宇宙(そら)きゃんっ! 私、ぼっち女子高生だったんだけど、転校先で惑星降下アウトドア始めたら、女の子にモテモテになりました!

MITT

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第二話「ユリちゃんの夏休み」⑤

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 ……友達と仲良くする。
 簡単に言ってくれるけど、そんなの無理です……もう、何話していいか解らないの。
 
 でも皆、基本的に良い子ばっかり。
 
 ユリに気遣って、色々話振ってくれたり、仲間に入れてくれようと頑張ってるってのは解る。
 私もその気持ちに答えようと頑張るんだけど。
 
 ユリの伝えたいことは、全然伝わらないし、焦れば焦るほど何も話せなくなってしまい、テンパると泣き出す始末……。

 向こうも困惑してばかりで、だんだん距離を取られてしまった。
 
 ……結果、ものの数日で、向こうもアンタッチャブル扱い。
 こっちもすっかり登校拒否モードになってしまったのだけど、キリコ姉はそんな甘えは許してくれなかった。
 
 と言うか、キリコ姉は元々私がボッチ制の通信教育プログラムで教育を受けているのが、教育者として気に食わなかったらしく、この状況を幸いと自分の教え子に混ぜてみた……そんな思いつきでこんな事になったらしかった。
 
 キリコ姉の考えも解るんだけどね……。

 人には向き不向きがある……けど、キリコ姉の……こんな調子でまともに人付き合い出来るのだろうかと言う、ごもっともな懸念は、お母さんやエリコお姉さまも抱いていたようで、全員一致でもうちょっと頑張ってみろと言う結論になった。
 
 お父さんがいたら、流れを変えてくれたかもしれないんだけど、うちは基本的に女系家族。
 お母さんと姉達のうち二人がカラスは白といえば、カラスは白い……そんな感じ。
 
 ボッチからの脱出なんて……もう無理だと思うんだけどなぁ……。
 世の中には、その方が気楽で、自然とそうなる人ってのがいるんだからさ。
 
 でも、こんな調子だと、いくらエスクロンのナチュラル出会いシステムでも、旦那様候補を選ぶのに苦労するんじゃって懸念はあるのです……。

 ユリだって、素敵な旦那様とか欲しいのです……なにせ、一生独身なんて恥もいいところ……なのですから。

 けど、転校してから一週間ほど経った金曜日の放課後のこと。
 そんな私にも、転機が訪れる事になる。
 
「……御機嫌いかがかしら? えっとユリコさん、前にお会いしてますわね。覚えてらっしゃったら、幸いなんですが」

「せやな! センセの部屋の大掃除以来や……なんや、センセが相手してやってくれって言うから、どんなヤツかと思ったら、あの時の妹ちゃんやったんか。アタシのこと覚えとるやろ? みかんの香水のおねーさんや」

 もう帰る気満々だった、私の席に唐突に、こんな調子で二人組の女子生徒が押し掛けてきた。
 
 ……どっちも見覚えあるけど、名前覚えてない……。
 
 でも、リボンの色が違う……緑ってことは上級生!
 ブレザーの胸元のリボンが黄色が一年、緑は二年生、三年は赤。

 だから、二人共二年生……年上なのですっ!
 
 ちっこいのと大きいの。
 こんなデコボココンビ、早々忘れない……私もちゃんと覚えてた。
 
 みかんの香水もちゃんと覚えてる……実は、私もあの後こっそり探して買ってきたから。
 
 100クレジット均一の安物ショップに売ってたけど、イチゴのも良かったので、それも買って、密かに愛用中。

 だから、今日の私はイチゴの香り。
 
 誰も何も言ってくれなかったけど、隣の席の子はいつもは飲まない、いちご牛乳とか買って飲んでた。
 その子だけじゃなく、他の子もいちご牛乳買ってたみたいで、先生が何で皆、同じの飲んでるんだ? とか不思議がってた。
 
 窓際の席だから、せっせと教室にイチゴの香りを振りまいてたようで、皆いちご牛乳飲みたくなったらしい。
 確かに、このイチゴ臭は、本物のイチゴじゃなく、合成品のイチゴって感じの香り。

 本物のイチゴは美味しいけど、なかなか売ってない……。

 食べ放題のイチゴ狩りとか、ユリの夢のひとつ……食べたいな、イチゴ。
 
 ちなみに、私は周りを見てないようで、結構見てる。
 前向きながら、真横を見るとか、マシンアイズには余裕なのです。
 
 それはともかく、二人は上級生……。
 教室に残ってた同級生達も何事かと遠巻きに見てたり、関わらない方が無難とばかりにそそくさと帰っていく。
 
 上級生が下級生に関わるって、あんまり無いみたいで、何かやったのかな……とかそんな言葉も聞こえてくる。

「……ご、ごめん……なさい。名前……覚えてない」

 人の名前、覚えるの……苦手。
 そんな人間関係の基本すらも、出来ないとか。

 何だか急に泣きたくなって、いきなり涙が出てきた。

「わっ! わっ! そんないきなり泣かんでもええやん!」

 おっきい人があからさまに狼狽える。
 その言葉で、残ってたクラスメートたちも一斉に注目する。

「お前ら、何ジロジロ見とんのやっ! 用もないなら、はよ帰れやっ! せ、せやけど、あれやな……いきなり、こんな一年生の教室に二年が来たら、皆ビビるか……エリー、こりゃうちらが無神経やったなぁ」

 クラスメートの視線から、さりげなく私を隠しながら、そんな芝居がかったようなセリフを言う先輩。
 ……かばってもらっちゃったのかな?

「それもそうですわね。皆様、お騒がせさせておりますわねー! 言っておきますけど、彼女がなにか問題を起こしたとかそんなんじゃありません。私達が一方的に押し掛けたせいで、驚かせてしまいましたの……」

「せやで……なんか言いたいことあるみたいやけど、遠慮せんでええで! 文句があるなら、このあたしがいくらでも、聞いたるわっ!」

 デコボココンビが私の前に立って、残ってたクラスメートたちを見渡すと、誰もが首を横に振る。
 
「……まったく、いくら上級生相手だからって、遠慮なんてしなくていいのに……。あ、ちょっとクスノキさん借りていきますの。ごめんあそばせーっ! ささ、ひとまず場所を変えましょう。ねっ!」

 言いながら、ユリの手が小さな手にガッツリ握られると、顔を寄せられて、軽くウィンクされる。
 お目目ぱっちりの可愛らしい娘……バニラ系のコロンの香りがほんのりと漂ってくる。
 
「せやな! おっ、ユリコちゃん……イチゴの香りするやん! うちもそれ持っとるでっ! お揃いやな!」

 うわっ、香水の事始めて言われたよ……なんか嬉しい。
 
「うん……イチゴっ! みかんも……買ったの」

 言いながら、安っぽい小瓶をポーチから取り出すと、おっきい人も嬉しそうに笑顔を見せる。

「お、やっと笑ってくれたな……! うんうん、女の子は笑顔でいるのが一番や! じゃあ、ここで話するのもなんかやから、とりあえず、あたしらの部室に付き合ってもらうでーっ!」
 
 肩にみかんのお姉さんの腕を回されるんだけど、私なすがまま。
 ユリと比べても、凄く大きいので伸し掛かられてる感じだけど、そんな嫌な気分はしない……。
 
 と言うか、どっちも近い……家族以外にこんな密着されるなんて、始めてなんだけど……ほんのりとみかんとバニラの甘い匂い……。
 
 密着されて、否が応にも伝わってくる二人の体温は、とっても暖かくて、柔らかくて……こう言うのもいいなって思ったら、自然に力が抜けた。
 
 かくして、ユリは……割と問答無用で連行されたのですっ!
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