774 / 869
774:卑怯者
しおりを挟む「母さん!!」
「カップ?なにがあったの?」
急に現れた俺を見て母さんは驚いたようだ。
移動のことは話している。
「心配しないで!
俺結婚するんだ!約束した!
婚約したんだ。雨の日前に一緒に住むんだよ?」
「素敵!その報告?
そのために移動できたの?ダメよ!
モウ様のために使わないと!でも!うれしいわ!」
「いいんだよ!自分のためにも使わないとダメだって、
モウ様も言ってたから!
ああ!違うよ!まずいんだ!」
「え?」
ナソニールのこと、領主が逃げたこと、
ツイ兄のこと、マトグラーサのこと。
ざっと説明していく。
「そう。逃げたのね。」
「で、今のツイ兄の姿絵。もらったんだ。
ね、ばーちゃんそっくり!」
「母様!!え?これ、ツイミ?」
「うん。びっくりだよ。
俺が目を青くしたら母さんそっくりだっていわれた。
母さんも変装して?
髪は切って?かつらは長期間だとばれるって。
目に入れるのも難しいって。
いい?」
「あなたたちに迷惑をかけているのね? 」
「違うよ?そんなことツイ兄がするわけない。
でも、念のためだ。ここにいるほうが問題だ。
村長にも黙っていこう。話せば迷惑がかかる。
置手紙を書けばいい。
別のところに暮らすってね。
母さんもばーちゃんの娘ってことは知らない。
世話してるってだけだ。
こうなるのわかってたんだね、ばーちゃんは。
さすがだよ。準備して。」
「わかったわ。」
「荷物まとめれば運べるから。
あ!リンゴのある?」
「ええ。たくさん作ってるわよ。」
「やった。急ごう!!」
外れの家だ。
いつの間にかいなくなったとしても、皆が自分の生活に手がいっぱいだ。
探すこともしないだろう。
リンゴのことで今までの恩以上のことは返した。
リンゴの実の酒漬けは内緒だな。
だって、母さんが作ったものだもの。
まだ、誰も知らない。
「すいません。部屋空いてますか?」
門から入らずそのまま、櫓宿に。
ここに何度か来たけれど、
姿は見せていない。
「いらっしゃい。風呂無し3リング、風呂有り5リング。
今ならどっちも空いてるよ?」
「長期だったら風呂有の方がいいかな?母さん?」
「贅沢よ?」
「大丈夫!稼いでるんだから!」
「いいえ。桶で十分。」
「そう?長期なんだ。
とりあえず雨の日が開けるまで。いくらになる?」
「雨の日も含むのか?今年は長いぞ?」
「うん。先に払うよ。いくら?」
「へー。お前たち親子?2人?」
「いや、俺は仕事に戻る。母さん一人だ。」
「153リングになるぞ?」
「高い!」
「そうだろうな。街で家を借りたほうが安い。」
「いや、ここの方がいいんだ。」
「・・・なんで?」
良し、警戒したな。
これで、母さんを探りに来たのなら、先にクスナさんが気付いてくれる。
「いろいろだよ。
じゃ、153リングね。食事は?」
「1食2銀貨。街だと1銀貨で食えるぞ?」
「だから、訳有りなんだよ。
それ、付けて。いくら?」
「・・・・163だな。先に払えるんなら150でいいよ。」
「悪いね。じゃ、これね。」
「・・・。」
「母さん。また来るから。
外にでるくらいはいいけど、街には念のためいかないで?
俺か、あの2人か、一緒の時にね。」
「ええ。」
「荷物あるんだ。運ぶから、何階?」
「8階だ。」
「え?なんで?」
「長期なんだろ?で、訳有りだったら、下の階で
いつも誰かが使っていたら、噂になるだろ?
8階まで埋まることはほとんどないんだよ。」
「8階に何部屋?」
「2つだ。一つは俺の客用だから。」
ワイプ様のことだ。
「ありがとう。じゃ、運ぶね。
・・・・8階か。うん、頑張るよ。」
荷は、荷車で運んでいる。
小袋に入れれば良かったな。
いや、あやしまれるか。
8階の部屋はこじんまりした、きれいなものだった。
「素敵ね。見て!海が見える!!
あら?火が使えるみたい。
十分ね。食事も作れるけど?」
「そうだね。落ち着いたら、そうしよう。
とにかく、今日の臨時集会でどうなるかだ。」
「・・・領主が領民を見捨てるなんて!
いちばんしてはいけない事なのよ!
許されないことなの!卑怯者が!」
母さんはあれのことを悪く言ったことはなかったのに。
ただ、妻にふさわしくなかった、双子を産んでしまった、
それだけだった。
あれを、領主として、父として、夫として認めていたんだ。
「母さん?卑怯者だから、ツイ兄をいいように
使ってたんだよ?」
「そう、そうね。わたしは、ツイミとって、酷い母だった。」
「ははは!そんなこといったら、ツイ兄に怒られるよ?
こうして、今生きてるんだ。それも楽しく。
ね?モウ様も言うよ?日々感謝だって。全てに感謝だって。」
「ええ。感謝しているわ。」
「うん。俺の奥さんも連れてくるから。
ドーガー兄上の妹さんなんだ。」
「あら!ふふふ。あなたもいい顔で笑うようになったわね。
ええ、感謝ね。」
「・・・・母さん。うん。モウ様にも言われたよ。」
「そう。いらっしゃい?抱きしめさせて。」
「うん。」
「お嫁さんを大切にね。悲しませたらダメよ?」
「うん。」
「じゃ、俺はこれで。
よろしくお願いします。」
「・・・・・。なにかあったらどうするんだ?
しょっちゅう来るのか?お前に連絡はできるのか?」
「それはトリヘビで。」
「そうか。親不孝はするなよ?」
「ええ。」
街を見てから帰るか。
お土産にチーズだな。
門からきちんと入らないと。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「開けますよ?」
ワイプが入ってきた。
「開いた!!」
閉じた扉に体当たりしたが、びくともしない!
「なにか食べました?
これ、差し入れです。辛いものですが、米と一緒にどうぞ?
コットワッツのカレーです。水がいります。
卵とチーズはお好みで。
これはアイスですね。解けますからお早く。
ああ、冷凍庫に入れときますか?氷も入ってますよ?
水に入れてください。
そこに。買ったものは冷蔵庫だから。」
「・・・・。」
「臨時会合が終わったら連れていきますから。」
匂いのきついものを持ってきた。
が、腹がなる。
そのまま扉から出ていったが、やはり扉は動かない。
「フーサカ。諦めろ。」
「そうだな。
・・・これ?食べる?」
「カップと食べたものの中になかったな。
辛いって?」
「・・・。辛い!
うん、食べよう。そこ、片付けろ。」
「お前の紙だぞ!向こうに!!」
「ああ、バラバラにまとめるなよ!」
「じゃ、自分でしろよ!!」
「わかってるよ!!」
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる