「R-18」異世界で花の乙女になった少女 ~侯爵夫人への階段を昇る~

Mona

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異世界での一歩

街に行こう!3

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 「位置に着いて。よーいドン」バザール市の名物、女子障害物レースが始まる。

 リリィーは、必死に駆け出す。

今、スタートしたけど実際の勝負は、レース前から始まっていたんだよ。

「あんた、見ない顔ね!ジャマ!」

「もっと端に行ってよ!」

あと、少し押されたり。軽く体当たりされたりしたかな。

しかし、召喚前は女子高生だったからね。
たいした事は無い。可愛もんだよ。

「よーい、スタート」障害物レースが始まった。

最初は網を潜って、前進する。

あちこっちで、悲鳴が上がる。


お次は、平均台。何本か有る、平均台は泥水のプールの中に置かれている。

落ちたら、当たり前に泥まみれ。
落ちなくても、泥水の飛沫が掛かるんだよ。

こうなってくると、もう自分の事だけでしか気にならない。


次は、白粉に入っている御菓子を手を使わないで食べる。
そんな事をしたら・・・・。
そう、顔なんて真っ白だよ。
隣の子の顔を見てしまったら、大爆笑してしまった。
笑われた子も、私の顔を見たら爆笑していたよ。

さあ!最後の競技。二人三脚だ。

走り込んだ先に居た子とペアーを組む。
知らない子、そんな事、関係無い。

2人で肩を組、呼吸を合わせる。
皆、顔が汚れてる。泥まみれの子も居るよ。

ペアの子と、ゴールを目指す。

だって、その先にはサイラスが手を広げて、待っていてくれてる!

私は、サイラスの懐に飛び込む!





さあ、気になる順位です・・・・。


正直、ビリに近い結果です。

頑張りましたよ。


ですが、星の魔石は貰えました。

星の魔石、なんて、ロマンチックな響きなんでしょう。

ですが、実際は魔石の屑・・・・欠けてしまった破片等なんだそうです。

完走した子全員に渡される、賞品でした。
それでも、私は嬉しかった。

与えられるだけの私。

今の私が手に入れられる物。
私の力で手に入れたのが、嬉しかった。



そして、断突のトップは・・・・。

ヴィオレットでした。

いやいや、気付かなかった。

水色の髪は、鬘で隠していたみたいですが、取れたみたいですね。

優しそうな男性に、甘えてます。

彼は、クラーク公爵閣下の叔父君でエリック様。
彼女の、婚約者の1人だそうです。

公爵閣下よりも、年下だそうです。
さすが、貴族社会ですね。

「リリィー星の魔石を、こいつに渡すのか?」

ヴィオレット、直球ですよ!
「ぅん・・・・その予定」
少し、恥ずかしくなってしまいます。

「止めろ、止めろ!」
ヴィオレットが騒ぐと「くそガキ、煩いぞ」
サイラスに首根っこを、摘ままれてしまってます。
しかし、ヴィオレットは、構わずに反撃してます。
さすが、ヴィオレットです。相変わらず、男前ですね。

そんな光景をエリックさんは、優しく眺めていたのが、印象的でした。


 障害物競争が終わった、噴水広場は、さながらフードコーナーの様に変わります。

素朴な木材のテーブルが沢山持ち込まれ、広場の周りは、屋台で一杯になります。

子供達は、大人に小銭を貰い、遊びながら甘味を楽しむの。

勿論、私とヴィオレットも、それに混ざります。

サイラス達は・・・お酒を飲みながら、屋台で求めたツマミを楽しんでます。

ラーメン屋さんであった、サイラスの隊の人達も合流したみたいです。

もう、宴会ですね。

そんな光景を見ている私に、ヴィオレットが話しかけてきます。
「幸せか?」
「うん。ヴィオレットは?」
「幸せだな」

私達は手を繋ぎ、再び広場を掛け巡り甘味料を頬張ります。



ドーン!! パン!パン!
ドーン!! パン!パン!


夕方に、なると花火が上がり薄暗い空を、照らします。

子供達は、大人の横で夕食の変わりに酒のツマミを食べる。

「リリィー、楽しかったか?」
サイラスは、ほろ酔い加減に聞いてきます。
「とても楽しかった!今日は有り難う」
笑顔で返します。本当に楽しかったから。

楽しい1日も、後、少しで終わります。
秋のバザール市は、冬に備える市でもあるのです。
秋の澄んだ空の花火を見て、王都の人達は厳しい冬を乗り越え、春に野に咲く花を見る決意をするのです。

感動して、まったりした空気になっていました。

「今晩は、サイラスさん」

綺麗な、少女が声を掛けてきました。

漆黒の黒髪、青い瞳。

「ご一緒しても宜しいかしら?」

黒髪の少女の連れの男性達は、不審げに少女を見てます。


「男連れで、男を引っ掛けるなんて、下品ね」

何時の間にか、空いていた私の隣の席に少女が座って居ます。

白髪に、水色の瞳。繊細な印象の美少女ですが、めちゃくちゃ、黒髪の少女を罵っています。

正直、黒髪の少女が哀れに思えてしまいます。

黒髪の少女が、耐えきれなくなったみたいで、退散しました。


「ジャスミンには、気を付けて」

白髪の美少女が、私に話し掛けてきました。

彼女は、鈴蘭の君で、先程の黒髪の美少女、ジャスミンさんが大嫌だそうです。

召喚された、花の乙女の方でした。

彼女も友達の、カモミールさん、セントポーリアさんが来ると、さっさと帰ってしまいました。

そしてヴィオレットも「ジャスミンか、気を付けろ」なんて、言ってます。

彼女にしては、厳しい顔付で。

最後に、女のバトルが有りましたが、楽しい1日でした。


秋の、狩猟大会が終わると私はキャスル侯爵領に、向かいます。

王都に居るのも、僅かです。














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