いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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714:仕組み

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「それはマティスではないのか?」
「いや、モウちゃんもだ。言うなよ?
雨の日にマティスを驚かせるそうだ。」
「モウは今は隠していると?」
「隠すというか、マティスを喜ばせたいんだろ?
マティスの対象はモウちゃんとモウちゃんが望む世界だ。
モウちゃんはマティスとマティスがマティスである世界だ。」
「なるほどな。緑の目という仕組みはよくできている。」
「仕組み?仕組みなのか?」
「そうだろ?緑の目の話は多くはないが、よく聞く話だ。
あれもそうだっただろ?ロジックも。
実際に民に被害が出たという話は聞くか?
ないだろ?被害が出る前に、始末しているからな。
その目印が緑の目だ。
マティスがあの剣の腕のままに別のことに、例えば、殺戮とかな、
そういうものが対象になっていれば、即処分だ。
そんなことが対象になるはずがないと思うか?
なぜわかる?緑の目になる要素はだれにでもあるはずだ。
それがなるかならないか。
なりやすいかなりにくいか。
マティスはなりやすい要素を一般人より多く持っていたと考えろ。
モウが対象になってくれてよかった。
モウもな。あの知識は危険だ。
よくもわるくもな。
アガッターやダカルナ王の話も知っているだろう?
タトーロイン卿もだ。」
「卿と話は済んでいる。娘にするといったのを断ったそうだ。」
「!そうか!卿は承諾しているんだな?」
「そうだろ?」
「あははははは!!これはいい!
ここでは誰も知らぬ話だ。
みなで赤い塊モウを捉えようと必死だ。
タトーロイン卿が雨の夜会で押さえる前にとな。
んー?そうなるとモウはタトーロイン卿と面識があると。
そうだろな、招待状を送るほどだからな。」
「ふふん。俺たちも卿から招待状をもらっているんだよ。」
「なにっ!!これは驚いた。そうか。まずは安心だな。で?」
「モウちゃんは基本自分の為には動かない。
全てがマティスの為だ。なのに、お前と関わり合いになるのがわからん。」
「お前もそうだろ?」
「俺のことはいいんだよ。お前だ、お前!なんでだ?
下水の話?それか?それがマティスの為か?」
「ははははは!
緑の目のことを勘違いしているな。
対象が優先になる。それはあっているが、
だからとて、飯も食うし、話もする。
あの芝居も良かった。
あれはマティスの為か?違うだろ?
芝居が好きなんだよ。
武の鍛錬もな。
マティスは料理もうまいのだろ?
先ほど食べたものはみなマティスが作ったとか。
うまかったぞ?
それをモウが自慢していたぞ?
マティスは世界一の嫁だそうだ。
聞いているこっちが照れるな。
それをうれしそうにしていたな、マティスは。
本当にそれのみなら、それすらもないだろう?
モウの為か?
だったら、他の者には振舞わない。
他領国や他国に料理仲間がいるとか。
な?対象だけではない。
対象だけなら飯も食わない。
そして飢えて死んでいくだろうな。
仕組みだ。果実が食い頃になるときを教えてくれるのとな。
色が変わるだろ?
毒がある植物はそれとわかるように特徴を持つだろ?
それと同じだ。
緑の目になったものはなにかを優先しているだけだ。
それがこちらに害がなければ何のことはない。
緑の目でなくても人殺しや盗人がいる。
それの方が危険だな。見た目ではわからないからな。
逆に緑の目だということのほうが廻りのものにすれば
安心だ。わかりやすい。
わからなくしているようだが、
わかるようにしたほうがいいな。
でないと、へたにモウ、あるいはマティスを排除しようとするならば、
その害はおそらく大陸を巻き込む。
そこだけを気をつければいい、緑の目の者に対してな。
此度の呼び出しも、2人で来てくれてよかった。
館に入る前にな、マティスに戻ってもらうつもりだった。
マティスが外にいるほうがなにかあった時に手が打てるからな。
ダクツがいてもな。あれは王の臣だ。
2人に対してはなにもできない。王が優先だからな。
だが、2人一緒だという。
そのほうがいいとヤッチも言うからそのまま通した。
なかの騒動の顛末は後で聞ける。
ああ、ニックもいたのだな?
なるほど。
それは?モウの手配か?マティスか?
そのことが緑の目の対象と関係がある?ないだろ?
皆と同じだよ。
だから、対象がマティスだとしても、
モウが興味があることに精通しているわたしを尊敬するのは
当然だということだ。」
「・・・・。
緑の目だからと言って皆と同じだとお前が考えているなら
それでもいい。それを抜きにしてもだ!
どうしてお前を尊敬するのかが分からん!!」
「そうか?当然だと思うがな。」
「どこが!!」
「はははは!彼女の話は面白い。
まさに先程の芝居の子供だな。
気付きがあるんだ。が、それをどうすればいいかは知らない。
いや、違うな。
それを己以外の為になにかをすることはないな。
緑の目ならなおさらか。
己の為だけだ。
マティスの為ではないぞ?」
「対象がマティスだぞ?」
「マティスが喜ぶのをみて自分が喜ぶためだ。
これは緑の目とか関係ないがな。
統治者に彼女の知識があれば、より良い治政が望めるだろう。
が、幸いにして彼女は違う。よかったな。」

「どういうことだ?」

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