「Ｒ-18」異世界で花の乙女になった少女 ～侯爵夫人への階段を昇る～

物語の始まり

《花の乙女対策室》

　花の乙女達の召喚当日、王宮にて会議が開かれていた。

　本日の進行役を勤めるのは、キャスル侯爵家長男、クリフォード・フォン・キャスル。

「宰相補佐官として進行役を拝命いたします」
「随分と、可愛らしい花嫁だったみたいだな」国王の茶化す発言が入る。
「幼子故にキャスル家に託宣の花嫁を託されたのでしす。キャスル侯爵家とクラーク公爵家は大変安定していますからね」神殿関係者が、賑やかに答える。
「神から託された花嫁を大切に育て、信頼に答えます」
氷の美貌で有名だが、冷徹仮面の宰相補佐官が賑やかに応対する姿に、一同が驚愕する。

　「召喚に置いて、聖女、託宣の花嫁、外交対象の花嫁を除く、フリーの花の乙女を30名確保できました」

「聖女の管理は、いかがなさいますか？」神殿関係者が問いかける。
「数年は王室で預かり、後に神殿に託す」
皇太子からの返答に、神殿関係者は満足のようだ。
「フリーの花嫁達の嫁ぎ先は、皇太子殿下、宰相室にて選定いたします」
「どのような基準でございますか？」
「高位貴族に限らず、怪しい部分が有る家は排除いたします。花嫁を守る力、財力が無い場合も認めません」
「対象の家が、片寄りすぎます！」
「花嫁を中心にした、新たなプライドを作る事を認めます」
「例えば、一流の魔術師、騎士、商人。この場合も花嫁の安全を第一に考えます」
「親からの援助は、如何いたしますか？」
「可能と考えていますが、花嫁の負担を考え5人までといたします。」

　「皆に聞いてもらいたい」皇太子の発言が始まる。
「従来の枠組では、力の有る一族しか花の乙女を娶れなかったが、新たな枠組では一族には力は無いが、個で王国の力になっている者も花嫁を娶る事ができる」
「勿論、従来通り一族で花嫁を娶る事も認める」

　会議では様々な異論、反論が出たが、皇太子を中心とした、宰相室での取り決めが行われる事が決定した。

「殿下、聖女は、どのような人柄でしたか？」
クリフォードの質問に「愚かな少女だが、最低でも３人位は、王女を生んで貰う」
「その後に神殿に下賜で宜しいですね」
「可哀想だがしかたがない。この世界は聖女には地獄かもしれないな」
「明日も長い１日になります」
「神殿で花嫁の乙女達が神から新たな名を貰う、命名の義、そなたは、幼女と婚約の義も有るな」
「ええ、そうです。ですから今日は帰らせて、いただきます」
冷徹と噂される宰相室の補佐官がそそくさと帰って行く姿を目に皇太子は、自然に笑いだしていた。