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アリス IN 異世界地球
怒れる魔女の弟子
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【コロシアム跡地】
と言ってよいほど獣神ファルバァスにより、周囲は無茶苦茶に破壊されていた。そんな城の残骸とも言える場所に負傷した兵士や、助ける者と助けられる者、それらを捕食しようとするファルバァスの触手がうごめている
異世界勇者の優輝はそんな危険な場所の中で、自分の力量不足を理解した上で負傷者を探し回復できる者の元へと運んでいた
「あっ、彼らは…」
そんな中、立ち尽くすキウとミアナを見付けた
「立ち尽くして…どうしたのです?」
武闘会で圧倒的な強さを魅せ準優勝した猛者の2人が、何もせずに棒立ちしている姿に違和感を感じた優輝
「ミアナよ、お前はあの【七精守護霊(ハーロウィーン)】の魔法は使えんのか?」
「はい…アレはお師匠様から教えられませんでした…あっ!そう言えば、お師匠様が見当たりませんね」
「待て、探ってみよう………ん!?地下牢で【最悪の魔女】と居るな……何やら魔人も召喚されているようだ…何かあるな…」
「まさか、お師匠様に何か!?…すみません、地下牢に向かいます!」
有栖の身を案じたミアナは一目散に地下牢へと走って行った
「お前も行ってやれ、【消去の魔女】を助けてやるんだ」
「やっぱり、何かされているんですね!」
ミアナにワンテンポ遅れて、優輝も地下牢へと向かった
「立場上、全力で獣神を阻止する訳にもいかんが…何も助けてやらんのも気が引けるか?…おい臥龍族の女!」
キウは近くにドレイクとミンクが居るのを察知すると、瞬時に彼らの元へ移動した
「アンタは辺境の村長さんじゃねーか。俺たちに用か?」
「お前ではない。女、貴様だ。巨大なツララを精製出来るか?」
「えっ!?出来るけど…」
「1本 作ってくれ」
キウに言われたミンクは、太さ2メートル、長さ10メートル程の氷の柱を魔法で精製した
「姉ちゃん、ソレをどうする気だ?俺様が投てきしても、あの高さでは届くのが精一杯なんだぞ?」
「ふっ…見た目の割に非力だな」
「なんだと!てめぇ、喧嘩売ってるのか?」
屈強さに自信のあるドレイクは、いかに決勝戦まで行ったチームであっても「非力」と言われて我慢出来るハズもなかった
「まあ見てろ!俺なら届くハズだ」
キウはミンクが作った巨大なツララを片手で掴むと、無造作に持ち上げた
「なんだぁ、女に持ち上げられるハズが…」
流石のドレイクも目の前で、巨大なツララを片手で持つところを魅せられたのが非現実的過ぎて戸惑っている
「んーー~…ふんぬっ!!」
キウは軽く助走すると、全身を大きくしならせ巨大なツララを投げた
カルーアが【七精守護霊(ハーロウィーン)で撃ち出した柱の約倍の大きさのソレを、いとも簡単に放り投げるキウ
「ギッ!?グシエェェェ!!!」
キウが投げつけた巨大なツララは、見事にファルバァスに突き刺さった!
「マジかよ!?どんなチカラしてんだ、お前!?」
「…て言うか、なんで精製したばかりのツララを素手で掴んで何とも無いのよ…色々常識を無視しすぎよw」
「何だ?おかしい事か?…鍛えているからな」
キウの規格外過ぎる身体能力は、臥龍族の頂点に立つ2人の常識すらも凌駕していた
【地下牢】
「あっ!はぁ…うあぁ…駄目…もう、やめて…」
【天陣】が使えない状態で【消去の魔法】を連続使用した有栖は魔力が枯渇している上に、優輝と2人の子供としか見えない見た目の者に全身をなぶられて、既に目からは光が失せ半放心状態だった
「ふふふ…【消去の魔女】も、ここまでかしら?まだ指輪は2つも残しているのにね♪」
念願の消去の魔女の撃破が目前に迫り、歓喜に震えるアンナローザ
「ドバガァーンっ!」
アンナローザが居る牢屋の扉が魔法の威力で、派手に吹き飛ばされた
「きぃさぁまー…お師匠様に何をしたぁ…」
土煙の中から、怒りのオーラを噴出するミアナがチカラ強く歩み寄る
「ふふふ(笑)遅かったわね。有栖は私の策略にハマって、生命尽きる寸前よ」
「ソレは…魔界のジャッジメント…邪魔ですね」
そう言うと、ミアナは牢屋の中を「消去の魔法以外は使えない」様にしている、モーラルが張っている結界に手をあてた
「ははは!ソレは外からは破壊できない代物だ!貴様はそこで指をくわえて有栖が殺される様を黙って…」
「うるさいっ!!お前は私を怒らせたっ!世の中には、どうやっても救えない外道が居ることを知っていたハズなのに!…この世から貴女を消去します…【天地崩壊(テンチホウカイ)】!!」
「バッキイィン!!!」有栖のオリジナル魔法である、モールド(結合力)を破壊する魔法をミアナが使った
「ゴハァッ!」
「ギィアァ!」
吐血して倒れ込むモーラルとアンナローザ。かつて有栖がイシス王国で、古代兵器に使った様にミアナも結界内の全てを対象にしているが…大切な有栖だけは対象外にして【天地崩壊】を使用した
「ば…馬鹿な!?有栖でさえ…ぐはっ!…どうにも出来なかった…この結界が…」
「違うっ!お師匠様は1日中コロシアムに結界を張っていたから…あの【七精守護霊(ハーロウィーン)】さえも防ぐ強度で張り続けていて疲弊していたからよ!」
「そんな…それでは私は…」
地べたに這いつくばるアンナローザは、初めから自分が有栖の相手にもならなかった事を理解した。そんなアンナローザを見下ろすミアナ
「貴女は…あの時に始末すべきでした!情けをかける必要は無かった!…全てはソコを見誤った私の責任です」
「グギャアァ!」
ミアナは今度は慈悲も無くアンナローザを、灼熱魔法で包み込み焼いて処分した
床には、かつて【最悪の魔女】と呼ばれた女の形を模した焼け跡だけが残っていた
続く
と言ってよいほど獣神ファルバァスにより、周囲は無茶苦茶に破壊されていた。そんな城の残骸とも言える場所に負傷した兵士や、助ける者と助けられる者、それらを捕食しようとするファルバァスの触手がうごめている
異世界勇者の優輝はそんな危険な場所の中で、自分の力量不足を理解した上で負傷者を探し回復できる者の元へと運んでいた
「あっ、彼らは…」
そんな中、立ち尽くすキウとミアナを見付けた
「立ち尽くして…どうしたのです?」
武闘会で圧倒的な強さを魅せ準優勝した猛者の2人が、何もせずに棒立ちしている姿に違和感を感じた優輝
「ミアナよ、お前はあの【七精守護霊(ハーロウィーン)】の魔法は使えんのか?」
「はい…アレはお師匠様から教えられませんでした…あっ!そう言えば、お師匠様が見当たりませんね」
「待て、探ってみよう………ん!?地下牢で【最悪の魔女】と居るな……何やら魔人も召喚されているようだ…何かあるな…」
「まさか、お師匠様に何か!?…すみません、地下牢に向かいます!」
有栖の身を案じたミアナは一目散に地下牢へと走って行った
「お前も行ってやれ、【消去の魔女】を助けてやるんだ」
「やっぱり、何かされているんですね!」
ミアナにワンテンポ遅れて、優輝も地下牢へと向かった
「立場上、全力で獣神を阻止する訳にもいかんが…何も助けてやらんのも気が引けるか?…おい臥龍族の女!」
キウは近くにドレイクとミンクが居るのを察知すると、瞬時に彼らの元へ移動した
「アンタは辺境の村長さんじゃねーか。俺たちに用か?」
「お前ではない。女、貴様だ。巨大なツララを精製出来るか?」
「えっ!?出来るけど…」
「1本 作ってくれ」
キウに言われたミンクは、太さ2メートル、長さ10メートル程の氷の柱を魔法で精製した
「姉ちゃん、ソレをどうする気だ?俺様が投てきしても、あの高さでは届くのが精一杯なんだぞ?」
「ふっ…見た目の割に非力だな」
「なんだと!てめぇ、喧嘩売ってるのか?」
屈強さに自信のあるドレイクは、いかに決勝戦まで行ったチームであっても「非力」と言われて我慢出来るハズもなかった
「まあ見てろ!俺なら届くハズだ」
キウはミンクが作った巨大なツララを片手で掴むと、無造作に持ち上げた
「なんだぁ、女に持ち上げられるハズが…」
流石のドレイクも目の前で、巨大なツララを片手で持つところを魅せられたのが非現実的過ぎて戸惑っている
「んーー~…ふんぬっ!!」
キウは軽く助走すると、全身を大きくしならせ巨大なツララを投げた
カルーアが【七精守護霊(ハーロウィーン)で撃ち出した柱の約倍の大きさのソレを、いとも簡単に放り投げるキウ
「ギッ!?グシエェェェ!!!」
キウが投げつけた巨大なツララは、見事にファルバァスに突き刺さった!
「マジかよ!?どんなチカラしてんだ、お前!?」
「…て言うか、なんで精製したばかりのツララを素手で掴んで何とも無いのよ…色々常識を無視しすぎよw」
「何だ?おかしい事か?…鍛えているからな」
キウの規格外過ぎる身体能力は、臥龍族の頂点に立つ2人の常識すらも凌駕していた
【地下牢】
「あっ!はぁ…うあぁ…駄目…もう、やめて…」
【天陣】が使えない状態で【消去の魔法】を連続使用した有栖は魔力が枯渇している上に、優輝と2人の子供としか見えない見た目の者に全身をなぶられて、既に目からは光が失せ半放心状態だった
「ふふふ…【消去の魔女】も、ここまでかしら?まだ指輪は2つも残しているのにね♪」
念願の消去の魔女の撃破が目前に迫り、歓喜に震えるアンナローザ
「ドバガァーンっ!」
アンナローザが居る牢屋の扉が魔法の威力で、派手に吹き飛ばされた
「きぃさぁまー…お師匠様に何をしたぁ…」
土煙の中から、怒りのオーラを噴出するミアナがチカラ強く歩み寄る
「ふふふ(笑)遅かったわね。有栖は私の策略にハマって、生命尽きる寸前よ」
「ソレは…魔界のジャッジメント…邪魔ですね」
そう言うと、ミアナは牢屋の中を「消去の魔法以外は使えない」様にしている、モーラルが張っている結界に手をあてた
「ははは!ソレは外からは破壊できない代物だ!貴様はそこで指をくわえて有栖が殺される様を黙って…」
「うるさいっ!!お前は私を怒らせたっ!世の中には、どうやっても救えない外道が居ることを知っていたハズなのに!…この世から貴女を消去します…【天地崩壊(テンチホウカイ)】!!」
「バッキイィン!!!」有栖のオリジナル魔法である、モールド(結合力)を破壊する魔法をミアナが使った
「ゴハァッ!」
「ギィアァ!」
吐血して倒れ込むモーラルとアンナローザ。かつて有栖がイシス王国で、古代兵器に使った様にミアナも結界内の全てを対象にしているが…大切な有栖だけは対象外にして【天地崩壊】を使用した
「ば…馬鹿な!?有栖でさえ…ぐはっ!…どうにも出来なかった…この結界が…」
「違うっ!お師匠様は1日中コロシアムに結界を張っていたから…あの【七精守護霊(ハーロウィーン)】さえも防ぐ強度で張り続けていて疲弊していたからよ!」
「そんな…それでは私は…」
地べたに這いつくばるアンナローザは、初めから自分が有栖の相手にもならなかった事を理解した。そんなアンナローザを見下ろすミアナ
「貴女は…あの時に始末すべきでした!情けをかける必要は無かった!…全てはソコを見誤った私の責任です」
「グギャアァ!」
ミアナは今度は慈悲も無くアンナローザを、灼熱魔法で包み込み焼いて処分した
床には、かつて【最悪の魔女】と呼ばれた女の形を模した焼け跡だけが残っていた
続く
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