いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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通用門の前が人と荷車、馬でごった返していた。
聞けば、軍要請で一時閉鎖ということらしい。
出ることも入ることもできない。

(ニック!)
(お?どうした?)
(門が軍要請で閉鎖中だ。開けろ!)
(あ、それ?今ダメなんだよ。
やっぱ、銃のことでなんかしとかないとって)
(迷惑だ!)
(お前は出入りできるだろ?)
(アバサとルーをコットワッツに帰したい)
(そうか。んー、勝手に帰って、閉鎖が終われば、また来れば?)
(そうなるか)
(で?モウちゃんは?)
(起きてるぞ?そうだ、ムムロズとの商談はできなかった)
(え?なんで?)
(向こうが断った)
(だからなんで?)
(その時、ツイミが同席している。
その説明をワイプにするからその時に一緒に聞けばいい)
(いつ?今から?)
(そうだ)
(じゃ、呼んでくれる?)
(資産院だぞ?)
(ん?かまわんよ?予算の確認っていえるし)
(わかった)


「マティス様?あの男です、6人目。
やっぱり門番仲間ですね。」
「マティス様を自慢気に紹介した門番もいますが、
こっちには気付いてないみたい。
服が違うから?」
「私は気付かれないように気を落としている。
お前たちは、屋台で売ったときは、
白い服と頭に布を巻いていたからな、わからんだろ。」
「それも、気の鍛錬?」
「そうだな。相手に敵意がない、気にするなと思いながら
気を纏う。」
「じゃ、6人目もそれで?」
「そうかもしれんな。それでも気付かないようでは、
護衛職としては話にならないんだが。」

あの男。
気配消しができる男か?
だが、目をつぶることで気配を消すのではないのか?
知らない話ばかりだ。



ここで、商売するのもいいかもしれないとおもったが、
今ではないな。
アバサとルーを湿地に送り、月無し石も残しておく。
ここにも何個かいるはずだが、彼ら2人専用にだ。
留守番をしてくれた馬に、おいしい水も出しておこう。
湿地の柵に労いも。

それらを済ませて、館に戻った。








─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘







マティス様が、アバサ殿たちを送りに行っている間、
今回のことを説明した。


「オート殿の婚約者?」
「ええ。」
「オート殿は、その間者的なことをしていたことはご存じだと?」
「はい。」
「それでも婚約者?」
「そうですね。モウ様が、それは仕事なんだから、
包容力も大事だと言われ、納得はしたようです。
基本、問題があれば、ワイプ様が対処しますし、
ワイプ様も別にいいのではないかと。
オート院長もワイプ様に問題なければ、いいという考えです。」
「本当に問題はない?」
「オート院長は人を使います。
流せる情報を流すつもりです。婚約者を使って。」
「それもすごいな。」
「ええ。ワイプ様も感心しておりました。」
「では、こちらからはなにもいうこともないし、
することもないな。
そのムムロズ?ニック殿の同期の方ですね。
その方は商売を引いた理由がわからないと?」
「はい。タレンテ家の通知が来たからではないと思います。」
「姉上はできれば商売につながればいいと思っていただけなはず。
今後のことを考えてだ。
姉上なら、単独でもできるのだから。
が、どうしてそうなったかは気になるところだな。」
「それは資産院としてわかる範囲で調べるつもりです。」
「報告できる内容なら教えてください。」


「戻った。」
「お帰りなさい、兄さん。」
「門がすべて閉鎖している。銃絡みでらしい。
こっちは移動できるから問題ないが、
アバサとルーはここに滞在していることになる。
それだけ気を付けろ。」
「閉鎖ですか?入ることも?」
「そのようだな。そうなると何日もすることはできないから、
今日いっぱいだろう。
だから、カップの戻りも明日以降だ。」
「それはかまいません。ツイミ殿?
ワイプ殿の指示に従うようにカップに伝えてください。」
「わかりました。」


「・・・カップ?」
黙って聞いていたオーロラ殿が尋ねる。
「カップはわたしのすぐ下の弟ですよ。
ああ、これは内緒です。皆には同じ村の出身で、
仕事を世話したということになっています。」
「?内緒の兄ちゃん?」
「ええ。」
「・・・・あんまり強くない兄ちゃんだな?」
「そこはね、わたしは全くダメです。
カップからあなたの圧で動けなかったと聞いてます。」

(ツイミ殿?)
(早めに話しておいた方がいいですよ?何も問題はないのですから)

カップと彼はまだ対面していないようだった。
先に話しておく方がいい。
素直すぎるというが、些細なことにでも騙されたと感じるものだ。

「・・・・。」
「先程の話と同じです。仕事ですよ?
お互いがです。」
「オーロラ?なにも問題はないぞ?
手を抜いた仕事をしていたわけではないんだから。」

ルグ殿が念押しだ。

「いいの?」
「いいも悪いもないぞ?どうして?」
「弟を守るのが兄なんだろ?だから、マティスはセサミナを守ってるって。」
「それが?」
「だったら、カップをその押した俺はツイミからすれば敵?」
「どうして?仕事としての話でしょ?
こちらに戻れば、相手してください。
カップもまた強くなったそうです。わたしにはわからないんですが。」
「・・・・。」
「オーロラ?ツイミは私の理解者だ。
その彼が言っているんだ、何も問題がないんだ。」

マティス様もオーロラ殿を大事にしているのがわかるな。

「マティスの理解者なの?賢いってこと?」
「そうだ。ルグとツイミがいうことは概ね正解だ。」
「え?マティス様?概ねなんですか?」

これはルグ殿が。

「当然だろ?誰だって間違いはある。知らないこともある。
私にも愛しい人にも、セサミナにもだ。
何もかも信じるな?」
「うん。わかった。
・・・ドーガーはあんまり信じちゃだめだよな?」
「「「正解!」」」

マティス様と、セサミナ殿、ルグ殿だ。
3人ともなぜか嬉しそうだ。

「どういうことですか!!!」
「「「「ドーガーだから?」」」」
「なんでだよ!!!」


ドーガー殿はそうなんだ。


「では、兄さん?今から?」
「そうだ、ワイプのところに。
ニックも同席する。」
「では、姉さんも?」
「そうだな、一緒の方がいいか。」


(愛しい人?戻っておいで?)
(うん!今から戻ります!!)



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

マティスだ。
ムムロズが?わからんな。
そろそろ切り上げるか。

「、、、、と、こんな感じな。
相手の体重は関係ない。
むしろ重いほうがいい。
が、これはどうしようもない時だけな?
手首を掴まれたら、手を開いて、怖いけど踏み込んで、
捻って、逃げる。なんせ、逃げろ!変な奴を見たら逃げろ!
それが一番の防御法だ。」

みなが、ルカリをひっくり返す。
もちろん、ルカリ自身が飛んでいるが、感覚はつかめる。

ガイライはあの女からまだ話を聞いているのか?
胡散臭い笑顔で。
だいたい、みなは勘違いしてるんだよ。
ガイライほど胡散臭い奴はいないんだから!
耳が聞こえなくなって、それもなくなったんだが。
戻ってさらに胡散臭い!
それをモウちゃんは褒めるから、さらにだ。

聞こえる耳と自信と権力と守る主がいるんなら、
怖いよ?ガイライは。

俺でも怖い。



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「そうですか。
その彼は、頼まれて?
ああ、いいですよ?聞いた話なんだ。
あなたが聞いた話をしてくれればいい。
あくまでも聞いた話、聞こえた話だ。
それで、彼をどうこうすることはないです。」
「ほんとうに?」
「もちろん。第三軍、副隊長の言葉ですよ?
彼にいっさいの危害はない。」

彼は、だ。

「よかった。
もともとは、支払いの代わりに銃を寄こしたんです。」


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