それは正論だね。うまいってことを言いふらしてもいいの?」
「それはいいらしいですよ。
買いに来る客は自分が見定めているからと。」
「そうなんだ。向こうも客を選んでいると。どういう基準なんだろうね?」
「買わないと思っているものか、食べるために買いに来たものか。
あの市場を調べる目的の物は入れないでしょうね。
なので、昔から資産院は入れない。」
「税金関係? 」
「結構そういうところ多いんですよ。資金不足なので、
あのあたりも調べるつもりだったんですが別の意味で調べないと。
その、ベースという方、どうです?」
「組合のようなものはあるみたいだな。が、何も知らないと思ったほうがいいだろうな。
厳しく取り締まれば、ますます隠すぞ?」
「そこですね。素直に税金を払うということでそれ以上は深入りしない方法で行くか、
その奥を優先するか。まずは、おしいものが沢山あるということで、
出入りしてみましょう。」

うまい、うまいと子供組も満足のようだ。
少し、甘く味付けしたからね。

「怖い話なんだけどさ。」

マティスと師匠が固まる。

「いまさら?みな満足に完食したこの時点で?」
「なんで身構えるの?そういう系ではなくて。これって、カロリーすごいと思う。
栄養ね。運動しないと、絶対太る。」
「それ関係ですか?」
「うん、怖くない?これ、1人5匹は食べるって言ってたよ?」
「そう思えば、あの市場で働いてるものは、ベースもジムも、
太ってますね。」
「うん、そりゃ、太るわ。あっちの外れ大門の市場で太ってる人いなかったもの。
下町も。がたいのいい人いるけど。食生活だね。うん。運動しよう。」
「面白いこといいますね。食べるものですか?言われてみれば。」
「そうだよ?タトートの王様の話知ってる?砂漠の花の話も。」
「おとぎ話でしょ?」
「ソヤは?」
「その王様の話は知らないけど、砂漠の花は知ってる。
なんでも願いがか叶うって。砂漠石はその花のかけらだって聞いたよ。
砂漠石で願いをかなえるには条件が難しいだろ?
そこまで苦労するなら、自分で動いたほうが速い。しかもかなりの大きさがいる。
畑ででかい石が出たらさ、なんで、その石をどかすのに、何千リングと金出して、
その石よりでかい砂漠石を用意して、
動かさないといけないんだ?
少しのリングでそこらで遊んでいるのを雇った方が安上がりだ。
1杯の酒で十分なこともあるだろ?
だけど、砂漠の花は持ってるだけでいいらしい。」
「願いが叶ったら消えるって聞いたよ?」
「それは花のかけらだ。花はずっとって聞いたよ?」
「おお!地方で違う!
ドーガーに聞いたのは病を治すって。
タトートの警備主任に聞いたのもそれで、王様の病気を治したって。
それを見つけるのに、石使いが砂漠で一晩探したらしいよ?
で、見つかってそれで病が治ったと。」
「ほんとの話なんだ!すげえ!!」
「いや、砂漠の花の話は病を治すってことで昔からあるみたい。
なんでもっていうわけじゃなくて、病を治す石。
で、タトート王は最近治ったと。それ以降、石使いは王が抱え込んでるらしいよ?」
「それがどうして食べ物と関係があるんですか?」
「ああ、話下手でごめん。
いやその王様ね、駱駝肉が、特に脂身が好きで、結構太ってたらしいのよ。
で、脚が腫れて、足先に痛みが出たと。
血管にガラスが通るみたいな痛さと表現する人がいるね。
で、痛みで、食事もままらなくなって、ちょうどそのころから、
ボットの赤身のおいしいところが出回ったと。
で、石が見つかりましたーってことで、痛みがなくなったらしい。
でもね、これ、ただ、脂肪分の少ない食事をして、
痩せて、痛風が治った、いや、おちついただけだとおもう。
痛風っていう病気の名前でね、風がからだに当たっただけで痛いっていう病気。
だから、脂分ばっかり食べて太るのは良くないのよ。」
「その話、病の話は本当ですか?」
「いや、話を聞く限りね。ほんとに砂漠の花で治ったかもしれないけど。
それで、治ったとしても、また昔のような体系になって来てるから
再発するんじゃない?
・・・・駱駝肉っておいしいらしいよ?売ってたよね?
でも、さすがに食べたいと思わなかった。うん、馬も。」
「蛇食べますよね?」
「そこね。うん。トビヘビとモクヘビは違うと。
で、ビャクもモクヘビおいしいっていうから。ここ大事。」
「タトート王の話と食生活と体系ね。あなたの話はいつも面白い。」
「いやいや、考えればそうでしょ?
変な話、ツイミさんが食に苦労したっていうのに、どっぺり太っていたら、
それは病気だ。病気で太ることあるから。
食事は大事よ?」
「こういう食事は良くないと?」
「毎日はね。たまにね。今日は贅沢な日ってことで。」

デザートも満足。
しかも、ほんと食べすぎです。

ジョギングでもしようかしら。
あー、雨が降るね。いかん、いかん。
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