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第七話 春の雪③
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あまりの寒さに目が覚めた。嫌な予感がして、カーテンを開け放つ。
「雪……」
すでに辺りの屋根や車、歩道には雪が薄く積もっていた。そういえば先週、安理《あんり》が季節外れの雪が降ると言っていた気がする。
スマホでニュースサイトを開くと、「季節外れの雪 首都圏大荒れ」「午後からさらに風雪強まる予報」「電車の運休相次ぐ」など、不安を煽るようなタイトルが並んでいた。
こんな天気ではどこにも出掛けられない。今日は大人しく家に居よう。
冷蔵庫から冷凍ピザを取り出し、オーブンで温めながら、ふっと頭に浮かんだのは、安理のことだった。
──まさか、こんな日に店に行ったりはしないだろうな?
毎週土曜日、私の誕生日まで欠かさず店に来ること。その時想いに答えるかどうかを決める。安理と交わした約束だ。
しかし交通機関がまともに動いていないし、恐らく店も休業だろう。さすがに私も鬼では無いから、今日のような日に店に来なかったとしても文句はない。
少々気掛かりだったが、読書をして時間を潰した。夕方になると風が強く吹き始め、ベランダの窓ががたがたと音を立て、窓の外は真っ白になっていた。
久々にどこにも出掛けない土曜日を過ごし、日曜日の朝、日の出前に目が覚めた。「少々気掛かり」などと言ったが嘘だ。寝つきが悪く眠りが浅くなる程度には気になっている。
ベッドから降りて窓の外を見ると、雪は止んでいて昨日の景色が嘘のように暖かく、空には薄い雲がかかっている程度で晴れのようだった。
スマホの天気予報では、最高気温十八度と書かれていた。昨日は最低気温が氷点下二度まで下がっていたというのに。
今日は店はやるのだろうか。寧ろ昨日は開いていたのだろうか。
そういえば、バーに初めて行った日にSNSのアカウントがあるとマスターが言っていた気がする。フォローをしてくれと言われたが、SNSはやっていないからと断った。
ネットでバーの名前と住所で検索すると、バーのSNSアカウントがすぐに出てきた。最新の投稿をチェックすると、昨日の19時過ぎに「雪のため、店は休業しています。誰も来ないとは思いますが念のため。マスターは雪掻きしに行ってきます」と投稿されていた。
若者ならSNSで簡単にこの情報を見て行ってはいないだろう。そもそも電車が動いていないし、タクシーさえ捕まらないと予想できる。
日が昇り、午後になって雪はほとんど解けてしまい、道の端に寄せられて山になった雪だけが残っていた。
なかなか読書に集中できないまま、何度かSNSを見ていると、午後四時過ぎに「今夜は通常通り営業します。十九時開店です」と投稿されていた。
日曜の夜には行ったことがない。しかしこのままでは落ち着かない。
マスターが昨日店に雪掻きに行ったというなら、安理が来ていたかどうか分かるはずだ。それだけでも聞きたい。勿論来ていないと言われたとして約束を反故にしたとは思わないし、寧ろ安心するために聞きたいのだ。
バーの開店時間に着くように服を着替えて家を出る。駅に着くと電車はまだ少しだけ遅延していたが、動いていたので問題ない。
いつもの道を通ってバーに着く。店のドアの横に解けていない雪の小さな山が残っていた。
「雪……」
すでに辺りの屋根や車、歩道には雪が薄く積もっていた。そういえば先週、安理《あんり》が季節外れの雪が降ると言っていた気がする。
スマホでニュースサイトを開くと、「季節外れの雪 首都圏大荒れ」「午後からさらに風雪強まる予報」「電車の運休相次ぐ」など、不安を煽るようなタイトルが並んでいた。
こんな天気ではどこにも出掛けられない。今日は大人しく家に居よう。
冷蔵庫から冷凍ピザを取り出し、オーブンで温めながら、ふっと頭に浮かんだのは、安理のことだった。
──まさか、こんな日に店に行ったりはしないだろうな?
毎週土曜日、私の誕生日まで欠かさず店に来ること。その時想いに答えるかどうかを決める。安理と交わした約束だ。
しかし交通機関がまともに動いていないし、恐らく店も休業だろう。さすがに私も鬼では無いから、今日のような日に店に来なかったとしても文句はない。
少々気掛かりだったが、読書をして時間を潰した。夕方になると風が強く吹き始め、ベランダの窓ががたがたと音を立て、窓の外は真っ白になっていた。
久々にどこにも出掛けない土曜日を過ごし、日曜日の朝、日の出前に目が覚めた。「少々気掛かり」などと言ったが嘘だ。寝つきが悪く眠りが浅くなる程度には気になっている。
ベッドから降りて窓の外を見ると、雪は止んでいて昨日の景色が嘘のように暖かく、空には薄い雲がかかっている程度で晴れのようだった。
スマホの天気予報では、最高気温十八度と書かれていた。昨日は最低気温が氷点下二度まで下がっていたというのに。
今日は店はやるのだろうか。寧ろ昨日は開いていたのだろうか。
そういえば、バーに初めて行った日にSNSのアカウントがあるとマスターが言っていた気がする。フォローをしてくれと言われたが、SNSはやっていないからと断った。
ネットでバーの名前と住所で検索すると、バーのSNSアカウントがすぐに出てきた。最新の投稿をチェックすると、昨日の19時過ぎに「雪のため、店は休業しています。誰も来ないとは思いますが念のため。マスターは雪掻きしに行ってきます」と投稿されていた。
若者ならSNSで簡単にこの情報を見て行ってはいないだろう。そもそも電車が動いていないし、タクシーさえ捕まらないと予想できる。
日が昇り、午後になって雪はほとんど解けてしまい、道の端に寄せられて山になった雪だけが残っていた。
なかなか読書に集中できないまま、何度かSNSを見ていると、午後四時過ぎに「今夜は通常通り営業します。十九時開店です」と投稿されていた。
日曜の夜には行ったことがない。しかしこのままでは落ち着かない。
マスターが昨日店に雪掻きに行ったというなら、安理が来ていたかどうか分かるはずだ。それだけでも聞きたい。勿論来ていないと言われたとして約束を反故にしたとは思わないし、寧ろ安心するために聞きたいのだ。
バーの開店時間に着くように服を着替えて家を出る。駅に着くと電車はまだ少しだけ遅延していたが、動いていたので問題ない。
いつもの道を通ってバーに着く。店のドアの横に解けていない雪の小さな山が残っていた。
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