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747:選択問題
しおりを挟む臨時会合は今日の月の出半分からになるとか。
議題も届いたそうだ。
「めずらしいの?」
「臨時ですからね。通常では何をするかということは分かっています。
報告だけなんですが。
今回は軍の再編成で、それを王族から決めるということ。
いまさら聞いてなかったは許されないからでしょう。
言ったところでどうにもならないんですが。
あとは、やはりナソニールのことですね。
いまは王都預かりになってますが、雨の日前です。
例え形式になっているとしても、食料配布等は重要な仕事。
王都からは金は出したくないのでしょう。
競売になります。その連絡も。
ツイミ殿の話はここには有りませんが、
競売開始前に宣言されれば確定しますね。」
「それは、石の契約をしていますよ?あ、熱い!!」
戻ってきたカップ君が大根をフーフーしながら話してくれた。
ひとりおでん大絶賛祭りをしていたところに帰ってきた。
みなの反応は微妙だったのだ。
練物、かまぼこと餅巾着は絶賛だが、
おだしがしみしみと言うのは、絶賛まで行かない。
うまいことはうまい。
が、そこまで?ということのようだ。
「うん。そうだよね。
寒い日に食べるものだしね。煮物の一種だ。
はははは!そんな申し訳なさそうにしないで?」
マティスはわたしがハイテンションなので、
他の人の反応はどうでもいい。
なにより、本人も微妙なのだ。
なぜそこまで?ということなのだろう。
あ!そうか!
母さんがよく言う自分の作ったものは、
そこまでおいしくないというやつ?
うまうまなのに?
だれかが自分のために作ってくれたという要素がいるという。
セサミンたちは期待しすぎだ。
で、マティスは自分が作ったもの。
なるほど。
雪景色の中、温かいコタツ、熱燗。
そしておでん!
最高じゃないか!!!
雨の日、イリアスで楽しんでもらおう。
その時はわたしが作らないとね。
大絶賛とそんな話をしていたところに戻ってきた。
最後の箱まで開けたみたい。
可愛らしく、わたしをみて笑っている。
うふふふ。弟たちにも内緒なのね?
「新作冷蔵庫も5台売れましたよ!」
「でかした!!」
それの方が大事だ。
?5台?
カップの客人は2人だと聞いた。
あとは師匠と誰?
あらましを聞く。
休憩をしたら、マトグラーサの母上のところに。
イリアス櫓宿に逗留準備をしにいく。
わたしたちを頼ってくれれば一瞬だが、
そんなことは頼まない。
「見回り?管理者?え?姉さん?」
「いいんよ。あれとはそういう約束したから。
こっちでゴソゴソ作業しているときに。
面談前だよ?
じゃ、結構頑張ってたんだ。
いい時に来たね。1人じゃダメだったかも。
また遊びに来るかもしれないけど、そのときは
コットワッツのお客さんだ。
がっつり売りつけようね!」
「やめて!!」
セサミンは気付いたようだ。
顔面蒼白だ。
師匠もだったろうな。
マティスは師匠が結構嫌そうだったと聞いて嬉しそうだ。
「あはははは!ほら!カップ君的には問題ないでしょ?あの人?」
「ええ。聞き上手というんですか?
自分の考えがスルスル言葉として出てきました。
友達の2人もです。
わたしは、コットワッツにこれて本当に良かった。
コットワッツ、モウ様、セサミナ様に貢献したい。
そして、マーサと家族を作っていきたい。」
「うん。よかった。いい顔でそういうことを言えるようになって。
うれしいよ。ナソニールのね、あの馬さんたちも
本当に心配してたから。それはなんでか自分ではわかるね?」
「!」
はっきりしたことは教えてくれはしなかったが、
早く嫁を、ほんとに愛し、愛される伴侶を見つけてやってほしいと言われていた。
ただの恋愛相談かと思ったが、どうやら違うようだった。
「カップ?あなたはわたしの弟、そして主にて臣、そのセサミナの従者だ。
それはわたしの身内だ。
ツイミさんにも言ったけど、あなたを守る。
心置きなく、自分の思うことをすればいい。
どんなことでも、あなたは守る。」
あなた ”は” なのだ。
マーサとカップの母君は入らない。好みの範囲では入るけどね。
可愛い女の子と母ちゃんというものは大好きだから。
カップ君は少し震えながら深々と頭を下げた。
「さてと。その天文院のお友達?
その彼の話はわたしも聞きたいことだから後で一緒に話そう。
師匠が連れてきてくれるの?じゃ、その時に。
マトグラーサの話はわたしはなにもできない。
ツイミさんが判断すればいいことだ。
相談されることでもない。
大きな石を用意してツイミさんの意に反する流れになるのなら、
阻止するのみ。それでいいね?」
セサミン以下、皆が頷く。
「でだ、天井崩落事件はこれは不問だ。
で、彼はどうしようかな?
子ども扱いしたことを謝罪した手紙と手土産を持たせて、
外に出しておこうか?」
「モウ様!」
「ん?ルグ?なに?」
「彼とは手合わせ、ジンジョウの途中なので、最後までやりたいのですが?」
「そうなの?んじゃ、軽く食べれるものを用意しとくね。
何も食べてないんじゃかわいそうだから。
今完全に寝てるからね。”起きろ”って、起してあげてね。」
「それで起きるのですか?」
「ああ、そうだね。
あなたは
眠れる森の美女
暁の姫君
皆が愛するオーロラ姫
いいえ、わたしのオーロラ
わたしの為に目を覚ましてください
これでもいいよ?」
「・・・起きろで。」
「オーロラ姫?だれですか?」
「そういう物語があるのよ。
元の話があって、いろんな人が、いろいろな解釈で話を作るのね。
そのなかで、皆に愛されるオーロラ姫は孤独だったの。
皆が同じように自分を愛してくれているってことは、
だれにも愛されていないと同じだと感じたんだね。
だから心を閉ざしたって。
その中で、わたしの為にって言ってくれた王子様と結ばれるって話。
ん-、記憶があいまいだけどね。そんな話があった。
みなに愛されるよりただ一人に自分だけが愛されたいものだよ。
わからん?」
マティス以外、あたまにクエッションマークだ。
「そうか。ここは多妻多夫がうけいれられてるよね。
わたしんとこは、わたしの故郷ではないんだ。
いや、うまくやってる人はいるのかな?知らないだけか。
外国で認めてるところもあるしね。
んー、難しいな。」
「姉さんはダメなのですか?」
「んー、愛の種類は無数で、その大きさも無限だと思ってたの。
でもね、いま、この状態だからかな?
マティスかマティス以外なんだ。
いや違うな。マティスのみだ。
ああ、悲しまないでね。
んー、セサミンたちはなんていうか、マティスに付随しているもの?
いっしょなのよ。全く一緒ってわけでもないけど、
セサミンたちがいてマティスが成り立っているのね。
マティスとマティスがマティスである世界に必要なもの。
それが、セサミンたちなの。
オーロラ姫の話に戻るとね、皆は愛してくれてるのよ、ものすごく。
でもね、いざ、緊急事態とか、命を選択する時に、
まずは愛する人、それが伴侶か子供か親かは人それぞれだろうし、
大切にしているなにか、ものかもしれない。
馬だってあり得る。
でも、オーロラ姫はその上位には入っていないってわかったんだよ。
それが悲しかったの。
いま、こうやって思い出して話してるけど、
じゃ、オーロラ姫はどうだったんだろうか?
なにか、大切な唯一の物があったのかな?
それがあれば、また違っていたかな?
いや、そもそも、あの話は原作ではないから。
うーん。」
考え込んでしまう。
たしか、いろんな物語の主人公が茶飲み友達で、
その世界にやって来た本作の主人公の心の成長を書いた話だ。
結局その話では心の中の友達だったのかな?
で、オーロラ姫のその旦那は冒険野郎で、
オーロラ姫を一番にしなかったんだっけ?あれ?
作者は?題名は?何とか迷宮?思い出せん!
この手合いの話の走りだったんじゃないだろうか?
文庫本だ。捨ててはいないはず。
押し入れの奥だ。
うわー、わたしのはずかしコレクションが今どうなってるんだろう?
一切合切処分してくれることを願う。
「愛しい人?」
「姉さん?」
「うぉ?ああ、考え込んでた?ごめん、うまく説明できんよ。」
「いえ、姉さんが、我々は大事なんですよ。
順番を付けることなんてできないんです。」
「うん。それね。わたしはマティスがいて、マティスにはわたしがいるから、
それでいいんだけどね。
いなかったら悲しいって話。
うーん。
あのね、こういう場面、想像して?
崖があって、そこに今にも落ちそうな人が2人。
で、自分もそこにいる。
2人が崖下に落ちそう!
自分が手をのばしたらどちらかは助かる!
どっち?って時ね。
選択問題だ。
その2人、1人はわたしで、もう一人は奥さんか、子供。
そういう場合だったらどうするかって話ね。」
「!」
「答えなくていい!考えなくても答えはわたし以外だ。
必ず。絶対だよ?」
「姉さん!」
「うふふふふ。だって、わたしにはマティスがいるし、
わたしだったら、何とかなりそうじゃない?
ね?」
「!ぷっ!ほんとうだ!」
「これは絶対。
主であろうと恩人とかそういうのであろうと。
選ぶのはわたし以外だ。
命令だと思ってくれていい。」
「・・・・。」
セサミンが黙ってしまった。
「セサミナ?不安になるな。
ああ、だが、ワイプと愛しい人だったら、
お前はワイプを蹴落とすんだ。いいな?」
「うふふふふ。マティスはほんと師匠大好きっ子だからね。」
「ええ。わかります。」
「なんでだ!!」
みなで笑ってしまった。
わたしなら?
わたしがなにかを選ぶ立場なら?
マティス以外だ。で、マティスが死ねばわたしも死ぬ。
マティスを助けて、誰かが死んでしまうのなら、
死ぬまで後悔するだろう。
そしてそれをマティスが悔やむ。
そのような状況になったことをだ。
マティスは?
それはわからない。
わかることは、わたしが悔やむことがない様にしてくれるということだけ。
わたしにはマティスだけ。
マティスにはわたしだけだからだ。
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