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4章 皇国
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そんなある日、部屋に戻ると床に一通の手紙が落ちていた。おそらく扉の隙間から入れられたものだろう。特に印のないもので封がされている。それを開けると中にはきれいに整った文字が。特に記載はないが、おそらく第一皇子からのものだろう。
そこには今日の夜、とある一室で待っているということが簡潔に書かれていた。ようやく皇宮内の地図が頭に入ったからこれがどこかわかるけれど、もし俺がここの場所がわからなかったらどうするつもりだったんだよ。
すぐにその手紙を燃やす。この服で夜遅くにうろついていたら目立つ。目立たない服に着替えてから向かおうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつもだったら寝台に入っているような時間。そっと部屋から顔を出して周りを伺うといつも通りしん、としている。そのことにほっとしながらもひっそりと部屋を抜け出した。指定された部屋はここから多少遠い。しかし、第一皇子の居住区を考えると妥当か。
そんなことを考えながら歩いていると、思っていたよりもすぐに部屋の前にたどり着いた。シャリラントのおかげなのか、特に明かりがなくても特に問題がない。明かりを持たなかったからか、誰にも見とがめられずにここにたどり着けたことにほっとする。
ノックをすると、すぐに扉が開かれた。中にはすでに第一皇子とリヒトが俺のことを待ってた。
「さて、久しぶりだな。
侍従の仕事は身についたか?」
「ええ、お久しぶりです。
ただ主についていくだけの侍従の仕事なら身につきました」
って、本当のことを言ったのにどうしておかしそうに笑うんだ。本当に何もしていないんだが。何とも言えない空気の中、わざとらしいリヒトの咳払いが聞こえてきた。
「あまり時間もありません。
さっさと本題に入りましょう」
「ああ、そうだな。
まずは前回ハールが持ってきたあれのことだが……。
確かめた結果、確かに麻薬であることが分かった」
やっぱりか。シャリラントがそう言っていたから疑ってはいなかったけれど、改めて言われるとなんだかな。さて、問題は一体誰が、というところだろう。
「誰がそんなことをしたかもわかっているんですか?」
俺の質問になぜか第一皇子の視線が鋭くなる。え、俺まずいこと言った? いや、当たり前に気になることだよな。
「シングレ王国の手のものだと判明した」
「シングレ、王国……?」
え、シングレって隣国、だよな? 特に友好関係を築いているわけでも、現状争っているわけでもない隣国。それがどうしてここで名が出てくるんだ。
「私たちも驚いたよ。
まずはハールの話に出てきたものから麻薬を持ち込んだ商人を探した。
そこから念入りに隠されていた出どころを探したところ、辿り着いたのがシングレ王国だった」
「その……、なぜ?」
聞かなくても何となくわかる。でも、その可能性を信じたくなくて俺の口からはそう動いていた。
「端的に言えば、この国を乗っ取るためだ。
……この国が今根腐れしているのは知っている人は知っている。
そこで使用人、それも下働きの部分から決定的に崩そうとしたのだろう。
下働きのものは教養も少ない。
だが、陰ながらもこの城の生活に直結する働きをする。
何かを仕掛けるのにちょうどいい対象だったのだろう」
ちょうどいい、ただそれだけの理由で彼らは、マーシェさんたちはその犠牲になると言うのだろうか。麻薬はもちろん中毒性が高い。そんなことを知らずに、与えられたものをただ享受したことが罪だということなのか。
「マーシェさんたちはどうなるのですか?」
「現時点ではなんとも言えない。
彼らを救うよりも先にやらなければいけないことがある」
「先にって!」
「スーハル皇子、落ち着いてください。
シングレ王国がもしも我が国に進軍して来たら彼らも無事では済まないでしょう。
そして、現状この問題に下手に手を打つわけにはいかないのです」
「どうして……?」
マーシェさんたちを麻薬から隔離して、そのうえでシングレ王国に警告をするのではだめなのだろうか。人目につかないようにこの国を落とそうとした国だ。ばれているとわかれば手を引きそうなものだが。
「確かにシングレ王国の問題のみならばまだすぐに対応できただろう。
麻薬におかされているいる者たちを隔離し、大使としてシングレ王国に出向き麻薬を見せでもすれば向こうは強くは出れないだろう」
君にはわからないかもしれないが、そんな空気を含んだ目でこちらを見てくる。そのくらい、俺にもわかるのに。思わずむっとするが、今はそれに構っている場合ではないだろう。それの何が問題なのだ、と第一皇子から視線をそらさずに問いかける。何も言わない俺をどう思ったのか、第一皇子はため息をこぼした。
「その場合、私たちはしばらくこの城を開けることになる。
その間に皇后の勢力は一体何をする?
今この城から目を離すわけにはいかない。
それに現状皇后の名を借りたこの所業に本人が何も手を出していないのなら、皇后側はそもそも気が付いていない可能性がある」
我々がそうであったように。その言葉に、確かにこの話は俺がマーシェさんにあの会に呼ばれたことが発端であったなと思い出す。この話を持ってきたとき、第一皇子も知らない様子だった。ならば、皇后側が気が付いていない可能性は高いかもしれない。だけど。
「皇后が知らないことをあなたが知っていることが問題だと?」
「ああ、そうだ。
今は無用な警戒はされたくない」
無用な警戒……。確かに第一皇子と対立している今、自分たちが持ちえない情報源を持っているというのは十分な脅威に感じるか。それによってもしもより強固な守りを配置したら、成功率は下がるに違いない。
第一皇子が言いたいことはわかる。本当にクーデターを起こすのであれば、決着は一晩でつけるべきだ。長引けばそれだけ国も民も疲弊する。すでに限界ぎりぎりまで疲弊しているのに、だ。わかるけれど。優しくいろいろなことを教えてくれたマーシェさんたちの顔が頭をよぎる。ぐっと唇をかみしめていると、不意にリヒトが口を開いた。
「これらのほかにも様々な状況を鑑みた結果、我々が思っていたよりも早急に行動を起こすべきだと、そういう結論に至りました」
「早急に?」
「ええ。
最後の懸念も解決の兆しが見えました。
もうそろそろ、行動に移しても問題はないかと」
行動に移す、とうとうクーデターを起こすのだ。知らず、息をのむ。皇后に、手をかける日が、とうとう。
「君は、私が思っていたよりも多くの変化をもたらした。
まさか、こちらが本格的に説得する前にモンラースが決心するとは思わなかったよ」
「モンラース皇子、ですか?」
どうして俺がもたらした変化にモンラース皇子が入っているんだ? そもそも何か変化をもたらした覚えもないけれど。
「まあ、無自覚だろう。
すべてが終ったらモンラースともゆっくり話してみるといい」
「は、はい」
なんだかもやもやするけれど、続く言葉にそれを気にしている場合ではなくなった。
「決行日も決まった。
5日後の夜、それぞれの場所で一斉に行動に移す」
「5日後、ですか」
「ああ。
さすがに皇后側をハール一人に任せるわけにはいかない。
私のもとについた騎士を数名そちらにつける。
余計な手出しはしないよう、十分に言い含めている」
5日後……。本当に、この手ですべてを終わらせることができる? 妙に現実感がない言葉である。余計な手出し。それはきっと皇后のことだろう。あいつだけは、俺の手で。
「わかり、ました」
口の中がからからだ。今からこんなでどうする。そんな考えもよぎるけれど仕方がない。
「それまで十全に準備を整えておくように。
何か必要なものがあればすぐに言うといい。
それと、もしも結構までに何か向こうに動きがあれば伝えてほしい。
この部屋に常に俺と連絡を取れるものを待機させておく」
皇后に、ルックアランに一番近いところにいるのは俺だから、と付け加えられる。このタイミングで急に動きだすとは考えずらいが警戒はしておくべきだろう。
「わかりました」
これで話は終わったらしい。明日もお互い仕事がある。心拍数を挙げる心臓を無視して、この日はこれで解散となった。
「スーハル皇子、どうか無理はなさいませんように」
「ありがとう、リヒト」
心配そうなリヒトに少し気がまぎれる。リヒトだってかなり重要な役どころだろう。何の俺のことを心配してくれる。その優しさになんだかほっとするのだ。っと、そうだ。
「あの、行動に移した際に魔法を使うことは大丈夫ですか?」
今までは万が一にも俺のもとの身分がばれてはまずいと使うこと自体避けてきた魔法。だが、当日は何が起こるかわからない。これは事前に確認しておかないと。
「ああ、構わない。
この一件が終れば、正式にこの国の皇子として紹介することになるだろうからな」
正式に、皇子として。そんなことは別に望んでいないが……。だが、第一皇子の思惑を考えるとそんなわけにもいかないだろう。俺は第一皇子の言葉にうなずきを返した。
そこには今日の夜、とある一室で待っているということが簡潔に書かれていた。ようやく皇宮内の地図が頭に入ったからこれがどこかわかるけれど、もし俺がここの場所がわからなかったらどうするつもりだったんだよ。
すぐにその手紙を燃やす。この服で夜遅くにうろついていたら目立つ。目立たない服に着替えてから向かおうか。
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いつもだったら寝台に入っているような時間。そっと部屋から顔を出して周りを伺うといつも通りしん、としている。そのことにほっとしながらもひっそりと部屋を抜け出した。指定された部屋はここから多少遠い。しかし、第一皇子の居住区を考えると妥当か。
そんなことを考えながら歩いていると、思っていたよりもすぐに部屋の前にたどり着いた。シャリラントのおかげなのか、特に明かりがなくても特に問題がない。明かりを持たなかったからか、誰にも見とがめられずにここにたどり着けたことにほっとする。
ノックをすると、すぐに扉が開かれた。中にはすでに第一皇子とリヒトが俺のことを待ってた。
「さて、久しぶりだな。
侍従の仕事は身についたか?」
「ええ、お久しぶりです。
ただ主についていくだけの侍従の仕事なら身につきました」
って、本当のことを言ったのにどうしておかしそうに笑うんだ。本当に何もしていないんだが。何とも言えない空気の中、わざとらしいリヒトの咳払いが聞こえてきた。
「あまり時間もありません。
さっさと本題に入りましょう」
「ああ、そうだな。
まずは前回ハールが持ってきたあれのことだが……。
確かめた結果、確かに麻薬であることが分かった」
やっぱりか。シャリラントがそう言っていたから疑ってはいなかったけれど、改めて言われるとなんだかな。さて、問題は一体誰が、というところだろう。
「誰がそんなことをしたかもわかっているんですか?」
俺の質問になぜか第一皇子の視線が鋭くなる。え、俺まずいこと言った? いや、当たり前に気になることだよな。
「シングレ王国の手のものだと判明した」
「シングレ、王国……?」
え、シングレって隣国、だよな? 特に友好関係を築いているわけでも、現状争っているわけでもない隣国。それがどうしてここで名が出てくるんだ。
「私たちも驚いたよ。
まずはハールの話に出てきたものから麻薬を持ち込んだ商人を探した。
そこから念入りに隠されていた出どころを探したところ、辿り着いたのがシングレ王国だった」
「その……、なぜ?」
聞かなくても何となくわかる。でも、その可能性を信じたくなくて俺の口からはそう動いていた。
「端的に言えば、この国を乗っ取るためだ。
……この国が今根腐れしているのは知っている人は知っている。
そこで使用人、それも下働きの部分から決定的に崩そうとしたのだろう。
下働きのものは教養も少ない。
だが、陰ながらもこの城の生活に直結する働きをする。
何かを仕掛けるのにちょうどいい対象だったのだろう」
ちょうどいい、ただそれだけの理由で彼らは、マーシェさんたちはその犠牲になると言うのだろうか。麻薬はもちろん中毒性が高い。そんなことを知らずに、与えられたものをただ享受したことが罪だということなのか。
「マーシェさんたちはどうなるのですか?」
「現時点ではなんとも言えない。
彼らを救うよりも先にやらなければいけないことがある」
「先にって!」
「スーハル皇子、落ち着いてください。
シングレ王国がもしも我が国に進軍して来たら彼らも無事では済まないでしょう。
そして、現状この問題に下手に手を打つわけにはいかないのです」
「どうして……?」
マーシェさんたちを麻薬から隔離して、そのうえでシングレ王国に警告をするのではだめなのだろうか。人目につかないようにこの国を落とそうとした国だ。ばれているとわかれば手を引きそうなものだが。
「確かにシングレ王国の問題のみならばまだすぐに対応できただろう。
麻薬におかされているいる者たちを隔離し、大使としてシングレ王国に出向き麻薬を見せでもすれば向こうは強くは出れないだろう」
君にはわからないかもしれないが、そんな空気を含んだ目でこちらを見てくる。そのくらい、俺にもわかるのに。思わずむっとするが、今はそれに構っている場合ではないだろう。それの何が問題なのだ、と第一皇子から視線をそらさずに問いかける。何も言わない俺をどう思ったのか、第一皇子はため息をこぼした。
「その場合、私たちはしばらくこの城を開けることになる。
その間に皇后の勢力は一体何をする?
今この城から目を離すわけにはいかない。
それに現状皇后の名を借りたこの所業に本人が何も手を出していないのなら、皇后側はそもそも気が付いていない可能性がある」
我々がそうであったように。その言葉に、確かにこの話は俺がマーシェさんにあの会に呼ばれたことが発端であったなと思い出す。この話を持ってきたとき、第一皇子も知らない様子だった。ならば、皇后側が気が付いていない可能性は高いかもしれない。だけど。
「皇后が知らないことをあなたが知っていることが問題だと?」
「ああ、そうだ。
今は無用な警戒はされたくない」
無用な警戒……。確かに第一皇子と対立している今、自分たちが持ちえない情報源を持っているというのは十分な脅威に感じるか。それによってもしもより強固な守りを配置したら、成功率は下がるに違いない。
第一皇子が言いたいことはわかる。本当にクーデターを起こすのであれば、決着は一晩でつけるべきだ。長引けばそれだけ国も民も疲弊する。すでに限界ぎりぎりまで疲弊しているのに、だ。わかるけれど。優しくいろいろなことを教えてくれたマーシェさんたちの顔が頭をよぎる。ぐっと唇をかみしめていると、不意にリヒトが口を開いた。
「これらのほかにも様々な状況を鑑みた結果、我々が思っていたよりも早急に行動を起こすべきだと、そういう結論に至りました」
「早急に?」
「ええ。
最後の懸念も解決の兆しが見えました。
もうそろそろ、行動に移しても問題はないかと」
行動に移す、とうとうクーデターを起こすのだ。知らず、息をのむ。皇后に、手をかける日が、とうとう。
「君は、私が思っていたよりも多くの変化をもたらした。
まさか、こちらが本格的に説得する前にモンラースが決心するとは思わなかったよ」
「モンラース皇子、ですか?」
どうして俺がもたらした変化にモンラース皇子が入っているんだ? そもそも何か変化をもたらした覚えもないけれど。
「まあ、無自覚だろう。
すべてが終ったらモンラースともゆっくり話してみるといい」
「は、はい」
なんだかもやもやするけれど、続く言葉にそれを気にしている場合ではなくなった。
「決行日も決まった。
5日後の夜、それぞれの場所で一斉に行動に移す」
「5日後、ですか」
「ああ。
さすがに皇后側をハール一人に任せるわけにはいかない。
私のもとについた騎士を数名そちらにつける。
余計な手出しはしないよう、十分に言い含めている」
5日後……。本当に、この手ですべてを終わらせることができる? 妙に現実感がない言葉である。余計な手出し。それはきっと皇后のことだろう。あいつだけは、俺の手で。
「わかり、ました」
口の中がからからだ。今からこんなでどうする。そんな考えもよぎるけれど仕方がない。
「それまで十全に準備を整えておくように。
何か必要なものがあればすぐに言うといい。
それと、もしも結構までに何か向こうに動きがあれば伝えてほしい。
この部屋に常に俺と連絡を取れるものを待機させておく」
皇后に、ルックアランに一番近いところにいるのは俺だから、と付け加えられる。このタイミングで急に動きだすとは考えずらいが警戒はしておくべきだろう。
「わかりました」
これで話は終わったらしい。明日もお互い仕事がある。心拍数を挙げる心臓を無視して、この日はこれで解散となった。
「スーハル皇子、どうか無理はなさいませんように」
「ありがとう、リヒト」
心配そうなリヒトに少し気がまぎれる。リヒトだってかなり重要な役どころだろう。何の俺のことを心配してくれる。その優しさになんだかほっとするのだ。っと、そうだ。
「あの、行動に移した際に魔法を使うことは大丈夫ですか?」
今までは万が一にも俺のもとの身分がばれてはまずいと使うこと自体避けてきた魔法。だが、当日は何が起こるかわからない。これは事前に確認しておかないと。
「ああ、構わない。
この一件が終れば、正式にこの国の皇子として紹介することになるだろうからな」
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