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しおりを挟むなんでも……カイルたちの訪問は偶然でもなんでもなかったらしい。
数時間前にも彼らはこの部屋に来てくれていて、だけど俺がいつまで経っても目覚めないから……「3時間後ぐらいにまた来ますね」って一旦戻ってまた来てくれたっぽい。
んで、来てみればドア越しに薄っすら声が聞こえるんで、起きたんだってドアを開けたらあの状態。
ゼリファンたちはたまたまだけど、入室時のドタバタでカイルたちがドアをキチンと閉め切ってなかった所為でなにやら騒いでる様子が廊下まで漏れてたうえにあんな場面を見られた、と。
「ご心配をおかけしました」
なにはともあれ、ベッドの上で頭を下げる。
一応王宮医も呼ばれて体調確認の末「数日は影響があるでしょうから、しっかり寝て食べて安静に」とのお言葉を頂いた。
魔力中毒は自然に治るの待つしかないからね。
用意された軽食を口にしつつ、あの後の話を聞いた。
魔獣はすべて討伐済みで、負傷はあれど死者はなし。
ローブの男たちが「召喚先が書き換えられて…………」と口にしてが、その通りで今回のことは人為的な災害だった。魔法陣に細工が施されていたらしい。
犯人たちもすでに捕縛済み。
んでもって……。
「事件を起こしたのは先日のパーティーの男と同じ組織の人間たちだ」
どうやら俺らが巻き込まれたあの一件と繋がりがあるっぽい。
国に不満がある過激派によるテロ組織的な?
スネークに捕らえられたあの男、あいつが持っていた装置は起爆装置で……王都に爆発物が複数仕掛けられていたのだとか……。
あまりの大事にスプーンを持った手も止まり、あんぐり口を開いてしまう。
「摘発が続いていることで焦りを覚えたんだろうな。王侯貴族が多く集まる場を狙ったようだ」
「ですが深層クラスの魔獣を解き放ったりしたら、自分たちにも危険が及ぶ可能性だってあるでしょう?」
「そこら辺は深く考えていなかったんだろうな。その前に俺らが討伐すると思ってたんじゃないか」
「身勝手極まりないですね」
まさか自分たちの通う学園行事でそんなテロ行為が起きるとは思わんかった。
でもパーティーでのあの男たちがそんな組織の一員なら、王太子殿下や宰相閣下たちが自ら動かれてたのも納得だ。
「ちなみに残党なんかは?」
気になってゼリファンたちの会話に口を挟む。
犯人は捕まったとはいえ、実行犯以外にも組織の人間が残ってたりしたら大変だ。
身近にそんなテロ組織が存在してたなんて結構な衝撃だし。
「問題ない。一斉摘発すべく兄上たちも動いてたからな。今回、犯人たちを速やかに捕縛できたのも水面下で調査を進めてたからだ」
肩を竦めながら「出来ればこんな被害が出る前に解決したかったと兄上は悔いておられたがな」と王子が溜息を吐く。
とはいえ、即時解決できたのは朗報だ。
責任を感じて気落ちしている兄を想ってか浮かない顔の王子にフォローめいた言葉をかければ、その表情が少しだけ和らいだ。
「死者が出なかったのはなによりだ。皆の尽力には兄上も感謝している。特にゼリファンやエバンスがいなければ被害は甚大だっただろうからな」
「…………」
王子の言葉と共に静かに向いた視線からそっと目を逸らす。
「そのことだが。エバンス、あの時一体なにをしたんだ?」
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