いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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ま、聞いてくれな。

あれらのことは、かなり昔にベリアバトラス、
ナルーザに近い街で聞いた。
ナルーザでは話すなよって。
ナルーザじゃ何を敬っているか知ってるよな?
絹を産みだすお蚕様な。
誰も姿を見たこともないが、ただただ、美しいという話だ。
ニバーセルの妖精と比較されるが、根本は違う。
妖精は見たことあるだろ?
が、お蚕様は誰も見たことがない。
ナルーザの王族ぐらいだっていう話さ。
だけど皆が、美しいっていうんだよ。
お蚕様が産む、絹糸。な?おかしな話だろ?
産むってなんだ?ポットやメーウーのように産む?
知らんだろ?知らなくていいんだ。
なんせ、お蚕様がいないと絹は産まれない。
お蚕様が絹糸を作ってると考えればいい。
だが、皆が”産む”っていうんだよ。
それもいい。産んで、育てる?で、絹になる。
ここまでもいいな。
ここから聞いた話だ。
全部が全部絹になるわけじゃないんだと。
失敗作があるらしい。絹にならなかったもの。
だから、モウが話した綿の話で、妙に納得した。
あの時は驚いたが、失敗作、絹にならなかったもの。
失敗作っていってもこんなもんかと。
聞いた話と違うが、納得したんだよ。
で、あれを見た。
聞いた話と同じだ。
お蚕様は2つで一組。まったく同じなものだ。
失敗作は、片方が男で片方が女。
同じではないのに対だ。
何処をみるか?
これは説明は難しいな。
なんだろうか?わかるんだよ、違うって。特技だと思ってくれればいい。
旦那は嘘は分かるだろ?そういうたぐいだな。
俺は、人の違いが分かるんだ。
だから、あれらは人ではない。で、男と女。
人でないのに人型だったらお蚕様の失敗作だ。
で、ベリアバトラスな、この話は結構いろんなところから聞いた。
知らない奴に教えたい、話したいってことなんだろ?
そこにお蚕様がいなければいいんだから。もちろん、失敗作もいない。
だいたい同じような話だったよ。話の最後に聞く言葉もな。

ー言うな、触れるな
ー気付いても黙っておくことが何よりも大事だ

これはお蚕様のことじゃなくて、失敗作の方だ。
そうだろ?お蚕様の話はナルーザ、それに近いフレシアじゃ、
たくさんある。敬っているんだから。


だから、気付いても知らないふりをすればいい。
失敗作は己を人だと思っているから。人として接すればいいんだと。

いい話だと思ったんだよ。
わざわざ、あんたは失敗作だろっていう必要もないだろ?
何が失敗かもそれぞれで違うんだから。
もし、それらを見ても言わなければいい。
そりゃそうだと思ったんだよ。
最後の村で話を聞くまではな。

ー言うな、失敗作と。己のことを思い出すから。
ー触れるな、失敗作に。お蚕様にしてしまうから。

意味が違ってくるだろ?
己を人だと思っている奴らにお前はお蚕だといえば、
思い出すんだよ、己がひとではないということを。
で、触れてしまえば、己を捨てたお蚕様を思い出すんだと。
で、触れた相手をお蚕様にするって。
お蚕様にする?どういう意味だとおもうよな?
敬うってことか?と聞けば、違うと。
従う、らしい。

おかしいか?
人として生きてる間に一切人に触れないなんてことはないよな?
人だったらいいんだよ。
違いを認識できないならいい。

認識して、自覚させ、触れるのがダメだと。

テルマ殿は知っているのか知らないのか?
知っていれば触れないか。抱えたんだな?
人ではないと思っているが、あれだとは知らない?
ルンバでいいの?あー、ルンバ殿は知ってるはずだ。
言うことはしないだろうな。触れることもないだろう。

旦那?質問は後だ。
オーロラ?俺の話間違ってるか?
返事だけでいい。


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「最後の村で聞いたってはなしは知らないな。
モウは、あれらを管理者だと思っている。
人ではないと気付いている、とは思う。」
「管理者?あれがか?」
「知ってるのか?トックス?」
「あれとは、また別の話なんだ。
なんでも、記憶と記録をするものだと聞いたな。これは、ドロインにだ。
この世で誰が一番偉いかって話になって、
王、帝王、それより上の神様?
で、その上が管理者だと。」
「・・・・。」
「で、さらにその上が自分なんだと。」
「なぜか納得するな。」
「だろ?」
「しかし、記憶と記憶か。」
「旦那?」
「いや、人ではないと認識して、確かに愛しい人は触れたが、
お蚕様の失敗作?そのようなことは言ってないし、言わないだろうな。
失敗作とか、そういう言葉を嫌うから。
砂漠石の小さなものをくず石ということにすら嫌悪していた。
眠れといったのも言霊だ。従う?それとは違う。
それに、従うのならいいのでは?」
「従うっていうのが問題なんだよ。オーロラは?知らないか?」
「・・・・。」
「どうしてあれだけ慌てたんだ?」
「オオイの話は必ず理由がある。
あれの話は、理由がなくても必ず守らないといけない話の一つだ。」
「守らないとどうなる?」
「・・・・。」
「かまわんよ?」
「・・・・死ぬって。」
「トックス?」
「従う対価はなにかってことだ。なるほどな。お蚕様にされた方が死ぬってことか?
親切で教えてくれた話ではないことは分かってる。
もし見つけたら、教えてくれとまで言われたんだ。
売れるからって。
そうなると、これ以上関わるのは問題が出ると思って、
その日のうちに村をでた。」
「死ぬ?わからんがそうなると、呪いの類だな。
では、愛しい人には問題がない。オーロラも問題がない。
理不尽な呪いだ。誰かに還ることはないだろうが、
そう思い込ませたオオイに行くかもしれんな。
念のため、言うな触るなで。」
「!わかった!」
「で?どうするんだ?」
「とにかく、服は作ろうか。オーロラは寝てていいぞ?」
「・・・・。そうだな。」
「・・・・。俺は見とく。」
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