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番外編 もしもの話2
絡みあった糸の結末3
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帰国した第三王子は母親の言葉に絶句する。
「行方不明?」
「ええ。数日前に第一王子殿下と面会した後から姿が見えない。公務に出かけるとイナナ嬢への手紙を騎士に託した後の目撃情報がないわ」
この件は第一妃も第二妃も仕組んでないと母親に聞いた第三王子も飛び出した。
第一妃との取引も順調に進み、ようやくカローナを救う準備が整い、自分の成人を待つだけだった。しばらくは本国で、カローナを陰で手伝いながら機を待ち、一人ぼっちの誰よりも笑顔の可愛い初恋の少女の手を引けるまでもう少し……。
「こないだカローナ様に憧れる少女に会った。服装はそっくりなのに、幼い顔に似合ってなくて、」
「どこで!?挨拶はいらない」
第三王子はカローナの名前に文官の肩を掴む。
「元伯爵領です。王宮に書類を届けて欲しいと託されましたが、書類は大臣の手に」
第三王子は乱暴に手を解き厩に向かって走り去る。鞍もつけずに愛馬に跨り鞭を振るう。文官の口にした領は伯爵の不正が見つかり王家預かりになっていた。治安が悪く荒れた元伯爵領に自衛のできないカローナが一人でいるなど危険しかない。書類を届けにきたカローナを保護しなかった者は、あとで裁くと思いながら馬に鞭を入れた。
まだ何の力のない子供の頃、第三王子は茶髪のカツラを被り金髪を隠し、人目を避けて後宮の庭園の隅の木の下に座るカローナに会いに行っていた。どんな時もにっこり笑って迎えるロナと名乗ったカローナに。
「サン、」
「今日は宿題はないの?」
「うん。終わった。会えたらいいなって」
数時間前にカローナは第一王子の部屋で年上の令嬢と第一王子に異国の色の赤い瞳を綺麗ではないと嫌味を言われているのを第三王子は聞いていた。
「ロナの瞳は世界で一番綺麗だね」
「ありがとう。サンの陽だまりの色も綺麗」
どんなに辛くてもいつも笑顔のカローナ。王宮では綺麗な笑顔で、茶髪のカツラを被ったサンの前では可愛い笑顔を浮かべる女の子。泣き言も言わずに、宿題を手伝うとニコッと笑ってお礼を言う。時々空を見上げて切ない顔をする女の子。
「ロナ、いつか…」
「サン、もう行くね」
立ち去るカローナの背中をサンと名乗った第三王子は見つめる。大人は誰も助けてくれない。兄にも父にも助けを求めるのは無駄であり余計にカローナを苦しめると母親に止められる。令嬢達が憧れる王子の婚約者という立場はカローナを孤独にする。第三王子は願っても無駄だと知っているので、全てのものを利用して力をつけると決めた。いずれ絶対にカローナを……。
カローナの無事を信じてもいない神に祈りながら馬に鞭をいれ駆け抜ける。
元伯爵領に着き、第三王子は慌てて追いかけてきた侍従にカローナの捜索を命じ、自身は領館を訪ねる。突然の第三王子の訪問に驚く大臣や文官を笑顔で宥め、カローナを名乗る少女に渡された書類の用意を命じると、躊躇う大臣を笑顔で脅し書類を探させた。書類は王妃の執務だがカローナの文字で綴られていた。
「殿下?」
「なんでもありません。書類はこちらで預かります。僕はこれで」
第三王子は時間が惜しい。怪しい少女が持ち込んだ書類を提出しなかった真っ青な顔の大臣の弁明や接待を勧める声も無視して立ち去り、合流した侍従に書類を預けた。
「殿下、5日前に黒髪の少女が森に住む猟師と共にいたと情報が」
「場所は?」
第三王子は案内される猟師の家を目指すと、無精ひげを持つ大柄な熊のような男が飛び出した。
男は第三王子に目をくれず、走って通り過ぎる。第三王子は家の中を侍従に調べるように命じ男を追いかける。
****
第三王子は男に追い付き、がっしりと肩を掴んだ。
「待て!!黒髪、赤い瞳の子を知ってるか!?」
「はなせ!!」
第三王子は鬼のような形相で睨む熊のような男を冷たく見つめた。
「言え!!カローナに何をした!!」
「お偉いさんの事情は知らんべや。儂は嬢ちゃんが生きるのが許されねぇのが許せんべや」
第三王子の顔が真っ青になった。
「生きるのが許されない……?」
「邪魔んべや」
「この辺りに身投げできる場所はあるか!?」
「崖と滝」
「どこ!?」
「滝はそん川を辿」
第三王子は男の手を離して、言葉を最後まで聞かずに川の上流目指して駆けだした。
カローナが命を断とうとしてるのは杞憂であってほしかった。最後に会ったカローナは、「お気をつけていってらっしゃいませ、殿下」といつもの人形のような笑みを浮かべて見送ってくれた。馬を取りに戻ることさえ思いつかないほど焦り、第三王子は一番大事な少女のために必死で駆ける。
***
カローナはようやく滝を見つけた。
何度か転び、服も破けていたが気にする余裕はなく、目的地にたどり着き空を見上げて笑みを浮かべた。髪を整え服の汚れを手で払い、靴を脱ぎ跪いた。深呼吸をして思いっきり息を吸い両手を組んで神に祈りを捧げる。
「両親よりも先立つ不孝をお許しください。王家の繁栄のため命を捧げます。恨みはありません。咎があるなら全てわが身に。カローナ・マグナは心のままに生きました」
しばらくしてゆっくりと目を開き、躊躇いなく激しい水流に飛び込んだ。太陽の光が川に反射しキラキラとカローナの好きな色をしていたので、激流も怖くなかった。カローナは懐かしい声に笑みを浮かべて目を閉じた。
第一王子の婚約者のカローナは最後まで王家のために祈るしか許されない。それでも、最後だけは夢に耳を傾けることを許して欲しかった。
第三王子は飛び込む黒髪を見た。
「カローナ!!やめて、待って、ロナ!!」
カローナの体が激流に飲み込まれるのを見て、第三王子も飛び込んだ。必死に水を掻き、手を伸ばしカローナを掴まえ、飲まれる滝に抗わずに、カローナだけは離さないように強く抱きしめた。
「滝の安全な落ち方が役に立つなんて」
第三王子は水面から顔を出しカローナを抱えたまま泳ぎ陸に上がった。
「ロナ、起きて、ロナ!!」
カローナは呼ばれる声に目を開け、大好きだった瞳の色を見つけ笑みを浮かべる。走馬燈の中のサンにさえ伝えられない。
「サン、来世で」
第三王子がカローナの目覚めにほっとしたのは一瞬だった。カローナの瞳に力はなかった。
「ロナ、遅くなってごめん。」
第三王子はカローナを強く抱きしめる。カローナは走馬燈なのに温かい体に首を傾げる。
「妖精の魔法?走馬燈なのにあたたかい」
「妖精?」
「ロナは大人になったからもうサンとは会えない。サン、さようなら。もしまた会えたら」
カローナは首を横に振り目を閉じた。続きを言葉にするのは許されない。何かを願うなら全て王家のためでなければいけない。亡くなる直前の願いは神に届く特別な意味を持つため王家のために祈るようにと教わっていた。
「カローナ、さようなら。安らかに」
第三王子は光のない瞳に力のない声、押し殺したような諦めた顔をしたカローナを見て決意する。
ポケットの中の小瓶が無事だったのに笑い、自身の口に含み、目を閉じたカローナに口づけてゆっくりと飲ませる。第三王子が涙を流し、押し殺せずに溢した言葉を聞くのは飛んでいた白い鳥だけだった。
***
カローナの捜索が行われ四日目にマグナ公爵家の刺繍入りのハンカチと血まみれの服と黒髪が発見された。
第一王子は見覚えのある服と黒髪を見て、握りしめた拳から血が流れるのに気付かず茫然と立ち尽くした。
「賊の住処には血まみれの死体が乱雑されてました。焼かれた死体もあり、カローナ様かは判別できません。生存者はいません。黒髪は高値で取引されます。そしてこれらを見ると」
「カローナは生きておらんと・・・・」
マグナ公爵家でも黒い空気に襲われていた。
「お姉様が、亡くなったなんて・・・。どうして?お姉様が何をしたの!!」
「イナナ、落ち着きなさい」
「王家は幾度となくうちの干渉を断った。護衛もきちんと手配をすると。お姉様の時間を奪い、冷遇して命も奪うなんて!!滅べばいいと思ってたわ。でもお姉様が、どうして」
マグナ公爵夫妻はイナナの豹変に必死で宥めていた。最近のイナナは落ち着きを覚え暴走することもなくなり、王家への不満を口に出さずいつも笑顔でカローナ達のために動いていた。マグナ公爵夫妻もカローナを奪われ、怒りと悲しみ、喪失感、後悔に襲われている。それでも、もう一人の愛娘を不敬罪で殺されるのは避けたかった。
泣き叫ぶイナナが持つ真っ黒い見たことのない文字の怪しい本を必死に取り上げようとしていた。
「行方不明?」
「ええ。数日前に第一王子殿下と面会した後から姿が見えない。公務に出かけるとイナナ嬢への手紙を騎士に託した後の目撃情報がないわ」
この件は第一妃も第二妃も仕組んでないと母親に聞いた第三王子も飛び出した。
第一妃との取引も順調に進み、ようやくカローナを救う準備が整い、自分の成人を待つだけだった。しばらくは本国で、カローナを陰で手伝いながら機を待ち、一人ぼっちの誰よりも笑顔の可愛い初恋の少女の手を引けるまでもう少し……。
「こないだカローナ様に憧れる少女に会った。服装はそっくりなのに、幼い顔に似合ってなくて、」
「どこで!?挨拶はいらない」
第三王子はカローナの名前に文官の肩を掴む。
「元伯爵領です。王宮に書類を届けて欲しいと託されましたが、書類は大臣の手に」
第三王子は乱暴に手を解き厩に向かって走り去る。鞍もつけずに愛馬に跨り鞭を振るう。文官の口にした領は伯爵の不正が見つかり王家預かりになっていた。治安が悪く荒れた元伯爵領に自衛のできないカローナが一人でいるなど危険しかない。書類を届けにきたカローナを保護しなかった者は、あとで裁くと思いながら馬に鞭を入れた。
まだ何の力のない子供の頃、第三王子は茶髪のカツラを被り金髪を隠し、人目を避けて後宮の庭園の隅の木の下に座るカローナに会いに行っていた。どんな時もにっこり笑って迎えるロナと名乗ったカローナに。
「サン、」
「今日は宿題はないの?」
「うん。終わった。会えたらいいなって」
数時間前にカローナは第一王子の部屋で年上の令嬢と第一王子に異国の色の赤い瞳を綺麗ではないと嫌味を言われているのを第三王子は聞いていた。
「ロナの瞳は世界で一番綺麗だね」
「ありがとう。サンの陽だまりの色も綺麗」
どんなに辛くてもいつも笑顔のカローナ。王宮では綺麗な笑顔で、茶髪のカツラを被ったサンの前では可愛い笑顔を浮かべる女の子。泣き言も言わずに、宿題を手伝うとニコッと笑ってお礼を言う。時々空を見上げて切ない顔をする女の子。
「ロナ、いつか…」
「サン、もう行くね」
立ち去るカローナの背中をサンと名乗った第三王子は見つめる。大人は誰も助けてくれない。兄にも父にも助けを求めるのは無駄であり余計にカローナを苦しめると母親に止められる。令嬢達が憧れる王子の婚約者という立場はカローナを孤独にする。第三王子は願っても無駄だと知っているので、全てのものを利用して力をつけると決めた。いずれ絶対にカローナを……。
カローナの無事を信じてもいない神に祈りながら馬に鞭をいれ駆け抜ける。
元伯爵領に着き、第三王子は慌てて追いかけてきた侍従にカローナの捜索を命じ、自身は領館を訪ねる。突然の第三王子の訪問に驚く大臣や文官を笑顔で宥め、カローナを名乗る少女に渡された書類の用意を命じると、躊躇う大臣を笑顔で脅し書類を探させた。書類は王妃の執務だがカローナの文字で綴られていた。
「殿下?」
「なんでもありません。書類はこちらで預かります。僕はこれで」
第三王子は時間が惜しい。怪しい少女が持ち込んだ書類を提出しなかった真っ青な顔の大臣の弁明や接待を勧める声も無視して立ち去り、合流した侍従に書類を預けた。
「殿下、5日前に黒髪の少女が森に住む猟師と共にいたと情報が」
「場所は?」
第三王子は案内される猟師の家を目指すと、無精ひげを持つ大柄な熊のような男が飛び出した。
男は第三王子に目をくれず、走って通り過ぎる。第三王子は家の中を侍従に調べるように命じ男を追いかける。
****
第三王子は男に追い付き、がっしりと肩を掴んだ。
「待て!!黒髪、赤い瞳の子を知ってるか!?」
「はなせ!!」
第三王子は鬼のような形相で睨む熊のような男を冷たく見つめた。
「言え!!カローナに何をした!!」
「お偉いさんの事情は知らんべや。儂は嬢ちゃんが生きるのが許されねぇのが許せんべや」
第三王子の顔が真っ青になった。
「生きるのが許されない……?」
「邪魔んべや」
「この辺りに身投げできる場所はあるか!?」
「崖と滝」
「どこ!?」
「滝はそん川を辿」
第三王子は男の手を離して、言葉を最後まで聞かずに川の上流目指して駆けだした。
カローナが命を断とうとしてるのは杞憂であってほしかった。最後に会ったカローナは、「お気をつけていってらっしゃいませ、殿下」といつもの人形のような笑みを浮かべて見送ってくれた。馬を取りに戻ることさえ思いつかないほど焦り、第三王子は一番大事な少女のために必死で駆ける。
***
カローナはようやく滝を見つけた。
何度か転び、服も破けていたが気にする余裕はなく、目的地にたどり着き空を見上げて笑みを浮かべた。髪を整え服の汚れを手で払い、靴を脱ぎ跪いた。深呼吸をして思いっきり息を吸い両手を組んで神に祈りを捧げる。
「両親よりも先立つ不孝をお許しください。王家の繁栄のため命を捧げます。恨みはありません。咎があるなら全てわが身に。カローナ・マグナは心のままに生きました」
しばらくしてゆっくりと目を開き、躊躇いなく激しい水流に飛び込んだ。太陽の光が川に反射しキラキラとカローナの好きな色をしていたので、激流も怖くなかった。カローナは懐かしい声に笑みを浮かべて目を閉じた。
第一王子の婚約者のカローナは最後まで王家のために祈るしか許されない。それでも、最後だけは夢に耳を傾けることを許して欲しかった。
第三王子は飛び込む黒髪を見た。
「カローナ!!やめて、待って、ロナ!!」
カローナの体が激流に飲み込まれるのを見て、第三王子も飛び込んだ。必死に水を掻き、手を伸ばしカローナを掴まえ、飲まれる滝に抗わずに、カローナだけは離さないように強く抱きしめた。
「滝の安全な落ち方が役に立つなんて」
第三王子は水面から顔を出しカローナを抱えたまま泳ぎ陸に上がった。
「ロナ、起きて、ロナ!!」
カローナは呼ばれる声に目を開け、大好きだった瞳の色を見つけ笑みを浮かべる。走馬燈の中のサンにさえ伝えられない。
「サン、来世で」
第三王子がカローナの目覚めにほっとしたのは一瞬だった。カローナの瞳に力はなかった。
「ロナ、遅くなってごめん。」
第三王子はカローナを強く抱きしめる。カローナは走馬燈なのに温かい体に首を傾げる。
「妖精の魔法?走馬燈なのにあたたかい」
「妖精?」
「ロナは大人になったからもうサンとは会えない。サン、さようなら。もしまた会えたら」
カローナは首を横に振り目を閉じた。続きを言葉にするのは許されない。何かを願うなら全て王家のためでなければいけない。亡くなる直前の願いは神に届く特別な意味を持つため王家のために祈るようにと教わっていた。
「カローナ、さようなら。安らかに」
第三王子は光のない瞳に力のない声、押し殺したような諦めた顔をしたカローナを見て決意する。
ポケットの中の小瓶が無事だったのに笑い、自身の口に含み、目を閉じたカローナに口づけてゆっくりと飲ませる。第三王子が涙を流し、押し殺せずに溢した言葉を聞くのは飛んでいた白い鳥だけだった。
***
カローナの捜索が行われ四日目にマグナ公爵家の刺繍入りのハンカチと血まみれの服と黒髪が発見された。
第一王子は見覚えのある服と黒髪を見て、握りしめた拳から血が流れるのに気付かず茫然と立ち尽くした。
「賊の住処には血まみれの死体が乱雑されてました。焼かれた死体もあり、カローナ様かは判別できません。生存者はいません。黒髪は高値で取引されます。そしてこれらを見ると」
「カローナは生きておらんと・・・・」
マグナ公爵家でも黒い空気に襲われていた。
「お姉様が、亡くなったなんて・・・。どうして?お姉様が何をしたの!!」
「イナナ、落ち着きなさい」
「王家は幾度となくうちの干渉を断った。護衛もきちんと手配をすると。お姉様の時間を奪い、冷遇して命も奪うなんて!!滅べばいいと思ってたわ。でもお姉様が、どうして」
マグナ公爵夫妻はイナナの豹変に必死で宥めていた。最近のイナナは落ち着きを覚え暴走することもなくなり、王家への不満を口に出さずいつも笑顔でカローナ達のために動いていた。マグナ公爵夫妻もカローナを奪われ、怒りと悲しみ、喪失感、後悔に襲われている。それでも、もう一人の愛娘を不敬罪で殺されるのは避けたかった。
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