いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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640:泉

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それから、15番門内に入り、カリクさんの屋敷に。
そう、お屋敷ですよ。
アラブの大富豪!

「?」

真ん中にへこみがある。中はモザイクタイル?
池?泉?

「水が枯れましてね。
変動前まではここに水があふれていたのですよ。」

井戸とは違う水脈で、
コンコンと湧いていたそうだ。

「揺れはここまで来たんですか?」
「ええ。大きなものでしたよ。2回。
1度目で水が止まり、2度目で水が引いていきました。」
「王都ではスープをこぼしたぐらいだと聞いたが?」
「こちらは立っていられないほどでしたよ?」
「地盤の固さで揺れの振動が違うっていうからね。」
「そうなのですか?
ピクト近くの酒造りをしている地域では枯れたようですよ?
あとで行かれるのですよね?ニック殿がおっしゃっていましたよ。」
「ええ。10番門街の宿屋さんでちょっと頂いたんですよ。
うまい!の一言ですよね。ちょっと行ってみようかと。
でも、枯れたのなら、次の商売を探すか、ほかの水脈を探すかですね?」
「ほかの水脈?どうやって?」
「ん?領主さんって水脈探せるんじゃないんですか?」
「ああ。門外はタフトであってタフトではないのですよ。
領主が探すことはないでしょうね。」
「そうなんですか!酒造りですよ?国で保護してもいいくらいなのに!」
「あはははは!それですね。それは余程の酒好きの意見ですね。」
「今日は故郷のお酒もありますから出しますね。
ここでしましょうか?宴会?」
「お恥ずかしい話なんですが、ここでは水は富の象徴。
それが枯れたとなれば、クインタがますます付け上がりましょう。」
「最近は出入りもないと?」
「そうですね。」
「ティス?水ある?」
「ん?あの管の下が水脈だったのか?」
「ええ、そうです。あの?ティス殿と呼んだ方がよろしいので?」
「そうだね。クインタさんの護衛がマティスという名で警戒しても困るから
ティスで。
でも、マティスがティスっていうことはダカルナの通達できてませんか?
行商夫婦がどうたらで?」
「ええ。それは来ております。」
「どちらにしろ、わたしたちは一般人並みの気しか纏ってないですし。
どっちでもいいですよ?
護衛時にはマティスとモウで。もちろん呼び捨てですよ。」
「わかりました。気ですか?そのあたりはムムロズに任せっきりで。
ああ、ムムロズはニック殿の紹介なんですよ。
それで、末娘テンレと結婚を。」
「おお!その話お聞きしたいですね!
テンレ殿にも連絡はいってますよね?帰ってくるとおもって、
ご飯を用意してたら悪いもの。」
「いま、テンレはここに住んでいます。
呼びましょうか。
テンレ!今戻った。ムムロズは今日は戻らない。
食事はこちらの客人が振舞ってくれる。
クインタとクラロを呼んだぞ。」

大きな声で言う。
テンレさんに言うのではなく屋敷中に報告ということか。

しばらくするとかわいらしい妊婦さんが出てきた。
ん?おいくつ?

「成人前に嫁ぎましたよ。いま、110ですね。」

顔に出てのだろうか?
ニックさんは137歳だと聞いた。
わたしが48歳で120歳という感覚だから、
単純に2.5で割れば44歳だ。
が、それも、すこしちがうようだ。
犬や猫との寿命比較のように、
掛ける比率は子供、成人後、中年と違うのだろう。
44歳には見えない。
24、5?
うん、年齢差のあるカップルも好物ですよ?


「父上。お早いお戻りで。
ムムロズは戻らないのですね?」
「ああ。たまにはゆっくりしてもらわないとな。」
「そうですか。それはよいですが、クインタとクラロを?父上?」
「かまわないだろ?紹介しようか。
こちらはモウモウ商会の方だ。モウ殿とティス殿。
食事を振舞ってくれる。
モウ殿、娘のテンレです。」
「初めまして、モウ殿。」
「初めまして、テンレ殿。
これから用意しますものは故郷の料理です。
なにか、苦手なものは有りませんか?
普段は好物なものでも、
その妊娠中は匂いを嗅ぐだけでダメとかありませんか?
今日は海の物です。魚とかエビとか。カニも有ります。」
「海のもの?素敵ね。苦手なものね。
逆はあるわ。妊娠すると甘いものがほしくなるの。
普段は苦手なのにね。」
「甘いもの苦手ですか?」
「そんな不思議そうな顔しないで?誰でも苦手てなものはあるでしょ?」
「失礼しました。そうですね。それで今は大丈夫と?よかった。
ここでは陸鳥のプリンがありますが、わたしどものほうでも
普通の卵で作ったものがあります。
それとアイスとを組み合わせたものをお出ししましょう。」
「陸鳥のプリンはダメよ。臭いがしない?ダメなの。」
「普通のは?」
「それはどうかしら?
おなかが大きくなり始めてから甘いものがほしくなるのだけれど、、
陸鳥のプリンだけはだめなの。プリンが出始めたときは苦手な時期だったし。
ここではプリンは皆陸鳥なの。
だから普通のプリンは楽しみね。」
「では、用意しましょう。
この中庭で用意させてもらいます。もちろん寒くないようにしますから。」
そういえば、テンレ殿のほかのお子様は?もし、小さい方がいればご一緒に」
「モウ殿、違いますよ?
わたしたちには、子が12人、孫が9人おります。
それで、この子が13人目。
クインタは12人目です。昨年成人しました。」
「それは素晴らしいですね。では、他のお子様はみな独立されていると?」
「ええ。独立したまま、ここに戻ることはありません。
クインタだけが残ったのですが。」
「そうなんですか。」

うん、びっくり顔はさらしていないとおもうがびっくりだ。
そんなもんなんだね

「モウ殿?外ですか?」
「ええ。大丈夫です。お任せください。
カリク殿?先に休憩室を作りますので、
そこでテンレ殿とジェフェニさんとでお待ちくださいますか?」
「屋敷内は?」
「念のため。」

護衛だからそばを離れられないし、
中に入れば料理の準備ができないからね。
他に家族はいるようだが、そこまでは守れない。
だったら逆に離れてくれているほうがいい。

食の祭りの時に出した大きめのテントを出す。
魚の皮を敷きつめ、真綿で作った布団をさらに敷く。
真ん中に火鉢を置けば外と言えど、十分に温い。
火が出ないとはいえ換気はしないといけないが、
テント内でも安心だ。
ほうじ茶とおかきを出しておこうか。




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