いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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708:茶呑み友達

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「久しぶりだな?
まだ中央院に在籍できているとは驚きだ。」
「当たり前だろ?
戻ってからだいぶ経つが、やっと挨拶に来たのか?」
「よく言う!こっちが待ってたんだ。
それに資産院オート殿の護衛で中央院までいったが、
お前は不在だと。避けてたんじゃないのか?俺を。」
「それは面白い冗談だ。笑えないがな。
それで?分隊に落ちぶれて、今はブラスの加工品を売っていると?」
「お前らしくない。古い話だな、それは。
次の会合で、また軍部本体に復帰する話は知っているだろう?」
「それこそお前らしくない。
間違った情報だ。処罰としての分隊降格なのに、
復帰させるはずがない。ただ、王都にいないとなにをしているかわからない、
連絡もつかない。だから、管理のために王都に拠点を置くだけの話だ。」
「ふーん。どちらにしろ、ブラスの管理から離れるんだ。
給与も出るんだな?」
「でるわけなかろう?
王都に拠点を置くことが許されるだけありがたく思え。」
「あ!またお前だな?またいらぬことを言ったんだな?!」
「ふふん。なかなか挨拶に来ない、来れないのは、
ブラス管理地に拠点を置いてしまったからだろ?
わたしも、戻ってすぐに来いとは言わなかっただろ?
落ち着いたら来るのだろうとは思っていたんだ。
なのに、ブラス群生地近くでは遠いからな。
だから、進言したんだ。王都に拠点を置けばいいとな。
新軍のこともあるしな。
王都に戻るのなら、管理の為にも、
中央院と事務部は己の配下に置こうとしたが、
間抜けな奴らだ。
そもそも、軍は独立機関だ。
だから反対したよ?
最終的には、予算無しでどこにも所属しないという条件、
これで、了承を得た。お前の上官は直接我らが王になる。
ガイライも了解したはずだ。
光栄だろ?」
「いらぬことを!!」
「おかしいな?感謝してもらいたいんだが?
ああ、護衛業はもうだめだ。が、行商は許可してやったぞ?
わたしがな。これで、日々の糧は得られる。
タフトから伸びてきたブラスの森、ん?林か?
ブラスの林の管理は戻してやろうか?
タフトは目先のことしか考えてない。
ザスが入った今、もうブラスはいらぬだろう。」
「・・・・往復しろと?」
「ん?ああ、そうか。いや、あの地域一帯は、汚物処理も含めて
考えないといけない。モウ?どう考える?」
「そうですね。
ブラスは本当に管理しないといけないんですよ。
繁殖力がえげつない。
とりあえず、リーズナ殿の管理としておいた方が。汚物処理場も含めて。
雨の日が終われば、新芽がでるんですよね?
それ、タケノコっていうんです。
こっちだとブラスのこどもってことで、ブラスノコかな?
おそらくはおしいしいものなんですよ!!
リーズナ殿好みの。
だから、その、食い意地が張っているってなるのですが、
その、押さえておいてほしいなと。
管理の方も、毎日見ておく必要はないんだから、
月一ぐらい見に行かせればよろしいかと。」
「ブラスノコ?それがうまいと?ブラスの新芽がか?」
「おそらく。ダメでも、ブラスは優秀な資源。
王都、リーズナ殿直下で管理なさるほうがよろしいかと。
実働は出戻り軍部がすればいい。」
「モウちゃん!!何言ってんの!!」
「ニックさん、申し訳ない。タケノコ、いえ、ブラスノコの方が優先です。」
「ひ、ひでー。」
「ふふふふふふ。それもそうだ。
モウはニックを知っているのか?
槍術か?それはいいな。
ブラスの管理、それには給金は出るようにはしてやろう。
出戻り軍部!その言葉もいいな!それはわたしの配下だ。
ブラスの管理要員だがな。どう思う?マティス?」
「なっとくの采配かと。リーズナ殿。」
「マティス!!お前もか!!」
「なにが?
愛しい人が欲しがっていたものが手に入る手立てが出来たんだぞ?
今年の分は刈り込み迄する約束だったとはきいているが、
それがうまいとなったら手軽に手にいれることは出来んかもしれんからな。
管理も必要だと聞いているだろ?
汚物処理のことと絡むんだ。」
「なにそれ?」
「後で聞けばいい。が、その内容がな、
愛しい人の考えもいいのだが、
個人の力ではできない。だからといって、中央院に進言しても
通らないだろう。
コットワッツもだ。これは予算の話でな。
国の事業だ。領国単位ではない。
失敗も含むだろうからな。成功例を国が示して、
各領国が導入する形がいいだろう。
が、反発も当然出る。すでに、ここの汚物回収業者ともめている。
それは知っているだろう?
その矢面にリーズナ殿が立ってくださるんだぞ?
ニックやガイライがブラス管理の為とは言え、
リーズナ殿の配下入ることはお互いに利点がある。
ニバーセルの実質上位が配下だ。
へたなことはできん。
己だけの利益を優先していないんだ。
お前やガイライのことも考えている。
そうだろ?中央院や事務部が配下にと求めていたのに、
それを認めなかったんだ。
裏からなにを言われるかわからない。
そこに、ブラスの管理のためとはいえ、
中央院統括部の肩書がもらえる。
それを理由にくだらん駆け引きはしなくていいんだ。
しかも、大前提はブラスの管理なんだ。
それにな、この方にはコットワッツの武の大会後、
見逃してもらった恩がある。
いまは無理だが、いずれは返したいと思っているんだ。」
「マティス!!お前は何もわかっていない!!
こいつは、こいつは、いらぬことばかりする奴なんだ!
己でするだけならいい!!
廻りを巻き込むんだ!!
特に俺をだ!!!
俺が、タフトの調査を1年で手放したのも、
イスナドラに派遣になったのもこいつが指示したんだ!!」
「そうだったか?」
「そら見ろ!全く覚えていない!
そりゃそうだ!何も考えてないんだからな!
その場の思い付きで人を、俺を動かすんだ!
しかも、くだらん嫌がらせの延長だ!
たしか、タフトの時は飯を食った時に
俺の肉が大きかったのが気に入らなかったんだ!
イスナドラは自分が通ってた娼婦が俺の名前を出しただけでだ!!」

「おお!!」


(愛しい人?驚くことなのか?)
(いや、だってすごくない?
原因はどうあれ、結果は悪くないんだよ?
いや、それはいまだから言えることであって、
その当時はニックさんも大変だったとは思うよ?
そうか、テンレさんが迫って来ただけで、仕事は投げ出さないよね?
おかしいと思ってたんだ。
ジュゲム村の奥さんのことだって、ずっと悩んでいたんだろうけど、
結果はOKでしょ?)
(そうなるのか?)
(ま、これは結果論だ。どう物事を捕らえれるかってことなんだけどね)
(愛しい人はいつも良いように物事を考えるな)
(うふふふ。それって、別に人間ができているわけじゃないんよ?
そう考えたほうが楽だから。
友達にはよく、薄情者だと言われたよ?)
(?どうして?)
(相手のことを考えないから。
自分の都合のいいように、自分が傷つかないように考えるから)
(わからん)
(いまは2人にとって良いようになるように考えているよ?)
(それは私もだ)


この間、ニックさんとリーズナ殿は、
まさに子供の喧嘩をしていた。
コムの村長の息子クラスだ。

それいつ言った?
何年前の雨の月の3か月前だ。
そんなことしか覚えていないのか?
間抜けと言ったほうがまぬけですー。

などなど。


それを2人でテーブルに座り、
お茶を呑みながらやっている。

ニックさんは甘々団ではないので、
塩っ気のあるものや干物などをだす。
コリコリや乾燥プカプカ、ワサビ菜の和え物、
赤根の醤油漬け、赤菜の酢漬け、サボテンの酢漬け。
縁側でのお茶のお供だが、リーズナ殿のお酒は呑まないと聞いる。
ニックさんもお酒を出してくれとは言わない。

呑み友達だけど呑まないんだな。
茶呑み友達?
友達だというのは分かるな。
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