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番外編 元妻とストーカーの馴れ初め。
ボヤと書いて放火と読む
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現在、時は真夜中。
「奥様!待ってください!」
「しー!静かにしなさい!」
後ろからの静止の声を無視して、私はズンズンとローカを突き進む。
待って待ってと、ビーくんは私の周りを駆けずり回る。
「どこに行かれるおつもりですか!」
「……トイレです。」
「では、とんでもない方向音痴ですね。トイレは真反対です!それにどこに酒持ったままトイレ行く人がいるんですか!」
ほら!と来た道を指差すビーくん。
持っていた酒が取り上げられ、中身がチャポンと音を立てた。
そんなこと百も承知だ。
なにせ私が向かおうとしてるのはトレイではないのだから。
はぁとため息を吐いて、私は腕を組んだ。
ムッとしたビーくんを前に、足のつま先をトントンと鳴らす。
「何か企んでいらっしゃるのは分かってますよ。」
「なら話が早い。行かせて。」
「王子に何もするなって言われたでしょう!」
行かせませんよ!と、両手を広げて仁王立ちになるビーくん。
もう一度大きなため息を吐いて、その両肩に手を置いた。
「ビーくんは、誰が王に相応しいと思う?」
「それはもちろん……。」
「なら、早いところ玉璽を回収しないと。第二王子が偶然やってくるはずないし。」
私の言葉にグッと押し黙ったビーくんは、スッと塞いでいた道を開いた。
真っ直ぐ私を見つめるビーくん、その瞳には強い意志が感じられる。
「一つ約束して下さい。決して危険な真似はしないと。」
「えぇ、もちろん。私は長生きしたいのよ。」
ふっと笑って見せると、ビーくんが頷いて私の前を進み始めた。
私の調べによれば、ここから先は地下へと続く階段のみ。
貴族達がこぞって隠しものをする場所ではあるが……。
ビーくんが先頭に立つ中、目の前には施錠された扉が行手を阻む。
持っていた短剣で叩き壊そうとビーくんの腕が動いたところで、私が静止の声を上げた。
「大きい音は禁物よ。」
ブロンドの髪の中に隠していた針金を取り出し、その施錠に付き合った。
カチカチと小さな金属音が鳴る中、ビーくんは珍しそうに目を白黒させている。
「後で教えてあげるね。」
そう言えば、二階からの降り方も帰ってから教えてあげないと。
ビーくんの嬉しそうに頷く姿を見ながら、本当に弟ができた様だなと一人思う。
カチリと開いたガキを外して、音を立てぬ様静かに扉を開いた。
薄暗くカビ臭い部屋には、窓ひとつなく月明かりも届かない。
ビーくんが再び私の前に立ち、冷たい地下へと先導する。
漂う異様な雰囲気に、私はごくりと生唾を飲んだ。
「……。」
「これは!」
私が声を上げると、薄暗がりの部分がざわりと動いた。
そこには酷い身なりの少年少女達が肩を寄せあい、ひどく怯えている情景が。
あのクソ変態野郎。
私が小さく呟くと、ビーくんは少年に近寄って静かに囁いた。
「安心しろ、助けに来た。」
酷く悲哀に満ちた声で、されど強く鼓舞する様な矛盾した声。
少年達はその言葉に安堵したのか、その場の雰囲気が和らぐ。
ビーくんが小さく私の方を見て頷く。
持っていた酒を私に投げ渡す。
これだけの人数を一気に逃すには、方法は一つしかない。
私は持っていたマッチを取り出して、それを静かに酒へと火をつけた。
「奥様!待ってください!」
「しー!静かにしなさい!」
後ろからの静止の声を無視して、私はズンズンとローカを突き進む。
待って待ってと、ビーくんは私の周りを駆けずり回る。
「どこに行かれるおつもりですか!」
「……トイレです。」
「では、とんでもない方向音痴ですね。トイレは真反対です!それにどこに酒持ったままトイレ行く人がいるんですか!」
ほら!と来た道を指差すビーくん。
持っていた酒が取り上げられ、中身がチャポンと音を立てた。
そんなこと百も承知だ。
なにせ私が向かおうとしてるのはトレイではないのだから。
はぁとため息を吐いて、私は腕を組んだ。
ムッとしたビーくんを前に、足のつま先をトントンと鳴らす。
「何か企んでいらっしゃるのは分かってますよ。」
「なら話が早い。行かせて。」
「王子に何もするなって言われたでしょう!」
行かせませんよ!と、両手を広げて仁王立ちになるビーくん。
もう一度大きなため息を吐いて、その両肩に手を置いた。
「ビーくんは、誰が王に相応しいと思う?」
「それはもちろん……。」
「なら、早いところ玉璽を回収しないと。第二王子が偶然やってくるはずないし。」
私の言葉にグッと押し黙ったビーくんは、スッと塞いでいた道を開いた。
真っ直ぐ私を見つめるビーくん、その瞳には強い意志が感じられる。
「一つ約束して下さい。決して危険な真似はしないと。」
「えぇ、もちろん。私は長生きしたいのよ。」
ふっと笑って見せると、ビーくんが頷いて私の前を進み始めた。
私の調べによれば、ここから先は地下へと続く階段のみ。
貴族達がこぞって隠しものをする場所ではあるが……。
ビーくんが先頭に立つ中、目の前には施錠された扉が行手を阻む。
持っていた短剣で叩き壊そうとビーくんの腕が動いたところで、私が静止の声を上げた。
「大きい音は禁物よ。」
ブロンドの髪の中に隠していた針金を取り出し、その施錠に付き合った。
カチカチと小さな金属音が鳴る中、ビーくんは珍しそうに目を白黒させている。
「後で教えてあげるね。」
そう言えば、二階からの降り方も帰ってから教えてあげないと。
ビーくんの嬉しそうに頷く姿を見ながら、本当に弟ができた様だなと一人思う。
カチリと開いたガキを外して、音を立てぬ様静かに扉を開いた。
薄暗くカビ臭い部屋には、窓ひとつなく月明かりも届かない。
ビーくんが再び私の前に立ち、冷たい地下へと先導する。
漂う異様な雰囲気に、私はごくりと生唾を飲んだ。
「……。」
「これは!」
私が声を上げると、薄暗がりの部分がざわりと動いた。
そこには酷い身なりの少年少女達が肩を寄せあい、ひどく怯えている情景が。
あのクソ変態野郎。
私が小さく呟くと、ビーくんは少年に近寄って静かに囁いた。
「安心しろ、助けに来た。」
酷く悲哀に満ちた声で、されど強く鼓舞する様な矛盾した声。
少年達はその言葉に安堵したのか、その場の雰囲気が和らぐ。
ビーくんが小さく私の方を見て頷く。
持っていた酒を私に投げ渡す。
これだけの人数を一気に逃すには、方法は一つしかない。
私は持っていたマッチを取り出して、それを静かに酒へと火をつけた。
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