「Ｒ-18」異世界で花の乙女になった少女 ～侯爵夫人への階段を昇る～

物語の始まり

夫になる人達

　王都にあるキャスル侯爵家に、少年の声が響く
「父上！母上！花嫁が召喚されましたー！！」
「アル！お帰りなさい！花嫁に会いましたか？」
「ハイ！とても可愛、幼子でした。とても可愛かった！」
「アル、幼子だったのか？」
「ハイ！父上とても可愛かったです！」
「まあまあ！私、女の子が欲しかったのよ！ステキ！！」
「母上、家具何かも見直さないと」
「そうね、もっと可愛らしいのにしましょう」

「皆、協力しなさい！」

「ハイ！」キャスル侯爵夫人号令の元、キャスル家使用人の長い１日が始まる。



　キャスル侯爵は、愛しい夫人の嬉しそうな様子を見ながら難しい顔をしている。

花嫁が、幼子なら3人の夫で守るのは難しいのでは、ないかと。
世界の男女比は、7対3だ。
産まれてくる子供のうち3割しか女児はいない。
しかも、魔力の高い貴族の子供を産める女性は、更に少ない。
女性にも魔力がないと魔力持ちの子供は産まれないからだ。

召喚された花嫁からは、高い魔力の子供が産まれ、女児が産まれる確率も高い。そんな花嫁に、誘拐などの危険は付き物だ。

召喚は、神からの神託が無いと成功しない。そんな神託の中には、クラーク公爵家とキャスル家への花嫁の託宣も有り、当主として鼻が高かったが周囲の反応も激しく、産まれてもいない花嫁の子供への婚姻の申し込み、質が悪いものだと花嫁の貸し出しを迫る者もいた。

高位貴族で有り、名門のキャスル侯爵家の当主として、神から名指しされた誇りも掛けて花嫁と、此れから産まれる孫を守らなければならない。

キャスル侯爵は思う。人格が形成された花嫁よりも幼子をキャスル侯爵家に相応しく育てたほうが良い結果がでるのでは無いかと同時に、留学している甥の顔が浮かぶ。

才能有る若者、生まれの理由により不遇を偲んでいる甥を王都に呼び寄せよてみよう。

「貴方、どうかなさったの？」
侯爵は、愛しい夫人の声で思考の中から戻される。
「貴女には、此れから負担を掛けるかもしれないな」
「花嫁の事？そうね、でも楽しそうだわ。私わたくし、娘とお茶するのが夢でしたの」
「ステキな奥様、今日は私と、お茶にして下さい」
「宜しくてよ。今日は花嫁の事も聞きたいからアルも誘いますよ」
「ハイハイ。私の愛しい貴女が望むなら」

　その日キャスル侯爵家は、笑顔に満たされていた。
まだ見ぬ花嫁の話題は、尽きない。