いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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642:妄想

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「クインタとクラロだけか?あと、2,3人はいいと言づけたが?」
「ええ、来ておりますよ?
わたしの護衛です。ここに同席する必要もない。
あなたは?父上にはいないようですが?いつもの3人は?」
「知っているだろう?盗賊に襲われてな。
その時にちょうど護衛業の者たちがいてな、すべて捕らえてくれたよ。」
「ええ。その話は聞こえています。その時に3人も?かわいそうに。
で、父は相変わらず、何もせず無傷ですか?それとも、死んだとか?」
「クインタ!」
「いい機会だはっきりさせましょう。」

たしなめたのはカリクさんだ。
母親は黙っている。
父親に任せているのか?
本人もそう思っているのか?
でも、子だくさんだよね?夫婦仲は円満なんでしょ?
え?まさか別の?
ここはそういうのはOKラジャーだからね。
いやいや、妄想が飛躍過ぎた。
ん?どちらかというと、この2人にあきれているのか?

「あの?その話は後でお願いします。
そのお連れ様、向こうにいらっしゃいますね?どうぞお呼びくださいな。
4人?そちらと、そちらと、向こうにお二方。
大丈夫ですよ。多めに用意しておりますから。
海の幸なんですよ。どうぞ。ティス?
遠慮してるんだよ、呼んできてあげて?」
「わかった。」
「・・・・。」

真ん中に泉。
で、コの字でテーブルを組んだ。
王様の席はカリク殿。左右にテンレ殿とクインタ。
90度曲がってクインタ組。
その正面はわたしたちとジェフェニさんだ。

クインタの護衛4人はマティスに声を掛けられて、
しぶしぶ席に着く。

みなが、泉の噴水、というか、湧き水のように流れる水の演出に心を揺らし、
その周りを動く明かりに驚いていた。
クインタとクラロ以外は無表情で。

「モウ殿?これはどうされました?」
「その水脈に刺さってる管を少しずらせば、出てきましたよ?
水が豊富なんですね。中のは湧き出てるわけじゃないですよ。
こう、循環させているだけです。」
「どうやって?」
「あははは。申し訳ない、売ることはできないし、売れないでしょ?」
「そうですね。この料理の数々は?」
「故郷の物ですよ。さ、まずはカリク殿、皆を紹介しください。
護衛じゃない方もいらっしゃるようで。
料理の説明はその後ですよ。あ、それは樹石を燃やしています。
鍋は熱いので火傷せぬように。
それに、もう少し炊かないとダメなんで。」
「そうか、では。
昨日、遠方より懐かしい方がいらしてな。モウ殿はその方の紹介だ。
商売は昨日のうちに終わっている。
その後、ジェフェニにと懇意になったそうだ。
ああ、彼はわたしの配下になった。
卵採りではないからな。それは承知しているな、クインタ?」
「ええ。」
「それで、近いうちにパン売る。ジェフェニ?頑張れよ?」

ここで笑いが起きる。パンというな各家庭で焼くものだということだ。
だから、そんなもの売れるわけはないと。
ただ、クラロだけは下を向いていた。
おいしかったんだろ。

「そうか!それはいい商売だな!陸鳥の卵のことは任せろ。
そうだな?クラロ?」
「ええ。今日は初日だったんで、明日は人数を出して取りに行きます。
交換できなくても巣を突き止めればいい。飼育の話も出ていますしね。」
「飼育か。それは前回もダメだったんだろ?」
カリクさんが聞く。
卵関連はノータッチなんだな。
「ええ。餌をキャムロンと同じものに変えてみようかと。」

それは食べないよ。
知ってるんだもの、それ。
知らずに食べたとしても卵は産まない。
そもそも陸鳥は卵を産むのか?
あれが哺乳類だったら嫌だな。

「そうか。では、その横の方は?その関連か?
紹介してくれるか?ああ、お前の護衛も一緒にな。
クラロ以外、知らぬ顔だからな。
先に名乗ろう。カリクだ。娘のテンレだ。
で、クインタ。彼が卵採りの総括だ。
ジェフェニと今回料理を振舞ってくっれるティス殿とモウ殿だ。」

あっさりした紹介で。

「卵採りだけではないですよ?その話はいずれ。
こちらの方はネルウカートの行商の方だ。
ちょうどいらっしゃったときにこの食事の話が来ましてね。
ビアガム殿です。ビアガム殿?こちらから、カリク、わたしの母だ。」
「ビアガムです。行商を生業にしております。」

(すごいね、行商だって。カリクさんとは違った笑顔が張り付いてるね)
(カーチに似ているな)
(ほんとだ!爬虫類系!)
(?)
(砂トカゲとかそんなの)
(ああ!うまいこと言うな!)




「後の3人は新しいわたしの護衛ですね。
護衛なので、名前はいいでしょう。」
「あの?護衛業は名前を名乗ったらダメなんですか?」

カリクさんに聞いてみる。
名乗りまくりだよ?

「あはははは!モウ殿?御心配には及びませんよ?
己に自信がないから名乗らないんですよ。
クインタ?失礼だぞ?こうして同席しているというのに。
まさか、名も知らないということでもあるまい?
どうぞそちらの方から。」
「エフエと申します。あとの二人はご容赦を。
カリク殿がおっしゃるようにまだまだ修行のみ。
名乗れるものではありません。
わたしは年だけは重ねておりますので。」

(強いよね?)
(強いな)

「この2人がお二方に見つかり、
その上にわたしまで。ティス殿、モウ殿は
剣のマティスと赤い塊モウという2つ名があるのですよね?」

これに、カリクさん以外固まる。
いやいや、そんなことよりもだ!

「二つ名!え?赤い塊がそれにあたるのですか?
剣のマティスが剣のと付くのは分かります。
わたしには赤い塊?
それはどのような分類?わたしたち2人で赤い塊と名乗ってますから、
赤い塊のモウとわたしだけに付くのなんだか違うような?」
「はははは!赤い塊というのはいまは石使いに付きますよ?」
「石使いはうちの曾祖父のことですよ?」
「しかし、剣のマティスの傍らにいるものは相当な石使いと聞いておりますが?」
「そうなんですか?んー、ちょっと他の方よりも
石が無くなるのが少ないってことじゃないですか?
あ!そろそろいいですね。
ちょどいい。どんな感じの石使いなのお見せしましょうか?
この石で。」

拳大の石だ。

『おいしく炊きあがった釜めしと一人鍋の蓋たち
こっちに集まって!水滴は落とさないでね』

「愛しい人?病は出なかったのか?」
「いや、ここでは出ないよ。」
「そうなのか。」

恥ずかしいでしょ?

わざとふよふよ飛んでもらう。
お鍋の蓋はきちんと積み重なっていく。

「消費した石は?」
「ん?いまのでなくなりましたよ?」
「なるほど。」

なくなるわけがない。
移動しただけだ。
身バレがしているんだ、どの程度の石使いが知りたいだろうから見せただけ。
強さは武の大会に出たときのレベルでいい。
世間的には力の衰えたガイライにやっと勝ったということ。
それでもかなり強さだが、世間は結局は本戦に出ていないというレベルだ。


「ちょっともったいないことしましたね。
でも、この程度なんですよ。
ささ、では、故郷の宴会料理です。
さきにそのタオルで手を拭いてくださいな。
おしぼりっていいます。コットワッツのタオルです。
で、料理ですね。
これは米を炊いたもの。
コットワッツで売り出している豆ソースで味が付いています。
この木のへらですくってこちらの器に。
底が焦げてるところがまたおしいんですよ?
こちらの方は海の幸とお肉の鍋ですね。
この取り皿に、いれて、好みで豆ソースとお酢を混ぜたものをおかけください。
手前にありますのは、カニの脚のみです。
生ですが、どうぞ、隣の透明なものに付けてお食べください。
赤身と白身、エビの刺身はやはり豆ソースと、この緑のものをお付けください。
これは鼻にツンと来ますので少量で。
肉は窯焼きしたもの、油で揚げたもの、豆ソースで煮たものです。
味は付いてますので、そのままで。
豆ソースが故郷の味なんですよ。
どうぞ?
ああ、その2本の棒は箸と言います。こんな感じで掴むんですが、
不慣れですと使いにくいですね。フォークとスプーンで。」
「ハシ?ラーメンに使うものですか?」
「よくご存じで。鍋の後、ラーメンと似たものもお出ししますよ?
どうぞ?」




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