82 / 100
第82話:泥の騎士団と、凍てつくプライド
しおりを挟む
「う、動かん! 足が抜けない! 誰か手を貸してくれ!」
「寒い……! 泥が凍り始めて、足が締め付けられる!」
アースガルド領の北、かつて氷結平原だった泥の海。
そこには、大陸最強と謳われたガリア帝国の魔導戦車隊と、誇り高き重装歩兵たちが、首まで泥に浸かって情けなく助けを求めていた。
「……壮観な眺めですな」
安全な岩場の上で、セバスチャンがポットから温かい紅茶を注ぐ。
外気はマイナス20度。
彼らが放出した熱で溶けた永久凍土は、熱源(戦車の魔導炉)が泥で停止した今、再び急速に冷やされ、シャーベット状に固まり始めていた。
「ええ。物理現象の実験場としては最高ね」
私は湯気の立つカップを手に、泥沼の真ん中で震えているボルグ将軍に声をかけた。
「ごきげんよう、将軍閣下。……チキソトロピー現象の逆、つまり再凍結による凝固の具合はいかがですか?」
「き、貴様ぁ……! 女狐め! 卑怯だぞ! 正々堂々と戦え!」
ボルグ将軍が吠えるが、その声はガチガチと震えている。
「卑怯? 私は『熱を使うな』と警告しましたよ。……自ら床暖房を入れて、自分で床を抜いたのは貴方たちです」
私は冷徹に告げた。
「あと一時間もすれば、その泥は完全に凍りつき、貴方たちは氷の中の化石になります。……降伏しますか? それとも、未来の地質学者のための標本になりますか?」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
将軍はプライドと命の天秤に揺れたが、部下たちの「助けてくれ!」「死にたくない!」という悲鳴に、ついに頭を垂れた。
「……分かった。降伏する。……だから、部下たちを助けてやってくれ」
「賢明な判断です。……セバス、救助隊を!」
「オーイ! ロープを投げるぞ! しっかり掴まれ!」
「腰に力を入れるな! 泥に身を任せて、引っ張り上げられるのを待て!」
救助活動の指揮を執っていたのは、意外な人物だった。
ジェラルドだ。
彼は鉱山で鍛えた筋肉を活かし、泥だらけになりながら、かつての敵兵たちを次々と引き上げていく。
「……ふん。重い鎧だ。こんな鉄屑を着て歩くなんて、ご苦労なことだな」
引き上げられたボルグ将軍に、ジェラルドが毛布を投げ渡す。
「き、貴公は……? ただの作業員には見えないが」
「俺か? 俺はジェラルド。……ここの炭鉱夫だ」
ジェラルドはニカッと笑った。
「あんたらの気持ちはよく分かるぜ。俺も昔、似たようなマヌケな失敗をして、ここ(底辺)に落ちてきた口だからな」
「……?」
ボルグ将軍は狐につままれたような顔をしていたが、温かい毛布と、差し出されたジャガイモのポタージュの温もりに、涙を流して感謝した。
捕虜となった三千人の兵士たちは、武装解除され、アースガルド領の収容施設(急造したテント村)に入れられた。
暖房には、我らが誇る泥炭が惜しげもなく使われている。
「……マリアンヌ殿。一つ聞きたい」
尋問の席で、スープを飲み干したボルグ将軍が、沈痛な面持ちで口を開いた。
「なぜ、我々を殺さなかった? 食料も燃料も貴重なこの冬に、三千人の捕虜を抱えるなど、兵站の自殺行為だぞ」
「あら、勘違いしないでください」
私は書類にサインしながら答えた。
「タダ飯を食わせるつもりはありません。……貴方たちには、食べた分だけ働いていただきます」
「働く……?」
「ええ。アースガルド領は慢性的な人手不足です。鉱山、土木、運搬……、力仕事は山ほどある。貴方たちのような屈強な男たちは、最高の労働資源です」
私は窓の外、雪かきをさせられている帝国兵たちを見た。
彼らは文句も言わず、黙々と働いている。
温かい食事と寝床が保証されているからだ。
「それに……、ガリア帝国が侵攻してきた理由。それは食料不足でしょう?」
私が指摘すると、将軍は押し黙り、そして小さく頷いた。
「……そうだ。火山の冬の影響で、我が国の作物は全滅した。民が飢え、暴動が起きかけている。……皇帝陛下は、豊かなアースガルドを奪って食料を確保しろと命じられたのだ」
「奪う必要なんてありませんでしたのに」
私は一枚の契約書を差し出した。
「我が領には、腐るほどのジャガイモと、燃やしきれないほどの泥炭があります。……これらをガリア帝国へ輸出しましょう」
「なっ……!? 敵国にか!?」
「商売相手に敵も味方もありません。……その代わり、代金は鉱物資源と魔導技術で支払っていただきます。貴国の魔導戦車のエンジン、あれはなかなか興味深い構造でしたから」
ボルグ将軍は、信じられないものを見る目で私を見た。
侵略者を撃退し、労働力として使い、さらにその国を顧客に変える。
この女は、戦争すらもビジネスに変えてしまうのか、と。
「……完敗だ。武力でも、知力でも、そして器の大きさでも」
将軍は深々と頭を下げた。
「マリアンヌ殿。……我が軍は、貴女のシャベルとスープに敗北した」
その日から、アースガルド領の風景に、新たな色が加わった。
元・貴族の囚人服と、ガリア帝国の軍服。
彼らが混じり合って、雪かきをし、岩を運び、道路を直している。
「おい新入り! 腰が高いぞ!」
ジェラルドが、ボルグ将軍にツルハシの使い方を指導している。
「将軍だか何だか知らねぇが、ここでは俺が先輩だ! ……いいか、石の目を見ろ。力任せじゃ割れねぇぞ」
「は、はいッ!」
かつての王太子と、敵国の将軍。
身分も国境も超えて、彼らは労働という共通言語で汗を流している。
「……平和ですな」
セバスチャンが目を細める。
「ええ。人は、共通の敵(寒さと空腹)と戦っている時が、一番仲良くなれるものよ」
私は雪原を見渡した。
地面の下には泥の罠があったが、その上には今、確かな道ができつつある。
私の国作りは、外敵すらも飲み込んで、さらに強固なものへと進化していた。
「寒い……! 泥が凍り始めて、足が締め付けられる!」
アースガルド領の北、かつて氷結平原だった泥の海。
そこには、大陸最強と謳われたガリア帝国の魔導戦車隊と、誇り高き重装歩兵たちが、首まで泥に浸かって情けなく助けを求めていた。
「……壮観な眺めですな」
安全な岩場の上で、セバスチャンがポットから温かい紅茶を注ぐ。
外気はマイナス20度。
彼らが放出した熱で溶けた永久凍土は、熱源(戦車の魔導炉)が泥で停止した今、再び急速に冷やされ、シャーベット状に固まり始めていた。
「ええ。物理現象の実験場としては最高ね」
私は湯気の立つカップを手に、泥沼の真ん中で震えているボルグ将軍に声をかけた。
「ごきげんよう、将軍閣下。……チキソトロピー現象の逆、つまり再凍結による凝固の具合はいかがですか?」
「き、貴様ぁ……! 女狐め! 卑怯だぞ! 正々堂々と戦え!」
ボルグ将軍が吠えるが、その声はガチガチと震えている。
「卑怯? 私は『熱を使うな』と警告しましたよ。……自ら床暖房を入れて、自分で床を抜いたのは貴方たちです」
私は冷徹に告げた。
「あと一時間もすれば、その泥は完全に凍りつき、貴方たちは氷の中の化石になります。……降伏しますか? それとも、未来の地質学者のための標本になりますか?」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
将軍はプライドと命の天秤に揺れたが、部下たちの「助けてくれ!」「死にたくない!」という悲鳴に、ついに頭を垂れた。
「……分かった。降伏する。……だから、部下たちを助けてやってくれ」
「賢明な判断です。……セバス、救助隊を!」
「オーイ! ロープを投げるぞ! しっかり掴まれ!」
「腰に力を入れるな! 泥に身を任せて、引っ張り上げられるのを待て!」
救助活動の指揮を執っていたのは、意外な人物だった。
ジェラルドだ。
彼は鉱山で鍛えた筋肉を活かし、泥だらけになりながら、かつての敵兵たちを次々と引き上げていく。
「……ふん。重い鎧だ。こんな鉄屑を着て歩くなんて、ご苦労なことだな」
引き上げられたボルグ将軍に、ジェラルドが毛布を投げ渡す。
「き、貴公は……? ただの作業員には見えないが」
「俺か? 俺はジェラルド。……ここの炭鉱夫だ」
ジェラルドはニカッと笑った。
「あんたらの気持ちはよく分かるぜ。俺も昔、似たようなマヌケな失敗をして、ここ(底辺)に落ちてきた口だからな」
「……?」
ボルグ将軍は狐につままれたような顔をしていたが、温かい毛布と、差し出されたジャガイモのポタージュの温もりに、涙を流して感謝した。
捕虜となった三千人の兵士たちは、武装解除され、アースガルド領の収容施設(急造したテント村)に入れられた。
暖房には、我らが誇る泥炭が惜しげもなく使われている。
「……マリアンヌ殿。一つ聞きたい」
尋問の席で、スープを飲み干したボルグ将軍が、沈痛な面持ちで口を開いた。
「なぜ、我々を殺さなかった? 食料も燃料も貴重なこの冬に、三千人の捕虜を抱えるなど、兵站の自殺行為だぞ」
「あら、勘違いしないでください」
私は書類にサインしながら答えた。
「タダ飯を食わせるつもりはありません。……貴方たちには、食べた分だけ働いていただきます」
「働く……?」
「ええ。アースガルド領は慢性的な人手不足です。鉱山、土木、運搬……、力仕事は山ほどある。貴方たちのような屈強な男たちは、最高の労働資源です」
私は窓の外、雪かきをさせられている帝国兵たちを見た。
彼らは文句も言わず、黙々と働いている。
温かい食事と寝床が保証されているからだ。
「それに……、ガリア帝国が侵攻してきた理由。それは食料不足でしょう?」
私が指摘すると、将軍は押し黙り、そして小さく頷いた。
「……そうだ。火山の冬の影響で、我が国の作物は全滅した。民が飢え、暴動が起きかけている。……皇帝陛下は、豊かなアースガルドを奪って食料を確保しろと命じられたのだ」
「奪う必要なんてありませんでしたのに」
私は一枚の契約書を差し出した。
「我が領には、腐るほどのジャガイモと、燃やしきれないほどの泥炭があります。……これらをガリア帝国へ輸出しましょう」
「なっ……!? 敵国にか!?」
「商売相手に敵も味方もありません。……その代わり、代金は鉱物資源と魔導技術で支払っていただきます。貴国の魔導戦車のエンジン、あれはなかなか興味深い構造でしたから」
ボルグ将軍は、信じられないものを見る目で私を見た。
侵略者を撃退し、労働力として使い、さらにその国を顧客に変える。
この女は、戦争すらもビジネスに変えてしまうのか、と。
「……完敗だ。武力でも、知力でも、そして器の大きさでも」
将軍は深々と頭を下げた。
「マリアンヌ殿。……我が軍は、貴女のシャベルとスープに敗北した」
その日から、アースガルド領の風景に、新たな色が加わった。
元・貴族の囚人服と、ガリア帝国の軍服。
彼らが混じり合って、雪かきをし、岩を運び、道路を直している。
「おい新入り! 腰が高いぞ!」
ジェラルドが、ボルグ将軍にツルハシの使い方を指導している。
「将軍だか何だか知らねぇが、ここでは俺が先輩だ! ……いいか、石の目を見ろ。力任せじゃ割れねぇぞ」
「は、はいッ!」
かつての王太子と、敵国の将軍。
身分も国境も超えて、彼らは労働という共通言語で汗を流している。
「……平和ですな」
セバスチャンが目を細める。
「ええ。人は、共通の敵(寒さと空腹)と戦っている時が、一番仲良くなれるものよ」
私は雪原を見渡した。
地面の下には泥の罠があったが、その上には今、確かな道ができつつある。
私の国作りは、外敵すらも飲み込んで、さらに強固なものへと進化していた。
80
あなたにおすすめの小説
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました
鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」
そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。
王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。
私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。
けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。
華やかな王宮。
厳しい王妃許育。
揺らぐ王家の威信。
そして――王子の重大な過ち。
王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。
離縁を望んでも叶わない義妹。
肩書きを失ってなお歩き直す王子。
そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。
ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。
婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。
婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです
鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。
理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。
新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。
誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。
けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。
「戻りません」
彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。
ただ――王家を支えるのをやめただけ。
流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。
強いざまあとは、叫ぶことではない。
自らの選択で、自らの立場を削らせること。
そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。
――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。
これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
婚約破棄はあなたの意思でしたわね? ~王太子を廃嫡に追い込み、義妹を平民に落とした公爵令嬢は新時代の王妃になります~
鷹 綾
恋愛
王立学園の卒業舞踏会――
公爵令嬢ヴェルミリアは、王太子アルヴァリオから突然の婚約破棄を言い渡された。
「俺は、君の義妹セシルを愛している」
涙を浮かべる“可哀想な妹”。
それを守ると宣言する王太子。
社交界はヴェルミリアを冷酷な姉と断じた。
けれど彼女は、ただ微笑んだ。
なぜなら――
王家が回っていたのは、彼女の裏調整と資金管理のおかげだったから。
婚約破棄の翌日、王家の事業は次々と停止。
王太子の無責任な契約、義妹の盗用、不正資金の流れが暴かれていく。
守ると誓ったはずの義妹を、王太子は切り捨てる。
だがもう遅い。
王太子は廃嫡。
義妹は爵位剥奪のうえ平民落ち。
二人はすべてを失う。
そして――
「責任を共有できるなら、共に歩みましょう」
冷静沈着な第二王子との正式婚約。
王国再建の中心に立つのは、かつて捨てられたはずの公爵令嬢だった。
婚約破棄はあなたの意思でしたわね?
選んだ未来の責任を――
きちんとお取りいただきます。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
『「君は飾りだ」と言われた公爵令嬢、契約通りに王太子を廃嫡へ導きました』
ふわふわ
恋愛
「君は優秀だが、王妃としては冷たい。正直に言えば――飾りとしては十分だった」
そう言って婚約者である王太子に公然と切り捨てられた、公爵令嬢アデルフィーナ。
さらに王太子は宣言する。
「王家は外部信用に頼らない」「王家が条文だ」と。
履行履歴も整えず、契約も軽視し、
新たな婚約者と共に“強い王家”を演出する王太子。
――ですが。
契約は宣言では動きません。
信用は履歴の上にしか立ちません。
王命が止まり、出荷が止まり、資材が止まり、
やがて止まったのは王太子の未来でした。
自ら押した承認印が、
自らの継承権を奪うことになるとも知らずに。
公然侮辱から始まる、徹底的な強ザマァ。
救済なし。
やり直しなし。
契約通りに処理しただけですのに――
なぜか王太子が廃嫡されました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる