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アリス IN 異世界地球
マルハ・マラサ
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【選手用通路】
「ガツン!」優勝者と準優勝者は、表彰式の為に武闘会場に呼ばれている。それに向かうアテナ達。なのだが…アテナは険(けわ)しい顔で通路の壁を叩いた
「あんな戦いの果てに…優勝者として祝ってもらわなければならんとは…腹立たしいのぉ!」
「お祖母様…試合が終わってからずっと不機嫌そうですが…決勝戦、やはり何かあったのですか?」
壁を叩くアテナは明らかに怒っている
「エリエスはワシとキウの戦いがどう見えたのじゃ?」
「正直に言いますと…ミアナさんと対峙してる事に全力でしたので、お祖母様達の方に気を使う余裕はありませんでした」
「そうか…じゃが、ソレが正解じゃろうのぅ…あの2人の強さは異常じゃ…」
原則的に世界の冒険者にはEランクから、Sランクまでの6段階の階級が与えられる。ごく稀にSランクの域を遥かに超えた実力者に特別に【SS(タブルエス)ランク】の称号が与えられる。ソレを与えられている【武闘女神アテナ】が異常だ!というキウ。果たして彼女の正体は…
【武闘会決勝戦】
開始と共にキウに飛び込んだアテナ。アテナは手甲を巧みに使い、キウの剣戟を避けたり防いだりしながら攻撃を繰り出していたが…屈強なオテイゥスを一撃で撃破したキウのパワーを警戒していたので、満足のいく有効打は与えられずにいた
エリエスの方は、準決勝でミアナが見せた近付く者を瞬時に凍らせる魔法を警戒して、ロマーニャの精霊力をエクスカリバーに纏わせて、ミアナの魔法からスグに退避できる中距離から斬撃による衝撃波で攻撃していた
キウの強打を何とか手甲で防いだ時、一瞬だけアテナとキウの動きが止まった。その瞬間、アテナは凄く不機嫌そうな表情になった
その後、キウは後ろに飛び退き距離を取り大剣に闘気をたっぷり練りこんだ。大剣からは炎が燃え盛るように闘気が溢れ出ていた
その大剣が凄まじい速さでアテナを襲った直後、アテナは姿を消した…
再びアテナの姿が舞台上に確認された時、キウは吐血しながら、その場に倒れた。キウを倒したアテナが先程までよりも、遥かに凄まじい形相でミアナを睨んだ
「えっ!あっ!?」
ミアナは2対1の状況になった事を理解した。一瞬の間の後、彼女は床に杖を置き両手を上げて降参した……以上が決勝戦の全容だった
「その何処が不満なのでしょう?」
「ふん、ヤツの剣戟を受け止めた時じゃ。ヤツが上手く負けるタイミングを図っている事に気が付いたんじゃ!」
「えっ!?じゃあ彼女らは、ワザと負けたのですか?」
「そうじゃ!!放っておった殺気も闘気も見せ掛けのハリボテじゃったのよ!なのに、ワシらが優勝者として表彰されなきゃならんのが気に食わんわい!」
アテナが言うには、自分達の優勝はキウ達に押し付けられた物らしい
……………………………………………
「大変長らくお待たせしました。決勝戦を戦った両チームの選手が回復したようですので、今から表彰式を始めさせて頂きます!」
舞台中央に司会者が立ち、その右側にアテナとエリエス、左側にキウとミアナが立っている。アテナはまだ不機嫌な顔だ
「それでは、全ての試合を見事戦い抜いた両チームに惜しみない拍手をお願い致します!」
客席からは惜しみない拍手が長く響いていた
「ありがとうございます!…それでは表彰式に入ります。まずは惜しくも準優勝になりましたキウ選手とミアナ選手は…おや?」
司会者は言葉を詰まらせた
選手入場ゲートから、フラフラしながら歩み寄ってくるオテイゥスを見つけたからだ
ソレに気が付いた観客達も何事か?と静まり帰った。オテイゥスはキウの正面まで来た
「邪魔をしてすまないな…だが…どうしても伝えたい事がある…」
「何だ、言ってみろ」
「俺はもう助からない…長年愛用したこの剣を…もらってくれないか?」
「…要らん!俺には俺用の剣があるからな。ソレはお前の墓標に一緒に入れてやる」
オテイゥスから差し出された黒い剣の受け取りを、キウはアッサリと拒否した
「そうか…最後の賭けだったのだがな…ならば仕方ない…当初の予定通りにやるとするか……マルハ…マラサっ!」
最後、オテイゥスは何かのおまじないの様な言葉を叫んだかと思うと、その黒い剣を自分の身体に突き刺した
「ブシャッ!!」
「何を!?」
「何の真似だ!?」
彼の様子を見ていた全員が何が起きているのか?理解出来ないでいた
その黒い剣は、キウによってヒビを入れられていた、オテイゥスの生命とも言えるコアに突き刺さると…
赤黒く禍々しい光を放ち始めた。その光は一瞬吹き出したかと思うと、天高く一直線に空へ伸びて行った
【隔離塔】
「おお!合図が来たぞ!…皆の者よ、来るべき時が来たのだ。我らの崇高な目的を今こそ!」
「我らの理想の為この生命、捧げようぞ!世界よ原始に還れ!マルハ・マラサっ!」
隔離塔に捉えられていた旧王族派の大臣達は、胸に掛けられたペンダントを握り締め、オテイゥスと同じ言葉を叫んだ!ペンダントから赤黒い光が溢れ、大臣達の身体を飲み込んで行く
「仮染めの平和よ砕け散れ!神よ!この世界に等しい裁きをっ!全ての生命体に真の平等を与えたまへ!」
断末魔の叫びを上げる大臣達を飲み込んだ光は、舞台上のオテイゥス目掛けて飛来してきた
【フレメイル控え室】
「ちょっと何?この振動は!?」
「凄まじい魔力だよ!まるで、世界を引き裂こうとする様な!」
「一体、何が起きようとしていますの!?」
魔法に強いミンクとカルーアとサーシャは、いち早くこの異常事態を感知した
「まさか!?表彰式に何か起きているのか?」
「様子を見に行くしかねーな!ミンクはそこで…」
「嫌よ!ミンクは何時でもドレイクと一緒なんだから!」
彼ら5人は事態の真相を知るべく、部屋を飛び出し舞台へと急いだ
【地下牢】
「くくく…あーはっはっはっ!遂に叶ったわ!世界よ!有栖よ…絶望するが良いわっ!…そして、もう1つの私の目的も果たしてみせる!」
まだ立ち上がる事が出来ないアンナローザなのだが、何らかの企みが成就しそうな事を悟り、1人高笑いをしていた
続く
「ガツン!」優勝者と準優勝者は、表彰式の為に武闘会場に呼ばれている。それに向かうアテナ達。なのだが…アテナは険(けわ)しい顔で通路の壁を叩いた
「あんな戦いの果てに…優勝者として祝ってもらわなければならんとは…腹立たしいのぉ!」
「お祖母様…試合が終わってからずっと不機嫌そうですが…決勝戦、やはり何かあったのですか?」
壁を叩くアテナは明らかに怒っている
「エリエスはワシとキウの戦いがどう見えたのじゃ?」
「正直に言いますと…ミアナさんと対峙してる事に全力でしたので、お祖母様達の方に気を使う余裕はありませんでした」
「そうか…じゃが、ソレが正解じゃろうのぅ…あの2人の強さは異常じゃ…」
原則的に世界の冒険者にはEランクから、Sランクまでの6段階の階級が与えられる。ごく稀にSランクの域を遥かに超えた実力者に特別に【SS(タブルエス)ランク】の称号が与えられる。ソレを与えられている【武闘女神アテナ】が異常だ!というキウ。果たして彼女の正体は…
【武闘会決勝戦】
開始と共にキウに飛び込んだアテナ。アテナは手甲を巧みに使い、キウの剣戟を避けたり防いだりしながら攻撃を繰り出していたが…屈強なオテイゥスを一撃で撃破したキウのパワーを警戒していたので、満足のいく有効打は与えられずにいた
エリエスの方は、準決勝でミアナが見せた近付く者を瞬時に凍らせる魔法を警戒して、ロマーニャの精霊力をエクスカリバーに纏わせて、ミアナの魔法からスグに退避できる中距離から斬撃による衝撃波で攻撃していた
キウの強打を何とか手甲で防いだ時、一瞬だけアテナとキウの動きが止まった。その瞬間、アテナは凄く不機嫌そうな表情になった
その後、キウは後ろに飛び退き距離を取り大剣に闘気をたっぷり練りこんだ。大剣からは炎が燃え盛るように闘気が溢れ出ていた
その大剣が凄まじい速さでアテナを襲った直後、アテナは姿を消した…
再びアテナの姿が舞台上に確認された時、キウは吐血しながら、その場に倒れた。キウを倒したアテナが先程までよりも、遥かに凄まじい形相でミアナを睨んだ
「えっ!あっ!?」
ミアナは2対1の状況になった事を理解した。一瞬の間の後、彼女は床に杖を置き両手を上げて降参した……以上が決勝戦の全容だった
「その何処が不満なのでしょう?」
「ふん、ヤツの剣戟を受け止めた時じゃ。ヤツが上手く負けるタイミングを図っている事に気が付いたんじゃ!」
「えっ!?じゃあ彼女らは、ワザと負けたのですか?」
「そうじゃ!!放っておった殺気も闘気も見せ掛けのハリボテじゃったのよ!なのに、ワシらが優勝者として表彰されなきゃならんのが気に食わんわい!」
アテナが言うには、自分達の優勝はキウ達に押し付けられた物らしい
……………………………………………
「大変長らくお待たせしました。決勝戦を戦った両チームの選手が回復したようですので、今から表彰式を始めさせて頂きます!」
舞台中央に司会者が立ち、その右側にアテナとエリエス、左側にキウとミアナが立っている。アテナはまだ不機嫌な顔だ
「それでは、全ての試合を見事戦い抜いた両チームに惜しみない拍手をお願い致します!」
客席からは惜しみない拍手が長く響いていた
「ありがとうございます!…それでは表彰式に入ります。まずは惜しくも準優勝になりましたキウ選手とミアナ選手は…おや?」
司会者は言葉を詰まらせた
選手入場ゲートから、フラフラしながら歩み寄ってくるオテイゥスを見つけたからだ
ソレに気が付いた観客達も何事か?と静まり帰った。オテイゥスはキウの正面まで来た
「邪魔をしてすまないな…だが…どうしても伝えたい事がある…」
「何だ、言ってみろ」
「俺はもう助からない…長年愛用したこの剣を…もらってくれないか?」
「…要らん!俺には俺用の剣があるからな。ソレはお前の墓標に一緒に入れてやる」
オテイゥスから差し出された黒い剣の受け取りを、キウはアッサリと拒否した
「そうか…最後の賭けだったのだがな…ならば仕方ない…当初の予定通りにやるとするか……マルハ…マラサっ!」
最後、オテイゥスは何かのおまじないの様な言葉を叫んだかと思うと、その黒い剣を自分の身体に突き刺した
「ブシャッ!!」
「何を!?」
「何の真似だ!?」
彼の様子を見ていた全員が何が起きているのか?理解出来ないでいた
その黒い剣は、キウによってヒビを入れられていた、オテイゥスの生命とも言えるコアに突き刺さると…
赤黒く禍々しい光を放ち始めた。その光は一瞬吹き出したかと思うと、天高く一直線に空へ伸びて行った
【隔離塔】
「おお!合図が来たぞ!…皆の者よ、来るべき時が来たのだ。我らの崇高な目的を今こそ!」
「我らの理想の為この生命、捧げようぞ!世界よ原始に還れ!マルハ・マラサっ!」
隔離塔に捉えられていた旧王族派の大臣達は、胸に掛けられたペンダントを握り締め、オテイゥスと同じ言葉を叫んだ!ペンダントから赤黒い光が溢れ、大臣達の身体を飲み込んで行く
「仮染めの平和よ砕け散れ!神よ!この世界に等しい裁きをっ!全ての生命体に真の平等を与えたまへ!」
断末魔の叫びを上げる大臣達を飲み込んだ光は、舞台上のオテイゥス目掛けて飛来してきた
【フレメイル控え室】
「ちょっと何?この振動は!?」
「凄まじい魔力だよ!まるで、世界を引き裂こうとする様な!」
「一体、何が起きようとしていますの!?」
魔法に強いミンクとカルーアとサーシャは、いち早くこの異常事態を感知した
「まさか!?表彰式に何か起きているのか?」
「様子を見に行くしかねーな!ミンクはそこで…」
「嫌よ!ミンクは何時でもドレイクと一緒なんだから!」
彼ら5人は事態の真相を知るべく、部屋を飛び出し舞台へと急いだ
【地下牢】
「くくく…あーはっはっはっ!遂に叶ったわ!世界よ!有栖よ…絶望するが良いわっ!…そして、もう1つの私の目的も果たしてみせる!」
まだ立ち上がる事が出来ないアンナローザなのだが、何らかの企みが成就しそうな事を悟り、1人高笑いをしていた
続く
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