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19話
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「セイ?何をじろじろ見てるんですの?私に何かついてますの?」
「え?いえ、すいません。ただアンジェリーナ様はいつもお優しくお綺麗だなと…なんでかなぁと思いまして」
「ふぇ!?な、なにを急に言ってますのっ!?私がき、綺麗!?」
「あっ…すいません!ボーっとしててつい思ったことを!」
「思ってたこと!?本心!?ふぇぇぇぇ…………」
「ア、アンジェリーナ様!?」
ここ数日、アンジェリーナはいつ悪役令嬢として覚醒するのかなと気になっていたが一向になる気配はない、そんな中、つい思っていたことをいってしまって聞いたアンジェリーナは顔を真っ赤にし目を回して倒れてしまった。
=======================================
「それでアンジェは倒れてしまったのかい?あーーっはっはっはっは!」
「ハンス様、笑い事では…僕のせいで倒れてしまったんですよ?お怪我がなかったのがほんと幸いでした…」
「セイちゃん?アンジェちゃんが綺麗なのは恋をしているからよ!」
「こ、恋!?」
俺はアメリアの言葉を聞き盛大に驚いたと同時に申し訳ないと思った。
「うわぁ…では僕はお邪魔ばかりしてたんですね…意中の方がいらっしゃるのにアンジェリーナ様はお優しいから僕なんかの相手をよくしてくださってたんだ…」
「い、いえ!そういうわけではなくてですね?」
「ぶっ!!あーーーっはっはっはっはっはーーー!!!」
「ハンス様笑い事ではありませんよ、お好きな方にお会いしたいのかもしれないのに僕がきてていけなかったのかもしれませんし、ほんと申し訳ない気持ちでいっぱいなのですよ!?」
「あははははっ!すまんすまん!」
「もういいですよ…せっかく今日は男性用の石鹸を試作したので持ってきたんですが日を改めさせてもらいます」
「セイ?それとこれとは話は別だよ。セルジュ!誰かにいますぐ確かめさせてくれ!」
「かしこまりました!」
「あ、セルジュさん、2種類あるのでできればこっちの薄い茶色のほうは少々年配の方にお試しいただけますか?」
「か、かしこまりました」
=================================
「さて、セイよ。今回の石鹸について説明してもらおうか」
「は、はい」
一つは若い執事、もう一つはセルジュ自らが試した結果、俺はハスクの執務室に呼び出されていた。
「えっとこの薄緑の石鹸はハンス様が学園で剣術の授業などをなさり汗をよくかいて参っているといわれたので作りました。こちらの茶色のほうもいつか試してみようと思ってたんですがこれを機に一緒に作ろうと思いまして」
「そ、そうか…してどのようなものなのだ?」
「緑のほうは男性用に調合したいくつかのハーブのエキスが入っていて使うとスースーして涼しく感じるのでこの暑い時期にはいいかなと、もう一つのほうは体臭を消す効果があるのでいつも仕事着を着用なさってる方にはいいかと」
「セルジュほんとうか?」
「驚くほどの効果がおありになります。とうぜんご使用に問題などございません」
「そうか…セイこの石鹸はある程度数をつくれるのか?」
「石鹸ですから材料があれば一度にある程度の量を作ることは可能です」
「そうか、ではモンドと話し売り出すことになった際、いつものように作り方をモンドにおしえてやってくれるか?」
「はい」
そのあとすぐ父を呼ぶといわれ俺は執務室をあとにした。
=======================================
「え?アンジェ様がお倒れに?大丈夫なのですか?」
「はい、意識ももどられております、大事を取り部屋でお休みになられておいでですが大丈夫にございます」
「そう、よかったわ」
俺は要件を終えアンドレと新作のお菓子について話をしようと厨房へとむかい廊下を歩いているとメイド2名に案内された同世代くらいのかわいい女性が心配げな表情を浮かべ歩いてきた。
「!?」
「ごきげんよう…あら?あなた見かけないお顔ですね、最近こちらに?」
「お初に目にかかりますメリダ様。いえ、私はこちらには…」
「あら、セイちゃん。来てたのね」
「カリーナ様おじゃましております」
「アンジェの様子を見に来たのだけど、あらメリダ様もお越しになられてたのね、アンジェも喜ぶわ」
「カリーナおば様お邪魔しております。それでそちらのお方がもしかしてご噂のセイジュ様なのかしら?」
「メ、メリダ様、私は平民故、様などお付けになられずに!」
「そうよ?そういえばメリダ様はお会いしたことがなかったかしらね」
「ええ、なぜかわたくしだけお会いしたことがございませんの」
「そうだったのねぇ、タイミングがあわなかったのかしら」
「そうなのかもしれませんね」
「あ、あのメリダ様、カリーナ様。私はそろそろこの辺で…」
「あらそうなの?アンジェも大したことなかったようですしもっとゆっくりしていってもかまわないのよ?」
「こ、このあと少々アンドレ料理長の元へ伺うつもりでしたので…すみませんがこれで失礼させていただきます」
「あら、では今日のティータイムは新しいものがいただけそうね!」
「もうですか?残念ですね。それではまたお会いいたしましょう?セイ様」
「え゛…ですから様は…いえ、失礼足します」
廊下であった女性のことを今世では初めてだが前世の俺は知っていた。彼女はリカルドとコルグの妹でアンジェリーナや俺と同じ年、そして男性主人公を選んだ際の攻略対象、誰にでも分け隔てなく優しい女性でリカルドと同じでエスメラルダ王妃の実子だ。そして当然アンジェリーナの幼馴染だ。
「こういうパターンも加味して今後は気をつけなきゃならないな」
「セイ?なにをぶつくさ言ってんだ?それよりこれを仕上げるぞ」
「あ、はい!」
俺は意図的に、メリダに会わないように細心の注意をはらっていたが今日のようなこともあり得ると今後ますますの警戒を誓いながらブルベリーのタルトを仕上げていった。
「このカスタードクリームができてから一気に品の幅が広がったな!」
「そうですね!今後もあたらしい食材探しをしてどんどん増やしていけるといいですね!」
「ああ!」
完成させたタルトとハーブティーを前に俺とアンドレは今日も達成感にひたり、それを毎回のように満足げにうなずいてセルジュがカリーナたちの元へと運んで行った。
「え?いえ、すいません。ただアンジェリーナ様はいつもお優しくお綺麗だなと…なんでかなぁと思いまして」
「ふぇ!?な、なにを急に言ってますのっ!?私がき、綺麗!?」
「あっ…すいません!ボーっとしててつい思ったことを!」
「思ってたこと!?本心!?ふぇぇぇぇ…………」
「ア、アンジェリーナ様!?」
ここ数日、アンジェリーナはいつ悪役令嬢として覚醒するのかなと気になっていたが一向になる気配はない、そんな中、つい思っていたことをいってしまって聞いたアンジェリーナは顔を真っ赤にし目を回して倒れてしまった。
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「それでアンジェは倒れてしまったのかい?あーーっはっはっはっは!」
「ハンス様、笑い事では…僕のせいで倒れてしまったんですよ?お怪我がなかったのがほんと幸いでした…」
「セイちゃん?アンジェちゃんが綺麗なのは恋をしているからよ!」
「こ、恋!?」
俺はアメリアの言葉を聞き盛大に驚いたと同時に申し訳ないと思った。
「うわぁ…では僕はお邪魔ばかりしてたんですね…意中の方がいらっしゃるのにアンジェリーナ様はお優しいから僕なんかの相手をよくしてくださってたんだ…」
「い、いえ!そういうわけではなくてですね?」
「ぶっ!!あーーーっはっはっはっはっはーーー!!!」
「ハンス様笑い事ではありませんよ、お好きな方にお会いしたいのかもしれないのに僕がきてていけなかったのかもしれませんし、ほんと申し訳ない気持ちでいっぱいなのですよ!?」
「あははははっ!すまんすまん!」
「もういいですよ…せっかく今日は男性用の石鹸を試作したので持ってきたんですが日を改めさせてもらいます」
「セイ?それとこれとは話は別だよ。セルジュ!誰かにいますぐ確かめさせてくれ!」
「かしこまりました!」
「あ、セルジュさん、2種類あるのでできればこっちの薄い茶色のほうは少々年配の方にお試しいただけますか?」
「か、かしこまりました」
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「さて、セイよ。今回の石鹸について説明してもらおうか」
「は、はい」
一つは若い執事、もう一つはセルジュ自らが試した結果、俺はハスクの執務室に呼び出されていた。
「えっとこの薄緑の石鹸はハンス様が学園で剣術の授業などをなさり汗をよくかいて参っているといわれたので作りました。こちらの茶色のほうもいつか試してみようと思ってたんですがこれを機に一緒に作ろうと思いまして」
「そ、そうか…してどのようなものなのだ?」
「緑のほうは男性用に調合したいくつかのハーブのエキスが入っていて使うとスースーして涼しく感じるのでこの暑い時期にはいいかなと、もう一つのほうは体臭を消す効果があるのでいつも仕事着を着用なさってる方にはいいかと」
「セルジュほんとうか?」
「驚くほどの効果がおありになります。とうぜんご使用に問題などございません」
「そうか…セイこの石鹸はある程度数をつくれるのか?」
「石鹸ですから材料があれば一度にある程度の量を作ることは可能です」
「そうか、ではモンドと話し売り出すことになった際、いつものように作り方をモンドにおしえてやってくれるか?」
「はい」
そのあとすぐ父を呼ぶといわれ俺は執務室をあとにした。
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「え?アンジェ様がお倒れに?大丈夫なのですか?」
「はい、意識ももどられております、大事を取り部屋でお休みになられておいでですが大丈夫にございます」
「そう、よかったわ」
俺は要件を終えアンドレと新作のお菓子について話をしようと厨房へとむかい廊下を歩いているとメイド2名に案内された同世代くらいのかわいい女性が心配げな表情を浮かべ歩いてきた。
「!?」
「ごきげんよう…あら?あなた見かけないお顔ですね、最近こちらに?」
「お初に目にかかりますメリダ様。いえ、私はこちらには…」
「あら、セイちゃん。来てたのね」
「カリーナ様おじゃましております」
「アンジェの様子を見に来たのだけど、あらメリダ様もお越しになられてたのね、アンジェも喜ぶわ」
「カリーナおば様お邪魔しております。それでそちらのお方がもしかしてご噂のセイジュ様なのかしら?」
「メ、メリダ様、私は平民故、様などお付けになられずに!」
「そうよ?そういえばメリダ様はお会いしたことがなかったかしらね」
「ええ、なぜかわたくしだけお会いしたことがございませんの」
「そうだったのねぇ、タイミングがあわなかったのかしら」
「そうなのかもしれませんね」
「あ、あのメリダ様、カリーナ様。私はそろそろこの辺で…」
「あらそうなの?アンジェも大したことなかったようですしもっとゆっくりしていってもかまわないのよ?」
「こ、このあと少々アンドレ料理長の元へ伺うつもりでしたので…すみませんがこれで失礼させていただきます」
「あら、では今日のティータイムは新しいものがいただけそうね!」
「もうですか?残念ですね。それではまたお会いいたしましょう?セイ様」
「え゛…ですから様は…いえ、失礼足します」
廊下であった女性のことを今世では初めてだが前世の俺は知っていた。彼女はリカルドとコルグの妹でアンジェリーナや俺と同じ年、そして男性主人公を選んだ際の攻略対象、誰にでも分け隔てなく優しい女性でリカルドと同じでエスメラルダ王妃の実子だ。そして当然アンジェリーナの幼馴染だ。
「こういうパターンも加味して今後は気をつけなきゃならないな」
「セイ?なにをぶつくさ言ってんだ?それよりこれを仕上げるぞ」
「あ、はい!」
俺は意図的に、メリダに会わないように細心の注意をはらっていたが今日のようなこともあり得ると今後ますますの警戒を誓いながらブルベリーのタルトを仕上げていった。
「このカスタードクリームができてから一気に品の幅が広がったな!」
「そうですね!今後もあたらしい食材探しをしてどんどん増やしていけるといいですね!」
「ああ!」
完成させたタルトとハーブティーを前に俺とアンドレは今日も達成感にひたり、それを毎回のように満足げにうなずいてセルジュがカリーナたちの元へと運んで行った。
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