いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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844:宴会芸

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「違い、ます。」
「ははははは!わかってる。結果論だ。
砂漠でそのまま過ごさせたのも、情があったからではない。
使えるからだ。いつか始まる戦争で。
ガイライだけはね。
ああ、セサミナもかな?
和解はいつでもできたんだよ?
セサミナ主導で。
わたしがいなくてもあのタイミングだったろうね。
変動の後だ。
剣が傍にある。
そして大好きな兄さんだ。
だけど、ま、死んでもいい手駒だ。」
「え?」
「ん?彼は領主だ。
領民とマティスじゃ、当然マティスだよ?犠牲にするのはね。」
「それは、そうですが。」
「ルグよりドーガーよりも使い捨てに出来るんだよ?
なんせ、兄弟だからね。悲しむのは自分だけで済む。」
「・・・・。」
「で、この考え、マティスは使える手駒だっての、
ガイライもだろ?」
「!」
「武の大会の褒美で副隊長を選べと、
ルグとドーガーに言ったけど、
甘かったね、その考え。
今ならそんなこと言わないよ?
軍に入った時点で守るべきものは国だ。
コットワッツを、セサミナを優先できない。
優先できるんなら軍ではない。
平和ボケしてたんだ、まだ。
ガイライも甘いと思ったけど、違うよね?
切替ができるんだ。
うふふふ。素人が生意気言ったよね、ごめんね。」
「・・・・・。」
「それで、これはわたしからの、お願い。
主でもなく、母でもなく、ただのわたしとしてのお願いだ。
その考えはかまわない。
当然だ。軍が優先、領国が優先。
それは主として臣である2人に求めているものだ。
だからマティスを使えるなら使っても問題はない。
だけど、
あの人を騙さないで。うそで動かさないで。
駆け引きはしないで。
正直に話してくれればいい。
言えない事なら、言えないと言えばいい。
どうしても嘘で動かすのなら、それを気付かせないで。
後悔させないで。でないと、何もかもなくなる。
何もかもね。それはあとできっと悲しむ。
それはわたしも許せない。
だから、後悔させないで。それだけだ。」
「モウ。ええ、約束します。
主ではなく、母でもなく。あなた自身に。」
「ありがとう、ガイライ。
・・・・ああ!」
「え?」
「笑える奴はいいよ?」
「笑う?」
「んー、笑うというより驚かす?あのねー、こういうの、、、、」

モウは、ニコリと笑い、
口元に2本の指を添え、息を吐きながら叫んだ。

「ニンポウ!ブンシンノジュツ!!!」


小さな紙が舞う。
え?っと思った瞬間に、その紙が大きくなりゆらゆらと動き出した。

「!?モウ?」

モウが何十人といる!しかし、紙?うすい!
え?

「移動と呼寄せの応用だね。布の模様入れもできたでしょ?
たぶん石使いならできる。ただ、ものすごく石を消費してしまうけど。」
「これは?紙ですか?」
「そうそう!自分の大きさに紙を切るでしょ?
あ、一番お安いのね、それをつなぎ合わせてね。
で、小さく丸める。で、口から出たように見せかけるために
大きく息を吐く。
実際は移動で地面に置く。
小さな紙はゴミになるからこっそり回収。
で、丸まってる状態を伸ばす。
破れないように引っ張ってもどすのね。
で、動かす。複数を同時に動かす場合は、
それぞれを意識するんじゃなくて、
それぞれのポイントを動かすって感じで、こう、ね?」
「おおおお!!」
「うふふふふ。驚いた?」
「はい!」
「これさー、ちょっと怖い話するけどさー。」
「はい?」
「死体でやったら怖いし、倫理的にアウトだよね。」
「あ、あうと?ダメってことですよね?ええ、ダメですね。」
「だよね?」
「それに、やはりモウのその考え方はあまりひとに見せないほうがいいでしょう。」
「そっか。ある程度は石使いすごい!って思ってくれるんだけどね。
加減が難しい。
でもこれ、言霊とかそんなの関係なしでちょっとだけできるよ?」

大きな背負子を呼寄せ、そこから
道具を出している。
ここで、なにを作るんだろうか?

「ん!関節はこうか?おお!いいんじゃないの?」
「顔は?ヘンメンだ!ヘンメン!!ヘンメンを題材にしたエイガよかったんだー。
理屈は分からずじまいだったけど!!
これ、こうすればいいかな?うん。
端の人だけおふざけ顔とか?」
「ん!!見ててね?」

なんといえばいいのだろうか?
中央にモウ、左右に紙人形が3体ずつ。
細いブラスで繋がっている。


ホ!ホ!ホ!ホ!

水平方向の動きだけ連動しているのだが、
いや、どうなんだ?
あ、腕はあがるんだ

ホ!ホ!ホ!ホ!


顔が変わる!
端だけ違う?動きも?



ホ!ホ!ホ!ホ!

端の人だけが何も動かなくなった。


「どう?」


わたしは、腹を抱えてうずくまってしまった。
何もできない。
息ができない。
アヒルの歌以上だ。



「んー?ダメだった?
これ系、宴会芸がダメなのかな?
一発芸を見せろってことないの?
うけるよ?たぶん。練習しようか?
2人でやって、みんなを笑い死にさせよう!!!」



え?これを?




今、マティスは個人の鍛錬をしている。
とてもじゃないが、誰も鍛錬内容に付いていけない。
その内容も首をかしげるものだ。
が、本人には合っているのだろう。
その間、モウはいつも拳の鍛錬をするとやって来たのだ。

鍛錬はするが、主としての話、臣としての話、
モウが疑問に思っていることに答えることが多い。

血殺しや、決闘。
宣言の使い方。
貴族の名前。それに誓う願い。
マティスはあまり知らない事柄。
セサミナ殿に聞けば心配する。
ワイプは教えてくれること教えてくれないことがあるだろう、と。
わたしに聞いてくる。
わたしは臣として答えてしまうが、
ダメなものはダメと言ってくれればいいという。


今日はキャムロンの話から裏門の話、
下町の話、そこでどんなことをしていたかの話となった。

そして、話を金で買っていたという話をした。
それからこの宴会?芸?の練習だ。


「あ!こういう鍛錬もあったような気がする!!」

それぞれの腕をブラスで結び付ける。
向かって合っているので、相手の動きが連動することになる。
強制的に。

「ん?なんか違うけど、これで、型やってみて?」
「そうか、相手と逆の動きをしないとダメだよね?
引きなら押すと。でも上下は行けるか?」

マティスだ。マティスと思考が同じなんだ。
1人で考え、1人で納得している。
これがなんの鍛錬になるのだろうか?
が、母が、我が主が思いのほか楽しそうだ。
拳の同士としても付き合ってもいいだろう。


「わからんように移動使うのはあり?」
「こんな感じで?」
「あはははは!!いかにもって感じ!!」
「うん!ガイライってばすげぇ!!って思うよ!」
「綿入れる?骨組み作って?」
「ちょっと布買って来て!!わたしが動くとマティスにばれるから!!」




「我が主!!素晴らしいです!」
「ん?この場合、主は関係ないだろう?もちろん母もな?
拳の探求者だ。が、我の方が知識はあったようだな。
なので、我のことは先輩と呼べばよい!!」
「ああ!!先輩!!先輩!!偉大なる先輩!!!」
「うむ。が、この鍛練の時だけだ。
でないと、いろいろ廻りがうるさい。」
「はい!」
「あとはもっと自然になるように鍛錬だな!!」
「はい!」


いつでも披露できるように練習だ!


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