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6章 学園
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「ふふ、いつもは領に取り残されるけれど今日は一緒に行けて嬉しいよ」
さて、今僕は馬車の中にいます。兄上の結婚式が終わったということで、王都に戻ることになったのだ。今回、いつもと違うのは一つ。兄上とリーサ義姉上が一緒に乗っているのだ。結婚したということで、今回は夜会に参加せざるをえないという。まあ、僕も夜会に出始めるということで、もとから心配で見守りたい、といったことは言っていたが。
「そうですね。
お兄様と一緒に王都に行くなんて、なんだか久しぶりです。
お兄様が卒業されて以来ですし、3年ぶりかしら?」
「あの、本当にわたくしが一緒でよかったのですか?
ご兄弟の中に入りこんでしまってよかったのでしょうか。
別の馬車でもよかったのですが……」
「兄上と結婚して、もう僕らの家族でしょう?
遠慮しないでください」
広めの四人乗りのこの馬車、いつもは二人だから多少は狭く感じるけれど、それでも全然余裕がある。もともと僕が馬車の中でも休めるようにとふかふかだし、小さいときは寝転がれるくらいの大きさなのだ。それに四人でこうして邪魔も入らず話すことができるのはなんだか楽しい。だから、リーサ義姉上も本当に遠慮なんてする必要ないのに。皆で気を使わなくていい! と主張していると、ようやく納得してくれたみたいで、少し肩の力が抜けてきた。よかった、気を張っていたら旅はつらいからね。
「それにしても、アランがとうとう学園に通うのか……。
本当に時間の流れは速いね」
「ふふ、なんだか急に老け込んだみたいですよ。
それを言うなら、兄上もとうとう結婚したのか、と思いますし」
「いや、正直アランが学園に行く意味ってあるのか? と思って。
同じ年の上級貴族とはもう一通り顔合わせがすんでいるだろう?」
「それはそうですが……。
シントもいますし、通いますよ」
シント。この三年で本当にたくましくなった。たまにだめになることもあったけれど、そのたびにちゃんと立ち直って前を向いてきた。でも、まだ側で支えたいっていうのは僕のわがままかもしれない。
「そう、か。
それにしてもアランは本当に体が丈夫になったな」
「ええ、本当に!
一時は心配していたのですけれど、安心したわ」
う、恥ずかしい……。本当に小さいときはすぐに熱出して寝込んでいたもんな。まあ、年齢とともに多少は丈夫になったのと、魔法でどうにかしているのと、リーロンパ先生のおかげでだいぶましになった。他の人よりも少し病弱か? くらいで済むようになったのだ。うん、本当によかった。
「あら、アラミレーテ様がお体が弱い、というのは本当のことだったのですね?」
「ええ、お恥ずかしながら。
小さいときはよく寝込んでいました……」
「すっかり健康になられたようで、何よりです」
う、そんな嬉しそうに言われてしまったら、そうですね、とうなずくことしかできない。それにしても、気になることがある。
「あの、アラミレーテ様、ではなくアランと呼んでいただいていいのですよ?
僕も、その、リーサ義姉上、と呼びたいですし……」
脳内では呼んでいたけれど、実際に口に出すと恥ずかしい……。今すごい顔が真っ赤になっている気がする。でも、言った。僕は言ったぞ!
「え、あ、あの、……はい。
あ、アラン……」
「二人とも顔が真っ赤だよ。
本当にかわいらしいな……」
え、なんか兄上が変なこと言っている。疲れているのか!? それにしても、自分から勧めておいてなんだけれど、リーサ義姉上の急なアラン呼び、なかなか嬉しいかも……。
「でしたらわたくしのことはぜひ、マリーとお呼びください」
「はい、マリー……!」
「ね、何も心配することはなかっただろう?
私の弟妹たちはとてもいい子たちばかりだからって」
「はい!
さすが、ヘーリの兄弟です」
お、兄上のことは元から愛称で呼んでいたんだ。仲がよさそうで何よりです。きっと王都についたらこんなのんびりできる時間は限られてくるから、貴重な時間だよな。
さて、今僕は馬車の中にいます。兄上の結婚式が終わったということで、王都に戻ることになったのだ。今回、いつもと違うのは一つ。兄上とリーサ義姉上が一緒に乗っているのだ。結婚したということで、今回は夜会に参加せざるをえないという。まあ、僕も夜会に出始めるということで、もとから心配で見守りたい、といったことは言っていたが。
「そうですね。
お兄様と一緒に王都に行くなんて、なんだか久しぶりです。
お兄様が卒業されて以来ですし、3年ぶりかしら?」
「あの、本当にわたくしが一緒でよかったのですか?
ご兄弟の中に入りこんでしまってよかったのでしょうか。
別の馬車でもよかったのですが……」
「兄上と結婚して、もう僕らの家族でしょう?
遠慮しないでください」
広めの四人乗りのこの馬車、いつもは二人だから多少は狭く感じるけれど、それでも全然余裕がある。もともと僕が馬車の中でも休めるようにとふかふかだし、小さいときは寝転がれるくらいの大きさなのだ。それに四人でこうして邪魔も入らず話すことができるのはなんだか楽しい。だから、リーサ義姉上も本当に遠慮なんてする必要ないのに。皆で気を使わなくていい! と主張していると、ようやく納得してくれたみたいで、少し肩の力が抜けてきた。よかった、気を張っていたら旅はつらいからね。
「それにしても、アランがとうとう学園に通うのか……。
本当に時間の流れは速いね」
「ふふ、なんだか急に老け込んだみたいですよ。
それを言うなら、兄上もとうとう結婚したのか、と思いますし」
「いや、正直アランが学園に行く意味ってあるのか? と思って。
同じ年の上級貴族とはもう一通り顔合わせがすんでいるだろう?」
「それはそうですが……。
シントもいますし、通いますよ」
シント。この三年で本当にたくましくなった。たまにだめになることもあったけれど、そのたびにちゃんと立ち直って前を向いてきた。でも、まだ側で支えたいっていうのは僕のわがままかもしれない。
「そう、か。
それにしてもアランは本当に体が丈夫になったな」
「ええ、本当に!
一時は心配していたのですけれど、安心したわ」
う、恥ずかしい……。本当に小さいときはすぐに熱出して寝込んでいたもんな。まあ、年齢とともに多少は丈夫になったのと、魔法でどうにかしているのと、リーロンパ先生のおかげでだいぶましになった。他の人よりも少し病弱か? くらいで済むようになったのだ。うん、本当によかった。
「あら、アラミレーテ様がお体が弱い、というのは本当のことだったのですね?」
「ええ、お恥ずかしながら。
小さいときはよく寝込んでいました……」
「すっかり健康になられたようで、何よりです」
う、そんな嬉しそうに言われてしまったら、そうですね、とうなずくことしかできない。それにしても、気になることがある。
「あの、アラミレーテ様、ではなくアランと呼んでいただいていいのですよ?
僕も、その、リーサ義姉上、と呼びたいですし……」
脳内では呼んでいたけれど、実際に口に出すと恥ずかしい……。今すごい顔が真っ赤になっている気がする。でも、言った。僕は言ったぞ!
「え、あ、あの、……はい。
あ、アラン……」
「二人とも顔が真っ赤だよ。
本当にかわいらしいな……」
え、なんか兄上が変なこと言っている。疲れているのか!? それにしても、自分から勧めておいてなんだけれど、リーサ義姉上の急なアラン呼び、なかなか嬉しいかも……。
「でしたらわたくしのことはぜひ、マリーとお呼びください」
「はい、マリー……!」
「ね、何も心配することはなかっただろう?
私の弟妹たちはとてもいい子たちばかりだからって」
「はい!
さすが、ヘーリの兄弟です」
お、兄上のことは元から愛称で呼んでいたんだ。仲がよさそうで何よりです。きっと王都についたらこんなのんびりできる時間は限られてくるから、貴重な時間だよな。
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