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732:甘い
しおりを挟む砂地でも飛び上がれる。
砂地を蹴っているわけではない、空気の層を蹴る。
浮くのはさすがに無しだ。
それに、飛んだり浮いたりすると少し動作が遅れる。
これ、師匠も習得している。
最終的には飛んだり浮いたりできるんじゃないかな?
だって、移動ができるんだもの。
ここでの、砂地での鍛錬で使った言霊は、
砂は目に入るな、だけだ。
懐に入りたいが、簡単に入れるわけがない。
入れたとしても、体術だ。引いた瞬間に棒が急所を狙う。
全身あおたんだらけだろう。
髪は一つにまとめているが、先が切れたんじゃない?
血の匂いはしない。
師匠のローブは資産院支給の物だ。
ナソニールの処理場でズタボロになった時に
言霊を掛けている。
『二度と師に傷を付けることまかりならん!!』
これが効いてる?
それに砂漠石の下着もか。
わたしもマティスの言霊で同じようなものだけど、鍛錬の為ということで、
致命傷にならない攻撃は受け入れているしね。
いやこれは鍛錬!
攻撃も当たれば効くはず!
ただ、当たってないだけか!
なんか悔しい!
うぬぼれてはいけない。
もっと限界までだしても大丈夫!!
「おらぁ!!」
この言葉をリアルで叫ぶとは!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
師匠の記憶も3回、新年の月の光をダートと一緒に見ている。
ということは、少なくとも3回、不正を回避している。
だが、資金引き渡しの後は、己の妹が副院長になるといった。
いくら師匠が凄腕で、不正の帳尻を合せれると言っても、
やはり肩書は必要だ。
それがなくてもいいということ。
師匠が不正の報告をしても回避できる力を手に入れ、
尚且つ、それの帳尻を合わすこともできる何かを手に入れたということ。
首にしないのは、その手腕が必要だからだ。
無役の師匠、ワイプを意のままに仕えると思ったのか?
馬鹿だな。
役職についているから、指示に従って、
指定の日時に面会をしただけだ。
副院長と言う責任を果たしただけだ。
無役のワイプが無茶な指示に従うわけがない。
不正を見つけた瞬間に天秤院に駆け込むか、
大声で言いふらすに決まっている。
仕事人間は仕事をするんだ。
上からの指示に従う。
それが組織だからだ。
責任を持つんだ。
それが不正でも。
だから、壊れるときがある。
しかし、どうやって帳尻を合わせていたんだろうか?
まさか、補填のために、暗部の力で稼いでいたとか?
怖い!
白い粉、蜘蛛の糸、ボルタオネの香木。
砂漠石の産出領国、コットワッツを欲していたのは砂漠石があるからだ。
それが変動でなくなった。
コットワッツにはもう価値がない。
でも、確保していたであろう備蓄は欲しい。
次に狙うのは?
ボルタオネの香木?
これはコクが復活した。あれは、ボルタオネを守護するもの。
めったなことは出来ない。
では、蜘蛛の糸?
いま、銃の生産で力を持つマトグラーサを?
いやまて!
だれが何を狙っているんだ?
テレビの刑事もので一つの事件だけに全ての警察官が動いているわけではない。
様々な者たちが様々なものを求めうごめいている。
それは、コットワッツもだ。
自国の製品を売る市場を開拓している。
では、もう一度考えよう。
まずは、師匠がただ働きをしているのは許せん。
コットワッツ、我が弟の気苦労が増えるのは許せん。
我が息子、ガイライの気苦労?これは軍部としては当然だ。
が、へたな邪魔をしてくるのは当然、許せん。
わたしとマティスのこと?
商売の失敗、苦労、当然あるだろう。
邪魔もある。当然だ。わたしも邪魔をする。
が、2人の間を裂くのはダメだ。
当然、許せん。
そして、モウモウ商会の商品で意図しないことで誰かが、
儲かるのも許せん。
儲かるのは我が、モウモウ商会でないといけない。
当然だ。
苦しむのダメだ。
塩袋さえなければ、ザス依存症が出なかったのになんてことになるのは耐えがたい。
しかし、これは隠匿は掛けれたんだ。
できることはした。良しとしよう。
あとは?
硝石。火薬、爆弾。
マトグラーサが作っているのなら、それは止めようがない。
みな賢いんだ、すぐに気付くし、代用品も見つかるだろう。
が、それを黙ってみているのも夢見が悪い。
陸鳥の糞山にある、結晶。
硝石のみ先に回収しよう。
これはわたしが先に見つけたんだ。権利はある。
進化の妨げ?
悪いが、わたしの安眠のほうが大切だ。
そうだよ!うん、自分本位上等!!
師匠のストレスの原因はこれだ。
師匠が率先して不正介入しているんだったらいいんだよ。
コットワッツの資産を奪わない限り。
やはり、勤め人。
一部の者たちだけが利益を得る不正はダメだ。
そうすることによりしわ寄せ、犠牲が出る。
ただ働きとだれかが犠牲になる不正は許せん!
師匠もよく耐えたもんだ。
そりゃ、食に心の安寧を求めるよ。
よく耐えたね。
よく頑張った。
もう、憂うことはない。
新年の月の光を浴びて誰かの不正に加担しなくてもいい。
問題は解決した。
皆で、月の出を見よう。
おいしいものをたくさん食べよう。
そして、
王の言葉よりも先に、わたしが宣言しよう。
新春万福
迎春万歳
笑門来福
家内安全
無病息災
長楽萬年
うん。
福笑いと六瓢箪を売り出そう。
もちろん声高らかに言おう!
商売繁盛と!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
ああ!
楽しい!
滅してしまうのはもったいないですよね。
こうしてずっと鍛錬してくれるとうれしいですね。
ああ、マティス君だ!
そしておいしいご飯も作ってもらえる!
いいですね!
彼はわたしの弟子ですからね。
末席ですけど。
ん?
では、一番弟子は?
彼以上がいるってことですか?
!
モウ!!
わたしの可愛い一番弟子です!!
彼女か?
彼女の思考?
ニック殿が話していたのはこれか!
ああ
何も問題は無い!
素晴らしい!!
「モウ!甘いですよ!!」
「!師匠!!
ふふ。甘いのは師匠ですよ?
今、相手はわたしだと認識したでしょ?
そうするとね、マティスと一緒で遠慮が出るんですよ!」
思考の海から戻った師匠はきっとわたしを傷つけることはしないはず!
卑怯だけどそこをつかせてもらう。
だって、使えるものは何でも使うのがワイプ流棒術の教えだから!!
「ははははは!
甘い!
ここは砂漠で月の光があるのに!
欲望のままですよ!!」
「え?あ!うそん!!!」
まさしく、こてんぱんのけちょんけちょんでした。
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