804 / 869
804:涙目
しおりを挟む「ルグたちは客の相手をしてから来るそうです。
それをドーガーたちは見学するようで。」
「じゃ、まっとこうか?
そんなにかかるもんでもないでしょ?
食べ終わる頃に、ムムロズさん呼んでるんだ。」
「タフトの新顔役ですね?商談?」
「うん。先に済ませたいことがあったから。」
「姉さん?その不安は不要ですよ。
本来の商談の方もしてください。」
「うん。そうする。ありがとう。」
待っている間に、アバサとルーに緑目を見せる。
やはり、聞いていた緑目と違うが、
2人ともいつもと同じですね、と笑われた。
あとはカレー販売のことや香辛料の話。
大門の問答については、
マティス様が悪いと思いますよ?とも。
そうだろうそうだろう。
納得がいかないというマティスの顔がかわいかった。
ムムロズさんとの商談がダメでも、今ある硝石は即回収しよう。
セサミンに話すと決めた時点で呼寄せれば良かったな。
いや、契約、筋は通さないと。
ダメなら、うん、仕方がない、安眠の為だと思えるな。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「はい。お呼びですか?どちら様で?」
「中に入れろと言っている!どれだけ待たすんだ!!」
「?うちの者も聞いたとは思いますが、
どちら様で?」
「・・・。」
「名乗りのない方は対応不要となってます。
なぜなら、名乗れないという後ろめたいことがあると考えるからです。
ああ!先日いらした天文院の方はもちろん、名乗っていただけましたよ?
ここでその方の名前はいいませんが。
さすが、護衛を2名も引き連れていた方だ。
自信がおありでした。
ただ、お尋ねの件は、元天文院の職員のことと、
その職員に付けていた隠密の行方をお聞きになっていた。
どう答えていいものやら、知らないとだけ答えましたが?
天文院の方もいらっしゃるようだ。その件ですか?」
「わたしは中央院だ!!」
「申し訳ない。しかし、名乗っていただかないとわからない。
それで?もう一度お聞きしますが、どちら様で何用ですか?」
「・・・・わたしは中央院に務めるものだ。」
「はい、中央院のどちらさまで?」
「・・・中央院、ランドアだ。」
「ええ、ランドア殿。何用ですか?
なにか、通達かなにか有りましたか?
その書面、お預かりしますが?」
「・・・いや。ここ、コットワッツで従者を求めていると聞いた。
それで、尋ねてきたんだ。」
「ああ!なんだ!
それで、こちらに?早くおっしゃっていただければ良かったのに!
後ろにいらっしゃる方々もそれで?
お名前いただけますか?
端の方からどうぞ?」
小さな紙に記入していくが、
オーロラが知らないといった二人は、
この問答の間に姿を消した。強いな。
合計11人か。
「はい。えーと、まだ、各院をおやめになったわけではないんですよね?
所属院を名乗られているし。
後日、こちらから書類をお送りします。それぞれの院に。
それにご記入の上、返送してください。
面接日を追ってお送りします。
遅くとも、この月末にはお送りしますので。
その手紙が来ない場合は、その時点で不採用ということで。」
しばし、皆が考えている。
わたしもこの話をモウ様に聞いたときに、
どういうことだと考えた。
「つまり、ふるいにかけてるんだよ。
まずは書類選考だ。
就活戦争は過酷なものなんだよ?
採用側として、そもそも手紙を出さないこともあるんだけどね。」
「しかし、手紙が来る場合はあるんですよね?
そして、記入して送り返すと?」
「そうだよ。それで選ぶんだ。
書類には結構その人の人柄が出る。
文字がきれいとか、大きさがそろているとかね。
文字が書けないならこの場合は不採用だね。読めない場合も。
よほど人より秀でたものがあるんなら、
代筆とか頼むでしょ?それすらできないんなら、
話にならない。
才能が有ってもそれを生かせない人。
もったいないね。
でもさ、そんな人とっくにどこかに取られてるよ?
ここの手紙配送事情は緩やかだから、
取りに伺いますとか言うんなら見込み有りなんじゃない?
次の日も来てるとかね。
まー、たぶんないね。」
「?」
「まずね、書類選考に登録する段階でふるいに掛けられる。
で、登録できても、書類選考で落とされる。
面接までこぎつければ御の字だ。
で、お祈りメール、ああ、不採用の連絡。
採用されても、後で交通費が出ないとか?
ふざけんな!ってことで、わたしは独立した。」
「な、なるほど。」
「ま、ここは買い手市場だ。採用するほうが有利。
より良き人材は集まるときは集まる。
こちらがブラックではない限りね。」
ぶらっく?
わからないがよろしくないということだろう。
「では。」
「?待て!我々は中に入れろと言っているんだ!」
「?どうして?」
「お前では話にならん!さっきの若いのとガキもな!
お前もだ!!上官を呼べ!!」
「セサミナ様を呼ぶわけにはいかないだろ?
従者の採用はわたしに権限がある。」
「何を言っている?
お傍付き筆頭ルグ殿が来ているだろう?それを呼べ!」
「わたしがルグだ。」
「あはははははは!
お前が?あの筆頭ルグ?うそをつくのもいい加減にしろ!!」
「嘘ではない。」
「いいから!中に入れろ!」
「入れる理由がないし、手紙も出すこともないな。
全員不採用だ。」
「はん!何の権限があってだ?」
「わたしが傍付き筆頭ルグだからだ!!!」
ドドン!
気を放つわけも行かないから、
気を纏わせた、槍尻を地面に打ち付けた。
それでだけで、11人ともひっくり返っている。
ダメだな。
「失礼する。」
振り返ると、ドーガーとオーロラが、
拍手をして出迎えてくれた。
やはり見ていたのだな。
「かっこいいな!」
「ふふ。そうか?」
「気ですよね?どうやって?」
「少しな。己が纏う気を、
槍にも纏わす。で、地面を伝って、廻りに拡がるんだ。」
「すごい!」
「モウ様がおっしゃっていた、アホンダラガの応用だ。
気を押し出すというものだ。」
「あ!それ!アホンダラガ?
こう、ガツンって来た奴だ!」
「おお!やりたい!」
「そうだな。それも鍛錬しよう。
その前に飯だ。」
「「はい!」」
食堂に行くと、皆が待っていてくれた。
手を洗い席に着く。
オーロラも不思議に思いながらも一緒に。
モウ様とマティス様は隠すことなく緑目だった。
だれも何も言わない。遠慮してではない。
なぜならいつもと変わらないからだ。
食事が済み、食後の甘味の時に、
アバサが、ルーとオーロラにするぞと、合図を送る。
あれか?
オーロラたちは、3人で練習した絶賛の言葉を
同じ動きで回転しながら披露した。
「「「さすが監督!素晴らしい!!」」」
「そうであろう、そうであろう。チミ達も精進したまえ!」
モウ様はご機嫌にアイスにチョコの溶けたものを
3人にかけている。
それを人が殺せそうな目でドーガーとセサミナ様がにらみつけるので、
彼らにも。もちろん、わたしにもだ。
マティス様には、はあとマークね?と言ってかけていた。
オーロラは来年から売り出すと聞いて、
これを買う為に金を貯めると宣言した。
客にしたことを説明すると、
モウ様がものすごく喜んでいる。
「アホンダラガ!!!!
技の名前になってる!!!
バカチョメラとかもあるよ?」
「ケチョンケチョンは?」
「そうそう。コテンパンのけちょんけちょん。
んー、それは状況だね。
相手に言うのは、
アホンダラガ、
バカチョメラ、これはちょっとかわいい系かな?
前に話した、耳の孔に指突っ込んで奥歯ガタガタゆわしたろか?とか?
これのもう一つは下品だから言わないよ?
亜種として耳の孔にストロー突っ込んで脳みそ吸うたろか?とか?
定番はドタマかち割るぞ?ワレ?とか?
んー、ボコボコにイテコマスぞ?どつくぞ?オラ?とか?
そんなんかな?」
みなが、下を向いている。
わたしもだ。怖い。
「なんで?なんで?
舌廻してないんだから、ただの言葉だよ?
こんなんで委縮してたら、地元で生きていけないよ?
んー?
今、目があいましたか?
なにか、お話があるのでしょうか?
どうぞ、おっしゃってください。
ご無体をおっしゃられると困りますので、一度、
ご気分をすっきりさせた方がいいのでは?大丈夫ですか?
この大丈夫ですかっていうのは心配してじゃないよ?
これをね、地元ではこういうの。」
モウ様は立上り、背を少し丸め、右肩を前に出した。
あ、何かが来る!!
マティス様はセサミナ様を。
オーロラはわたしが。
ドーガーはアバサとルーを。
アバサとルーもさっそく実践だ。
守りの気を出す。
「ちょ、マテや、ワレ?
いま、ガンくれたんとちゃうんか?ああ?
なんぞ、文句あるんやったらハッキリゆうたらんかい!
ガタガタほざくんやったら、いっぺんドタマかち割ったろうかい!
アホンダラが!!!
って、これが、目が合った時のあいさつね?
うふ。ちょっとおふざけがはいったけどね。
え?」
気を失うことはなかったが、
涙目になってしまった。
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる