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733:背後
しおりを挟むモウ様はまだ戻らない。
時々、マティス様は目をつぶってモウ様の動きを確認しているようだ。
あの2人はあのまま眠ってもらう。
セサミナ様とカップとで、打合せを済ませ、
先に正門近くに身をひそめる。
いるな。
2人?その後ろにも?わざとか?
カップがやってきて、大きな声で話し始める。
背後を取られた。
油断していたとか、わざとではない。
己の力量がまだまだだと、毎日のように認識する。
砂漠石の下着を着ているので、銃、ナイフと効かないが、
急所である首、眉間と狙われていれば即、死だ。
「いやいや、あるでしょ?人体の急所はここだ!ってのが?
軍隊で習わないの?
それこそさ、死体なんかで解剖を兼ねてとか?」
「モ、モウ様!恐ろしいこと言わないでください!」
「んー。
人体の中の構造なんて、昔から誰かが研究してるもんなんだけどね。
ここのお医者さんってどうなの?医家っていうの?
ドーガーのお父様はその、どうしてお亡くなりになったの?」
「父ですか?」
「あー、あんまり話したくない?」
「いいえ。父はずっと咳をしていました。
呼吸が苦しくなって。熱もありましたね。
それで、食べやすいような食事をするんですが、
喉に詰まったりして。
最後はほとんどなにも食べれませんでした。」
「・・・・・。
その咳。他にもしていた人はいた?」
「?いえ。父はもともと都下で店、雑貨を扱っていまして。
貴族相手ではないですよ。
都下に住んでいる王都人に対してです。
成人後にわたしは軍に入りました。
それからしばらくしてコットワッツに出向です。
父が働けなくなって、母が店を。
都下を離れたくはなかったんですが、
お給金が良かったんです。
都下に戻る休暇も頂けましたし。
下っ端の給与は安いんですよ。
ええ、ルタネのことはその頃で。
お傍付きに抜擢され、収入もあがりましたから、
母の実家に引き上げてきました。
今思えば、ルタネに報告をする為だけに王都に
帰っていましたね。金をもらっていたわけではないのに。
そうしないといけないと思っていました。
ああ、それで、医家ですね。
都下で見てもらったんですが、無理はするなということだけで。
高いですよ?
コットワッツには医家と名乗るものはいません。
詳しい止まりですね。
同じようなことしか言わないです。
薬が高いんですよ。
煎じ薬ですね。苦いんです。」
「そうなんだ。肺炎?結核ではないな。いや、わからないな。」
「あの、もし、モウ様でしたら、そのどう対応しますか?
その、故郷のやり方として。」
「医者にいけ。これだけだ。
専門に見る人がいる。
そして、そこにかかるお金は国が7割負担してくれる。
月々払ってるのもあるけど。
医者に行けば様々な検査をして、悪いところは体を開けて
取り除き、薬を出す。
熱が出て咳が出るというのは結構頻繁にある。
薬を呑めば大抵すぐ治る。
それがない状態だったら、そうだね。
まずは部屋を徹底的にきれいにする。
そして温かくする。
湯をわかして、湿度を上げる。
栄養のあるものを食べてもらう。
のどが痛いのなら薬味を刻んで喉にまく。
卵酒、はちみつ大根。
おばあちゃんの知恵袋的な対応のみだ。
食事は、喉につまらない様にね。
これしかできないな。
タトートで買ってきた香辛料で熱をさますというのもあるけど、
逆に怖くて使えない。
疑ってしまうから。
毒ではないとはわかる。
だから料理の香りづけには使うけどね。
だけどほかにどんな影響が出るのかわからない。
体が弱っている人にはわたしから勧められない。
砂漠石でその症状が出る前の体に戻すこともできるだろう。
外傷的なものだったらそれでいい。
ルポイドのエデトは異物を取り除いただけだ。
師匠のボコボコにやられたのも傷を治しただけだ。
それはできる。
内部のことはしないな。よっぽどだ。
だから、皆にしてほしいことは、手うがいだな。
食事の前、もちろん、料理を作る前、清潔に。
お便所に行ったら必ず手を洗う。石鹸で。
ん?ドーガー?
わたしがもっと早くにこっちに来ていたら、
御父上は助かったかもって思った?」
「いいえ。モウ様がおっしゃったことはほとんどすべてやっていました。
よかった。間違いじゃなかったんだ。」
「うん。頑張ったね。
御父上も頑張った。母様も妹ちゃん、マーサもね。
生き物は必ず死ぬ。絶対だ。
見送られ逝くことは幸せなんよ。
見送ることもね。
ああ、話がそれるね。
人体の急所の話だよ!」
モウ様との話の中で教えてもらった通り、
首元にナイフが当たっている。
そのまま押されるように、
カップ達がいる場所から離なされていく。
今回は月無し石と音石は携帯していない。
奪われてこれは何だということになるを避けるためだ。
マティス様からの繋げてもらうと、
頭の中で会話をすれば、カップとわたしは喉が動いているらしい。
それでばれる。
それに、いま、モウ様はコットワッツの砂漠だ。
マティス様はセサミナ様を守りつつ、気持ちはそっちに飛んでいる。
敷地内ではなくてコットワッツ滞在地と考えれば、
セサミナ様の管理する土地。領域だ。
セサミナ様が望まない限りことはめったには起きないはず。
だから死ない、はず。
と、いうのがモウ様の考えだ。
だから大丈夫だと。
「しかし、死んだらすまん。」
「どうしてそこでセサミナ様が謝るんですか!!
死を望んでるってことですか?え?」
「うふふふふふふふふ。」
「やめてーーー!!!」
「冗談だ。ドーガーの成長を期待しているぞ?」
「もちろんです!!」
カップが向かう裏の資材置き場とは逆の空き地だ。
でも、ここ、敷地内だよな?入ってこれるんだ。
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