いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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803:不安定な世界

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彼女が身支度をしている間に、
食べたいものであろうものは全て準備した。


「なにがいい?何でもすぐに出せるぞ?」
「ほんと?んーとね。
ホテルの朝食バイキング系がいいから、
コーヒー
キトロスジュース
コーンスープとカリカリベーコン、スクランブルエッグと、
クロワッサンとハニートースト。
あとお肉系。サボテンサラダもね。
もちろん、おにぎりとサンドイッチも。
で、オムライスとデザートはアイスクリームかな?
どうだ!!」
「すべてあるな。」
「すごい!さすがわたしのマティスだ!!ありがとう!!」
「ふふふ。出すから、その間に、ガイライとツイミに連絡を。
ツイミにはムムロズを寄こすように頼んでいる。
ニックとワイプは忙しいから。」
「あ!そうだね。連絡するよ!」


ん?ワイプとあれにもか。
あれは商談をするからいいのだが、ワイプにはしなくていいのに。
いや、うるさいからな。仕方がないな。

セサミナはまだ鍛練場だな?
ルグ達は?ルグとドーガー、オーロラも外だ。
客もいる?問題なさそうだが、2人だけ強い気をわざと出しているな。



(セサミナ?)
(はい)
(愛しい人が目を覚ました。今から食事だ。
お前たちも何か食べるだろ?
いっしょに食べるのなら、ルグにも連絡して食堂においで)
(はい!行きます!)


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「セサミナ様!お目覚めですか?ご気分は?」

鍛練場に行くと、ルグの指示のものと、
アバサとルーが横になり、息を整えていた。
気の鍛錬だな。
わたしは足上げ腹筋をしながらだったが。

「すまないな。少し気が抜けただけだ。
ん?ドーガーとオーロラは?」
「外です。客も来ているようで、その相手を。」
「そうか。お前たちは?」
「気の鍛錬ですね。この2人は覚えがいい。」
「読めなくても、せめて匂いと、
守りの気は習得しとく方がいいからな。」
「ええ。」

それから、わたしも同じように気の鍛錬を。
足を上げなくてもいいんじゃないか!


「あ!」
「かまわんぞ?」
「はい!」

ルグは外に出てしまった。

オーロラか?
敷地内のことはよくわかるが、
なんだ?ドーガーがいるのに?
問題はなさそうなんだが。


「どうだ?アバサ?ルー?」

いまのうちに休憩だ。

「ええ。面白いと言ったら不真面目ですが、
やっぱり、面白いですね。」
「王都の匂いというのはわかります。
それだけ、避けるっていうことはできないでしょうか?」
「どうして?」
「メディング様に言われたんですよ、嗅覚がいいって。
それを潰すことになるので。
その妖精の匂いだけ?それだけ避けたいとおもって。」
「あー、そうだな。
漠然と匂いを避けるというのではなく、
妖精の匂い、この匂いを避ける?
匂いも、気も、漂っているものと考えればいいのかな?」
「あー、考え方ですか?」
「そうか!匂いを嗅ぎ分けるとき、これと近い匂いを探すっていう
感覚があるんですよ!その逆?
これを避ける?」
「そうかな?姉上の考えだが、
条件を事細かに指定すればいいという。」
「それは砂漠石を使うように?」
「そうなるな。それを己の気で行なうわけだから、
砂漠石にこの匂いを防いでほしいと願えば叶うだろ?
どれだけの石を使うかわからないが。
それを自分でするということだ。
この匂いを避ける?防ぐ?自分で指定すればいいのでは?」


この考えは移動に、呼寄せにも通じることだ。
それができるかどうか、気付くどうか。
できないという思い込み、これが強いのは確かだ。
切っ掛けがあれば誰でもできるということだ。
その切っ掛けが姉上の言葉。

できるものはいる。
我らが王も話を聞く限りは移動ができる。
それを今まで誰も知りはしなかった。
院関係は知っているか?
それもわからないな。
そうだと思えるのは、自分ができるからだ。
できなければ、疑問にも思わないし、
気付きもしない。

姉さんは不安定な世界だという。
いや、そうではない。
すばらしき世界だ。
そして、わたしたちが統治する世界だ。

できることをしていくのみ。

鍛錬はしていこう。

兄さんからの連絡で食事にすることに。


(ルグ?姉上が目を覚ました。いまから食事だ。
兄上が一緒に食べるなら食堂にと)
(わかりました)

─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

「何をやってる!!!」


オーロラが、すぐにルグさんの後ろに隠れた。
え?震えてる?


「オーロラ?どうした?」
「ル、ルグ!ドーガーが!ドーガーが!」
「ドーガー!!」
「何もしてませんって!手品を見せただけです!!」
「ああ!オーロラ?怯えることはないぞ?」
「お、怯えてなんかない!!!!」


子供に見せるときは気を付けよう。
テール殿にも手だけを使った奴だったんだが、
奇異の眼で見られたからな。



「錯覚もあるんだよ?
指だけならわたしもできる。ほら?
でも、こうしているだけだ。な?」
「あ!」
「ドーガーはそれがうまいんだよ?」
「オーロラ?驚かしたか?
わたしは体がやわらかいんだよ。
で、わたしよりすごいのが師匠だ。トックスさん。
知ってるだろ?」
「トックス!あのひと?」
「うん。で、この型はモウ様から教わった。
それから改良もしている!
みてろ?これはかっこいいから!

ほら!」


「おおお!!!」

これは子供たちには大絶賛の型だ。


「それで?何で、それを披露することになったんだ?」

人体の急所、コープルの話をする。

「コープル?わたしも知らない。
それはわたしも教えてほしいな。
いいか?」
「俺が教えるの?」
「そうだな、オーロラ先生だ。」
「へー。先生か!いいな!
あ!これはルグでも報酬を出せよ?」
「もちろんだ、なにがいい?
あー、金と命のやり取り以外で。」
「金はいい。誰かの命もいらない。
俺な、あの鍛練場にあっただろ?机と椅子。
あれが欲しい!」
「ああ!だが、あれはセサミナ様のものだ。」
「ダメか?」
「あれはな。お前専用にわたしが作ってやろう。
一緒に作ってもいいぞ?」
「!!それで!!」
「わたしは?」
「・・・・その型を教えてくれたらいい。」
「そうか!良し!」
「ふふ。ん?ドーガー?あれか客は?」
「そうです。名乗りもしませんでした。」
「では、捨て置こう。!」

ルグさんが止まれと手を出す。
連絡?
どちらかに連絡がある場合は、
どちらかは廻りを警戒する。
少し無防備になるからだ。

「セサミナ様だ。モウ様が起きたらしい。
これから食事だそうだ。マティス様が一緒に食べるなら、
食堂に来いとおっしゃってくれている。
行こうか?」
「「はい!」」


移動で中に入ることもないので、
3人で表入り口に廻ると、
ずっと見ていた客が、怒鳴り声をあげる。


「お前たち!!
あ、お前!まだ話が分かりそうだな!!中に入れろ!!」
「・・・・ドーガー、オーロラ?
先に中に入っていろ。後で行く。」
「わかりました。行こう、オーロラ。」
「あ!取っとくから!
おいしいもの!取っとくから!」
「ああ!ありがとう。うれしいな。そうしてくれ。
甘味もな?頼むぞ?」

ルグさんは、うれしそうに笑い、
それをみてオーロラもうれしそうに笑った。
ああ、父さんの顔だ。
家族なんだな。


「いこう!オーロラ!」
「うん!」



(セサミナ様?)
(なんだ?)
(ルグさんが客の相手をします。先に食べていてください。
わたしたちはそれを見学してから行きます)
(わかった。外には出るな?
お前から見て問題なら、すぐに呼べ?呼び戻すから)
(はい)


「ドーガー?」
「こっち。この陰にはいって、気を完全に消せ。
ルグさんがどう対応するか、見せてもらおう。
勉強だ。」
「え?飯は?」
「大丈夫。ちゃんとわたしたちの分もあるよ。
あとで、一緒に食べよう。」
「ああ!その方がいいな!」


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