いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「マティス?水脈は?」
「ずれただけだな。あの管を差し替えればいい。」
「さすがだね。じゃ、それしてくれる?
で、簡易噴水をつくってライトアップをしよう。
長テーブルとプカプカクッションを置いた椅子。
テーブルの裏には樹石をつけるから寒くないでしょう。
ガーデンヒーターもね。
で、寄せ鍋ね。
カニ刺しとか、そういうのも出すよ。
お肉も出せる?窯焼きがいいな。
あとは、ビールと日本酒、紹興酒と。
妊婦さんはダメだから、ほうじ茶ね。おいしい水でもいいかな。」
「どうして?」
「え?妊婦さんにお酒はダメでしょう?」
「そうなのか?
?ゼムの奥方は飲んでいたぞ?」
「うそ!いいの?え?それは間違えてとか?
え?見間違いとか?」
「そういわれれば自信はないな。
雨の日前にゼムの家に行った時に見たぞ?」
「そうなん?ちょっとセサミンに聞くね。
あ、護衛のこともいってないや。」



(セサミン?今いいかな?)
(姉さん!もちろん。パンおいしかったです!今どこですか?)
(タトート裏街道というか、
ニックさんの紹介で15番門外の職人の街の顔役さんとこ)
(カリク?)
(有名なんだね)
(いえ、名前だけです)
(そこでね、いろいろあって、護衛を引き受けたの)
(え?いつですか?)
(月が昇る少し前。パンを送った後かな?)
(そうなんですか。では、わたしの護衛は外れたことになります。
護衛が主以外に敬意を払わなくていいのは雇い主が貴族の場合のみです。
この貴族というのは、王族、領主のことです。豪族ははいりません。
たとえば、姉さんがあの兄たちの護衛を引き受けたとしても
王に礼を取らないことは許されません。もちろん、領主のわたしにもです。
なにかまずいことが起きれば戻してください。
こちらはいつでもいいので)
(ありがとう。ああ、だから、あの新人は驚いたんだね)
(そうですね。ま、姉さんの声の抑揚でも驚いたとはおもいますが)
(どうなの?あれから?)
(まじめですよ?一族皆。次の当主、
軍部隊長はまだ決まっていないようですが)
(え?まだ?)
(極秘扱いだそうです)
(そういう報告はしてくるの?)
(してきますね。こちらが聞いているわけではないですよ)
(ははは!)
(逆に確認をしないといけないんですけどね、信用はできないので)
(そうなるね。ああ、護衛の話からまた逸れた)
(ふふ、そうですね。カリクが礼を取る場合は同じようにすればいいですよ)
(ん。わかった。でね、カリクさんのところで夕ご飯食べるんだけど、
ここの家の娘さんが妊婦さんなの。お酒はだめだよね?)
(どうして?)
(え?この前のウナギの時のんでた?)
(食事の時は従者は飲んでませんね。
その後の宴会は飲んでましたけど?
ああ、そのときは女性陣は菓子をもらって解散してましたから。
焼肉祭りの時はみな、飲んでましたよ?)
(そうなの?飲むの?体に悪くないの?赤ちゃんに影響はないの?)
(?ないですし、そのような話は聞きません)
(そうなんだ)
(姉さんのところではダメなんですか?
カレーのときにルグに奥方には刺激物はだめだとか言ってましたよね?)
(やっぱ、違うね。本人がいいならいいのかな?)
(問題はないとおもいますが?それより、その食事は姉さんが?)
(そそ。ああ、簡単に一人鍋だよ?皆にはむりだけど、
身内15人前ぐらいは届けるよ?隣の部屋開けといて?)
(やった!)


「30人前追加です。」
「?15人ではないのか?」
「トックス村とチュラル君とか、湿地組とか?
ガイライたちと師匠は入ってないけどね。」
「ふふふ。そうか!」

師匠に用意してないってことで喜ぶんだね。
それ以上のもの置いてきてるけどね。

「一気に作ってしまおう。50人前まで行くかな?
ほんと収納できるのは素晴らしいね!
そうだ!釜めしにしようかな!急げ!!」

塗の長手盆に釜めし、1人鍋、お肉3種、お刺身3種、お漬物、
温泉卵などなど。
宴会ご飯と旅館の朝ごはんの真ん中?唐揚げもある。
なんせ、ちょっとずつ。エビフライと天むすも。白いおにぎりも。
長手盆がどんどん大きく変形していったのは内緒だ。

食後の甘味はプリンパフェだ。
もう一度食料確保の旅に出ないと。
ここの食材、キャムロンは使っていない。
ピクト近くのあの3人組の様子を見れれば、
王都に戻る前にまた1日時間を取る。
その時にここの料理をご馳走してくれるとカリクさんは約束してくれたから。
うーん、鍛錬は全く進んでいませんね。




また大きなテントを、
いや、中庭と先に出したテントを囲うぐらいの被いを出し、
水源から水を引き、小さく水が逆流するように風を砂漠石から出す。
そこにカメリの油に芯材を入れたオイルライト。

「砂漠石ではないのか?」
「いや、ここではこれで。ここで大量に砂漠石を使うのはよくないでしょ?」
「そうか?」
「そうだよ?ここはモウモウ商会の商人としてね。
カメリのオイルも卸しちゃおうかな?
妹ちゃんズにはものすごく好評だったよ?
リコーナ婆様が言うように、
香もいいしさらっとしている。」
「カメリの油だというのか?」
「いや、そこは向こうも聞かないだろうな。
で、カリクさんならアガッターの敵にはならないからね。
こっちはいちいち相手してられんよ?
だからカリク殿にお任せ。」
「悪徳?」
「まさかー!!あっちの方が海千山千。」
「?」
「経験値が違うのよ。誉め言葉じゃないよ?
クインタとクラロを呼んだのもここで一気に片を付けるんだろうね。
で、ムムロズは邪魔なんだよ。
娘婿と言えどもよその人間だからね。
もしくはクインタの逃げる場所を確保しているとか?
父親と母親の前で糾弾されたら逃げ場がないからね。」
「わからんな。」
「うん。わたしもわからんよ?でも、カリクさんは商売人。
利なしには動かない。それはわたしたちもだ。」
「なるほど!やっぱり悪徳だ!」
「もちろん!」

悪徳商会、それなわち、モウモウ商会だ。




「お待たせしました。
まだ、他のお客様はいらっしゃってないですよね?」
「ええ。離れには来ているでしょう。呼びに行かせます。」

パンパンと手を打つと、
建物内でこちらの気配を探っている人が離れていった。
ムムロズさんとは別にいるんだよね。
で、配下3人は裏切ったと。
怖いねー。
が、下剋上は世の常。
でも、お付き合いする相手を選ばないと。




「おじい様、母上、お久しぶりです。」
「そうだな。もっとこっちに顔を出してくれてもいいのだぞ?」
「そうですよ?ここはあなたの家なんですから。」
「いえ。独立したからにはそうもいきませんでしょう?
今日は何やら他領の料理とか?
ここタフトで他領は元より、他国の物でもここ以上なものはないのでは?
それをわざわざ振舞うというのは、その方物知らずですか?」
「言葉が過ぎるぞ?紹介しよう、モウ殿とティス殿だ。
モウ殿、ティス殿、これはわたしの孫にあたります、クインタです。
?モウ殿?」


いや、びっくりだよ?え?おっさん?
一番更けてるよ?え?
20だよね?おっさんだよ?え?
ゼムさんタイプ?このまま変化なしに年齢を重ねるの?
いやー、やっぱり年相応に老けていきたいな。

「モウ殿?」
「あ!失礼しました。モウモウ商会のモウです。
こちらはわたしの夫、ティスでございます。
いや、昨年成人したばかりかとお聞きしましたが、
貫禄のある御仁だったので驚いたのですよ。
やはり、責任をもってお仕事をされる方は
おのずと貫禄が出るということなのですね。
ああ、物知らずというのはさすが、御明察。
それでも、こうして来ていただいたこと感謝いたします。」
「ははは!媚を売っているのか?
祖父は買うかもしれないがわたしは買わんぞ?」
「御心配には及びませんよ?そちらの方から、
15番門外でのものの売り買いは、
禁止されておりますので。」
「さすが、クラロだ。15番門外だけではない、ここ15番門内でもだ。
クインタの名において許可しない。」
「クインタ!」
「おじい様?少しお付き合いする方々を選ぶべきでしょう。
が、食事はいただきますよ?それは礼儀ですので。」
「ええ。ご商売のことはいまはいいでしょう。
カリク殿?かまわないのですよ?
いや、ほんとに昨日のうちに終わってよかったですよ!
ん?ということはこちらはその内容をご存じないと?
さすがカリク殿ですね!」
「モウ殿。これは、やはり、わたしが不甲斐ないのですね。」
「ふふふ。それはどうなのでしょう?
まずは、食事、これは是非に楽しんでいただきたい。
ささ、こちらに。」




(ティス?うちの商品の最上位に媚を入れないといけないね)
(殺していいか?)
(おいおい。わたし楽しんでるのわかるでしょ?)
(わかるから、生きているんだろ?)
(ふふふ)

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