いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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619:帳簿無し

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「・・・となるのではないかと。
でも、立て替え先が宿屋になるかもしれない?」
「いまそれはないでしょうね。金額が大きすぎます。
立て替えは無理でしょう。」
「では、逆に王族の方々ももっていないとか?」
「それもないですね。もっていなければ王族とは言えない。
資産院経由というのもありますし。」
「便利なようで便利ではないですね。
だって、送金に1割、出すのに1割取られるんですよ?
師匠?納得いきません!」
「ありがとうございます。」
「うわ、ムカつく!」
「愛しい人!とうとうか!やったな!」
「もう!マティスはそこで喜ばないの!
ん?その場合の税金は?」
「金の動きに対してはなにも?そのための手数料ですから。」
「なるほど。じゃ、多少はリングを持ち歩いてるね。
だって、把握もされたくない買い物もあるはずだから。」
「このやり方で買うものはいるでしょう。
が、買わないものもいる。その場合は?」
「ん?次に行ってください。駆け引きはしないで。
で、残念ながらどこそこのなに様には
縁がなかったのですが、こちら様のことを知っていたから、
お前たち、あまり輝かなかったのだな?
先ほど余地もより一層輝いているではないか!と。」
「先ほどからおっしゃっているこの子たちというのは、
これらのこと?」
「そうですよ?」
「ふふふふふ。なるほど。」
「ん?ありますよね?手塩にかけて商品にしたんですもの、我が子同然。」
「ええ。わかりますよ?
それをあまり好ましくおもっていない相手に売るというのは?」
「あはははは!気に入らなければ手放すでしょう。
倉庫の隅に追いやられるかもしれない。
そうすれば、いつか本来の主の手元に行く。
それだけですよ?」
「わかりました。その売り方で売るというのが条件で買いましょう。」
「ありがとうございます。ただ、危惧することは、
断っておいて、襲って奪われるってことはないですか?」
「ありえるでしょうが、それをすればどうなるか。
それはそれで楽しみだ。」
 「あ、そうなるのね。わかりました。
ではいくらでお買い求めくださいますか?
ちなみにこの箱の内容、全部で10セットあります。
参戦者の数だけ。」
「コールオリンもですか?」
「コールオリンっぽいものね。さっきの話は半分本当のはなしですよ?
ブローチぐらいかな?あの子たちに合うのは。
だから、ひとりに、1つだけ。」
「モウ様はその参戦者をご存じなのですね?」
「見ましたよ?見ただけですが。
驚いたのが、他国の三人娘です。
緑の目でした。」
「その話は聞いたことがありますよ。緑の目を見たことはない?」
「いえ、そうではなくて、目に何か入れてるんですよ?」
「え?」
「痛くないのかな?ずっと瞬きしています。
それがとても奇妙でした。
なにもかもお揃いなんです。
同時に商談できれば、3人とも買うか、断るか。
1人ずつとなったら、もしかして抜け駆けして買うかもしれない。
そのときは、決して他の2人を褒めてもけなしてもいけません。
商談している相手だけ褒めてください。
3人のなかで一番だということもだめです。
漠然と、褒める。それは女性相手の商売の鉄則だと思っています。」
「面白い!商談、ご一緒出来ればよろしいのに。」
「無理無理!大爆笑でそれどころじゃないですよ?」
「あなた様の立場でお笑いに出来るのでしたら、素晴らしい。」
「うふふふ。」
「ああ。しかし、そうですね。
お二人を知っていれば、笑ってしまうということですな。
では、これ一粒で25万リング、
この鏡付の箱が、1万、
半透明なもの、1粒1万、白いもの同じく一粒1万、
赤いもの?サンゴというのですか?これは5万で。
この箱はいいものです。
この金額でいかがです?」
「コールオリンぽいものを単発で他の者に売ることはありますか?」
「ありますね。」
「まず最初にお嬢たちに売ってもらえますか?
売れなければ、ほかに売るのも仕方がないでしょう。
箱はこちらでも作れますでしょう?
仕切りで大きさが変えれるものを。
絹地を敷いて、完成したネックレスを置くのもいいですよ。
鏡は大きさを言っていただければ、その大きさで。
この革もお売りできます。好きな色で。
コットワッツに発注を。手紙を出してください。」
「なるほど、それはいいですね。
あなたが売るのではないのですか?」
「これはコットワッツの商品ですから。」
「そうですか。では、そうさせてもらいましょう。
売り方と、お嬢たちに先にまとめて売る?
箱付きで?それも条件になるのですね?」
「申し訳ない。後だしになってしまった。
なので、ひと箱30万リングでお願いします。」
「モウ?コールオリンは1粒50万リング以上だしますよ?
ジットカーフは。」
「へ?そうなの?だったらカリクさん、
25万リングは高すぎる。大丈夫ですか?」
「高いですか?あはははは!
これだけの数を見たのは初めてですからね。
ご祝儀ですよ。」
「申し訳ない。」
「モウ?逆なのでは?」
「違いますよ。50万手にいれるのに、どれだけ苦労することか。
手入れた後にね。ずっと、身辺にだれぞ付かれるんですよ?
で、行動は逐一報告される。
それがない上に、25万で買ってくださるんだ。
コールオリンっぽいものに。
カリクさん?コールオリンっぽいものですよ?
決して断言しないでください。
ああ、でも、もっとなにかあればいいのに。
あ、タフトの方が好んで食べる木の実で作ったお菓子と、
あと、スーリムとキャムロンの新しい食べ方はいかがですか?」
「申し訳ないですが、キャムロンはここの商人と職人は食べませんよ?」
「そうなんですか?タフトの方はみな食べると聞いていたんですが。
なにかいわれがありそうですね?お聞きしても?」
「キャムロンは商売繁盛の虫なんですよ。
なので食べるのは良くないと言われています。
調理して出すことはありますが。
出されてもそれを理由に食べませんね。
スーリムは食べますよ?木の実?」
「赤い木の実ですね。虫が入っていないほう。」


ここではじめて笑顔が消えて、
ニックさんとガイライをひとにらみした。

「・・・・ニック様?
この方を一人で買いに行かせたんですか?」

赤い実を買うのは余程の物知らずだということのようだ。

「いや、赤い実はわたしといっしょに。旧王都の近くの市場で。
虫無しを選んだのは知ってだ。虫が入っていればそもそも買っていない。」
「おいしいですよ?
ポリポリ食べてしまいますから。
スーリムは佃煮です。」
「結局それに?いや、好きですけど。」
師匠が少しがっかりしてる。
「いや、あっちをこっちの食べ方にして、これはこっちだなって。
これがおいしいんですよ。あっちはまた今度食べましょう。
いま、食べます?ポリポリと?」


ナッツと佃煮だ。
べつにこれでおなかが膨れるわけではない。
お茶請けだ。
ほうじ茶がいいだろうか?
いや、緑茶がいい。
すこし温めでね。
湯呑も茶托、急須に茶こしも作った。
ナーチアのところに発注しないとね。

「これが赤い実?で、スーリム?
はははは!これはいいですね。
これはお売りいただけるので?」
「売るほどの物ではないですよ?豆ソースはお売りできます。
スーリムは売り物にならない小さなものを、
3、4日ほど、餌をやらずに、お茶葉を食べてもらいます。
おなかの中の物を全部出してもらうわけですね。
それを湯がいて、洗って、豆ソースで煮ます。
味付けは好みですけど、ちょっと樹脂蜜を入れるのがおすすめですね。
洗う作業は必要ですよ?
赤い実は皮ごと窯で焼いて、外側をわってるだけです。
先に割って焼く場合はおいしい塩を少しまぶします。
こっちでですね。
お裾分けできますから、どうぞ。
あ、赤根のお漬物も。どうぞ?」
「これはうれしい。あと、このお茶?
コムでも緑のお茶を出したのは知っていますが、これは?また違いますよね?」
「これはお茶の株を譲ってもらって、合わさりの日の月の日に
わたしが摘んで加工したものです。」

師匠がなにかいいたそうだ。

(なんです?)
(あなたこれのこと話してくれましたか?あれに出したお茶ってこれですか?)
(ん?んー?お茶だしたって言いましたよ?)
(あなたが加工したお茶って聞いてません!)
(んー、そうかな?そうかも?なんで?)
(今、緑茶が流行りですよ!)
(あ!いいですね!流行ればもっと本職の方のものが飲めますね)
(どれもこれもダメだそうですよ?)
(入れ方ですよ?温度は少しぬるめで)
(あとで詳しく)
(はーい)

「このお茶葉を売っていただけますか?
それにこの器が素晴らしい。」
「売るほどないですよ?お裾分けということで。
すこし温めで入れてくださいね。売れるのは豆ソースで1瓶7銀貨です。
あ、これは帳簿付けないといけないので、コットワッツで買って下さい。
湯呑はちょっと知り合いに作ってもらいました。」
「豆ソースはかまいませんよ?」
「やった!20本?ありがとうございます!」
「しかし、頂いてばかりで申し訳ない。」
「うふふふふ。タダより高いものはないですからね。
だけど、手間をかけさしてしまいますので。
その分の手数料だと思ってください。」
「そうですか?では遠慮なく。
こちらでも作ってみますが、もし、この味ができなければ、
その時はお売り下さいますか?」
「もちろん。また、こちらに寄せてもらうこともあると思いますので
その時は多めにお持ちしましょう。
これからもよろしくお願いいたします。」
「素晴らしい!!ニック様!
よくぞ、このわたしのところに訪ねてくださいましたね。」
「そうか?今までの付き合いと、これからの付き合いってことだろ?」
「なるほど、なるほど。そうなりますね。今日はこちらにお泊りで?」
「そうだな、今から少し寄るところがある。
その用事が済めば、こっちに戻ってくる予定だ。
明日は職人街を案内する約束だから。」
「明日ですか?それは、残念だ。わたしは今から10番街に向かいます。
ご案内できればよかったのに。」
「やめてくれ。
あんたに連れられて歩けば、どうなることか。
10番は俺たちも行くんだよ。なにで?陸鳥じゃないよな?」
「馬車ですよ?ご一緒しますか?」
「いや、こっちのほうが足は速いな。
じゃ、カリク殿が、こっちに戻るのはいつ?
それぐらいにはまた顔を出そう。」
「ええ。そうしてください。あ、あのひとひねり?
こっちで、あるだけ買いますから10番では売らないでもらいます?
ま、楽しみたいんでね。ええ。シナイもあるだけ買いましょう。
土蜜は売れますから。売ってください。
混合いはじめの前々日には戻りますよ。
そうでないとあなた方も王都に戻れせんでしょ?
それにニーキのこともキトロスの油のこともお聞きしたい。
が、わたしも出発の準備をしないと。」
「ああ、そうなるな。すまないが前々日にまた寄せてもらおう。」



ものすごい売り上げだ。
しかも帳簿無しで!つまり年末に税金は取られない!
いやっほー!!!
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