20 / 94
時間よ、止まれ。
しおりを挟む
「…なになに、『時間停止モノは9割が嘘』だって?」
ふと見かけたネット記事を、思わず口に出して読み上げてしまった。
そりゃあそうだろう、そんな簡単に時間をホイホイ止めたりすることなんてできないって。
…ん?9割が嘘?
と言うことは、残りの1割は本当だってことか?
それじゃあ、「時間よ、止まれ!」って念じたら、止められる人がいると?
そう思って何の気なしに、目の前の時計に「時間よ、止まれ!」と念じてみた。
…どうやら自分が「残り1割分」の側だったようだ。
それから少し調べたところ、時間を止めることについてはいくつか条件があるみたいだった。
・止めたい相手に対して強く念じれば、その対象の時間を止められる
・止められる時間は1時間以内
・「時間が止まっていないもの」に触れると、時間停止をキャンセルできる
などなど。
まぁ、それなりに制限はあるようだ。
かと言って世間で出回っている「時間停止モノ」のような大それたことをするつもりもなく、本当に必要な「ここぞ」という時くらいにしか力を使わなかった。
例えば、
「どうしても急いでいるときに乗りたいバスや電車が発車しそうな時」
とか、
「特売セール品の最後の一個をゲットする時」
とか。
そんな程度のことくらいだ。
ただ、たまにはちょっとしたいたずらで時間を止めるようなこともあるが、誰も傷つかないようなことばかりだ。
そのおかげで、少し生活に張りが出て楽しくなってきた部分もあるので、このくらいは許してもらいたい。
そんな感じでそれなりに楽しみながら過ごしていたある日。
自転車に乗って街中を走っていたら、下り坂で急にブレーキが壊れてしまって効かなくなってしまった。
下り坂の先には、結構交通量が多めの交差点がある。
そしてスピードは増すばかり。
…このままでは交差点に突っ込んで、大事故になってしまう!
なのでとにかく、強く「止まれ!」と念じる。
そして自分が強く念じた結果、ちゃんと「止まった」。
『で、信号無視の自転車が交差点に突っ込んで来たと思ったら、急に真ん中で止まった…と?』
『そうなんですよ。そのまま通り過ぎればぶつかることなんてなかったんですが、あの自転車、まるで時間が止まったようにピタッと止まって…って、信じてくださいよお巡りさん』
そんな会話が遠い場所から聞こえてきた。
どうやら無意識のうちに、危険だと思った自分に対して強く念じたようだった。
-止めたいのは、自分の方じゃなかったのになぁ-
ふと見かけたネット記事を、思わず口に出して読み上げてしまった。
そりゃあそうだろう、そんな簡単に時間をホイホイ止めたりすることなんてできないって。
…ん?9割が嘘?
と言うことは、残りの1割は本当だってことか?
それじゃあ、「時間よ、止まれ!」って念じたら、止められる人がいると?
そう思って何の気なしに、目の前の時計に「時間よ、止まれ!」と念じてみた。
…どうやら自分が「残り1割分」の側だったようだ。
それから少し調べたところ、時間を止めることについてはいくつか条件があるみたいだった。
・止めたい相手に対して強く念じれば、その対象の時間を止められる
・止められる時間は1時間以内
・「時間が止まっていないもの」に触れると、時間停止をキャンセルできる
などなど。
まぁ、それなりに制限はあるようだ。
かと言って世間で出回っている「時間停止モノ」のような大それたことをするつもりもなく、本当に必要な「ここぞ」という時くらいにしか力を使わなかった。
例えば、
「どうしても急いでいるときに乗りたいバスや電車が発車しそうな時」
とか、
「特売セール品の最後の一個をゲットする時」
とか。
そんな程度のことくらいだ。
ただ、たまにはちょっとしたいたずらで時間を止めるようなこともあるが、誰も傷つかないようなことばかりだ。
そのおかげで、少し生活に張りが出て楽しくなってきた部分もあるので、このくらいは許してもらいたい。
そんな感じでそれなりに楽しみながら過ごしていたある日。
自転車に乗って街中を走っていたら、下り坂で急にブレーキが壊れてしまって効かなくなってしまった。
下り坂の先には、結構交通量が多めの交差点がある。
そしてスピードは増すばかり。
…このままでは交差点に突っ込んで、大事故になってしまう!
なのでとにかく、強く「止まれ!」と念じる。
そして自分が強く念じた結果、ちゃんと「止まった」。
『で、信号無視の自転車が交差点に突っ込んで来たと思ったら、急に真ん中で止まった…と?』
『そうなんですよ。そのまま通り過ぎればぶつかることなんてなかったんですが、あの自転車、まるで時間が止まったようにピタッと止まって…って、信じてくださいよお巡りさん』
そんな会話が遠い場所から聞こえてきた。
どうやら無意識のうちに、危険だと思った自分に対して強く念じたようだった。
-止めたいのは、自分の方じゃなかったのになぁ-
0
あなたにおすすめの小説
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる