いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「アバサとルーは正式に門から出るからな。
私も一緒に出る。
王都も見学したいだろうが、今は我慢してくれ。
愛しい人が撃たれたことは皆が知ることになっている。
なのに、従者が王都見学をしているのはおかしいからな。」
「もちろんです。
あ、でも、メディング様のところには挨拶してきてもいいですか?」
「そうだな、あの番号のことも聞かないとな。
送った後に、こちらに戻るから、
ツイミをワイプのところに送ろう。
同じ話をすることになるが、
セサミナにタフト館でのはなしをしていてくれるか?」

ツイミは少し疑問に思ったのだろう、
それは愛しい人がするのではと。

「悪いが、私たちは説明がへただと言われているんだよ。
私は結果しか言わないし、愛しい人に説明をしてもらうと、
バンとか、ビュンとか?
いっしょにいればよくわかるんだがな。」
「ああ!しかし、どこまで?」
「?べつに秘密だとか何も言ってないだろ?
だったら全てかまわない。
あの女のことか?
私でも同じことをしているよ。
いや、そのまま帰すことはしないか。」
「全てご存じで?」
「愛しい人のことは、何もしなければ、
全てわかっている。
セサミナには全て。ワイプにもだ。
オートが同席していれば、あとでワイプだけに報告。
彼女が言うようにオートを悲します必要はない。」
「わかりました。」


生産院まで移動し、裏に回る。
ここから、メディングの管理している屋敷に直接向かった。
裏から回れば面倒な門番とのやり取りもいらない。
匂いの防御もうまくできるようになったみたいだ。
アバサは特に妖精の匂いのみ排除している。
それのみ鼻に入らないようにすればいいということか。
素晴らしい考えだ。
愛しい人に教えれば喜ぶだろう。

「不在でしたら、また表にまわるんですか?」
「いや、呼べば来るだろう?」
「ああ!マティス様の声はよく通るから!」
「そうだな。」


『メディング殿!マティスだ!
屋敷の裏にいる。急ぎの用事だ。
便所以外、1人ですぐ来てくれ!!』

便所以外待っていられない。

「マティス殿!!大声で呼ぶのはやめてくれ!」

本人には大声で呼ばれたと思うのだろうな。
すぐにやってきた。

「モウ殿は?撃たれたというのは?
傷は?あ!本当に緑目だ!!!」
「ああ、隠すことはやめたんだ。
愛しい人のことは心配無用だ。愛しい人が対象の緑目が、
こうして動いているんだ。問題ないのはわかるだろ?」
「あ!そうか!しかし、倒れたと!」
「メディング殿だから言うが、寝不足だったんだ。」
「え?」
「それをよそに言うか言わないかは、
メディング殿が判断してくれ。
なにせ、彼女は仕事を、するべき仕事をするものを好むから。
無駄な心配はするな。」
「そうなるのか?それで?」
「ああ、アバサとルーは、臨時に傍付き見習いになっただけだからな。
すでに館にひっきりなしに人が押し寄せてくる。
万が一のことがあるので、コットワッツに帰すんだ。
その前に2人が挨拶をしたいというから、連れてきた。」
「帰すって?2人だけで?その方が危険ではないか!!」
「ああ、送るんだ。私が。移動だ。」
「!領主の力?それを?」
「そうだ。変動の後からだ。わたしは領主ではないが、
父は一時期、私を領主にと考えたことがあるとか。
その影響かもしれん。なぜ領主の力が私に使えるかというのは、
誰にもわからんことだ。
他にも使えるものもいるかもしれんが、言わないだけだろ?
私が移動できるのは会合で見せたからな。
別に秘密ではないぞ?」
「わかった。」
「メディング様?これで、失礼します。
今回のこと、大変勉強になりました。
また、香辛料のこと、カレーのことでなにか発見があれば、
連絡してもいいですか?」
「もちろんだ。カレーの元も購入したいからな。
それは?」
「モウモウ商会で扱ってもらいます。」
「そうか。では、モウモウ商会を通じて購入しよう。」
「あ!それと、後半に大量に買ってくれた貴族の方がいらしたでしょ?
もし、問い合わせがあったら、モウモウ商会で扱うっていってもらえますか?
きっと気に入ってくれたと思うんです!」
「ああ、あの方は中央院のクロモ殿だ。」
「?クロモ殿なら私も知ってるし、私を見つければ、
声をかけてくるだろ?私も見つければ挨拶はするぞ?」
「ん?そうか?その時マティス殿は、ん?どこにいた?」
「いや、ずっと、アイスの攪拌と米を炊いていたが?」
「マティス様?門番の方がいらして、話してましたよ?
たしか?」
「そうか?あの時か?なるほど。
クロモ殿はコットワッツのお得意様でもあるからな。
カレーを気に入ってくれたのならうれしいな。
高級なポット扱っているだろ?
それで、作るのもいいな!」
「マティス様!!売値がものすごく高くなりますよ!」
「ポットの肉に合う元を作ればいいんだよ。」
「「「おおお!さすが、メディング様だ!」」」

そこから、海鮮にあうカレーの話や、
オムライスのカレーソースの話。
もっと話しいたいようだが、ゆっくりもしていられない。
では、また連れてきてもらいますと、別れた。

その時に、試作品だと袋を渡していた。


「なにを渡したんだ?」
「「辛玉です。」」
「?」
「辛い、ものすごく辛いものを寄せ集めて、
薄い小麦焼きに包んだ物です。
投げつけると割れて、目が痛くなるものです。」
「モウ様に教えてもらったんですよ?」
「・・・・。投げつけるときは風向きに注意しろ?
それと似たようなもので、煙玉というものがある。
別に煙を閉じ込めているわけではないが、煙が出るものだ。
最初から煙があるところで使ったら、むせて、廻りが見えなかった。」
「「あー。」」
「しかし、うまく確認が取れたな。
あれだと、わざわざ聞きに来たとは思わないだろう。
さすがだな、アバサ。
しかし、クロモ殿か?
私は本当に門番と話をしていたか?」
「「?」」
「いくら、資産院前でも、警戒はしていたんだ。
ワイプはいいとして、別のものが文句をいうかもしれないからな。
匂いもあるものだし。
門番と話したのは覚えている。
が、10人前以上だろ?その間、私はずっと話していたか?」
「門番の方が来て、
よく来てくれたって、6人引き連れていて紹介してましたよ?
剣のマティス殿だって。ちょっと自慢げでしたけど?」
「門番入れて、6?」
「いえ、別で6人です。
ただ、1人の方は紹介まで行かなかったんじゃないかな?
最初に紹介した人が、その場でカレー食べてくれて、うまいって大騒ぎして。
みんな競うように食べ始めたから。」
「・・・・・。」
「マティス様?」
「門番と別で5人だ。他はいなかった。」
「あれ?見間違いかな?んー?でも、6人だと思います。」
ルーは、もう一度思い出しながらそう言い切った。

なぜそこまで言い切れる?
それに、どうしてそこまで廻りを見ている?

「アバサは?」
「何人かは覚えていませんが、一歩引いていた人はいました。
それを数に入れたんじゃないか?」
「いや、同じ仲間だったよ?帰りは笑いながら帰っていたから。」
「・・・・。」
「マティス様?不思議ですか?」
「ああ。そこまで観察しているのが逆に不信になるが?」
「・・・・変に思わないでくださいね。
わたしたちはこうやって、生きてきたんですよ。」
「?」
「廻りが何を考えているか、相手はなにを要求してくるのか?
自分にとって得か損か。
それを見抜いていかないと、自分たちの立ち位置はなかった。
だから、常に廻りを観察していましたよ。
自分が不利になりそうなら、その場から離れたりね。
だけど、あの、街での奥方たちや、その旦那さんたちの、
なんていうんだろ?こっちのことはどうでもいいっていう、
話の仕方には驚きましたけどね。」
「モウ様に教えてもらった、話題を変えるっことでなんとか、ね。」
「だから、廻りの動きは常に把握しているつもりです。
小さいころからね。
もちろん、自分の廻りだけですよ。自分の領地だった領民が
苦労していたなんて知らなかったから。
いや、知るつもりもなかった。」
「そうだな。知るつもりがなければ、知らないことだらけだ。
しかし、廻りの動きか?それは、武ではないな?」
「違います!違います!
母がまた、無理をいいそうだな、とか。
父や兄たちがまた何か話しているなとか、そういうのです。」
「そうか。それは、いろいろと役に立つな。」
「そうですか?自分を守るためで、
人にはあまり役に立たないですよ?」
「いや、それは役に立つんだよ。
だから、樹石の特性にも気付いたし、いまだって、役に立った。
ありがとう。」
「え!あ!そうですか?それならうれしいな、な?ルー!」
「ええ。でも、疑問が出ますね。どうしてだろ?
六人目をマティス様が認識できなかたなんて。
紹介してないからじゃないですよね?」
「なにか、使われたか?糸?匂い?石か?
わからんが、その時、私がクロモ殿を認識できなかったというのが事実だから。」
「問題ですか?」
「それもわからん。今はな。
私はどうだった?何か気付いたことはあるか?」
「ん?こちらは見てなかったことは確かです。
大量注文が来たから、呼ぼうと思ったけど、お話していたから。
それで、メディング様が相手をしてくれたんですよ。」
「そうか。また、なにかしら、頼むことがあると思う。
呼んでもいいか?その時は迎えに行くから。」
「もちろん。いつでも。」
「ありがとう。よし、出るぞ。
アバサが言うか?3人の名前をいって、退都すると。
足止めはここではないはず。
さんざん、愛しい人がごねたからな。
外に出てからすぐに追ってくるだろう。」

そう思っていたんだが。



「ダメだ!いま、王都のすべての門は閉鎖中だ。」


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