国一番の美女を決めるミスコン(語弊)にエントリーしたら優勝しそうな件…………本当は男だし、なんなら皇帝の実弟なんだが、どうしよう?

黒木  鳴

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その後

やり過ぎには要注意 4

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牡丹の鑑賞会の途中であるので、皆から少し離れた場所で陵王は千姫と向かい合っていた。

二人だけで……とはいわれたが、それは他の妃嬪ひひんたちが居ない場で、という意味であり、二人の女官たちは背後に控えている。

ちなみに千姫のさらに背後にはこちらを窺う妃嬪ひひんたちの姿も見える。
どうにか声は聞こえない距離だが、二人が気になって牡丹の鑑賞どころではないようだ。
正直、絵面としてはかなりシュールだ。

「胡蝶お姉さま」

開いた唇を閉じ、また開いてを何度か繰り返しつつ、拳を強く握りしめた千姫が意を決したように陵王を呼んだ。

「どうか、正直にお答えください」

そうして薄紅の唇から漏れたのは……。

「胡蝶お姉さまのお具合は……そうとう、お悪いのではありませんか?」

目を見開き、口元を押さえる陵王。

それはまさしく彼が願って止まない問いだった。
ここ数週間、そう思わせるために様々な小細工を要してきた。

ついにそれが実を結んだその事実に、緩みそうになる口元を驚いたふりで必死に隠す。

背後から小さな咳払いが二回聞こえた。
梅鈴からのそれに心の中で「わかってるよ」と答えた陵王はやや俯きがちに柳眉を顰めてみせた。

「どうして……?」

「やっぱり…………」

我ながら儚げで弱々しい声が出せた、と自画自賛している陵王の内心など知らず、千姫は驚きを露わにする陵王の反応に泣きそうに表情を歪めた。

「信じたくなかった。そんなこと、信じたくなかったんです。だけど……先日お姉さまのところの女官が血のついた衣を洗う場を目撃したものがいるのです」

圧し殺した声で悲痛に告げる千姫。

よっしゃあっ!!

内心ガッツポーズを繰り出す陵王。

緩みそうな口元を引き締め、集中、集中と演技を続ける。
ここが正念場だ。

さてどう畳み掛けるか……病弱設定を押し出し、穏便にフェードアウトするための次の一手を模索していると、千姫が思いがけないことを言い出した。

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