いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
753 / 869

753:売る

しおりを挟む


「では、これが日割りで計算した給金です。
あとは、部屋等は、各院で借りていたものなので、
私物等は、ああ、こちらに来てますね。持って帰ってください。」


2人の清算処理を済ませ、2人の私物を仮眠室に放り込む。
わたしが使っている部屋だ。

「ちょっと月が昇るまでわたしも動けないんで、
ここにいてもらっていいですか?なにかあればわかりますから。
便所はそこで、湯はそこでわかせます。
カンターウォーマーもありますから。
小腹がすいたら、それ、食べ方をよく読んで自分でしてください。」
「どうしてここにいないといけないんだ!」
「いや、死にたくないでしょ?
で、勝手に外に出ると、おそらく死にますよ?
それはわたし的にはいいんですが、
2人を死なすと、カップが怒る。
そうなると、モウが嘆く。で、マティス君がわたしを殺しに来る。
それは避けたいんで。
頼みますよ?」
「誰が俺たちを殺しに来るんだ!あの時眠らせたのはお前だろ?
鍛錬のワイプ!不意打ちぐらいはできるんだろ?」

フーサカは結構元気だ。
天文院の仕事はだれにでもできることではないはずなのに、辞めるとは。
もったいないですよね。

「おや?気付きましたか?
では、2択です。また眠らされるか、ここで大人しく今後のことを考えるか。
どちらです?」

「・・・ツイミ殿の意志は変わらないのか?」

大人しかったラートが聞いてくる。

「変わらないでしょうね。」
「みなの前で宣言すれば、それを知っている者はいないんだから、
石の契約も関係ないはずだ!」
「本人にその気があればいいんですが、ダメでしょ?
あれもモウの配下、違うな、信者、んー、それも違うな、
なんだろう?モウの為に生きることを決めていますよ?」
「なんだよ、それ!
カップも、あの人も、モウ、モウ!と。
あんたもだ!なんなんだよ!!」
「モウはわたしのかわいい一番弟子ですよ。
マティス君も弟子で末席です。」
「それは知ってる!だから、モウはなんだと言っているんだ!」
「んー、説明するのは難しいですね。あとで会うんですから
本人に聞いてください。
では。大人しくしていてくださいね?」


一応閉じ込めておきましょうか。

『2人をわたしが許可するまで
この部屋から出さないでください。お願いしますね。』

こんな小さな石で事足りるんですから。
いままでだと、これの何十倍もの大きさの石を使っていましたね。
それで、扉を開かないようにする。
だから、扉を壊されたら終わりだ。


モウの考え方は素晴らしいですよね。

さ、仕事ですよ!
体も万全ですし、チョコもありますし!
ああ!チョコ!
素晴らしい!!



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「くそ!閉じ込められた!」

体当たりしても、振動もしない。石を使っているのか?
しかし、使うのは小さな石だ、
力押しに弱いはず!

「お前!ラート!!お前もこっちにきて、てつ?
何してんだ?」

部屋の隅にうずくまって小さくなっている。


「え?」

泣いてるの?ちょっと!!

「どうした?泣くなよ!すぐここから出してやるから!
心配するな?な?」

俺の友達はすぐに泣くな!
・・・?そうだ、友達なんだ。

「・・・・。いい。ここで。どこにも行くとこはないんだ。
ツイミを引っ張り出せば、それを手柄に製鉄部門を任せてもらいたかった。
小さなものでもいいんだ。なのに、何もかもが銃製造にいく。」
「?だったら、スパイルかルカリアにいけばいいだろ?
ほとんどの職人はそっちに流れたって言ってたじゃないか?」
「・・・・・。お前はほんと、研究職なんだな?
任されたことを調べて報告するだけだ。」
「?当たり前だろ?それが仕事だ。」
「はー。その予算はどこから来ているんだ?
給与をもらってたから出来てるんだろ?」
「そうだろ?」
「だから、金がないと何もできないんだよ!
わたしがスパイルに行ったところで、
誰がわたしの考えてくれることをしてくれるんだ?
金を出さないと誰も動いてくれないんだぞ?
お前だってこれからどうやって食べていくんだ?」
「!」
「そんなことも考えないで辞めたんだろ?大体なんで辞めたんだ?」
「・・・・・。俺の環視が間違ってたっていうから。間違いじゃないのに!」
「それで、辞めたのか?もったいない!
勝手にリングが湧いて出るもんじゃないんだよ!」
「わかってるよ!お前は解雇?首じゃなか!偉そうにいうな!」
「・・・・。言わないよ。
どこか、金を出してもらえるところを探さないと。
あの人に言われたように、極めたい。」
「俺だって!環視は必要なことなんだ!
天文院でなくても続けたい!」
「だから金が要るんだ!出してくれるところだよ!」
「・・・。」
「・・・。」

「なにを考えた?」
「おまえこそ、なんだ?」

「・・・・コットワッツのことを売って金にしようかと。
カップが話してくれた、これからやろうとしている事業のこと。
赤い塊モウのこと。食べた料理のこと。飲んだ酒のこと。」
「どれも素晴らしい、ってことしかわからんじゃないか!」
「わかってるよ!それに、それはカップを売ることなる。」
「そうだ。」
「「カップは友達だ!」」

「「はーーー。」」


「コットワッツに忠誠を誓うか?」
「そうなるな。カップもそのつもりだって言ってくれてたし、
コットワッツも製鉄技術があるんだ、小規模だけど。」
「赤い塊のモウが天文に興味があるなら、
そこから話を持っていけばいいかな?
月の大きさが違う、色が違うとか知ってたからな。」
「それ、そうなのか?」
「そうだよ?俺はもちろん知ってたよ?
天文院でも知ってるだけだとおもうけど。
天文院以外の人間がそれを知っているということが驚きだ。」
「それで?違ってたらどうなんだ?」
「?どうとは?」
「いや、違ってるからなにかしらあるんだろ?」
「?知らん!」
「なんだよそれ!」
「うるさいな!違うってことを知ってるけど言われて初めて、
今、疑問に思ったんだ!
それを調べたい!」
「だから!金が要るんだよ!」
「そうだな。」

「「はーーー。」」


「コットワッツ、領主セサミナは賢領主だ。
金になるとわかれば出資すると思う。」
「そうだな。うまく説明できるようにまとめておこうかな。」
「さきに、コーヒーでも飲もう。あれはいいな!」
「そうだな!食い物もあると。」
「あ!ちょこと冷蔵庫!あった!
・・・・これを売っても金になるな。」
「売るのか?」
「・・・・いや。これは売れないし、売らない。
お前もだろ?
あのとき、たまたま皆で集まったから手に入れられたんだ。
感謝なんだよ。
日々すべてのことに感謝。
・・・・。
モウと言うのは僧侶なのか?」
「いや。俺もある程度は調べたんだよ?
コットワッツのことを。
最近の話になると必ずモウが出てくる。
金にがめつく、大食いだと。
赤い塊、爺の方もだ。
赤い塊一族の話が出てきたのも最近だ。
砂嵐でコットワッツに飛ばされたらしい。
ここにきている赤い塊一族は3人だ。
爺2人と、モウだな。
もっとこっちに来ているかもしれない。
名前がないのが特徴らしい。
大門前の中央院とのやり取りも知ってるだろ?爺の方の。」
「ああ。あんなことを誰がするんだ?国か?
金にもならんことを!」
「天文院と研究院は国が出してるじゃないか?」
「そうだよ!国がだ!それは金になるからだろ?
天文院の環視は必要なことだから金を出してるんだ!
研究院はなにしてるか知らんがな!
必要だからだろ?」
「そうだな!必要と分かれば、出すんだ。国は、賢領主は!」
「「良し!まとめよう!!」」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...