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61話
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「セイ私から離れてはなりませんよ?」
「は、はい」
無事に3人が国王ドラル=ホーネットより褒美をもらい晩餐会開始の挨拶がおわるとアンジェリーナはすっとセイジュの横に立ちいった。
「セイジュ様、国賓錬金術師おめでとうございます」
「カリン様、ありがとうございます」
「顔色が優れないようですが体調でもお崩しになられていらっしゃるんですか?」
「いえ、私などがそのような栄誉ある称号を賜りこのような場におよびいただいて…緊張が」
「セイジュ様クリエイターは国賓扱いですのよ?正直もっと大事にされてもバチはあたりませんわ」
「そ、それは王子様や王妃様が気を遣ってくださいまして…」
「どういうことですか?」
「物々しい警護をつければセイが今よりも緊張してしまうと察していただいたのですわ、それにこの場で不要にセイへ接触するなど我が家への宣戦布告いがいありませんもの」
「そ、そうですわね」
アンジェリーナは目を細め険吞な雰囲気を一瞬溢れさせながら言うとさしものカリンも顔を蒼くした。
「みしらぬ貴族の方にお話をかけて頂いても粗相しか…ですので情けない話ですがアンジェリーナ様にお守りいただいている状態でして…なので見知った顔といえば大変失礼なものいいですがカリン様からのお声がけが物凄くうれしいです」
「セイジュ様♡」
にこっと優しく微笑まれさしものカリンも目がハートになりうっとりとした。
「セイジュ様!おめでとうございます!」
「マチルダ様ありがとうございます」
「いえ!お礼を申し上げるのはこちらのほうです!お兄様へのお心遣いありがとうございます」
「いえいえ」
「マチルダ様なんのお話ですか?」
「カリン様ごきげよう!あのですね、お兄様がお付けになっているハーフマントをセイジュ様がお作りしてくれたのです」
「ハンスのもですわ」
「そうなんですの?」
「はい!留め具がマリアンヌ教のマークになっているのですよ」
「え?あ、ほんとうですわね。エドワード様のは銀でハンス様のは金ですがお二人ともマリアンヌ教のマークですわ」
チラッとハンスとエドワードをみたカリンが2人の左肩のみを覆うような鮮やかな深紅で独特なマントとそれを止める留め具をみて少々驚きながらいった。
「セイのローブの留め具もそうですわ」
「え?セイジュ様のものも金なのですわね」
「ええ、私が金にするよういったのですわ」
「そうなのですね」
「セイはローブと同じ黒で作ろうとしておりましたのでスカラーでクリエイターなのですからそれなりの見た目も大事ですわ」
「それはアンジェリーナ様のおっしゃる通りですわね」
「あまり派手なものは…」
「しかしセイジュ様?公式な場でローブを着用できるのは賢人でも錬金術師でもそれぞれ教皇様や国王様がお認めになられた方しかおりませんのよ?そのような名誉を賜ったのですからアンジェリーナ様が正しいですわ」
「う゛…は、はい」
「国王様が国賓とお認めになられたのですから下手な貴族以上の扱いなのですから」
「は、はい…」
人差し指をたてカリンが説明をしセイジュが盛大にテンパリながらもしばし4人で会話をすることで他の貴族はセイジュへの不要な接触ができずにいた。
「セイ様!おめでとうございます!」
「メリダ様ありがとうございます」
「ふふふっ!すてきなローブですね!」
「ありがとうございます」
あいさつ回りをしやっとセイジュの元にこれたメリダが笑顔をはじけさせ挨拶をしセイジュのローブを見て一瞬驚いたが笑顔でほめた。
「いえいえ!黒なのにキラキラ輝いていてとても綺麗ですわ!それに留め具や袖口なども素敵ですわ」
「ありがとうございます、丈夫な生地でつくりましたので、それと袖口などはアンジェリーナ様がデザインをお手伝いしてくださりまして」
「そうなんですね!さすがアンジェ様ですわ!」
「はい、アンジェリーナ様のご助言でこのような立派なローブに仕立てることができました」
アンジェリーナをほめられたセイジュが今日1番の嬉しそうな顔で微笑み答えるとマチルダもどこか嬉しそうに笑顔で頷き、カリンは少し羨ましそうな顔をした。
「まさかお噂は本当だったのかしら」
「カリン様、それはまだ違うようです」
カリンがぼっとセイジュとアンジェリーナをみてつぶやくのを聞いたマチルダがこたえた。
「まだ…ですか」
「はい!ですがセイジュ様がこのような栄誉ある称号を賜りましたからもう国内外どこのどのようなお立場の方とでもご成婚できると思います!」
「「「 !!! 」」」
嬉しそうにいったマチルダの言葉にアンジェリーナ、メリダ、カリンが驚いたのち互いにけん制しあうような目で笑顔を浮かべあった。
「ますますセイ様をお守りしなければいけませんね」
「ええ、そうですわね」
小声でいったメリダの言葉に3人も力強くうなずいた。
「国王様とハスクが今まで通りの生活をお認めになってしまわれて、正直こまっておりますの」
「え!?で、ではセイジュ様は今後も納品の手伝いをなさるのですか?」
「そうです」
「ま、まさか旅の方も…」
「さすがに一人旅はお認めにはならないとは思いますが旅自体はきっとお認めになられますわ…」
「色々危険ですわ!」
「なにやらモンドとお父様がお話し合いになるということできまったそうですわ」
4人が顔を近づけ小声であれこれ話だしセイジュは一人どうしていいかわからず盛大に汗をふきださせながら直立不動で固まっていた。
「こらこらセイが困って動けずいるじゃないか」
「え!?あ、お兄様!」
「アンジェ、この場では君がしっかりしなければセイが緊張で死んでしまうよ」
「!そうですわね!!申し訳ありません!」
「メリダ、本日は王家が主催だ、ホストとしてしっかりセイジュ君をまもってさしあげなさい」
「はい!おまかせください!!」
「カリン、お二人をサポートしセイジュ君を君もまもってやってくれ」
「はい!」
「マチルダも微力ながらしっかりお手伝いするんだ」
「はい!!がんばります!」
兄たちから声をかけられ我に返った4人はやる気をたぎらせ晩餐会の最中ずっとセイジュのそばにい続けた。
=========================================
「セイジュ様をご案内いたしました」
「とおしてくれ」
「失礼いたします」
城での晩餐会から10日ほどたった日、セイジュはホルマトロ家へとよびだされ応接室へと通されるとそこにはホルマトロ家とグラドス家全員があつまっていた。
「セイよ忙しいところすまんな」
「いえ!とんでもございません!それで本日は…」
「うむ、実はエドワードの婚約が決まった」
「え!?それはおめでとうございます!!」
「セイジュ様ありがとうございます」
ハスクからの知らせに一瞬驚いたが満面の笑みで心からの祝福をするセイジュにグラドス家もあたたかな心となり全員優しい笑顔をセイジュへと向けていた。
「そこで当家としてできるかぎりの協力をしたいと考えてな、どうだセイ、エドワードのために式の手伝いをしてやってはくれんか?」
「え?そのような大役を僕などでよろしいのですか?」
「くっくっく!セイ、君はスカラーでクリエイターだ。むしろ君が準備をしたというだけで格があがるんだよ」
「ええ!?」
「そういうことだ、それでセイよどうだ?」
「グラドス家の皆様とハスク様が私などでご納得していただけるというのであれば僕はエドワード様のため全力でお祝いをしてさしあげたいです!」
「セイジュ様、お心遣いグラドス家を代表いたしまして心より感謝申し上げます!」
「では報酬はグラドスと我が家からも出すうえセイよたのむぞ!」
「いっ!?ほ、報酬など滅相もございません!」
「セイ、君の今の立場でさすがに無償というわけにはいかないんだよ」
「ハンス様!しかし!僕などがエドワード様のご成婚をお祝いできる機会をハスク様から頂いたのですから!」
「くっくっく!しかしね?世間の目というものあるんだ」
「あ、あの!でしたら僕がどうしてもお祝いもうしあげたいと言ったのでハスク様がご助力してくださりグラドス家の皆様が了承してくださったということにしていただくということは!」
「あっはっはははは!国賓扱いの君に頼まれたというのであればお父様もダン様もお認めにならざるはおえないな!」
あまりにも必死なセイジュの言葉に慣れているホルマトロ家は苦笑していたがグラドス家は驚いて固まっていた。
「そのように笑っておいでですがハンス様、僕がグラドス家の皆様から受けたご恩をやっと少しだけでもお返しできる機会なのですよ?」
「恩ですか?当家はセイジュ様に感謝することはあれど恩などは思い当たることがありませんが」
「ダン様、闘技大会中のことをセイはいっているんですよ」
「はて…心当たりがありませんが」
「くっくっく!マチルダ様がアンジェを身を挺して守ってくださったことです」
「は?な、なんと…そのようなことをいまだに心にとどめていらっしゃったのですか」
笑いをかみ殺しながら言ったハンスの言葉にダンだけではなくエドワードもマチルダも驚いていた。
「かならず守るとお誓いしたのに…それにマチルダ様まで危険な目に合わせてしまいました」
「セイジュ様…」
セイジュが眼をそらし珍しく悔やむような苦々しい顔をしていうとダンは目を見開き驚きそのあとすぐ真剣な目でセイジュをとらえていた。
「くくっく…お父様アンジェのことを引き合いに出されてはセイの言う通りにしてやらねばなりませんね」
「はぁ~……しかたない。ダン殿こんかいはセイの言う通りにしてやってはくれんか?」
「は?え、ええ。当家としては嬉しい限りですが…よろしいのですか?」
「かまわんよ…この子がやる気にならねばどのみち結果が大きく変わってしまうのでな」
「そ、そうですか…では、ハスク様お心遣いありがとうございます、セイジュ様なにとぞよろしくお願いいたします」
「すこしでも喜んでいただけるよう精一杯頑張らせていただきますのでこちらこそよろしくお願いいたします!」
その後、今後の予定をききグラドス家のしきたりなども和気あいあいと話し合った。
「やはりアンジェリーナ様はセイジュ様の特別な方なのですね!」
「ふぇ!?マ、マチルダ様!」
「セイジュ様があのようなお顔をするなどありませんから!セイジュ様のアンジェリーナ様をお慕いしているお心に私も感動してしまいました!」
「ふぇぇぇ!!」
純真無垢な笑顔でマチルダにいわれアンジェリーナはゆでだこのようになり困り果てそれをホルマトロ家の面々は今日も今日とて生暖かくみていた。
「は、はい」
無事に3人が国王ドラル=ホーネットより褒美をもらい晩餐会開始の挨拶がおわるとアンジェリーナはすっとセイジュの横に立ちいった。
「セイジュ様、国賓錬金術師おめでとうございます」
「カリン様、ありがとうございます」
「顔色が優れないようですが体調でもお崩しになられていらっしゃるんですか?」
「いえ、私などがそのような栄誉ある称号を賜りこのような場におよびいただいて…緊張が」
「セイジュ様クリエイターは国賓扱いですのよ?正直もっと大事にされてもバチはあたりませんわ」
「そ、それは王子様や王妃様が気を遣ってくださいまして…」
「どういうことですか?」
「物々しい警護をつければセイが今よりも緊張してしまうと察していただいたのですわ、それにこの場で不要にセイへ接触するなど我が家への宣戦布告いがいありませんもの」
「そ、そうですわね」
アンジェリーナは目を細め険吞な雰囲気を一瞬溢れさせながら言うとさしものカリンも顔を蒼くした。
「みしらぬ貴族の方にお話をかけて頂いても粗相しか…ですので情けない話ですがアンジェリーナ様にお守りいただいている状態でして…なので見知った顔といえば大変失礼なものいいですがカリン様からのお声がけが物凄くうれしいです」
「セイジュ様♡」
にこっと優しく微笑まれさしものカリンも目がハートになりうっとりとした。
「セイジュ様!おめでとうございます!」
「マチルダ様ありがとうございます」
「いえ!お礼を申し上げるのはこちらのほうです!お兄様へのお心遣いありがとうございます」
「いえいえ」
「マチルダ様なんのお話ですか?」
「カリン様ごきげよう!あのですね、お兄様がお付けになっているハーフマントをセイジュ様がお作りしてくれたのです」
「ハンスのもですわ」
「そうなんですの?」
「はい!留め具がマリアンヌ教のマークになっているのですよ」
「え?あ、ほんとうですわね。エドワード様のは銀でハンス様のは金ですがお二人ともマリアンヌ教のマークですわ」
チラッとハンスとエドワードをみたカリンが2人の左肩のみを覆うような鮮やかな深紅で独特なマントとそれを止める留め具をみて少々驚きながらいった。
「セイのローブの留め具もそうですわ」
「え?セイジュ様のものも金なのですわね」
「ええ、私が金にするよういったのですわ」
「そうなのですね」
「セイはローブと同じ黒で作ろうとしておりましたのでスカラーでクリエイターなのですからそれなりの見た目も大事ですわ」
「それはアンジェリーナ様のおっしゃる通りですわね」
「あまり派手なものは…」
「しかしセイジュ様?公式な場でローブを着用できるのは賢人でも錬金術師でもそれぞれ教皇様や国王様がお認めになられた方しかおりませんのよ?そのような名誉を賜ったのですからアンジェリーナ様が正しいですわ」
「う゛…は、はい」
「国王様が国賓とお認めになられたのですから下手な貴族以上の扱いなのですから」
「は、はい…」
人差し指をたてカリンが説明をしセイジュが盛大にテンパリながらもしばし4人で会話をすることで他の貴族はセイジュへの不要な接触ができずにいた。
「セイ様!おめでとうございます!」
「メリダ様ありがとうございます」
「ふふふっ!すてきなローブですね!」
「ありがとうございます」
あいさつ回りをしやっとセイジュの元にこれたメリダが笑顔をはじけさせ挨拶をしセイジュのローブを見て一瞬驚いたが笑顔でほめた。
「いえいえ!黒なのにキラキラ輝いていてとても綺麗ですわ!それに留め具や袖口なども素敵ですわ」
「ありがとうございます、丈夫な生地でつくりましたので、それと袖口などはアンジェリーナ様がデザインをお手伝いしてくださりまして」
「そうなんですね!さすがアンジェ様ですわ!」
「はい、アンジェリーナ様のご助言でこのような立派なローブに仕立てることができました」
アンジェリーナをほめられたセイジュが今日1番の嬉しそうな顔で微笑み答えるとマチルダもどこか嬉しそうに笑顔で頷き、カリンは少し羨ましそうな顔をした。
「まさかお噂は本当だったのかしら」
「カリン様、それはまだ違うようです」
カリンがぼっとセイジュとアンジェリーナをみてつぶやくのを聞いたマチルダがこたえた。
「まだ…ですか」
「はい!ですがセイジュ様がこのような栄誉ある称号を賜りましたからもう国内外どこのどのようなお立場の方とでもご成婚できると思います!」
「「「 !!! 」」」
嬉しそうにいったマチルダの言葉にアンジェリーナ、メリダ、カリンが驚いたのち互いにけん制しあうような目で笑顔を浮かべあった。
「ますますセイ様をお守りしなければいけませんね」
「ええ、そうですわね」
小声でいったメリダの言葉に3人も力強くうなずいた。
「国王様とハスクが今まで通りの生活をお認めになってしまわれて、正直こまっておりますの」
「え!?で、ではセイジュ様は今後も納品の手伝いをなさるのですか?」
「そうです」
「ま、まさか旅の方も…」
「さすがに一人旅はお認めにはならないとは思いますが旅自体はきっとお認めになられますわ…」
「色々危険ですわ!」
「なにやらモンドとお父様がお話し合いになるということできまったそうですわ」
4人が顔を近づけ小声であれこれ話だしセイジュは一人どうしていいかわからず盛大に汗をふきださせながら直立不動で固まっていた。
「こらこらセイが困って動けずいるじゃないか」
「え!?あ、お兄様!」
「アンジェ、この場では君がしっかりしなければセイが緊張で死んでしまうよ」
「!そうですわね!!申し訳ありません!」
「メリダ、本日は王家が主催だ、ホストとしてしっかりセイジュ君をまもってさしあげなさい」
「はい!おまかせください!!」
「カリン、お二人をサポートしセイジュ君を君もまもってやってくれ」
「はい!」
「マチルダも微力ながらしっかりお手伝いするんだ」
「はい!!がんばります!」
兄たちから声をかけられ我に返った4人はやる気をたぎらせ晩餐会の最中ずっとセイジュのそばにい続けた。
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「セイジュ様をご案内いたしました」
「とおしてくれ」
「失礼いたします」
城での晩餐会から10日ほどたった日、セイジュはホルマトロ家へとよびだされ応接室へと通されるとそこにはホルマトロ家とグラドス家全員があつまっていた。
「セイよ忙しいところすまんな」
「いえ!とんでもございません!それで本日は…」
「うむ、実はエドワードの婚約が決まった」
「え!?それはおめでとうございます!!」
「セイジュ様ありがとうございます」
ハスクからの知らせに一瞬驚いたが満面の笑みで心からの祝福をするセイジュにグラドス家もあたたかな心となり全員優しい笑顔をセイジュへと向けていた。
「そこで当家としてできるかぎりの協力をしたいと考えてな、どうだセイ、エドワードのために式の手伝いをしてやってはくれんか?」
「え?そのような大役を僕などでよろしいのですか?」
「くっくっく!セイ、君はスカラーでクリエイターだ。むしろ君が準備をしたというだけで格があがるんだよ」
「ええ!?」
「そういうことだ、それでセイよどうだ?」
「グラドス家の皆様とハスク様が私などでご納得していただけるというのであれば僕はエドワード様のため全力でお祝いをしてさしあげたいです!」
「セイジュ様、お心遣いグラドス家を代表いたしまして心より感謝申し上げます!」
「では報酬はグラドスと我が家からも出すうえセイよたのむぞ!」
「いっ!?ほ、報酬など滅相もございません!」
「セイ、君の今の立場でさすがに無償というわけにはいかないんだよ」
「ハンス様!しかし!僕などがエドワード様のご成婚をお祝いできる機会をハスク様から頂いたのですから!」
「くっくっく!しかしね?世間の目というものあるんだ」
「あ、あの!でしたら僕がどうしてもお祝いもうしあげたいと言ったのでハスク様がご助力してくださりグラドス家の皆様が了承してくださったということにしていただくということは!」
「あっはっはははは!国賓扱いの君に頼まれたというのであればお父様もダン様もお認めにならざるはおえないな!」
あまりにも必死なセイジュの言葉に慣れているホルマトロ家は苦笑していたがグラドス家は驚いて固まっていた。
「そのように笑っておいでですがハンス様、僕がグラドス家の皆様から受けたご恩をやっと少しだけでもお返しできる機会なのですよ?」
「恩ですか?当家はセイジュ様に感謝することはあれど恩などは思い当たることがありませんが」
「ダン様、闘技大会中のことをセイはいっているんですよ」
「はて…心当たりがありませんが」
「くっくっく!マチルダ様がアンジェを身を挺して守ってくださったことです」
「は?な、なんと…そのようなことをいまだに心にとどめていらっしゃったのですか」
笑いをかみ殺しながら言ったハンスの言葉にダンだけではなくエドワードもマチルダも驚いていた。
「かならず守るとお誓いしたのに…それにマチルダ様まで危険な目に合わせてしまいました」
「セイジュ様…」
セイジュが眼をそらし珍しく悔やむような苦々しい顔をしていうとダンは目を見開き驚きそのあとすぐ真剣な目でセイジュをとらえていた。
「くくっく…お父様アンジェのことを引き合いに出されてはセイの言う通りにしてやらねばなりませんね」
「はぁ~……しかたない。ダン殿こんかいはセイの言う通りにしてやってはくれんか?」
「は?え、ええ。当家としては嬉しい限りですが…よろしいのですか?」
「かまわんよ…この子がやる気にならねばどのみち結果が大きく変わってしまうのでな」
「そ、そうですか…では、ハスク様お心遣いありがとうございます、セイジュ様なにとぞよろしくお願いいたします」
「すこしでも喜んでいただけるよう精一杯頑張らせていただきますのでこちらこそよろしくお願いいたします!」
その後、今後の予定をききグラドス家のしきたりなども和気あいあいと話し合った。
「やはりアンジェリーナ様はセイジュ様の特別な方なのですね!」
「ふぇ!?マ、マチルダ様!」
「セイジュ様があのようなお顔をするなどありませんから!セイジュ様のアンジェリーナ様をお慕いしているお心に私も感動してしまいました!」
「ふぇぇぇ!!」
純真無垢な笑顔でマチルダにいわれアンジェリーナはゆでだこのようになり困り果てそれをホルマトロ家の面々は今日も今日とて生暖かくみていた。
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