「Ｒ-18」異世界で花の乙女になった少女 ～侯爵夫人への階段を昇る～

異世界での一歩

魔力測定の余波2

　「この腕輪を、外してはいけないよ」
フリーゲルと、お父様が見守る中、マーロンさんが私の細い腕に、腕輪が嵌められた。

フリーゲルは、幼い見た目の私に丁寧に、噛み砕いて、教えてくれた。

魔力測定の結果、予想よりも高い数値が出た事。
それが原因になり、トラブルが起こる可能性が有ること。

丁寧に、丁寧に教えてくれた。


そして、腕輪の外しかたも教えてくれたの。

「どうしても、力が必要になった時困るよね」

「いいの？」

「もし、それが原因でトラブルになっても、全力で守るよ」
優しく、笑い掛けてくれる。

私は、神殿でのフリーゲルへの行動を思い出した。
罪悪感が、こみ上げる。

「ごめんなさい！・・・・・　神殿で・・あんな風になって」

「いいんだ。リリィーの年なら当たり前だよ」
私は、フリーゲルに抱きついた。
ごめんなさい。心の中で、もう一度だけ謝ったの。
そして、信頼してくれてる事が嬉しかった。

そして私の日常は、少し忙しくなりました。








　午前中のマナー教育は、より洗練される事を求められましたが、お母様の性格なのか苦に思う事はありませんでした。
それに、レイチェルさんと、エミリーも一緒でしたからね。


午後の、マーロンの一般教養、魔力教育は、私の楽しみでも有りました。

一般教養は国の成り立ち、地理、近隣の諸外国との関係。

そして、私に衝撃を与えた事実。

『寿命』

花の乙女の寿命は、約150年。
平均の魔力を持つ貴族、約150年

私の持つ魔力量は、花の乙女の平均の倍以上。
マーロンの予想では、300年ほどの寿命になる見立て。

クリフォード、サイラス、フリーゲルは、通常の貴族よりも魔力量が多い為、マーロンの見立てでは200年ほどの寿命。

アル、マーロンなどの魔力量が特別多い人は、それ以上の寿命になるそうです。

寿命も、老いも、魔力量次第なんでしょう。

ですが良く考えてみたら女性が少ない世界で、ギリギリでも社会が回って要るなら、そんな前提は必要なのかもしれません。

遠い未来、私は・・・・・　。




今の私の一番の課題は、魔力操作です。

「魔力の流れを、感じたらゆっくりと外に出して」


　上位の魔術師のマーロンの視線は、魔石に魔力を流し込んでいる少女に注がれる。

「リリィー、魔石の色を見てご覧」

少女は、こてんと首をかしげ魔石を見詰める。

「キラキラして綺麗！」
魔石に魔力が入って要ると、キラキラするのは常識だ。
「違うよ。斑になってるよね」
少女は、苦笑いを浮かべ彼を見上げる。
「魔力を、流す量が一定では無いからだよ」
彼は、少女に魔石に魔力を流す作業を促す。



確かに魔石の色は、斑になってます。両手を魔石にかざしていますが、中々上手くいきません。
でも、頑張りますよ。





　マーロンは半月程前に、キャスル侯爵家の筆頭魔術師に就任した。同時に『白百合の君』の教育係りにも就任したのだ。

魔力測定時に顕現するプレートを見せられて、聖女かと思った。

しかも、国に出した報告書は偽造したと軽く言われた。

一族で囲うのかと思えば、表舞台に出すらしい。
正気かと、疑った。

「一世代なら、大切に囲うだろうね。だけど彼女の寿命は、私よりも長い。最後まで守れ無いんだ」

フリーゲルが、頭を下げたのだ。

先代侯爵が恐れた、孤高の天才。

俺も、キャスル家の遠縁に当たる事から、年の近いリオンやサイラス、フリーゲルとは良く遊んでいたが、フリーゲルは何故に孤独感があった。

引き受けるしかないだろう。

キャスル侯爵家の筆頭魔術師として、親族として、孤独的であった幼馴染みが見つけた唯一を、ミニチュア聖女では無く、侯爵家にふさわしい令嬢にしようと思った。

その為には先ずリリィーの、能力の偽装だ。

魔力操作を、上手くさせる事が基本になる。
自分が必要にするだけの魔力を、放出出来るようにしなければならない。


リリィーの腕に付けた腕輪に、鑑定能力を反射させる能力と一定以上の魔力を放出が出来ない仕組みを付与した。

聖なる胎・大地を潤す女体。

王家になぞ知られてはならない。



　マーロンは特大の魔石を、私の前に置いたの。
「リリィー頑張れ！！」
先生、お手柔らかにです。