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4章 皇国
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「それで、第一皇子は?
なぜ正当に王位を継ぐのではなく、クーデターを起こそうとしているんだ?」
「第一皇子は皇帝、皇后が作られた真っ黒なつながりを消し去るため、内部から腐敗しきっている皇国を変えるためにクーデターを企んでいます。
皇国が、一から生まれ変わるために」
なるほど……。その気持ちは何となくわかるかもしれない。受け継いでやり直しをはかるよりも、初めからすべてを壊して作り直した方が面倒がない、というのは。それだったらクーデターの時から信用できる人だけを起用していけば、王座に就いた後も信頼できる人だけで政治を行っていける、と。
「じゃあ、なぜ俺を味方にしたい?」
「それは簡単です。
単純に信頼できる手駒が少なすぎる。
あなたは決して皇后の味方にならないという信頼もあるのでしょう」
うん、あいつの味方になることだけは絶対にない。敵の敵は味方、といった考え方だな。でも、俺を単純な戦力の一人として、喉から手が出るほど欲するか? 俺は冒険者養成校を出たばかりで、これと言った功績も上げていない。
「あなたは、神剣の持ち主なのでしょう?」
「どこで、それを……?」
「私は皇子から聞いていました。
第一皇子は、なぜか自力で気づいたようですが」
「自力で!?」
いや、どうやって自力で気づくんだ……? ま、まあいいけれど。いや、それよりもリヒトは兄上に俺が神剣の持ち主って聞いていたの? 俺ですら知らなかったのに。う、うん。ひとまず話を進めよう。
「それと何の関係が?」
「これに関しては、主にクーデターが成った後の話なのですが。
現在すでに皇国はほかの国から、なんというか、なめられています。
それなのに、クーデターによってさらに国が不安定だと宣言することになる。
もともと皇国は嫌われているのに、です」
嫌われている。まあ、他国を制圧して支配下に置いているくらいだしな。でも、それ以上になぜだろう。そこまで考えて、急に以前養成校の先生が話していたことが思い出された。
「神に、嫌われているから……?」
「ご存じだったんですね。
それはかなり大きい理由ですね。
なのであなたが、神剣を持つあなたがいるだけで、他の国は皇国の見方を変えざるを得ない。
皇族にようやく神に愛される子が生まれたのだ、と」
俺が皇国にいるというのが、そんなに大業な意味になっているとは……。恐ろしい。そうだ、どうせばれているならもういいか。シャリラントも出たがっているし。
「リヒト、シャリラントが出たがっているんだけど、いいかな?」
「シャリラント……?」
「神剣を依り代にしている神使」
神剣の……!? とすっとんきょんな声を上げるリヒト。そんなリヒトは珍しくて、なんだかおもしろい。そんなこと言っている場合ではないのだけれど。そして、コクコクとうなずくリヒト。まあ、許可は取れた。
その意思を確認すると、シャリラントはするりと姿を現した。
「初めまして、リヒベルティア殿」
「ほ、本当に……」
あ、まったく会話が聞こえていなかったから二人が管理驚いている。急にあらわれたものね、シャリラント。ごめん。
「あなたは、ハールにとって大切な人なのですね。
人のいいように扱われるのはあれですが、まあハールのことは大切です。
だから、協力はしましょう。
でも、これだけは覚えていてください。
ミベラ神はアナベルクを許すから、ハールを、神剣の持ち主となる資格を持ったものを皇族にしたのではありません。
ただ、条件がそろっているのが、あの方の子しかいなかったからです」
すっと、シャリラントの目が細まる。その鋭い視線に、馬車の中の温度が下がった気がした。
「は、はい……」
「私が言いたいのはこれだけです」
では、といいたいことを言って消えていったシャリラント。え、ちょ、この空気どうにかして。
なぜ正当に王位を継ぐのではなく、クーデターを起こそうとしているんだ?」
「第一皇子は皇帝、皇后が作られた真っ黒なつながりを消し去るため、内部から腐敗しきっている皇国を変えるためにクーデターを企んでいます。
皇国が、一から生まれ変わるために」
なるほど……。その気持ちは何となくわかるかもしれない。受け継いでやり直しをはかるよりも、初めからすべてを壊して作り直した方が面倒がない、というのは。それだったらクーデターの時から信用できる人だけを起用していけば、王座に就いた後も信頼できる人だけで政治を行っていける、と。
「じゃあ、なぜ俺を味方にしたい?」
「それは簡単です。
単純に信頼できる手駒が少なすぎる。
あなたは決して皇后の味方にならないという信頼もあるのでしょう」
うん、あいつの味方になることだけは絶対にない。敵の敵は味方、といった考え方だな。でも、俺を単純な戦力の一人として、喉から手が出るほど欲するか? 俺は冒険者養成校を出たばかりで、これと言った功績も上げていない。
「あなたは、神剣の持ち主なのでしょう?」
「どこで、それを……?」
「私は皇子から聞いていました。
第一皇子は、なぜか自力で気づいたようですが」
「自力で!?」
いや、どうやって自力で気づくんだ……? ま、まあいいけれど。いや、それよりもリヒトは兄上に俺が神剣の持ち主って聞いていたの? 俺ですら知らなかったのに。う、うん。ひとまず話を進めよう。
「それと何の関係が?」
「これに関しては、主にクーデターが成った後の話なのですが。
現在すでに皇国はほかの国から、なんというか、なめられています。
それなのに、クーデターによってさらに国が不安定だと宣言することになる。
もともと皇国は嫌われているのに、です」
嫌われている。まあ、他国を制圧して支配下に置いているくらいだしな。でも、それ以上になぜだろう。そこまで考えて、急に以前養成校の先生が話していたことが思い出された。
「神に、嫌われているから……?」
「ご存じだったんですね。
それはかなり大きい理由ですね。
なのであなたが、神剣を持つあなたがいるだけで、他の国は皇国の見方を変えざるを得ない。
皇族にようやく神に愛される子が生まれたのだ、と」
俺が皇国にいるというのが、そんなに大業な意味になっているとは……。恐ろしい。そうだ、どうせばれているならもういいか。シャリラントも出たがっているし。
「リヒト、シャリラントが出たがっているんだけど、いいかな?」
「シャリラント……?」
「神剣を依り代にしている神使」
神剣の……!? とすっとんきょんな声を上げるリヒト。そんなリヒトは珍しくて、なんだかおもしろい。そんなこと言っている場合ではないのだけれど。そして、コクコクとうなずくリヒト。まあ、許可は取れた。
その意思を確認すると、シャリラントはするりと姿を現した。
「初めまして、リヒベルティア殿」
「ほ、本当に……」
あ、まったく会話が聞こえていなかったから二人が管理驚いている。急にあらわれたものね、シャリラント。ごめん。
「あなたは、ハールにとって大切な人なのですね。
人のいいように扱われるのはあれですが、まあハールのことは大切です。
だから、協力はしましょう。
でも、これだけは覚えていてください。
ミベラ神はアナベルクを許すから、ハールを、神剣の持ち主となる資格を持ったものを皇族にしたのではありません。
ただ、条件がそろっているのが、あの方の子しかいなかったからです」
すっと、シャリラントの目が細まる。その鋭い視線に、馬車の中の温度が下がった気がした。
「は、はい……」
「私が言いたいのはこれだけです」
では、といいたいことを言って消えていったシャリラント。え、ちょ、この空気どうにかして。
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