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1巻
1-3
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「結局、ファナの夢って、何?」
「えっ、私の夢?」
僕が放った唐突な質問に、ファナは疑問符を浮かべる。
聞けずじまいになっていた彼女の夢は、いったいなんだろうか?
王都の衛兵にも興味がなくて、王子様と結婚することも拒んだ彼女は、いったい何を望んでいるのだろうか?
僕が真剣な眼差しでファナを見据えていると、彼女は小さく笑いながら答えた。
「昨日も言ったけど、私は特にないよ」
しかし僕は、その言葉を素直に信じることができなかった。
だって、昨日聞いてしまったから。
僕が冒険者に憧れているという話題になったとき、彼女が〝実は私も〟と言いかけたことを。
それに、ファナが嘘を吐くときは、いつもこうして作り笑いを浮かべているのだ。
これ以上回りくどいやり取りをするのは嫌だと思い、僕はついに核心に触れた。
「ファナも、冒険者に憧れてるんじゃないの?」
「えっ……」
その質問に、ファナは目を丸くする。
召喚の儀の後にたくさんの人から勧誘を受ける彼女の姿を思い浮かべながら、僕は続けた。
「ファナ、冒険者ギルドの人からも勧誘を受けてたでしょ? そのとき、すごく嬉しそうにしてた。他の勧誘はすぐに断ってたのに、ギルドからの誘いは保留してた。それって、冒険者に憧れてるからじゃないの?」
「……」
ファナは口を閉ざす。
冒険者は子供たち皆にとっての夢だ。モンスターを巧みに操り、凶悪なモンスターを倒していく英雄のような存在。誰もが一度は憧れる職業だ。
だからファナも、僕や他の子たちと同じように、冒険者に憧れていると思った。
そして彼女は真剣な表情で見つめる僕に観念したのか、小さくため息を吐きながら答える。
「まあ、少しだけね」
……やっぱり。
彼女はさらに続ける。
「でも、それは五年経ってからでいいかなって」
「ど、どうして?」
「だから、それはなんとなくだってば。なんとなく、まだ村にいたいかなぁって」
また彼女は、あの、嘘を吐くときの作り笑いを浮かべた。
僕はこの進路の話を始めてからずっと気にかかっていたことを、彼女に言った。
「もしかして……僕に気を遣ってるなら、そんなの全然いらないよ」
「えっ……」
きっと意味が分からなかったのだろう。首を傾げる彼女に、簡潔に説明する。
「僕も冒険者に憧れてて、それを知ってる自分が先に冒険者になるのが心苦しいっていうなら、そんなのは全然気にしなくていい」
「ちょっと、ルゥ、何言ってるの?」
「だってそうでしょ?」
きっとファナは、冒険者になれない僕に気を遣っているからギルドの勧誘を受けないんだ。
優しい彼女ならなおさらそうするだろう。
だからこそ僕は、彼女にギルドの勧誘を受けてほしいと思っている。
僕なんかのために村で無駄な時間を過ごしてほしくないし、僕のせいで彼女の才能が埋もれるのは忍びない。
だってファナは、Aランクモンスター『フレアドラゴン』のテイマーなのだから。
「だから……僕なんかに構わず、先に行ってよ」
「……ルゥ」
先に行って――これはきっと間違っているんだろうな。
だって、五年経って村から出られるようになったとしても、僕が最弱のFランクモンスター『スライム』のテイマーなのは、変えようのない事実なのだから。
Fランクモンスターのテイマーが冒険者になるなんて聞いたことがない。
だから本当は、〝置いて行って〟が正しい。
「あのねルゥ、私はそこまで冒険者に憧れているわけじゃないし、それにね、別に急ぐことでもないんだよ。冒険者にはいつでもなれるし、だから……」
なぜか慌てた様子でファナは言い訳がましく捲し立ててくる。
彼女の優しさが、慰めが、かえって僕の胸の奥に突き刺さる。
このままじゃ僕のせいで、とんでもない才能を埋もれさせることになる。世に出れば、すぐにでも結果を出せるくらいの人を、僕が縛ることになってしまう。
そんなのは絶対にごめんだ。
Aランクモンスターのテイマーになれた彼女は、いじめられっ子で面倒が掛かる冴えない幼馴染のことなんか放っておいて、自由に道を決めた方がいい。
それに……僕は、同情されるのも、邪魔者になるのも、もう堪えられない。
僕は足を止め、体ごとファナに向き直った。
そして、今まで彼女に対して口にしたことがない強い言葉で、彼女の優しさを拒絶する。
「行けよ!」
「……っ!」
自分ですら初めて聞いたかもしれない怒鳴り声。
それを受けてファナは息を呑み、固まってしまった。
「僕なんか置いて行けよ! 弱くて情けない幼馴染になんかに構ってないで、早くどっかに行け!」
手足が震えてくる。
胸の内が痛む。
頭の中が真っ白になる。
それでも僕は、ファナの優しさを拒絶し続けた。
「いい……迷惑なんだよ……」
そして僕は走る。
ファナに背を向け、全力でその場から走り去る。
泣き叫びたい気持ちを抑えて、強く歯を食いしばった。
これでよかったのだろうか。
ずっと自分の面倒を見てくれていた幼馴染の優しさを真っ向から拒絶して、本当によかったのだろうか。
おそらく、よくは……ないのだろう。だけど、これが正解だ。
僕みたいな奴のために貴重な時間を割くなんて間違っているし、それに甘えるのも正しくない。
彼女はAランクモンスターのテイマーで、僕はFランクモンスターのテイマー。
才能が違いすぎるのだから。
不意に、昨日の会話を思い出してしまう。
もし将来なりたい職業と、自分の才能――従魔が合っていなかったとしたら、それはとても理不尽なことなんじゃないか。
僕は〝才能が可視化できているなら、それは結構幸せ〟だと言ってしまった。
やる前から不向きだと分かっていれば、無駄に頑張る必要はない。だからそれはそれで幸せなことなんだと。
じゃあ、今僕は幸せなのかな?
召喚の儀を受けて、自分の才能が改めて分かって、僕は幸せなんだろうか?
いいや、幸せな気分なんて微塵もない。
ハンマーで殴られたみたいに頭が痛いし、胸がはち切れそうなくらい苦しいのだから。
だからといって、不幸せなこともない。
だってこれは自業自得だから。
自分が言ったことで自分の首を絞めているだけなのだから。
やがて僕は自宅に辿り着いた。
ドアを乱暴に開け放ち、そのまま崩れ落ちるようにして玄関に倒れ込む。
家に着いたら、あとは早かった。
誰も見ていないのをいいことに、嗚咽を漏らしながら泣いた。
抑えきれない涙が、止めどなく瞳の奥から流れてくる。
小さい頃は、よくこうして泣いたものだ。
リンド君たちにいじめられて、そのたびに僕は家に閉じこもって泣きじゃくっていた。
そんな僕をいつも慰めてくれたのが、ファナだ。
ファナがいてくれたから僕は、この家で一人でも大丈夫だった。
リンド君たちにいくら意地悪をされても、彼女が慰めてくれたから、堪えてこられた。
涙はいつも、ファナが止めてくれた。
でも、彼女は今、ここにはいない。
ここには僕以外、誰もいない。
「キュルキュル?」
すると突然、後ろのドアから小さな声が聞こえてきた。
僕が乱暴に閉めたせいでちゃんと閉じきっていなかった玄関のドア。
その隙間から、一匹の小さなモンスターが不安げに僕のことを見つめていた。
召喚の儀で授かった相棒、Fランクモンスターのスライム……いや、ライムだ。
僕は目を丸くして、ライムの顔を見つめる。
あれだけ全力で走ったのに……
ライムのことなんか考えずに駆けだしたのに……
ライムは僕のことを追いかけてきてくれたんだ。
途端に湧いてきた罪悪感に、僕の心が痛んだ。
玄関先で不安そうにしているライムを手招きして、中に入れてあげた。
ぴょんぴょんと小さく跳ねながら近づいてくる小さくて可愛い相棒。僕はそんなライムを抱き寄せて、頭を撫でた。
こんなことで罪悪感が拭えるはずがないし、許されるとも思っていない。
むしろこれは、自分を慰めるための行為だ。
落ち込んだ時に愛らしい小動物に癒やされるような。
しかしそれでも僕の涙は止まらない。
腕の中にいる自分の相棒と、他の子たちの相棒を、無意識に比べてしまっている。
ファナと自分を、比べてしまっている。
僕は、震える手でライムの頭を撫でながら、涙声で呟いた。
「ごめんね……お前が悪いわけじゃないって、分かってるんだけどな……」
お前が悪いわけじゃない。
リンド君やいじめっ子たちが悪いわけでもなければ、ファナが悪いわけでもない。
悪いのは、僕だ。
全部、僕が悪い。
僕は、腕の中のライムを優しく撫で続けた。
ライムはずっと動かず、僕が泣き止むまでそばに居続けてくれた。
****ファナ****
召喚の儀の翌日、まだ鳥たちも鳴いていない、肌寒い早朝。
私は、召喚の儀で授かったフレアドラゴンの背に荷物を積みながら、昨日のことを思い返した。
ルゥが怒ったところを見たのは、本当に久しぶりだった。
それに、私よりも女の子っぽい貧弱なルゥが、まさかあそこまで大きな声で怒鳴るなんて、思ってもみなかった。案外彼は、私が知らないところで男の子らしくなっていたのかもしれない。
私はフレアドラゴン――クルルと泣くから『クル』と名付けた――の背に荷物を積み終え、寝ているお母さんを起こさないように注意しながら庭を出た。
お母さんには昨日、散々お別れの挨拶をしたし、大丈夫だろう。
「行こっか、クル」
「クルル」
クルは小さく鳴き、私の後についてくる。
村の出口を目指す、私の後を。
今日私は、村を出る。
生まれたときからずっと育ってきたパルナ村を。
お母さんや村のみんな、そしてルゥがいるこの村を。
でもこれは、ずっと面倒を見てきた幼馴染に予期せぬ拒絶をされて、拗ねたからじゃない。
単純に、ルゥのおかげで目が覚めたのだ。
いや、正しく言うなら、ルゥの目が覚めたから、かもしれない。
彼はもう、私の力なしでも大丈夫だ。これ以上お節介を焼く必要はない。
彼が私に背を向けて、逃げるようにして走り去った昨日の光景を見て、私はそう確信した。
それにしても、ルゥが怒ったところを初めて見たのはいつだったろうか。
確かあれは、五、六歳くらいのとき?
時期はあやふやだけど、彼が怒った理由は明確に覚えている。
リンドが、死んでしまった私のお父さんの悪口を言ったからだ。
お父さんをバカにされて、何も言い返せずに泣いている私の姿を、見たせいだ。
いつもリンドに意地悪をされて、もじもじと何もできなかったルゥが、あのときはびっくりするくらい怒って、あのリンドに掴みかかったのだ。
結局は返り討ちにあって、ボロボロになってしまったけど、私はあのとき初めてルゥが怒ったところを見て、不覚にも格好いいなんて思ってしまった。
それ以来、私は何かとルゥの面倒を見るようになった。
いじめっ子たちに悪戯をされて泣いているところを慰めてあげたり、家で寂しそうにしているときに、ご飯を作りに行ってあげたり、村の仕事で忙しい彼のために、家のことを全部やってあげたり。
そして……彼の夢に付き添ってあげようかな、なんて考えたりもして。
ルゥは、どうやら冒険者になりたいらしい。
だから私も、ルゥが夢について聞いてきたとき、冒険者だと答えようとした。
本当はルゥと一緒にいたいだけであって、そこまで冒険者に憧れているわけじゃない。
弟のような存在のルゥを、放っておけないだけなのだ。
けど、そんなお節介も今日でもう終わり。
ルゥは私から卒業しなきゃならないし、私もルゥから卒業しなきゃ。
私たちはもう、立派な大人なのだから。
私はパートナーのクルを連れて、生まれ育った村を抜けていく。
そして門番を務めている誰かの従魔に、軽く挨拶をしながら出口を跨いだ。
それから私は、なんとなしに村の方を振り返ってみた。
たくさんの木造の家々が連なる、私が大好きな雰囲気の田舎村。
その端っこに建てられた、一際小さい家にルゥが住んでいる。私が何度も訪ねた、思い出深い家だ。
今ごろ彼は、あの家でぐーすか寝ているんだろうなぁ。
村を出るのは、昨日のことを謝ってからでも遅くはないけど、私には彼に合わせる顔がない。彼の気持ちを理解してあげられなかった私が悪い。
そのせいでルゥは、冒険者になる夢を諦めようとしてしまったのだから。
だけど、私は彼の夢を諦めてはいない。
彼が諦めても私が諦めない。
召喚の儀では戦いに似つかわしくない、可愛らしいスライムちゃんが出てきちゃったけど、それでもルゥならなんとかできるんじゃないかと、勝手にそう思っている。
だから、私が彼に向けて送る言葉は――
「ルゥ、先に行って待ってるからね」
聞こえるはずもない別れの挨拶を、小さく口にする。
そして私はクルを連れて、街に続く道を歩きはじめた。
ルゥを置いていくのではなく、先に行って、待つために。
3
色々あった召喚の儀の翌日。
ファナが村を旅立ったという知らせが、朝早くから村中を駆け巡った。
朝一番に村を出て、ここからグロッソの街に向かったと。
彼女のお母さんの話によると、どうやらたくさんあった待遇のいい勧誘の中から、冒険者ギルドの誘いを受けるためにパルナ村を旅立ったらしい。
突然の旅立ち。一言も言葉を交わすことなく、いなくなってしまった。
それでも僕は、自分でも意外なほどに冷静だった。
そうした方が間違いなく彼女のためになるのだから。
本音を言えば、喧嘩別れみたいな感じではなく、一言謝っておきたかった。
だけど、湿っぽいやり取りは彼女の旅立ちに水を差すことになってしまっただろうから、これが最善だったのかもしれない。
謝るのは、また今度でいい。
そう、僕が村を出て、冒険者になったそのときに。
あの後、逃げるように自宅まで帰ってきた僕は、相棒のライムを抱いてひとしきり泣いた。
そのまま泣き疲れて玄関で眠ってしまったのだが、どうやらライムがずっとそばにいてくれたらしく、風邪を引くことはなかった。
スライムって、意外と温かいのだ。
そして、村中騒がしくて目が覚めた僕は、ファナの旅立ちを知った。
それを聞いて寂しくならなかったと言えば嘘になるが、僕が最初に抱いた気持ちは〝嬉しい〟だった。
僕のせいでとんでもない才能が埋もれることがなくなり、そのうえ彼女の夢と僕の夢が一緒だと分かったのだから。
嬉しかった。
先に旅立った彼女に、絶対に追いつきたいと思った。
昨日ひとしきり泣いて、僕はすべてを吹っ切ることができた。
たとえFランクモンスターのテイマーであろうとも、努力すれば冒険者にはなれるはずだと。
一流になれないまでも、三流くらいにならなれるんじゃないかと。
だから僕は諦めない。
何年かかっても諦めない。
ファナが一足先に冒険者の道を走り出したのなら……僕は、こいつと一緒に歩いていく。
「……ライム、ご飯食べよっか?」
「キュルキュル!」
ひとまず、僕はライムと一緒に朝ご飯を食べることにした。
いつも一人しかいなかった家の中に、僕とライムの二人がいる。
度々遊びに来てくれたファナだって、さすがに朝早くから僕の家に来ることはなかったから、この感覚は新鮮だ。
寂しさはまったく感じない。
もしかしたら、独り身の人がペットを飼って癒やされるのは、こんな気分なのだろうか?
「じゃあ、ライムはそこに座って待っててね」
「キュル」
ライムの返事を背に受け、僕はキッチンに入って朝ご飯の準備を始める。
食材を取り出し、いつものメニューを二人分作ろうとした、そのとき……
おや? と僕は疑問を抱いた。
「ところでライムって、何を食べるの? 草とか?」
モンスターの食事についてまるで知らない僕は、ライムが何を食べるのかさっぱり分からなかった。
思いつきで草と言ってしまったが、ライムの反応は……
「キュルゥ……」
露骨に嫌そうな顔をした。
「じゃあ、僕たち人間と同じ食べ物でいいのかな?」
「キュルキュル」
今度は嬉しそうに椅子の上で跳ねた。
モンスターも僕たちと同じ食事でいいんだ。なんだか親近感が湧いてくる。
ファナの料理とは味も見た目も大分劣った朝食を完成させ、二人して食卓についた。
「それじゃあ、いただきます」
「キュルキュル」
僕たちは一緒に朝食を食べはじめる。
召喚の儀を受ける前は、モンスターと一緒に食べるというのはいかがなものか、なんて考えたこともあったけど、案外違和感なく食事をすることができた。
むしろ、楽しくて癖になりそうなくらいだ。
ライムが嬉しそうにご飯を平らげる姿を見て、言い知れぬ幸福感を覚えた。
朝ご飯を食べ終わった僕は、お茶を一口啜ってほっと息をついた。
なんとなく、これからのことを考えてしまう。
ファナを追いかけると決めたものの、僕が冒険者になるために歩まなければならない道は、果てしなく長い。
「最短でも五年……か」
いや、下手したらもっと長く掛かってしまうかもしれない。
たとえ村での仕事を五年間無事に終えたとしても、Fランクモンスターのテイマーだからという理由でもっと長く村に引き留められる可能性もある。
それに、村で五年過ごす間に僕の心境が変わってしまえば、夢もそれまでだ。
絶対に村を出ると意気込んでいた人が、五年の間に村に愛着を持って、そのまま老後まで仕事を続けた例だって少なくないそうだ。
僕にだってその可能性がゼロというわけではない。
それらすべてを考慮して、最短で五年。
ともあれ、今日から僕は、正式に村で働くことになる。ライムを授かったことで、今後の生活にどんな変化が出るのか、楽しみでもあり不安でもある。
「えっ、私の夢?」
僕が放った唐突な質問に、ファナは疑問符を浮かべる。
聞けずじまいになっていた彼女の夢は、いったいなんだろうか?
王都の衛兵にも興味がなくて、王子様と結婚することも拒んだ彼女は、いったい何を望んでいるのだろうか?
僕が真剣な眼差しでファナを見据えていると、彼女は小さく笑いながら答えた。
「昨日も言ったけど、私は特にないよ」
しかし僕は、その言葉を素直に信じることができなかった。
だって、昨日聞いてしまったから。
僕が冒険者に憧れているという話題になったとき、彼女が〝実は私も〟と言いかけたことを。
それに、ファナが嘘を吐くときは、いつもこうして作り笑いを浮かべているのだ。
これ以上回りくどいやり取りをするのは嫌だと思い、僕はついに核心に触れた。
「ファナも、冒険者に憧れてるんじゃないの?」
「えっ……」
その質問に、ファナは目を丸くする。
召喚の儀の後にたくさんの人から勧誘を受ける彼女の姿を思い浮かべながら、僕は続けた。
「ファナ、冒険者ギルドの人からも勧誘を受けてたでしょ? そのとき、すごく嬉しそうにしてた。他の勧誘はすぐに断ってたのに、ギルドからの誘いは保留してた。それって、冒険者に憧れてるからじゃないの?」
「……」
ファナは口を閉ざす。
冒険者は子供たち皆にとっての夢だ。モンスターを巧みに操り、凶悪なモンスターを倒していく英雄のような存在。誰もが一度は憧れる職業だ。
だからファナも、僕や他の子たちと同じように、冒険者に憧れていると思った。
そして彼女は真剣な表情で見つめる僕に観念したのか、小さくため息を吐きながら答える。
「まあ、少しだけね」
……やっぱり。
彼女はさらに続ける。
「でも、それは五年経ってからでいいかなって」
「ど、どうして?」
「だから、それはなんとなくだってば。なんとなく、まだ村にいたいかなぁって」
また彼女は、あの、嘘を吐くときの作り笑いを浮かべた。
僕はこの進路の話を始めてからずっと気にかかっていたことを、彼女に言った。
「もしかして……僕に気を遣ってるなら、そんなの全然いらないよ」
「えっ……」
きっと意味が分からなかったのだろう。首を傾げる彼女に、簡潔に説明する。
「僕も冒険者に憧れてて、それを知ってる自分が先に冒険者になるのが心苦しいっていうなら、そんなのは全然気にしなくていい」
「ちょっと、ルゥ、何言ってるの?」
「だってそうでしょ?」
きっとファナは、冒険者になれない僕に気を遣っているからギルドの勧誘を受けないんだ。
優しい彼女ならなおさらそうするだろう。
だからこそ僕は、彼女にギルドの勧誘を受けてほしいと思っている。
僕なんかのために村で無駄な時間を過ごしてほしくないし、僕のせいで彼女の才能が埋もれるのは忍びない。
だってファナは、Aランクモンスター『フレアドラゴン』のテイマーなのだから。
「だから……僕なんかに構わず、先に行ってよ」
「……ルゥ」
先に行って――これはきっと間違っているんだろうな。
だって、五年経って村から出られるようになったとしても、僕が最弱のFランクモンスター『スライム』のテイマーなのは、変えようのない事実なのだから。
Fランクモンスターのテイマーが冒険者になるなんて聞いたことがない。
だから本当は、〝置いて行って〟が正しい。
「あのねルゥ、私はそこまで冒険者に憧れているわけじゃないし、それにね、別に急ぐことでもないんだよ。冒険者にはいつでもなれるし、だから……」
なぜか慌てた様子でファナは言い訳がましく捲し立ててくる。
彼女の優しさが、慰めが、かえって僕の胸の奥に突き刺さる。
このままじゃ僕のせいで、とんでもない才能を埋もれさせることになる。世に出れば、すぐにでも結果を出せるくらいの人を、僕が縛ることになってしまう。
そんなのは絶対にごめんだ。
Aランクモンスターのテイマーになれた彼女は、いじめられっ子で面倒が掛かる冴えない幼馴染のことなんか放っておいて、自由に道を決めた方がいい。
それに……僕は、同情されるのも、邪魔者になるのも、もう堪えられない。
僕は足を止め、体ごとファナに向き直った。
そして、今まで彼女に対して口にしたことがない強い言葉で、彼女の優しさを拒絶する。
「行けよ!」
「……っ!」
自分ですら初めて聞いたかもしれない怒鳴り声。
それを受けてファナは息を呑み、固まってしまった。
「僕なんか置いて行けよ! 弱くて情けない幼馴染になんかに構ってないで、早くどっかに行け!」
手足が震えてくる。
胸の内が痛む。
頭の中が真っ白になる。
それでも僕は、ファナの優しさを拒絶し続けた。
「いい……迷惑なんだよ……」
そして僕は走る。
ファナに背を向け、全力でその場から走り去る。
泣き叫びたい気持ちを抑えて、強く歯を食いしばった。
これでよかったのだろうか。
ずっと自分の面倒を見てくれていた幼馴染の優しさを真っ向から拒絶して、本当によかったのだろうか。
おそらく、よくは……ないのだろう。だけど、これが正解だ。
僕みたいな奴のために貴重な時間を割くなんて間違っているし、それに甘えるのも正しくない。
彼女はAランクモンスターのテイマーで、僕はFランクモンスターのテイマー。
才能が違いすぎるのだから。
不意に、昨日の会話を思い出してしまう。
もし将来なりたい職業と、自分の才能――従魔が合っていなかったとしたら、それはとても理不尽なことなんじゃないか。
僕は〝才能が可視化できているなら、それは結構幸せ〟だと言ってしまった。
やる前から不向きだと分かっていれば、無駄に頑張る必要はない。だからそれはそれで幸せなことなんだと。
じゃあ、今僕は幸せなのかな?
召喚の儀を受けて、自分の才能が改めて分かって、僕は幸せなんだろうか?
いいや、幸せな気分なんて微塵もない。
ハンマーで殴られたみたいに頭が痛いし、胸がはち切れそうなくらい苦しいのだから。
だからといって、不幸せなこともない。
だってこれは自業自得だから。
自分が言ったことで自分の首を絞めているだけなのだから。
やがて僕は自宅に辿り着いた。
ドアを乱暴に開け放ち、そのまま崩れ落ちるようにして玄関に倒れ込む。
家に着いたら、あとは早かった。
誰も見ていないのをいいことに、嗚咽を漏らしながら泣いた。
抑えきれない涙が、止めどなく瞳の奥から流れてくる。
小さい頃は、よくこうして泣いたものだ。
リンド君たちにいじめられて、そのたびに僕は家に閉じこもって泣きじゃくっていた。
そんな僕をいつも慰めてくれたのが、ファナだ。
ファナがいてくれたから僕は、この家で一人でも大丈夫だった。
リンド君たちにいくら意地悪をされても、彼女が慰めてくれたから、堪えてこられた。
涙はいつも、ファナが止めてくれた。
でも、彼女は今、ここにはいない。
ここには僕以外、誰もいない。
「キュルキュル?」
すると突然、後ろのドアから小さな声が聞こえてきた。
僕が乱暴に閉めたせいでちゃんと閉じきっていなかった玄関のドア。
その隙間から、一匹の小さなモンスターが不安げに僕のことを見つめていた。
召喚の儀で授かった相棒、Fランクモンスターのスライム……いや、ライムだ。
僕は目を丸くして、ライムの顔を見つめる。
あれだけ全力で走ったのに……
ライムのことなんか考えずに駆けだしたのに……
ライムは僕のことを追いかけてきてくれたんだ。
途端に湧いてきた罪悪感に、僕の心が痛んだ。
玄関先で不安そうにしているライムを手招きして、中に入れてあげた。
ぴょんぴょんと小さく跳ねながら近づいてくる小さくて可愛い相棒。僕はそんなライムを抱き寄せて、頭を撫でた。
こんなことで罪悪感が拭えるはずがないし、許されるとも思っていない。
むしろこれは、自分を慰めるための行為だ。
落ち込んだ時に愛らしい小動物に癒やされるような。
しかしそれでも僕の涙は止まらない。
腕の中にいる自分の相棒と、他の子たちの相棒を、無意識に比べてしまっている。
ファナと自分を、比べてしまっている。
僕は、震える手でライムの頭を撫でながら、涙声で呟いた。
「ごめんね……お前が悪いわけじゃないって、分かってるんだけどな……」
お前が悪いわけじゃない。
リンド君やいじめっ子たちが悪いわけでもなければ、ファナが悪いわけでもない。
悪いのは、僕だ。
全部、僕が悪い。
僕は、腕の中のライムを優しく撫で続けた。
ライムはずっと動かず、僕が泣き止むまでそばに居続けてくれた。
****ファナ****
召喚の儀の翌日、まだ鳥たちも鳴いていない、肌寒い早朝。
私は、召喚の儀で授かったフレアドラゴンの背に荷物を積みながら、昨日のことを思い返した。
ルゥが怒ったところを見たのは、本当に久しぶりだった。
それに、私よりも女の子っぽい貧弱なルゥが、まさかあそこまで大きな声で怒鳴るなんて、思ってもみなかった。案外彼は、私が知らないところで男の子らしくなっていたのかもしれない。
私はフレアドラゴン――クルルと泣くから『クル』と名付けた――の背に荷物を積み終え、寝ているお母さんを起こさないように注意しながら庭を出た。
お母さんには昨日、散々お別れの挨拶をしたし、大丈夫だろう。
「行こっか、クル」
「クルル」
クルは小さく鳴き、私の後についてくる。
村の出口を目指す、私の後を。
今日私は、村を出る。
生まれたときからずっと育ってきたパルナ村を。
お母さんや村のみんな、そしてルゥがいるこの村を。
でもこれは、ずっと面倒を見てきた幼馴染に予期せぬ拒絶をされて、拗ねたからじゃない。
単純に、ルゥのおかげで目が覚めたのだ。
いや、正しく言うなら、ルゥの目が覚めたから、かもしれない。
彼はもう、私の力なしでも大丈夫だ。これ以上お節介を焼く必要はない。
彼が私に背を向けて、逃げるようにして走り去った昨日の光景を見て、私はそう確信した。
それにしても、ルゥが怒ったところを初めて見たのはいつだったろうか。
確かあれは、五、六歳くらいのとき?
時期はあやふやだけど、彼が怒った理由は明確に覚えている。
リンドが、死んでしまった私のお父さんの悪口を言ったからだ。
お父さんをバカにされて、何も言い返せずに泣いている私の姿を、見たせいだ。
いつもリンドに意地悪をされて、もじもじと何もできなかったルゥが、あのときはびっくりするくらい怒って、あのリンドに掴みかかったのだ。
結局は返り討ちにあって、ボロボロになってしまったけど、私はあのとき初めてルゥが怒ったところを見て、不覚にも格好いいなんて思ってしまった。
それ以来、私は何かとルゥの面倒を見るようになった。
いじめっ子たちに悪戯をされて泣いているところを慰めてあげたり、家で寂しそうにしているときに、ご飯を作りに行ってあげたり、村の仕事で忙しい彼のために、家のことを全部やってあげたり。
そして……彼の夢に付き添ってあげようかな、なんて考えたりもして。
ルゥは、どうやら冒険者になりたいらしい。
だから私も、ルゥが夢について聞いてきたとき、冒険者だと答えようとした。
本当はルゥと一緒にいたいだけであって、そこまで冒険者に憧れているわけじゃない。
弟のような存在のルゥを、放っておけないだけなのだ。
けど、そんなお節介も今日でもう終わり。
ルゥは私から卒業しなきゃならないし、私もルゥから卒業しなきゃ。
私たちはもう、立派な大人なのだから。
私はパートナーのクルを連れて、生まれ育った村を抜けていく。
そして門番を務めている誰かの従魔に、軽く挨拶をしながら出口を跨いだ。
それから私は、なんとなしに村の方を振り返ってみた。
たくさんの木造の家々が連なる、私が大好きな雰囲気の田舎村。
その端っこに建てられた、一際小さい家にルゥが住んでいる。私が何度も訪ねた、思い出深い家だ。
今ごろ彼は、あの家でぐーすか寝ているんだろうなぁ。
村を出るのは、昨日のことを謝ってからでも遅くはないけど、私には彼に合わせる顔がない。彼の気持ちを理解してあげられなかった私が悪い。
そのせいでルゥは、冒険者になる夢を諦めようとしてしまったのだから。
だけど、私は彼の夢を諦めてはいない。
彼が諦めても私が諦めない。
召喚の儀では戦いに似つかわしくない、可愛らしいスライムちゃんが出てきちゃったけど、それでもルゥならなんとかできるんじゃないかと、勝手にそう思っている。
だから、私が彼に向けて送る言葉は――
「ルゥ、先に行って待ってるからね」
聞こえるはずもない別れの挨拶を、小さく口にする。
そして私はクルを連れて、街に続く道を歩きはじめた。
ルゥを置いていくのではなく、先に行って、待つために。
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色々あった召喚の儀の翌日。
ファナが村を旅立ったという知らせが、朝早くから村中を駆け巡った。
朝一番に村を出て、ここからグロッソの街に向かったと。
彼女のお母さんの話によると、どうやらたくさんあった待遇のいい勧誘の中から、冒険者ギルドの誘いを受けるためにパルナ村を旅立ったらしい。
突然の旅立ち。一言も言葉を交わすことなく、いなくなってしまった。
それでも僕は、自分でも意外なほどに冷静だった。
そうした方が間違いなく彼女のためになるのだから。
本音を言えば、喧嘩別れみたいな感じではなく、一言謝っておきたかった。
だけど、湿っぽいやり取りは彼女の旅立ちに水を差すことになってしまっただろうから、これが最善だったのかもしれない。
謝るのは、また今度でいい。
そう、僕が村を出て、冒険者になったそのときに。
あの後、逃げるように自宅まで帰ってきた僕は、相棒のライムを抱いてひとしきり泣いた。
そのまま泣き疲れて玄関で眠ってしまったのだが、どうやらライムがずっとそばにいてくれたらしく、風邪を引くことはなかった。
スライムって、意外と温かいのだ。
そして、村中騒がしくて目が覚めた僕は、ファナの旅立ちを知った。
それを聞いて寂しくならなかったと言えば嘘になるが、僕が最初に抱いた気持ちは〝嬉しい〟だった。
僕のせいでとんでもない才能が埋もれることがなくなり、そのうえ彼女の夢と僕の夢が一緒だと分かったのだから。
嬉しかった。
先に旅立った彼女に、絶対に追いつきたいと思った。
昨日ひとしきり泣いて、僕はすべてを吹っ切ることができた。
たとえFランクモンスターのテイマーであろうとも、努力すれば冒険者にはなれるはずだと。
一流になれないまでも、三流くらいにならなれるんじゃないかと。
だから僕は諦めない。
何年かかっても諦めない。
ファナが一足先に冒険者の道を走り出したのなら……僕は、こいつと一緒に歩いていく。
「……ライム、ご飯食べよっか?」
「キュルキュル!」
ひとまず、僕はライムと一緒に朝ご飯を食べることにした。
いつも一人しかいなかった家の中に、僕とライムの二人がいる。
度々遊びに来てくれたファナだって、さすがに朝早くから僕の家に来ることはなかったから、この感覚は新鮮だ。
寂しさはまったく感じない。
もしかしたら、独り身の人がペットを飼って癒やされるのは、こんな気分なのだろうか?
「じゃあ、ライムはそこに座って待っててね」
「キュル」
ライムの返事を背に受け、僕はキッチンに入って朝ご飯の準備を始める。
食材を取り出し、いつものメニューを二人分作ろうとした、そのとき……
おや? と僕は疑問を抱いた。
「ところでライムって、何を食べるの? 草とか?」
モンスターの食事についてまるで知らない僕は、ライムが何を食べるのかさっぱり分からなかった。
思いつきで草と言ってしまったが、ライムの反応は……
「キュルゥ……」
露骨に嫌そうな顔をした。
「じゃあ、僕たち人間と同じ食べ物でいいのかな?」
「キュルキュル」
今度は嬉しそうに椅子の上で跳ねた。
モンスターも僕たちと同じ食事でいいんだ。なんだか親近感が湧いてくる。
ファナの料理とは味も見た目も大分劣った朝食を完成させ、二人して食卓についた。
「それじゃあ、いただきます」
「キュルキュル」
僕たちは一緒に朝食を食べはじめる。
召喚の儀を受ける前は、モンスターと一緒に食べるというのはいかがなものか、なんて考えたこともあったけど、案外違和感なく食事をすることができた。
むしろ、楽しくて癖になりそうなくらいだ。
ライムが嬉しそうにご飯を平らげる姿を見て、言い知れぬ幸福感を覚えた。
朝ご飯を食べ終わった僕は、お茶を一口啜ってほっと息をついた。
なんとなく、これからのことを考えてしまう。
ファナを追いかけると決めたものの、僕が冒険者になるために歩まなければならない道は、果てしなく長い。
「最短でも五年……か」
いや、下手したらもっと長く掛かってしまうかもしれない。
たとえ村での仕事を五年間無事に終えたとしても、Fランクモンスターのテイマーだからという理由でもっと長く村に引き留められる可能性もある。
それに、村で五年過ごす間に僕の心境が変わってしまえば、夢もそれまでだ。
絶対に村を出ると意気込んでいた人が、五年の間に村に愛着を持って、そのまま老後まで仕事を続けた例だって少なくないそうだ。
僕にだってその可能性がゼロというわけではない。
それらすべてを考慮して、最短で五年。
ともあれ、今日から僕は、正式に村で働くことになる。ライムを授かったことで、今後の生活にどんな変化が出るのか、楽しみでもあり不安でもある。
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