ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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アリス IN 異世界地球

ブルージュ村のキウとミアナ

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【クラウン城 別館】
今回で10回目となる武闘会が開かれる王都クラウンは、国を上げての開催準備をしている。その大会を見ようと世界中から訪れた人々で大賑わいだ
選手達のケアやプライベートを考えて、出場者たちには本館で寝食を取ってもらっている。関係者たちには別館の使用が義務付けされていた

昼下がり、日本風に言えばオヤツの時間の頃、ある客室から喚き声がしている

「つまんない、つまんない!コハラコする事なくて、つまんない!」

ヒイロとカルーアから隔離された形の吸血姫コハラコが、駄々を捏ねてサーシャを困らせていた

「確かに…ずっと部屋に居ても退屈ですの…そうだ!コハラコちゃん、街に出掛けないですの?」

「お出掛け?でも、コハラコお腹も空いてないし、服も昨日ヒイロに買ってもらったのが有るし…」

戦闘する以外で特に趣味の無いコハラコには、食事が済んで服も良いのが有れば特にコレといった目的が無かった

「そうそう!昨日もう1回カルーア姉様と出掛けた時に肉串食べたよね?その横のお店から甘い匂いがしてたよね?」

「デザートとか言うヤツ?」

「そうですの!【デザートは別腹】と言いますの。明日の試合まで時間ありますし、2人で城下町を楽しみましょうですの!」

「行くーっ!」

出掛ける目的を得たコハラコは、さっきまでと態度をガラっと変え、サーシャの服を掴んで部屋を出た



【城下町】
「うぅ…人いっぱいw」

明日は大規模の武闘会が開催されるクラウン城の城下町は、歴史的な大会を見ようと国外からも、多数の人が集まり城下町は人で溢れていた

「はぐれないように手を繋ぐですの!」

サーシャは笑顔でコハラコに手を差し出した。その様子を静かに見返すコハラコ

「どうかしましたですの?」

今は亡き父親オデュッセウスから
「吸血鬼は他種族から忌み嫌われる存在。くれぐれも気を付けるのでぇすっ!」と教わっていた彼女にとって、悪意の無い笑顔で手を差し伸べられるのは新鮮だった

「サーシャありがとうなノ!」

サーシャは吸血姫であるコハラコから、初めてお礼の言葉を言われた。その笑顔はとても眩しく見えた
2人は上機嫌でデザート屋さんを目指して歩き出した。目的のお店がすぐ近くまで来た時だった…

「な、何ですの!?」

突然、衣服をズラされ身体のアチコチを触られるサーシャ

「サーシャちゃん発見!会いたかった!あぁ会いたかった!会いたかった!」

「ミクイさん!こんな所で、脱がさ…あん、駄目ですの!止めて欲しい…ですの!」

明日、優輝とペアで武闘会に参加する予定のミクイが優輝をほっぽり出して、サーシャを追い掛けて来たようだ

「コハラコちゃん、助けてですの!」

「んみゅ!?」

まだ幼いからか?アサシンスキルで姿を消しているミクイをコハラコは認識出来ていなかった。サーシャがひとりで悶えている様に見えていた

「あっ!?駄目ですの…お外で、そんな…恥ずかしいですの…」

「んふふふふふ(笑)」

久しぶりにサーシャの身体を堪能し興奮しているミクイは、城下町の商店街のど真ん中だというのに、サーシャの下着を取り外そうとした

「駄目ですのー!」
「愚へへ……ふへっ!?」

姿を消していたミクイを背の高い女性が、無造作に手を伸ばしミクイの首根っこを捕まえ高々と摘(つま)み上げた

「お嬢さん大丈夫か?」

「あ、ありがとうですの!…あの、貴方は?」

「俺か?俺は明日の大会に参加するキウ・ケディータだ…ところでコイツはどうする?独房にでも放り込ませるか?」
 

高身長で筋肉質でスタイル抜群の【キウ・ケディータ】と名乗る女性が、ミクイに弄ばれていたサーシャを助けてくれた

「あはは…ミクイも明日、武闘会出るから、独房は勘弁です…ごめんなさい」

「キウお姉さま…お姉さまは何味を頼まれ……どうかしたのですか?」

摘み上げられたミクイは観念したのか?カモフラージュで消していた姿を現した。そのキウをデザート屋さんから呼ぶ少女が居る
その少女に気が付いたサーシャは、その少女の衣服に注目した

「まぁ!何処から見ても…いかにも魔法使いさんですの。とても愛くるしく似合っていて可愛いですの♪」

姉のアリスやカルーア、5歳児のコハラコと可愛い少女達を見慣れているサーシャから見ても、いかにも魔法使いな姿をしているその少女がとても愛くるしく映った

「ミリア・ラドシャと申します」

「サーシャですの。キウさんに助けて頂きましたの。良かったらデザートタイムをご一緒するのは、どうですの?」

サーシャはせっかくの出会いを大切にしようと彼女達に声を掛けたのだが…優しいサーシャは、人付き合いを知らないコハラコの為にも、その方が良いと考えている

「俺たちも一緒して良いのか?邪魔にならなければ全然構わないが…」

「みんなで食べる。凄く美味しい!」

「コハラコちゃんも、こう言ってますし、お願いしますの!」

「そうか。ならば遠慮なく一緒させてもらおう。…コイツは…そうだな、あの大きな木に縛っておくか!」

キウは何処からともなくロープを取り出した。そして魔法なのか?ロープはひとりでに動き出し、自動でミクイを大きな木に縛り付けた

「ふみゅー!?…ミクイの体術でも抜けられないなんて、どうなってんの~?」

密偵などが主な任務であるアサシンのミクイは、当然捕まった時などの為に縄抜けや、魔法解除の術は高いレベルで身に付けているのだが…キウに縛られた縄からは抜け出せずにもがいていた


4人はお店の裏手に設置されている丸テーブルの周りに置かれている4つの椅子に座り、デザートタイムを楽しんだ

「大陸の北北東の最果ての村【ブルージュ】から来ました…まぁ!サーシャさんの、お姉さんとお兄さんも明日の武闘会に出られますのね」
 

サーシャより少し上の年齢に見える【ミリア】は、The魔法使いの容姿の丁寧に話す可愛い少女だ
反対に【キウ】は、ヘルメスの街の商業ギルドマスター【ジュリアン】くらいの年齢の、美しく鍛えられた女性に見えるのだが…話し方はジュリアンの様に威勢の良い男勝りな話し方だった



【街中の木に縛られて放置されてるミクイ】
(キウとかいう人…待機中程度のカモフラージュだったとは言え、あんなに簡単にミクイを捕まえるなんて…何者?)

木に縛られているミクイは、明日の自分達の対戦相手であるキウの底知れない強さに警戒を覚えていた



続く
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