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第2話:アンカリングと100億の請求書
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帰りの馬車の中で、私は手帳の損益計算書のページを更新していました。
王太子妃という地位の喪失。
これは貸借対照表におけるブランド価値の毀損に見えます。
しかし、そのブランドを維持するための維持費――主に殿下の浪費の穴埋めや精神的疲労――が消滅したことを考慮すれば、実質的なキャッシュフローはプラスに転じます。
「……悪くない取引です」
私は窓の外に流れる王都の夜景を眺めました。
この美しい街も、今の放漫財政が続けば、あと三年でインフレーションの波に飲まれるでしょう。
沈みゆく船から一番に救命ボートに乗れたことを、幸運と呼ぶべきです。
問題は、そのボートの漕ぎ出しに必要な元手をどう確保するか。
屋敷に到着すると、私は深呼吸を一つして、当主の執務室へと向かいました。
「――戻ったか、この役立たずめ!」
重厚なオーク材の扉を開けるなり、父、ノイマン侯爵の怒声が飛んできました。
父は典型的な権力志向の貴族です。
私を王家に嫁がせ、外戚として権勢を振るうことを夢見ていましたから、その株が大暴落した今、怒り狂うのも無理はありません。
「お前にはいくら投資したと思っている! 家庭教師、ドレス、社交費……、すべてドブに捨てたも同然だ!」
父が投げつけたワイングラスが、私の足元で砕け散りました。
赤い液体が絨毯に染み込んでいきます。
ああ、あの絨毯はペルシャ製の高級品。
クリーニング代が馬鹿になりませんね。
「お父様、まずは落ち着いてください。血管というパイプラインの圧力許容値を超えてしまいますよ」
「誰のせいだ、誰の!」
「今回の契約解除(婚約破棄)は、我が家にとって損切りの好機でした」
私は冷徹に切り出しました。
父の動きが止まります。
「なんだと?」
「ヘリオス殿下の浪費癖はご存知でしょう? リリィ様という新たな散財要因が加わった今、王家の破産は時間の問題です。もし婚姻関係を結んでいれば、ノイマン家も連帯保証人として破滅の道連れでした」
私は砕けたガラスを避けながら、父のデスクに歩み寄ります。
「沈む船には乗らない。これは投資の鉄則です。むしろ、被害がこれまでの投資額だけで済んだことを喜ぶべきです」
「むぅ……、し、しかしだ! 王家とのパイプを失った損失はどう埋める!」
ここです。
相手が動揺し、損失への不安を感じ始めたこの瞬間こそ、交渉のテーブルに着く合図。
私は手帳から、あらかじめ用意しておいた一枚の請求書を取り出し、父の前に叩きつけました。
「そこで、提案がございます。私が家を出て、独自の経済圏を確立し、ノイマン家の新たなリスクヘッジ先となります。ついては、そのための創業資金として――」
私は眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせました。
「金貨100億枚を要求します」
「は、はあぁッ!?」
父の目玉が飛び出しそうになりました。
金貨100億枚。
国家予算の半分に相当する金額です。
侯爵家の全財産を売り払っても到底用意できません。
「き、貴様、正気か!? そんな金がどこにある! ふざけるな!」
「ですが、お父様。私の市場価値と、慰謝料、これまでの労働対価を現在価値に割り戻せば、それくらいが妥当かと」
「払えるわけがなかろう!! 出ていけ、勘当だ!!」
激昂する父。
しかし、計算通りです。
これが心理学におけるアンカリング効果。
最初に極端な数値を提示(アンカー)することで、その後の判断基準を狂わせるテクニック。
100億という数字を見た後なら、どんな金額も安く見えるのです。
「……そうですか。100億は無理ですか。残念です」
私は芝居がかった仕草で肩をすくめ、次の一手を打ちました。
「では、大幅に譲歩いたしましょう。現金は金貨10億……、いえ、5億枚で結構です。その代わり」
机の上に広げられた王国の地図。
その北の端を指差します。
「北部の飛び地、ノルト領の統治権を私にください」
父の表情が、怒りから戸惑い、そして侮蔑へと変わりました。
「ノルト領だと? あんな、草木も生えぬ不毛の荒野をか?」
「ええ。今のノイマン家にとって、あそこは税収ゼロどころか管理費がかさむだけの負債でしょう? 私が引き取れば、お父様は管理コストから解放され、さらに手切れ金も100億から5億に減額できる。……いかがです?」
父の脳内で、そろばんが弾かれる音が聞こえるようです。
100億を要求された直後に、5億とゴミ同然の土地で済むと言われれば、それは、お得な取引に見えてしまう。
実際には、5億枚でも侯爵家には痛い出費ですが、破産するほどではありません。
「……ふん。5億だぞ。それ以上はびた一文出さん」
「契約成立ですね」
私は即座に用意していた譲渡契約書を差し出しました。
父は、厄介払いができた、と言わんばかりの顔でサインし、金庫の鍵を投げて寄越しました。
愚かな父上。
貴方はご存じないのですね。
ノルト領が不毛なのは、単に水利が悪く、誰も開発の手を入れなかったからに過ぎないことを。
そして何より、あの土地の地下には王家も把握していない、未開のレアメタル鉱脈と古代遺跡が眠っている可能性が高いことを。
私は署名された契約書を丁寧に折りたたみ、懐に入れました。
これで私は自由。
そして、一国の主となるための土地を手に入れました。
「感謝いたします、お父様。この5億は、必ず数倍の価値にして見せますわ」
「ふん、勝手にしろ。野垂れ死んでも知らんぞ」
父の冷たい言葉を背に、私は部屋を出ました。
廊下を歩きながら、こみ上げる笑いを堪えるのに苦労しました。
100億のアンカーを打ち込み、ゴミだと思われている宝の山を、端金と共に合法的に強奪する。
……交渉成立ですわ。
さあ、次は人材の確保です。
お金と土地があっても、働く人がいなければ経済は回りません。
北へ向かう道中で、私はある計算高い共犯者と出会うことになります。
運命の女神がいるとしたら、彼女もまた、サイコロではなくそろばんを弾くのが好きなタイプに違いありません。
王太子妃という地位の喪失。
これは貸借対照表におけるブランド価値の毀損に見えます。
しかし、そのブランドを維持するための維持費――主に殿下の浪費の穴埋めや精神的疲労――が消滅したことを考慮すれば、実質的なキャッシュフローはプラスに転じます。
「……悪くない取引です」
私は窓の外に流れる王都の夜景を眺めました。
この美しい街も、今の放漫財政が続けば、あと三年でインフレーションの波に飲まれるでしょう。
沈みゆく船から一番に救命ボートに乗れたことを、幸運と呼ぶべきです。
問題は、そのボートの漕ぎ出しに必要な元手をどう確保するか。
屋敷に到着すると、私は深呼吸を一つして、当主の執務室へと向かいました。
「――戻ったか、この役立たずめ!」
重厚なオーク材の扉を開けるなり、父、ノイマン侯爵の怒声が飛んできました。
父は典型的な権力志向の貴族です。
私を王家に嫁がせ、外戚として権勢を振るうことを夢見ていましたから、その株が大暴落した今、怒り狂うのも無理はありません。
「お前にはいくら投資したと思っている! 家庭教師、ドレス、社交費……、すべてドブに捨てたも同然だ!」
父が投げつけたワイングラスが、私の足元で砕け散りました。
赤い液体が絨毯に染み込んでいきます。
ああ、あの絨毯はペルシャ製の高級品。
クリーニング代が馬鹿になりませんね。
「お父様、まずは落ち着いてください。血管というパイプラインの圧力許容値を超えてしまいますよ」
「誰のせいだ、誰の!」
「今回の契約解除(婚約破棄)は、我が家にとって損切りの好機でした」
私は冷徹に切り出しました。
父の動きが止まります。
「なんだと?」
「ヘリオス殿下の浪費癖はご存知でしょう? リリィ様という新たな散財要因が加わった今、王家の破産は時間の問題です。もし婚姻関係を結んでいれば、ノイマン家も連帯保証人として破滅の道連れでした」
私は砕けたガラスを避けながら、父のデスクに歩み寄ります。
「沈む船には乗らない。これは投資の鉄則です。むしろ、被害がこれまでの投資額だけで済んだことを喜ぶべきです」
「むぅ……、し、しかしだ! 王家とのパイプを失った損失はどう埋める!」
ここです。
相手が動揺し、損失への不安を感じ始めたこの瞬間こそ、交渉のテーブルに着く合図。
私は手帳から、あらかじめ用意しておいた一枚の請求書を取り出し、父の前に叩きつけました。
「そこで、提案がございます。私が家を出て、独自の経済圏を確立し、ノイマン家の新たなリスクヘッジ先となります。ついては、そのための創業資金として――」
私は眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせました。
「金貨100億枚を要求します」
「は、はあぁッ!?」
父の目玉が飛び出しそうになりました。
金貨100億枚。
国家予算の半分に相当する金額です。
侯爵家の全財産を売り払っても到底用意できません。
「き、貴様、正気か!? そんな金がどこにある! ふざけるな!」
「ですが、お父様。私の市場価値と、慰謝料、これまでの労働対価を現在価値に割り戻せば、それくらいが妥当かと」
「払えるわけがなかろう!! 出ていけ、勘当だ!!」
激昂する父。
しかし、計算通りです。
これが心理学におけるアンカリング効果。
最初に極端な数値を提示(アンカー)することで、その後の判断基準を狂わせるテクニック。
100億という数字を見た後なら、どんな金額も安く見えるのです。
「……そうですか。100億は無理ですか。残念です」
私は芝居がかった仕草で肩をすくめ、次の一手を打ちました。
「では、大幅に譲歩いたしましょう。現金は金貨10億……、いえ、5億枚で結構です。その代わり」
机の上に広げられた王国の地図。
その北の端を指差します。
「北部の飛び地、ノルト領の統治権を私にください」
父の表情が、怒りから戸惑い、そして侮蔑へと変わりました。
「ノルト領だと? あんな、草木も生えぬ不毛の荒野をか?」
「ええ。今のノイマン家にとって、あそこは税収ゼロどころか管理費がかさむだけの負債でしょう? 私が引き取れば、お父様は管理コストから解放され、さらに手切れ金も100億から5億に減額できる。……いかがです?」
父の脳内で、そろばんが弾かれる音が聞こえるようです。
100億を要求された直後に、5億とゴミ同然の土地で済むと言われれば、それは、お得な取引に見えてしまう。
実際には、5億枚でも侯爵家には痛い出費ですが、破産するほどではありません。
「……ふん。5億だぞ。それ以上はびた一文出さん」
「契約成立ですね」
私は即座に用意していた譲渡契約書を差し出しました。
父は、厄介払いができた、と言わんばかりの顔でサインし、金庫の鍵を投げて寄越しました。
愚かな父上。
貴方はご存じないのですね。
ノルト領が不毛なのは、単に水利が悪く、誰も開発の手を入れなかったからに過ぎないことを。
そして何より、あの土地の地下には王家も把握していない、未開のレアメタル鉱脈と古代遺跡が眠っている可能性が高いことを。
私は署名された契約書を丁寧に折りたたみ、懐に入れました。
これで私は自由。
そして、一国の主となるための土地を手に入れました。
「感謝いたします、お父様。この5億は、必ず数倍の価値にして見せますわ」
「ふん、勝手にしろ。野垂れ死んでも知らんぞ」
父の冷たい言葉を背に、私は部屋を出ました。
廊下を歩きながら、こみ上げる笑いを堪えるのに苦労しました。
100億のアンカーを打ち込み、ゴミだと思われている宝の山を、端金と共に合法的に強奪する。
……交渉成立ですわ。
さあ、次は人材の確保です。
お金と土地があっても、働く人がいなければ経済は回りません。
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