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アリス IN 異世界地球
武闘女神と戦う鍛冶師
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【王都クラウン闘技場】
最後まで舞台に残っていたのはカルーアだった。勝ち名乗りを受けて彼女は歩き出した
「楽しかったよ、今後もよろしくエーデ」
カルーアは落ち込んで俯(うつむ)いているエーデに右手を差し出した
「エーデ、ボロ負けだったのに?」
ようやく顔を上げたエーデは、カルーアの顔を見上げた
「良い試合だったよ!凄くドキドキした♪」
不安気な表情のエーデに、カルーアは屈託のない笑顔を向けた
「ありがとう…エーデ頑張るから!」
(届かなかったけど…頑張ったね)
結界を張りながら試合を見守った有栖は、カルーアとの実力差がありながらも最後まで頑張ったエーデを讃えていた
【参加者通路】
勝者として通路に戻ったヒイロとカルーア。出迎えたのはレイドとキッチュだった
「まさか…魔女相手に勝つとはな…」
「キミ達も勝てれば…準決勝で戦えるね♪」
「頑張るからね。待ってろよ!」
カルーアがここまでの実力者だとは思っていなかったレイド。マルバァス討伐戦の活躍もキングス王子たちの誇張もあるだろう、と予想していたのだが…その話が真実だった事を理解した
「勝てそうですか?」
「兄貴が今回は最高レベルの大会にする!って言ってるのは聞いていたが、まさかコレだけのメンツを集めたとはな…しかも相手はクラウン騎士団でも【生ける伝説】と呼ばれるアテナ様だからなぁ…俺も修行は欠かしていないが…」
「大丈夫!レイドは元1番隊隊長してたんだから!ソレに私も頑張るから!」
【舞闘女神】アテナの2つ名を知らないキッチュはヤル気に満ちているが…ギリギリアテナが退役直前に騎士団に入り、彼女の強さを知っているレイドはかなり緊張している様だ
【コロシアム】
「東ゲートからは!ロード王の弟で、かつての騎士団1番隊隊長、レイド・シュタイナー!パートナーは彼が見出したキメラ戦士、キッチュ選手!」
「うおおおおぉ!」
「レイド様ぁ!」
「キッチュ、応援してるぞ!」
現在、自由自治区の長をしているレイドの人気はかなりの物だ。キメラのキッチュもパトロールで人々の為に何度も活躍しているので、彼女を応援する声も多かったが…
「対して西ゲートからは…クラウン騎士団伝説の【舞闘女神】アテナ・クーパー様だぁ!」
「うおおおおおぉぉ!!」
「アテナ様ぁ!」
「パートナーはアテナ様の孫娘…祖父、ヘパイトス様の鍛治スキルを継承しつつ、アテナ様の指南も受けているという【戦う鍛冶師】エリエス・クーパー!」
「エリエスさま可愛い!」
「私の武器も作ってくださーい!」
レイドへの声援も凄まじい物だったが…クラウン騎士団の伝説の舞闘女神アテナの登場に、会場のテンションはマックスになった
「やれやれ…ババアの鼓膜が破けてしまいそうじゃのう…」
「お祖母様!エリエスの成長をご覧下さいね!」
コレだけの大観衆からの大声援を受けても、まるで緊張もしないクーパー祖母と孫娘
「アテナ様、ご無沙汰しております。本日は手合わせよろしくお願いします!」
「キッチュはヤルからっ!」
大舞台で戦う事に興奮しているキッチュだが、レイドはかつての上司であるアテナに深々と頭を下げた
「レイドか…ババアは優しき王ロードの補佐をして欲しい。と、頼んで引退したハズじゃがのぅ……まぁ良いさ。お前にも考えあっての事だろうさ。ただ!その道を選んだお前の覚悟は見せてもらうがな」
60を超えるアテナだが、30代で実力的にも脂の乗っているレイドを軽くイナしてやる!と言わんばかりだ
「エリエスや、吸わしておくれ」
「はい、どうぞ!」
エリエスは膝を折り首筋をアテナの前に差し出した。アテナは孫娘エリエスの首筋に唇を付け、ゆっくりと生気を吸い込んだ
「ふおおおぉぉぉぉ!漲(みなぎ)って来おったわい!」
エリエスから得た生気でミルミル若返っていくアテナ。若さを取り戻していくアテナの姿を見て、会場は大興奮だ!
「ほぉっほぉっほ!観客もコッチの姿の方が喜ぶじゃろうて!大勢の前での試合…ワクワクするのォ!…さてエリエスよ、生気を吸われて疲労があるじゃろう?あのキメラと引き分けてくれたら、それで良いぞ」
「はい、お任せください」
自分(アテナ)が生気を吸ってパワーダウンしている孫娘(エリエス)に対して「引き分けで良い」と言うアテナ。それだけエリエスの方が強いと確信しているようだ
両者は向かい合った。エリエスはキッチュに狙いを定めた。レイドもこうなるだろうと予測していたらしくアテナの正面に立ち、緊張の顔で自慢の大剣を構えた。アテナは久しぶりの人前での戦いに興奮しているようだ
「それでは1回戦第2試合…開始!」
「キッチュさんでしたか?戦う用意は出来ましたか?…それでは行きますわっ!」
真っ先に動いたのは、試合開始直前に生気を吸われ唯一最初から疲労のあるエリエスだった
キッチュは戦闘用の手甲を両腕に装備しており、ソレに3本の鋼鉄の爪を生やした鉄板をはめ込んでいた
エリエスの【エクスカリバーcustom】の一撃を左手の鉄爪で受け止めるキッチュ
1回戦の興奮覚めやらぬ中、クラウン騎士団の生ける伝説の登場に湧くコロシアム
現役を引退して20年以上が過ぎたアテナ達と、元第1騎士団長のレイド達の戦いの行方は?
続く
最後まで舞台に残っていたのはカルーアだった。勝ち名乗りを受けて彼女は歩き出した
「楽しかったよ、今後もよろしくエーデ」
カルーアは落ち込んで俯(うつむ)いているエーデに右手を差し出した
「エーデ、ボロ負けだったのに?」
ようやく顔を上げたエーデは、カルーアの顔を見上げた
「良い試合だったよ!凄くドキドキした♪」
不安気な表情のエーデに、カルーアは屈託のない笑顔を向けた
「ありがとう…エーデ頑張るから!」
(届かなかったけど…頑張ったね)
結界を張りながら試合を見守った有栖は、カルーアとの実力差がありながらも最後まで頑張ったエーデを讃えていた
【参加者通路】
勝者として通路に戻ったヒイロとカルーア。出迎えたのはレイドとキッチュだった
「まさか…魔女相手に勝つとはな…」
「キミ達も勝てれば…準決勝で戦えるね♪」
「頑張るからね。待ってろよ!」
カルーアがここまでの実力者だとは思っていなかったレイド。マルバァス討伐戦の活躍もキングス王子たちの誇張もあるだろう、と予想していたのだが…その話が真実だった事を理解した
「勝てそうですか?」
「兄貴が今回は最高レベルの大会にする!って言ってるのは聞いていたが、まさかコレだけのメンツを集めたとはな…しかも相手はクラウン騎士団でも【生ける伝説】と呼ばれるアテナ様だからなぁ…俺も修行は欠かしていないが…」
「大丈夫!レイドは元1番隊隊長してたんだから!ソレに私も頑張るから!」
【舞闘女神】アテナの2つ名を知らないキッチュはヤル気に満ちているが…ギリギリアテナが退役直前に騎士団に入り、彼女の強さを知っているレイドはかなり緊張している様だ
【コロシアム】
「東ゲートからは!ロード王の弟で、かつての騎士団1番隊隊長、レイド・シュタイナー!パートナーは彼が見出したキメラ戦士、キッチュ選手!」
「うおおおおぉ!」
「レイド様ぁ!」
「キッチュ、応援してるぞ!」
現在、自由自治区の長をしているレイドの人気はかなりの物だ。キメラのキッチュもパトロールで人々の為に何度も活躍しているので、彼女を応援する声も多かったが…
「対して西ゲートからは…クラウン騎士団伝説の【舞闘女神】アテナ・クーパー様だぁ!」
「うおおおおおぉぉ!!」
「アテナ様ぁ!」
「パートナーはアテナ様の孫娘…祖父、ヘパイトス様の鍛治スキルを継承しつつ、アテナ様の指南も受けているという【戦う鍛冶師】エリエス・クーパー!」
「エリエスさま可愛い!」
「私の武器も作ってくださーい!」
レイドへの声援も凄まじい物だったが…クラウン騎士団の伝説の舞闘女神アテナの登場に、会場のテンションはマックスになった
「やれやれ…ババアの鼓膜が破けてしまいそうじゃのう…」
「お祖母様!エリエスの成長をご覧下さいね!」
コレだけの大観衆からの大声援を受けても、まるで緊張もしないクーパー祖母と孫娘
「アテナ様、ご無沙汰しております。本日は手合わせよろしくお願いします!」
「キッチュはヤルからっ!」
大舞台で戦う事に興奮しているキッチュだが、レイドはかつての上司であるアテナに深々と頭を下げた
「レイドか…ババアは優しき王ロードの補佐をして欲しい。と、頼んで引退したハズじゃがのぅ……まぁ良いさ。お前にも考えあっての事だろうさ。ただ!その道を選んだお前の覚悟は見せてもらうがな」
60を超えるアテナだが、30代で実力的にも脂の乗っているレイドを軽くイナしてやる!と言わんばかりだ
「エリエスや、吸わしておくれ」
「はい、どうぞ!」
エリエスは膝を折り首筋をアテナの前に差し出した。アテナは孫娘エリエスの首筋に唇を付け、ゆっくりと生気を吸い込んだ
「ふおおおぉぉぉぉ!漲(みなぎ)って来おったわい!」
エリエスから得た生気でミルミル若返っていくアテナ。若さを取り戻していくアテナの姿を見て、会場は大興奮だ!
「ほぉっほぉっほ!観客もコッチの姿の方が喜ぶじゃろうて!大勢の前での試合…ワクワクするのォ!…さてエリエスよ、生気を吸われて疲労があるじゃろう?あのキメラと引き分けてくれたら、それで良いぞ」
「はい、お任せください」
自分(アテナ)が生気を吸ってパワーダウンしている孫娘(エリエス)に対して「引き分けで良い」と言うアテナ。それだけエリエスの方が強いと確信しているようだ
両者は向かい合った。エリエスはキッチュに狙いを定めた。レイドもこうなるだろうと予測していたらしくアテナの正面に立ち、緊張の顔で自慢の大剣を構えた。アテナは久しぶりの人前での戦いに興奮しているようだ
「それでは1回戦第2試合…開始!」
「キッチュさんでしたか?戦う用意は出来ましたか?…それでは行きますわっ!」
真っ先に動いたのは、試合開始直前に生気を吸われ唯一最初から疲労のあるエリエスだった
キッチュは戦闘用の手甲を両腕に装備しており、ソレに3本の鋼鉄の爪を生やした鉄板をはめ込んでいた
エリエスの【エクスカリバーcustom】の一撃を左手の鉄爪で受け止めるキッチュ
1回戦の興奮覚めやらぬ中、クラウン騎士団の生ける伝説の登場に湧くコロシアム
現役を引退して20年以上が過ぎたアテナ達と、元第1騎士団長のレイド達の戦いの行方は?
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