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2章 学園生活
71話 魔法実技(2)
しおりを挟む「これが火属性で最も簡単な魔法です。
やり方を教えてもいいのですが、あくまで自己流ですし……。
一度自分でやってみますか!」
ん?
すごくいい笑顔で、なんだかすごいことを言われたような。私が戸惑っていると隣からはい! といういい返事が聞こえてきた。そしてそちらを見ると、もう片方の手で手首を支えて手のひらをじっと見つめているマンセルトさんがいた。
私もオクトバック先生もそちらを見守っていると、少ししてその手のひらに火が灯った。
「おお!
素晴らしいです」
「ありがとうございます」
にこにこと嬉しそうに笑うマンセルトさんと、そんな彼を見守っている先生。これは私も負けたくないな。
ふっと一つ息を吐く。そして授業で教えてもらった魔法を使うときのコツを意識する。確か体に魔力が巡るのを意識して、そしてそれを体外に出すだっけ?
そして、少しすると火の玉が手のひらに現れた。できた!
「ウェルカ嬢もできましたね!
さすがです」
私もできたことを確認すると、先生が次は……、とまた違うものを見せてくれる。
今度は私もマンセルトさんと同時に挑戦を始めて、同じようなタイミングで魔法を使う。教えてくれている魔法はどんどん難しくなってきているようで、なかなか使えない魔法もあったがそういう時は先生のアドバイスを聞きながらじっくり向き合ってみるとできるようになった。
それが楽しくて、夢中になってそれを何回か繰り返しているとすぐに授業時間が終わってしまった。
「本当にお2人とも優秀なのですね!
一日でここまで進むことができるとは思っていませんでした。
ひとまず火属性は適正属性といっていいでしょう」
「ありがとうございます」
なんというか、この人の褒め方は裏なんかなくて素直に嬉しくなる。初めて自分の中にある魔力というものを使ってみて、初めは違和感が少しあったけれど今ではなく、気持ちいいくらいかも。
「さて、これで本日の授業は終わりです。
しかし、一つだけしっかりと約束をしてください」
そこまで言うと、それぞれの目を順番にまっすぐに見てきた。
「決してこの授業以外で、というよりも私の前以外で魔法を使おうとしないでください。
お2人の魔力は強いものです。
少し魔法を使ってみよう、と思ってもそれだけでは済まなくなる可能性があります。
力があるのは良いことですが、使い方を間違えると取り返しのつかないことになりますから」
はい、と返事をすると先生は嬉しそうにうなずく。そうして初めての魔法実技の授業は終わっていった。
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