僕のスライムは世界最強~捕食チートで超成長しちゃいます~

空 水城

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第6章 肝試し大会編

第百二十五話 「もう誰にも負けない」

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 「ぐっ……!」
 
 全身に軋むような痛みを感じながら、僕は目を覚ました。
 僅かに痺れた体を無理に起こし、辺りを見回す。
 周囲は砂塵に包まれていた。
 後方で戦いを見守っていたクロリアたちも、目の前にいたオーランとゴルドレオも、今は見えない。
 その中で僕は、足元に水色の影があることに気が付く。
 
 「ライ……ム……」
 
 「キュル……ルゥ……」
 
 呼びかけると、その影はちゃんと返事をしてくれた。
 弱々しい声で鳴き、僕の脚に体を寄せてくる。
 僕は力なく相棒を抱き寄せて、情けない結果に思わず苦笑を浮かべた。
 
 「は……はは……やっぱり、金級の冒険者は強いね」
 
 「キュル……ルゥ……」
 
 砂塵の中での、ほんのわずかな対話。
 
 誰がどう見ても、完敗。
 これにはさすがに笑ってしまう。
 強い。本気を出したオーラン・ガルドとゴルドレオは、間違いなく強い。
 知ってはいたけど、まさかここまでなんて。
 それにもしかしたらまだ、実力の底を見せていないのかもしれないし。
 このままじゃ、どう逆立ちしても足元にも及ばない。
 
 先手を取るための【威嚇ハウル】は奴らには効かない。
 身体強化の【限界突破リミットブレイク】はすでに使ってしまった。
 果ては切り札の【分裂爆弾】も軽く撃たれた雷魔法に押し負ける始末。
 僕らの全力は、奴らに容易くあしらわれてしまったのだ。
 僕は相棒に囁きかける。
 
 「ごめんね、ライム。僕がテイマーとして未熟だから、こんなことに……」
 
 「キュル……ルゥ……」
 
 ライムは否定的に体を揺らす。
 しかし僕は、自分の弱さを認めて弱音を吐き続けた。
 
 「僕は、あいつのようには戦えない。剣術を心得ているわけじゃないし、本物の刃だって怖くて持てない。だからって色んなアイテムの特性を知っているわけじゃないし、上手くも使えない。僕は、ライムの隣に並んで戦えるような人間じゃないんだ」
 
 オーランは強い。でも僕は弱い。
 それがこの戦いにおいて最も優劣を付けた要因であり、僕たちがさらなる進化を遂げられない原因でもある。
 僕の勝手な見立てだと、おそらくライムとゴルドレオの戦闘能力はさほど変わらないと思われる。
 そこにオーランの力が加わることにより、勝敗の天秤が初めて傾くのだ。
 だから僕が強くならなければいけない。
 そうしないとこの戦いには勝てないから。そうすればこの戦いに勝てるから。
 
 ではどうするか。
 残された手はこれしかない。
 力じゃなく、知恵で。
 僕がテイマーとしてできることは、前から何も変わらない。
 考えるんだ。ライムをどう戦わせてあげればいいのか。
 それをより突き詰めて、頭が焼き切れてもいいから、もっと考えて。
 
 初めて、この世界の闇に触れて、自分の無知と無力を思い知らされたとき、僕は誓った。
 
 ――もう二度と、誰にも負けない。僕はもっと、強くなる。
 
 誰にでもない、この相棒に。
 帰りを待っていてくれた、仲間たちに。
 そして何より、あのとき僕を助けてくれた、幼い頃からずっと変わらない、僕にとっての初めての英雄に。
 あの人のことを知りたい。あの人に追いつきたい。
 そのためにはあの男を、倒さなければならないんだ。
 
 「だから僕は、ライムのことを勝たせるよ。絶対に」
 
 「キュ、キュル……」
 
 胸に抱えた相棒が、弱々しく微笑む姿が眼下に映る。
 それに対して僕も微笑みを返すと、右手を腰裏のポーチに回した。
 小さな布製のそこに手を入れ、ガサガサと手探りで漁る。
 中には非常食や薬草などが入っていて、普段はあまり使わない場所なのだが。
 その中でガラッとした異物に触れると、僕はそれを力強く掴み取った。
 砂塵の向こうにいるだろう、遥か格上の相手に視線を移し、闘志を再熱させる。
 
 「さあ……ここからが僕たちの反撃だ」
 
 一つの転機を迎えようとしていた。
 
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